掲載写真左は、ブラック・クロウズのボーカリストであるクリス・ロビンスンのバンドである
クリス・ロビンスン・ブラザーフッドの新譜「BIG MOON RITUAL」。無期限活動停止中のクロウズにあって
ロビンスン兄弟の活動は気になるところなのだが、兄のバンドは、60分で7曲という長尺の曲を
演奏するスタイルをとっている。
私にとっては、グレイトフル・デッドを聴くのとほぼ同等の時間軸の流れをつくるバンドであると思えるほど
素晴らしい出来で、ギターの透明感あふれる音色とカラフルなキーボードの音色が見事にマッチし、
そこにクリスの耳馴染んだ声がのっかるのだから、何の不満があろうか。今が何曲目なのか、いや
曲が変わったのかどうかも気にならないほどスムースにアルバムは進む。クロウズ時代も一挙に2枚分の
アルバムを録音したことがあったが、このバンドも9月にもう1枚アルバムが出る予定だというので
今から待ち遠しい。
掲載写真右は昨年リリースされたリッチ・ロビンスンの「THROUGH A CROOKED SUN」。
こちらは62分で12曲。兄のバンドと比べれば、幾分シンプルなスタイルであるといえよう。
リッチはギタリストであるが、この盤ではベースも担当。キーボードとドラムス以外は、ペダル・スチールが
入る曲があるくらいで、シンプルな中に深みのある王道のロックを聴かせる。
ジャム・バンド・スタイルをとるにせよ、4分間のオーソドックスなロック・バンド・スタイルをとるにせよ、
結局この兄弟が過去に聴いてきた音楽や好きな音楽は同じようなものであり、お互い相反するものがある
としても私のようなファンは両方とも好きである。そんなことを言えば、演奏する側は厭な顔をするかも
しれないが。演奏する側と単に聴くだけの側との、こだわりの違いといえばそれまでだが、その「こだわり」
こそが演奏者にとって大切なものであることは理解したいとは思っている。
似ていると言えば。
これはクリスとリッチのそれぞれのサインなのだが、この大雑把加減の似ている様は、やはり兄弟と
いうべきか。(笑)