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rakitarouのきままな日常

人間の虐待で隻眼になったrakitarouの名を借りて人間界のモヤモヤを語ります。

南スーダン情勢について

2014-01-06 18:46:38 | 政治

昨年末から自衛隊がPKO任務で派遣されている南スーダンについて話題になっています。しかし網羅的に適確に状況を説明しているメディアが見当たらず、自衛隊の保有する小銃弾を韓国の部隊に譲った事が武器輸出にあたるかといった皮層な論議しか見当たりません。CNNなどの海外メディアでは断片的ではありますが、連日南スーダン情勢が報道されていますが、日本のメディアにとって、武器輸出云々は大事な問題だったけれども大規模な民族虐殺事案に至りそうな事件本体については無関心のようです。

 

南スーダン共和国は2011年にスーダン共和国から分離独立した新しい国家で、イスラムと非イスラムで争ったダルフールに加えて砂漠地帯が少ない南スーダンの独立はその地域の人達にとっては悲願であったようです。南スーダン内部でも古くから民族対立があり、独立にあたって一時的に呉越同舟になっていた南スーダン軍が2013年の7月に主要部族と異なる出身の副大統領が解任されてから副大統領を支持する反乱軍が組織されて内戦に突入したようです。そのあたりの説明はdoragonarさんの記事に詳しいので参照してください。

 

今回既に1月2日の時点で反乱軍によって包囲されてしまった韓国軍駐屯地に虐殺(の怖れが高い事)と戦乱から逃れた難民が多数押し寄せていて、より北部に駐屯するインドの部隊では隊員に死傷者まで出ている状況を鑑みて隊員一人数十発に相当する分でしかありませんが、韓国軍から自衛隊に銃弾の提供要請が出された事は状況から見て理解できるように感じます。事態は週単位で大きく変化しており、駐屯開始時には戦闘地域になかったPKO部隊に銃弾の十分な備えがないことを責めることはできません。従って日本政府が人道上の緊急事態として銃弾の譲渡を緊急に決めた事は(安倍首相のやることが全て褒められた物とは全く思っていませんが、この件については)極めて当然の事と私は思います。

 

問題はそれを武器輸出と同次元に扱って政治問題化しようという「日本国内における問題意識のあり方」と「軍」による国際的な協力要請を、協力を受けてから「そんなに必要じゃなかった」とコメントした韓国政府の素人ぶりにあります。武器輸出というのは「商売」の話です。今回は国連を通しての緊急要請に応えたものであって武器を輸出した訳ではありません。国連事務総長の「感謝する」という公式声明からも政府の決定は国連憲章に照らして問題ないものであると言えます。また韓国政府は他国に「軍事的協力要請(例え銃弾の供給のみであっても)」を行っていながら後から「やはり要らなかった」などということは国際的な信用問題として絶対言ってはならない基本事項です。援軍を要請しておきながら助けてもらった末に「来なくても良かったんだけどね」などという国に誰が今後命がけで助けに行くでしょうか。下手をすれば途中で敵方に寝返って返り討ちに会うかもしれないような相手を今後真剣に助ける国はなくなるでしょう。それくらい「軍」にかかわる対外的な意思表示は明確かつ途中で変えてはならないものであり、慎重に扱わねばならない事項です。韓国は朝鮮戦争もそれ以降の米軍への「助っ人戦争」も自国が主導して行った事がないので自国軍が主体的に意思表示を行う事の重大性について考えてみた事もないのだろうとは思います。しかし、北が攻め込んできても韓国軍を助けにいった結果「来なくてもよかった」「北がすんなり統一する機会が失われた」などと後から言われる事が今回の事で十分予想されることが解ったのですから、米軍としても今後の朝鮮半島へのコミットについてはいろいろと内部で検討する機会にはなったことでしょう。韓国政府としては憎らしい日本であっても「この件については感謝する」とすぐさま公式声明を出す大人の対応を渋った「大ちょんぼ」はおおきなツケとなることでしょう(このような指摘をするメディアがいないのは不思議に思います)。武器輸出については次期トルコ製戦車に三菱重工のエンジンを使おうとか、攻撃ヘリに日本製のエンジンを使おうというような商売の方が問題なのではないでしょうか?

 

1月5日にはエチオピアで南スーダンの停戦について協議が開始されたそうですが、3日には首都Jubaにある米国大使館の館員達の殆どは国外に避難したと伝えられています。我が自衛隊のPKO部隊に被害が及ぶ事がないよう祈るばかりですが、今回の急激な展開は自衛隊のPKO活動にとっても大きな試練になると思われます。「自衛隊がいる所はすなわち非戦闘地域なのだ」と豪語した首相がいましたが、今回は明らかに戦闘地域になろうとしているのですから。解決策は協議による早期停戦の実現と国連軍の増派しかありませんが、虐殺が起こってしまい双方の憎悪が高まってしまうと収拾がつかなくなりそうです。

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