rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

NHKBS世界のドキュメンタリー「爆弾処理兵 極限の記録」感想

2019-03-19 18:05:33 | 社会

NHKBSで2019年2月26日午後11時から放送されたスエーデン2017年制作のドキュメンタリー作品(原題 The Deminer : Lolav media Sweden)です。イラクに住むクルド人ファーケル少佐は2003年フセイン政権崩壊直後に地雷除去を始めた兵士で、米軍と協力しながらイラク国内の過激派やその後ISなどが仕掛けた爆弾処理を自ら進んで行っています。年に600件を超す爆発物を処理した年もあった(1カ所で複数の爆弾があるのが普通なので爆弾の処理数はもっと多い)と言います。ハリウッド映画のハートロッカーで出て来た様な重装備の防護服を着た爆弾処理兵と異なり、ファーケル少佐はほぼ丸腰のままサクサクとペンチ一本で爆弾の信管を処理して行きます。「怖くないのか?」という問いにも「無辜の市民、特に子供達の被害を食い止めるのが神の意思に従う事だ。爆死したらそれも神の意思だ。」というのが持論で、処理中に3度の爆発で自身も片足を失い、仲間を失う経験をしますが、家族の反対を押し切って爆弾処理を続けます。

主人公のファーケル少佐       ほぼ丸腰で爆弾を処理する(番組ホームページから)
 

最期にISが撤退した家に爆弾がありそうだから「見るだけでも良いから来て欲しい」とある市民に懇願されて家に入るのですが、そこで携帯電話で爆発する爆弾を見つけ、処理している間に携帯がかかってきて爆殺されてしまいます。これ、明らかに爆弾処理でテロリストの邪魔をする彼を爆殺するための罠であったと思われます(片足を失った爆発も彼を狙った罠)。

私は短期間エジプトを旅行した程度しかアラブ人と接した経験はないのですが、同時期に旅行したイスラエルと比べてアラブ人が何の抵抗もなく平気で人を騙すやり口に「友人として付き合うならイスラエルのユダヤ人の方がよほど良い」と痛感した記憶があります。いや人の良さそうなアラブ人もいるのですがね。このドキュメンタリーを見ていても「アラブ人の信用性」というものが良く現れていて、彼らから見たら日本人など「赤子同然」であろうと感じます。そんな信用できない連中を良く知りながらも主人公は要求に応えて爆弾処理に向かって行く。その死生観はどこか「自爆テロをジハード」と言い切るテロリストと少し通じる「彼なりのジハード」の姿を感ずるものでもありました。

紛争地域に自衛官が派遣される危険性が高まっています。自分も自衛官であり続けたらイラクに派遣されていた可能性もあります。映画「ある戦争」もドキュメンタリータッチで臨場感あふれる作りでしたが、このドキュメンタリーは現実であって、実際の爆弾処理がどんなものか理解できる内容で他人事ではない想いでした。他人を傷つけることなく、自らを犠牲にして延々と爆弾処理を続ける彼らに頭が下がる思いであるとともに、これだけ多数の爆弾を仕掛ける人達、また爆弾を作る資金を提供する人達(この金持ち達は安全な所にいる)がいる事に世の無情を感じました。良い番組なので機会があったら見られる事をお勧めします。

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