チェコスロバキア航空工業は、1930年代に国産の多用途機Letov S-28を開発し、その改良型である128、228はエストニアやフィンランドに輸出されました。強力なブリストル・ペガサスエンジンを搭載したS−328は1933年から生産され、チェコスロバキア空軍、ブルガリア空軍などで大戦中偵察、軽爆撃機として使用されました。派生型を含めて412機が生産され、最高速度328km/時、航続距離1,280km、武装7.92mmSukoda31機銃2-4丁、爆弾最大500kgでした。水上機型は黒海で対ソ連潜水艦哨戒にも使用されました。前回Petlyakov Pe-2で説明した様に、第二次大戦中チェコスロバキアは枢軸側に付いて独立したスロバキアと分割占領されたチェコに別れました。チェコスロバキア空軍のS-328はそのままスロバキア空軍の標識に変えてポーランド侵攻や対ソ連の東部戦線に投入されました。今回作ったのはその際活躍したスロバキア空軍所属の物です。
第二次大戦中枢軸国側で戦ったスロバキア空軍のLetov S-328実機と Special hobby 1/72 Letov S-328
模型はチェコのプラモデルメーカーであるSpecial hobby製で新しい金型なので機体内部の骨格なども作り込まれた精巧なものでした。上面カーキ、下面シルバーの塗装で東部戦線用の黄帯は汚れ塗装をする様にという記載までありました。チェコとスロバキアは度々対立分割を繰り返した歴史がありますが、ユーゴスラビアのボスニア内戦の様な宗教や文化の違いから互いに殺戮し合うといった悲惨な対立は無いと思われます。大きくはスラブ民族に属し、チェコが工業国で合理的な考えの人が多いのに対して、スロバキアは農業国で敬虔なキリスト教信者が多いといった違いがあると言われます。従ってチェコスロバキアで生産された航空機がそのままスロバキア空軍で使用され、チェコのプラモデルメーカーが対立関係にあったスロバキア空軍の仕様の模型を勢力的に生産するといった事が行われているのでしょう。新しい金型で整合は良いといっても複葉機でリグを張るのはそれなりに大変で忍耐が必要です。翼の桁の取り付けには0.5mmのドリルで穴あけの上で固定をした方が、上翼が安定します。同時代の航空機として枢軸国側で戦ったルーマニア空軍のPZL23B Karas軽爆撃機とスペイン内戦でナショナリスト軍に参戦したHeinkel He51を並べてみました。
操縦席などの作り込みも細かい リグはミシン糸と0.3mmの真鍮線を使用
このタイプはドイツ製の無線機を搭載していた由
飛行機プラモデル界では割と珍しい国と機体の組み合わせ。