HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

ティーブ釜范&ムッシュかまやつ / FATHER & MAD SON

2004-11-12 22:28:33 | 日本のロック・ポップス
秋の陽射しがなんとも寂しげで、郷愁を誘うジャケットである。
夕ぐれまでの短い時間に少しの暖かさを届けてくれる陽射しである。

ムッシュかまやつが、親父でジャズ歌手のティーブと粋に遊んだアルバム。
遊びと言ってもバックはつのだひろ、成毛茂、テツ山内らが務め、コーラスには
加橋かつみ、ミッキー・カーティス、ガロが参加するという豪華な布陣。

ティーブ氏の歌はなんだか頼りないのだが、粋人の歌ってのはこういうんだよという
見本でもある。明治生まれの氏がフリーの「ファイアー&ウォーター」を
歌うというのは、GSからニューロックへ移行する時期のムッシュ達にとってさぞ
痛快だったであろう。ジャズのスタンダードをギターを弾きながら、セッションする
模様は曲の出来もさることながら会話が楽しく、音楽が父から子へ
伝承される様が美しい記録として残されている。

このアルバムにも盟友といえるアラン・メリルが4曲詩を提供、ムッシュとのデュエットも
1曲ある。アラン提供詩につけられたムッシュの曲はどれも素晴らしい出来で、
「俺編集ムッシュ・ベスト」を作るときには欠かせない。「IN THE MORNING」から
「あきらめてみませんか」へ繋ぐと実にはまるのだ。
そうそう、このアルバムでは「ファイアー&ウォーター」の他に「ライド・オン・ポニー」
のカバーもある。何故フリーの曲を2曲選んだのだろうか。このアルバムは71年制作で
セッションに参加したテツ山内がフリーのメンバーになるのは73年のことである。
いずれにしろ渋い選曲である。

ムッシュかまやつは今、何を考えているか・・・・。
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BADFINGER / STRAIGHT UP

2004-11-12 22:15:41 | ROCK
4人のメンバーのうち2人が、活動期間中数年おきに自殺する
というのは、ちょっと考えただけでも普通ではない。
「次はお前だ」と遺書に書き残されたメンバーは
どういう心境だったのだろう。

アップル・レーベルが廃盤の時代、バッドフィンガーのアルバムは
入手が難しかった。私の周りでは友人が持っていたカウンターフィットの
アナログ・ベスト盤とシングル「嵐の恋」が聞くことができた
全てであったが、どれも名曲でオリジナル盤を聴きたい欲求ばかりが、
いたずらに肥大したものである。
当初トッド・ラングレンがプロデュースしていたものの途中で放り出され
ジョージ・ハリスンが引き継ぐ形でこのアルバムは完成した。
アルバム中最大のヒットとなった「デイ・アフター・デイ」こそジ
ョージ制作であるが、プロダクション的にはトッド絡みのトラックに軍配があがる。
二人のプロデュースの違いを楽しむのも一興である。
が、肝心なのはメンバーのペンによる珠玉の曲の数々である。
どの曲もポップなのにどこか暗く悲しい感じがするのは何故だろう・・・。

9.11のNYテロの後、テロを思い起こさせたり、思想的なメッセージを
含む曲のON AIRが規制された。9.11が火曜日であったというだけで
ストーンズの「ルビー・チューズデイ」も放送禁止扱いを受けた。
放送規制にあった曲のリストを見る機会があったが、そこには
バッドフィンガーの曲はなかった。(ように記憶する)
「SWEET TUESDAY MORNING」。タイトルとは裏腹にもの悲しくも
これぞバッドフィンガーという名曲である。

CD創世記にバッドフィンガーのアナログ起こしのブートCD(ベスト盤)が
リリースされた。
いてもたってもいられなく板起こしと知りつつ買った。
「PERFECTION」で針飛びがそのままCDに収録されていた。
ピート・ハムが”SO LISTEN TO MY SONG”と歌うところで
針飛びなんてあんまりじゃないか・・・・・。バッドフィンガーに
興味のない人でもニルソンの「WITHOUT YOU」はバッドフィンガーの
トム・エヴァンスとピート・ハムの作であることは覚えておいて欲しい。
二人とも、もういないのである。
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TODD RUNDGREN / A WIZARD,A TRUE STAR

2004-11-12 21:28:57 | ROCK
20歳前後の頃、私の周囲のロック好き(7名ほど)の間で収集するのがブームになったアーティスト
が3組あった。「BADFINGER]」「FRANK ZAPPA」「TODD RUNDGREN」である。ロックを聴き始めて
宝の山に分け入る楽しみを覚えたころ、ちょっとマニアックでそれなりに廃盤だったりしたのが
収集熱に拍車をかけたものだ。トッド・ラングレンの「魔法使いは真実のスター」と題された
このアルバムは輸入盤では入手しやすかったこともあって、私の周囲では広く聴かれていた。

いざ、購入してみると曲間もほとんどなくアバンギャルドとポップが交錯するA面に
途方に暮れる者もいた。
おもちゃ箱をひっくり返したような散らかり具合とでもいおうか。情報量が多くて、
今聴いても何かしらのワクワク感を与えてくれることは間違いない。アナログ時代は
許容量いっぱい使っているので音圧が物足りなくはあったけど。ドラムスの音は
CDになった今もやはり気に入らない。ロックのダイナミズムよりもポップスとしての
完成度を追求した結果とはいえ、ひしゃげた音はなんだかなあ・・・。
A面はいまひとつという感想を持つ者でも、B面は皆が一様に気に入ったものである。
なんといっても珠玉のソウル・メドレーのカバーである。オーティスとJBとスライを
聴いてりゃ済むってもんじゃないことを、判り易く実践してくれたのである。
インプレッションズ~ミラクルズ~デルフォニックスと甘く繋いで、キャピトルズで
落とす(!)というのも一筋縄でいかないトッドらしい。
そうそう、来日公演で披露された「マービン・ゲイ・メドレー」の素晴らしさは
筆舌に尽くしがたいものであった。
アルバムの最後は、ほとんどのトッド・ファンなら大好きであろう「たったひとつの勝利」。
全体の流れはトッドがプロデュースしたホール&オーツのアルバムに近い。
いや、トッド自信の「サムシング/エニシング」と「未来から来たトッド」のいいところを
抽出して作成したアルバムである、といえば誉め過ぎか・・・・?

おもちゃ箱、ソウル・メドレー、おまけに変形ジャケット。こんな楽しいアルバムは
ちょっとないんじゃなかろうか。
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