HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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追憶のブートレグ61・ACT11 / JUNE 1,1974 OUTTAKES

2008-05-18 21:36:53 | ROCK
「JUNE 1 , 1974」という原題がそのままコンサートの日付になっているので、
この日何が行われたかということは自然に刷り込まれてしまった。
ケヴィン・エアーズがアルバム「夢博士の告白」発表に際して行った
レインボー・シアターでのコンサートを収録したもので、邦題は「悪魔の
申し子たち~その歴史的集会より」という言いえて妙なものである。

ケヴィンは最初にニコに声をかけ、ニコがケイルに声をかけ、ケイルが
イーノを連れてくるという、意義のあるロック数珠繋がりがここに完成する。
コンサートが大掛かりなものになりそうだったので、それならばとケヴィンは
ロバート・ワイアットとマイク・オールドフィールドにも声をかけ、
まさに歴史的一夜が誕生するわけだ。

この日の録音は1枚もののアルバムとして発表されたが、この日の全貌を
ほぼ捉えたブートレグが掲載写真である。このブートレグはオフィシャルで
出た盤に収録されている曲を1曲含むだけで、他は全て未収録曲で構成
されている。オフィシャル曲をわざわざ1曲含んでいるのには意味が
ある。その曲はイーノの「BABY'S ON FIRE」。オフィシャル盤では2曲目に
収録されていて、オープニングの「DRIVING ME BACKWARDS」続く「BABY'S
ON FIRE」は実際のコンサートと同じ流れであるが、オフィシャル盤の
「BABY'S ON FIRE」は実はこの日2回演奏されたうちの、コンサートの
最終曲として演奏された2回目のほうを収録してある。
これを聞き比べてもらうために、収録したというわけであろう。

コンサートはアンコールで全員が演奏する「ONE NIGHT STAND (I'VE GOT A
HARD ON FOR YOU BABY)」で終了する段取りだったと思うのだが、レコーディング
もしていたため、最初のテイクの出来に不満だったイーノが再度演奏することを
要請したのかもしれない。事実、2度目に演奏されたテイクのほうが
演奏もノリも明らかに良い。10分を超える「WHATEVERSHEBRINGSWESING」や
本来のこのコンサートの目的に最も近いはずの「夢博士の告白」収録の
メドレーがアルバムに収録されなかったのは惜しい気もする。

このブートレグの音質はお世辞にも誉められたものではない。
しかしながら、貴重な一夜のドキュメントとしてオフィシャル盤を補完する
意味で今のところ、これを越えるブツはない。
こういう音源こそ発掘されるべきで、例え曲順をコンサートの通りに並べ
変えて発売しても「オリジナルの印象が薄れる」なんて言う阿呆はいないと
信じたい。これが実現すれば、本当に意味のある再発になると思うのは
私だけではあるまい。
コメント
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