HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

HOMER / GROWN IN U.S.A.

2004-11-19 22:07:21 | ROCK
70年に発表されたサイケ・アルバム。キーボードの音色から
プログレ・ファンにも受けがいいらしが、メンバーに
キーボーディストのクレジットはない。
要所で聞かれるペダル・スチールの音が
紛れも無くアメリカのバンドであることを物語る。

どの曲も骨格がはっきりしており、
一度聴くとメロディの断片がくつも頭の中に残る。
クレジットを見るとほとんどの曲がメンバー同士
だれかしらの合作である。
突出したメンバーがいるのでなく、優れた
ソング・ライターが多くいたであろう、このバンドが
アルバム1枚しか残していないのは残念である。
ポップ系のサイケが好きな人におすすめである。

バンド名そのままに鳩があしらわれたジャケットであるが
下の「SUNKIST」って一体何のつもりだろう・・?(笑)
噂の域を越えないのかも知れないが、
クリストファー・クロス(そう、あのフラミンゴ男である)が
このアルバムに係わっているらしい。
そういえば彼の1STアルバムのジャケットは
やっぱり丸い円にフラミンゴが描かれていたっけ・・・。
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MOTT THE HOOPLE / MOTT

2004-11-19 21:38:12 | ROCK
73年に発表されたモット・ザ・フープル6枚目のアルバム。
「革命」という邦題が付けられている。
苦難のアイランド時代を潜り抜け、
デビッド・ボウイのプロデュースによる
「すべての若き野郎ども」で息を吹き返すも、
本来のバンドとしての姿を模索し、もがき続けた
彼らが到達した最高傑作がこれだ。

ボウイのプロダクションに見られた音の
甘さはここにはない。ライヴで演奏するのと同じ
ラウドでハードなモット・ザ・フープルの音が
刻み込まれている。
軽快な「メンフィスからの道」「ホナルーチ・ブギ」、
不協和音すれすれのバイオリンの旋律が印象的な
その名も「暴力」、いつものモットがそこにいる
「ドライヴィン・シスター」と粒ぞろいの曲で
アルバムは埋められている。全モットのアルバムでこれほど
楽曲のいいものが集まった例は他に無い。
つまり、バンドで最も才能のあるイアン・ハンターの曲と歌が
占める割合が非常に高いアルバムでもある。

誰もが忘れてならないのが「モット・ザ・フープルのバラッド」だろう。
サブタイトルの26TH MARCH 1972-ZURICHというのは
この日がバンドの終わりになったかもしれないという日付けなのだ。
(ボウイの援助でそれは免れる)
イアンはバンドを愛していたからこそ、メンバーの名前が
歌いこまれたこの曲が出来上がった。
しかし、イアン・ハンターはバンドにとって
後から入ってきたメンバーである。
1STの頃に比べて、どんどん居場所を大きくする新参者と
メンバーの間の亀裂は深まり、バンドは解散してしまう。

”ロックンロールは敗者のゲーム、見てくれや音を説明はできない。
だからなんだっていうんだ?俺の心のロックンロール・フィーリングは
消すことが出来ないんだ・・。”(モット・ザ・フープルのバラッド)
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ANN PEBBLES / STRAIGHT FROM THE HEART

2004-11-18 23:12:31 | SOUL
72年発表のアン・ピーブルズの2作目。
女性ソウル・シンガーの中で1番好きな歌い手である。
ゴスペルがかったり、余りに暑苦しい女性シンガーは
趣味じゃないのだけど、アンはバラッドもジャンプ・ナンバーも
ソウルフルかつクールにきめてくれる。

一聴してハイ・レーベルのサウンドとわかる
ホーン・セクションとドラムスの音が気持ちよい。
プロデューサーのウィリー・ミッチェルこそ
ハイ・サウンドになくてはならない人であり、
アル・グリーンの個人的最高傑作「コール・ミー」も
彼のプロダクションである。

ソウル・シンガーでそこはかとなくブルースの香りを
漂わせることができる人はそうはいない。
アナログでいうとA面はジャンプとスローの緩急バラエティに
富んだ作風で聞かせ、B面はグッとブルージーに迫る。
傑作ナンバーは「I'VE BEEN THERE BEFORE」だろう。
ドン・ブライアントとアンの共作である。
最高の声とバックに恵まれながら、アンは全盛期に
ドン・ブライアントと結婚し、あっさり引退してしまう。

このアルバムが気に入ったら4枚目の「I CAN'T STAND THE RAIN」を
聴いて欲しい。プリンスはアンのヴォーカリゼイションに影響を
受けていることがよくわかるだろう。
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IVAN LINS / MODO LIVRE

2004-11-18 22:31:41 | BRASIL
ブラジル屈指のメロディ・メーカー、イヴァン・リンスの
74年発表のアルバム。アルバム・タイトル「自由なモード」は
そのまま、イヴァンのバック・バンド名でもある。

軍事政権下で表現が制限された中、多くの才能が
海外での活動を余儀なくされたのに対し、純粋に
政治とコミットしない、いいメロディーを追及したイヴァンは
ブラジルで傑作を作ったのだ。
一聴して耳に残るメロディーとひたすら気持ちの良いアレンジ
というのは洋の東西問わず、聴く者の心を惹きつける。

メロディ・メーカーのイヴァンにとって作詞家というのは
重要な存在である。このアルバムは初期に活動を共にした
作詞家との作品が6曲あるが、重要なのはその後20年の
長きに渡り、活動をともにするヴィトル・マルチンスとの
出会いがあるということだろう。キーボード、ピアノ・プレイヤーの
イヴァン。ブラジル版エルトン・ジョン&バーニー・トーピンとは
言えまいか?

全11曲、気持ちよく聞いて頂きたい。
イヴァンにかかればサンバも、小川の流れのようである。


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近田春夫&ハルヲフォン / COME ON, LET'S GO

2004-11-17 20:11:37 | 日本のロック・ポップス
76年発表のハルヲフォンとしての1ST。
ロックンロールとポップスの魅力を、ニュー・ウェーブの
センスで加工した傑作。歌謡曲の良質な部分も勿論
混ぜられている。そっと忍ばせられた転調の魅力と
変拍子、一筋縄ではいかない。

ストレートではなく、間にワン・クッション置いたような
そのバンドの立ち位置が、多くの支持を得たわけではないが
聴いた者の頭に微熱を残す。
近田春夫の洋楽至上主義じゃないところが、実にいい。
ハルヲフォンのメンバーには元村八分の恒田義見が参加し、
近田とリード・ボーカルを分け合っている。

ジャケットには「HARUOPHONE TOKYO」とある。
ピンクフロイドやディープ・パープルの機材には
「PINK FLOYD LONDON」とか「DEEP PURPLE LONDON」
なんて印されていたが、76年の東京の音として
放たれたこの音は2004年の今でも十分刺激的である。

数枚のアルバムを残した後、ハルヲフォンは解散し、
近田春夫も次の路線での音楽活動に移行する。
もう一度、こういうアルバムを作らないかなあ・・。
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THE BEACH BOYS / SURF'S UP

2004-11-17 17:28:30 | ROCK
ブライアン・ウィルスンの新作「スマイル」は素晴らしかった。
アマゾンで購入し、同時に届いたルースターズの箱、MC5の箱の封を
なかなか開封するに至らず、しばらく繰り返して聴いた。
新録音の中に、断片的に過去の録音も混じっていたりもしたが
ファンもブライアンも憑き物が落ちたであろう、会心の一撃である。

私は取り立ててブライアン信者でないので、いない時期のアルバムや
今では軽い扱いの初期も嫌いではない。一番すきなのは
「スマイリー・スマイル」であるが、「スマイル」の断片が
垣間見えるこの「サーフズ・アップ」も好きである。

71年発売のこのアルバムはフラワー・ムーブメントも
終わった時代背景もあるのか、社会派(?)な歌詞が目立つ。
1曲目の「DON'T NEAR THE WATER」や5曲目の
「STUDENT DEMONSTRATION TIME」に顕著である。
しかし、耳は自然とメロディの美しい曲に向いてしまう。
「SURF'S UP」はもちろんだが、やはり「DISNEY GIRL」だろう。
ブルース・ジョンストン一世一代の名曲であり、
個人的にはビーチ・ボーイズ名曲ベスト5に入る。
改めて全体を聴くと、そこはかとなく地味なサイケ風味さえ
感じる。いいアルバムだ。

サーフィンは終わってもビーチ・ボーイズはまだまだ続く。
私はディズニー・ランドには行かないだろうけど・・・。
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HERON / HERON

2004-11-17 12:22:40 | ROCK
発泡酒かビールか忘れたのだが、バンドが野原で
演奏するCMがあった。スロバキア民謡「おお牧場は緑」
のメロディーがなんとも微笑ましかったし、酒も美味そうに見えた。
そして、ヘロンのことが頭に浮かんだ。

裏ジャケットに写真があるように野外での録音、鳥の声も
聞こえる70年発表の1STがこれである。
スタジオでは得られない音響なり効果を求めて
録音した例としてはザ・バンドの最初の3枚や、
ホテルの廊下で録音したディープ・パープル等が
有名だが野外となるとそれほど例がないのではないだろうか。
このアルバムからブリティッシュ・フォークの世界に
入っていった人も多いと思う。
温かみのある音と秀逸なメロディーの
数々が人々の心を惹きつける。

現行CDはアルバム以前に発表した4曲入りシングル(こちらは
スタジオ録音)が、かわいらしく8cmCDで添付されている。
ディランの「ONLY A HOBO」のカバーを含むこのシングルは
激レアだったのでCDを入手した時は嬉しかった。

ヘロンはその後1枚のアルバムを発表(これも傑作)して解散するが
80年代に再結成され、CDR作品を含む良質なアルバムを
現在も発表し続けている。
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BRUCE PALMER / THE CYCLE IS COMPLETE

2004-11-17 11:53:53 | ROCK
バッファロー・スプリングフィールドのベーシストのが
70年に発表した唯一のソロ・アルバム。ニール・ヤングと同じ
カナダ生まれ。ニール&ブルースの出会いこそがバッファローの
初めの一歩だったのである。

この男、ラヴィン・スプーンフルにおけるザル・ヤノフスキーと
同じで素行が悪かったのかグループの問題児となる。
麻薬所持で何度か逮捕された後、国外退去処分となり、グループを
脱退。その2年後に発表されたのがこれである。

バッファロの音とは似ても似つかぬ、サイケデリック・ワールド。
長尺の曲が4曲、どんと並ぶ。いや、どろりんと並ぶ。
カレイドスコープのメンバーも加わって、インド風味も加味された
曲調に様々な楽器が加わる。この1曲というのが
あるわけではないのだが、流して聴くとなんとも
リラックスできるのである。
このアルバムのあと、音楽活動らしきものがしばらく見当たらない
のだが、ニール・ヤングの問題作(私は結構好きです)「トランス」に
参加、ツアーにも帯同している。
何故「トランス」だったのか、わかる気がするし
そうでない気もする。
とりあえず、サイケな音が好きな人であれば気に入るであろう
アルバムなので、お勧めする。万人向きではない。
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殺ったのは誰だ?

2004-11-17 09:34:58 | DAY BY DAY
CCCDや、ファイル交換ソフトを使ったやりとりの
問題が話題に上って久しい。輸入CDの話は記憶に新しいだろう。
私もメジャー・カンパニーの了見の狭い発送に
反感を覚えた一人である。しばらく東芝EMIの国内盤は買いません。
誰が音楽を殺すのか?
付け加えるならば、ここ日本においてはJASRACを付け加えても
いい。印税がきちんと然るべきところに行くように管理する
所だと思っていたが、どうも怪しいね。
いわゆるロック・バーやジャズ喫茶、果てはライブ・ハウスに
JASRACから請求書が届くと言う。「音楽を流したんだろ、カバー曲を
演奏してるだろ、金を払いなさい。」
バカじゃなかろうか。通信カラオケや着メロのダウンロードで
あれば、どの曲が利用されたか明確にわかるので作家に金が
分配されるというのは理解できる。
しかし、誰の曲を流したか、演奏したか明確でないものに
大雑把に請求書を送りつけるとはどういう了見なのだろう。
仮に集まった金はどこへいくのか?。ティム・バックリーや
チャー坊のところに届くのか?届かないだろ?。
集めた金が日本著作権協会に登録してある全ての曲の過去の
売上に頭割りして分配されるのか?違うだろ?
だいたい、社団法人の存在自体邪魔くさい。
管理と言う名の中間搾取・・。

カラオケや着メロといったものを通していい音楽が伝えられるなんて
ことはない。しかし、ロック・バーやライブ・ハウスは
音楽を伝承する機能を持っているのである。そこで知った曲や
アーティストを気にとめて、CDを買うこともあるだろう。
それで充分じゃないか。そういった場を窮地に追い込み、
音楽を知る場を減らしていくことは必ず、文化の衰退に繋がる。

誰が音楽を殺すのか?
解答欄に(社)日本音楽著作権協会と記入して正解。

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久保田麻琴 / まちぼうけ

2004-11-15 22:48:13 | 日本のロック・ポップス
73年発表の久保田麻琴の1ST。
ほのぼのとした、フォークである。オクノ修が気に入った人なら
間違いなく好きになるアルバム。
かといってアシッド・フォークなんぞという言葉は似合わない。
ほとんどの曲は久保田の手になるが、時に「えっ?細野晴臣?」
と思う瞬間もある。ということは細野全面参加の
金森幸介のアルバム「箱舟は去って」に近しい部分もあるか?。
松任谷正隆が大きくクレジットされているが
後藤次利のベースや駒沢裕城のスチール・ギターが
より印象的である。

このアルバムでの久保田のプロフィールにはこうある。
”71年春、(アメリカから)帰国後、幻の
ロック・バンド「裸のラリーズ」に参加し、放蕩しつくすが・・・云々”
ラリーズって73年時点でもう幻だったんだ。(笑)
今、このアルバムを探している人の多くは1曲目の「あさの光」が
目当てだろう。ラリーズの水谷孝が詩を提供しているからである。
曲もよく、かわいらしいアレンジも施されている。
が、この1曲で終わるのももったいない話だ。
中にはがっかりする物もあるが、
通して聴けばそれなりの充実感がある。
アナログでいうとB面頭の「まちぼうけ」(フェイバリット!)と
最後の「晩歌」は音羽信の作詞であり、彼の唯一の自主制作盤の
B面の頭と最後がやはりこの詩で、曲が別だと言う。
いつか聞いてみたいものだ。
ジャケットのイラストは「挽歌」をモチーフにしたものと
思われるが、素敵なイラストである。

翌年からは「夕焼け楽団」か・・・。
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JACK BRUCE / HARMONY ROW

2004-11-15 21:25:09 | ROCK
必殺のB面メドレーといえばビートルズのアビー・ロードを
思い浮かべる人が多いだろう。ではA面は?
日本なら井上陽水の「氷の世界」、大英帝国のロックなら
ジャック・ブルースのこのアルバム「ハーモニー・ロウ」だ。
特にメドレーというわけではないが、短い曲間で繋がれる
冒頭の2曲が実に機能的で美しい。

クリス・スペディング(g)ジョン・マーシャル(ds)と
ジャックの3人が中心になって制作されたのだが、これに
グレアム・ボンド(p)を加えた面子でのスタジオ・ライブを
裏モノで見たことがある。これが驚くほど格好良かった。
演奏されたのはアルバム3曲目の
「YOU BURMED THE TABLES ON ME」。
正直にいえば、私のフェイバリット・ギタリスト
がクリス・スペディングで彼のベスト・プレイがこの曲で
あるというのが私の持論なので、抗えないのである。
イントロからキめのリフを繰り出し、歌に入ってからは
的確にバッキングしてるかと思えば唐突に、苛ついたような
フレーズを挟み込む。空ピッキングを鮮やかに決めたかと
思うと、曲調から外れるスレスレのフレーズがでてくる。
ジャムをそのまま録音したために、本来ならギターか
ピアノのどちらかが「おいしい」ソロを入れそうな
場面でもどちらもスカして大したフレーズを弾かなかったり・・。
3分そこそこでこれほどの表情を見せるギタリストは
そうそういない。

何の話だっけ。そう、ジャック・ブルース。
このアルバムでのピアノはほとんどジャック・ブルースである。
ジャックのピアノ、ギター、ドラムでの一発録りを元に
ダビングを重ねたと言うのは興味深い。ジャックといえば
クリーム時代のあのベース・プレイをまず想起する。
しかし、ジャムでベースでなくピアノをプレイしたことによって
恐ろしく曲の幅が広がり、ワン・パターンにならず
メロディの美しい曲が出来上がった。ジャックがまずピアノに
向かったことがこのアルバムを傑作にしたといえよう。

ジャケットにいる子供達は、たまたまそこにいた子供達で
自分の幼い頃を思い出したジャックが撮影に付き合ってもらった
とのこと。ジャック曰く、
「お礼にちょっとした小遣いをあげたら大喜びだったな。」
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LEONARD COHEN / DEATH OF A LADIES' MAN

2004-11-15 20:43:19 | ROCK
レコ屋に行くとジョン・レノンのアルバムが山積みである。
「ロックンロール」のプロデューサーはフィル・スペクターと
連名(いわくつきの)だったなあと漠然と思ううちに、
このアルバムのことが頭に浮かんだ。

レナード・コーエンのアルバムでは1STの次に、
実はこのアルバムが好きである。ジョン・レノンの
「心の壁、愛の橋」をフィルがプロデュースしたら、
こんな感じかなと常々思っていたので。

コーエンの歌はほとんど仮歌同然の状態で、それを
録り終えると、フィルはコーエンを排除し、スタジオを
占拠しオケ創りに没頭したという。ただでさえ
そんなに名シンガーというほどでもないコーエンの歌は、
更に他のアルバムより劣る。クレジットを見ると笑ってしまうが
相変わらず大勢のレコーディング・メンバーを使い
フィルは自分自身の世界と音を創って
自己満足に浸っていたであろう。
一般的には評価の低いアルバムだが思ったほど
悪くは無いというのが私の意見である。
金と時間をかけて創ったトラックを、軽く歌い飛ばしたと、
逆に見れば痛快ですらある。

このアルバムの歌詞は全編、
性愛に関するといっていいだろう。
コーエンのファンを公言するスザンヌ・ヴェガに訊いてみたい。
「あなたは、このアルバムの歌詞をどう思いますか?」
ああ、私は助平である。(笑)
DON'T GO HOME WITH YOUR HARD-ON!
タイトル曲の「ある女たらしの死」はレノンの「NOBODY LOVES YOU」
に匹敵する名曲ではなかろうか。


アルバム・ジャケットには1STに収録された有名曲「スザンヌ」
その人が写っている。
さてコーエンの両隣の2人の女、どちらがスザンヌでしょう?

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DILLINGER / CB200

2004-11-14 22:51:44 | REGGAE
映画「ロッカーズ」のシーンでなぜか印象に残っているのは
プレスされたシングル盤をバイクに乗せて、店に
置きに行くシーンである。
先に紹介したオーガスタ・パブロのアルバムでDeeJayしていた
デリンジャーの76年発表の2枚目。CB200というのは
ジャマイカで人気があったホンダ製バイクのこと。
映画の話を冒頭で書いたのは、このアルバムのジャケットを
眺めているとなぜかそのシーンがフラッシュバック
してくるからである。
このアルバムを語るとき誰もが避けて通れないのが
「COKANE IN MY BRAIN」であろう。
”ナイフ、フォーク、ボトルとコーク、ニューヨークってのは
こう書くんだぜ、俺の頭はコカインまみれ”と強烈に歌われる
このトラックは印象的だ。

DeeJayは、というよりレゲエでは当たり前のことだが
過去のトラックを使い回しする。音を抜いたり足したり、
トラックに喋りを乗っけたり・・・。今年発売された
日本盤CDはライナーが優れていて、元のトラックが
明記されているし、このアーティストのことが簡潔にしかも
的確に紹介されている。もし購入されたら流して聞くだけでなく
ライナーをじっくり読むことをお勧めする。
リー・ペリーに命名されたことなんて初めて知ったのだった。
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AUGUSTUS PABLO / ORIGINAL ROCKERS

2004-11-14 22:31:48 | REGGAE
72年から75年に発表されたシングルを集めたアルバムで
発売は79年。メロディカという、なんだか大して
見栄えもよくない楽器がこれほど、深い音になるとは・・。
正直、「メロディカ?フッ(笑)」という感じで
聴かず嫌いを通した時期があったのだが、猛省を兼ねて
最初に登場となった次第。
寄せ集めであるが、違和感は無い。キング・タビーの
ダブ・ミックスは冴えまくるし、バレット兄弟のリズムも
鉄壁である。「THUNDER CLAP」と題された
ビネガー・ジョーのカバー「AIN'T NO SUNSHINE」で
パブロ自身が演奏するクラビネットには
深いリバーブがかけられ、いかしている。
DJの中のDJ、デリンジャーが参加した「BRACE A BOY」、
ヒュー・マンデルの代表作「AFRICA MUST BE FREE BY 1983」を
ダブにした「PARK LANE SPECIAL」と聞き所だらけである。

パブロにはもっと重要なアルバムがあるが、シングル集ということで
いろいろなアーティストも楽しめるショー・ケースとして
いや、何よりジャケットのパブロのたたずまいと色使いが
気に入ってこれを選んだ。ジャケ買いは大切である。
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SINS OF SATAN / THOU SHALT BOOGIE FOREVER

2004-11-14 19:53:28 | SOUL
ブッダ・レーベルという
とロック者ならラヴィン・スプーンフルを
思い浮かべるだろうし、ソウル・ファンならまずはフューチャーズ
だろう。
76年発表のデトロイトのこのグループはブッダに1枚だけ
アルバムを残した。ジャケットもそうなのだけど、冒頭の語りや
音楽内容からいってパーラメントを想起せずにはいられない。
ネチネチと弾きまくるギターなんかは、エディ・ヘイゼルだと
言えば信じる人もいるかもしれない位である。
ファンクやディスコ・ミュージックのファンに隠れた人気盤との
ことだが、意外とスローな曲のほうがよかったりする。
スロー・ナンバー「オータム」という曲がお気に入りなのだが
ライナーによると作者はエドガー・ウィンター・グループの
ベーシスト、ダン・ハートマンとのこと。

76年のデトロイトといえば、前年にキッスがライブ盤を出し、
この年にはその名も「デトロイト・ロック・シティ」をリリースし
盛り上がっていたであろう。その影(?)でこんな
アルバムが出ていたことを覚えておいて損はないだろう。
 91年に日本で世界初CD化されてとっくに廃盤でジャケットを
見る機会も少ないと思うので紹介してみた。
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