製品デザインに興味を持つ同僚に教えてもらったDVD。世界的に有名な(と思われる)プロダクト・デザイナーが次々と登場し,自らのデザインに対する想いを語っていく。彼らのことばの断片から,一貫したスートリーを組み立てることは難しい。彼らは基本的に,ことばだけで生きている人々ではない。
登場人物のなかでぼくが知っていたのは,IDEO の David Kelly, Tim Brown と Apple の Jonathan Ive,そして日本の深沢直人の4人だけ。だが,元ブラウンの Dieter Rams や BMW の Chris Bangle は,その名前を知らないでデザインを語ることが許されない,あまりに有名なデザイナーであった。
多くのインタビューが英語で行われているが,フランス語,オランダ語,日本語の部分もある。どのインタビューにも英語の字幕が表示されるのは非常にありがたいが,それでも展開の早さについていけない部分がある。操作の点でも字幕がきっちり映る点でも,TV ではなく PC で視聴したほうがよい。
デザインは,日本の製造業にとって最も深刻な課題の1つだろう。Dieter Rams が登場するシーンで,彼は盆栽をしながら,簡素さの美を語っている。それを受け継いでいるのが,深沢直人氏も関わる MUJI であり,UNIQLO もそうかもしれない。では,最大の輸出産業であるクルマや家電はどうなのか?
美術大学を始めとして,デザインの研究・教育機関は少なくない。技法論であったり,哲学や歴史であったり,ときには認知科学が導入されている。一部の工学部にはデザイン工学科がある。日本デザイン学会は設立が 1954 年だそうだ。デザインの研究や教育は,それなりに充実しているように見える。
では,優秀なデザイナーを活用できないマネジメントに問題があるのだろうか?少なくとも 30 年ぐらい前には,日本でもデザイン・マネジメントについて語られ始めていた。米国で Design Management Institute が設立されたのは 1975 年であり,さほど遅れをとったとは思えない。
日本の企業については,リスクをとらない,投資意欲が低下している,効率的でない,グローバル化が遅れている,などと批判されているが,デザインの不毛も軌を一にするのだろうか? 最近では Samsung のデザイン力が評価されている。なぜ「彼ら」にできて「われわれ」にできないのだろうか?
ただそれ以前に,ぼくとしては「優れたデザイン」「美しさ」がどこまで自明なのかを問いたい。 iPod と Walkman を見せてどちらのデザインがよいかと学生に聞くと,過半数は前者だと答える。しかし,だからといって,それが自明とはいえない。もしかしたら,ぼくが誘導しているのかもしれない。
どうアプローチすべきか,まだはっきりしたアイデアは浮かばないが,いま進行中のプロジェクトのいくつかは,そこに結びついていくと信じている。
登場人物のなかでぼくが知っていたのは,IDEO の David Kelly, Tim Brown と Apple の Jonathan Ive,そして日本の深沢直人の4人だけ。だが,元ブラウンの Dieter Rams や BMW の Chris Bangle は,その名前を知らないでデザインを語ることが許されない,あまりに有名なデザイナーであった。
多くのインタビューが英語で行われているが,フランス語,オランダ語,日本語の部分もある。どのインタビューにも英語の字幕が表示されるのは非常にありがたいが,それでも展開の早さについていけない部分がある。操作の点でも字幕がきっちり映る点でも,TV ではなく PC で視聴したほうがよい。
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デザインは,日本の製造業にとって最も深刻な課題の1つだろう。Dieter Rams が登場するシーンで,彼は盆栽をしながら,簡素さの美を語っている。それを受け継いでいるのが,深沢直人氏も関わる MUJI であり,UNIQLO もそうかもしれない。では,最大の輸出産業であるクルマや家電はどうなのか?
美術大学を始めとして,デザインの研究・教育機関は少なくない。技法論であったり,哲学や歴史であったり,ときには認知科学が導入されている。一部の工学部にはデザイン工学科がある。日本デザイン学会は設立が 1954 年だそうだ。デザインの研究や教育は,それなりに充実しているように見える。
では,優秀なデザイナーを活用できないマネジメントに問題があるのだろうか?少なくとも 30 年ぐらい前には,日本でもデザイン・マネジメントについて語られ始めていた。米国で Design Management Institute が設立されたのは 1975 年であり,さほど遅れをとったとは思えない。
日本の企業については,リスクをとらない,投資意欲が低下している,効率的でない,グローバル化が遅れている,などと批判されているが,デザインの不毛も軌を一にするのだろうか? 最近では Samsung のデザイン力が評価されている。なぜ「彼ら」にできて「われわれ」にできないのだろうか?
ただそれ以前に,ぼくとしては「優れたデザイン」「美しさ」がどこまで自明なのかを問いたい。 iPod と Walkman を見せてどちらのデザインがよいかと学生に聞くと,過半数は前者だと答える。しかし,だからといって,それが自明とはいえない。もしかしたら,ぼくが誘導しているのかもしれない。
どうアプローチすべきか,まだはっきりしたアイデアは浮かばないが,いま進行中のプロジェクトのいくつかは,そこに結びついていくと信じている。