HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

TRAFFIC / JOHN BARLEYCORN MUST DIE

2005-07-23 19:36:54 | ROCK
70年発表、トラフィック4枚目のアルバム。
デビュー時から微妙なバランスの上に成り立っていた
バンドである。デイブ・メイスン、スティヴィー・ウィンウッド
という2人の優れたソング・ライターがいながらその方向性が
全く違っていたのだから。1STで自身の曲の採用が
少なかったデイヴはアルバム発表時には離脱、2枚目で復帰し
今度は5曲の収録に成功し、尚且つ名曲「FEELIN' ALRIGHT?」を
ものにするが、またまた離脱。その後も何度か復帰・離脱を
繰り返す。トラフィックという集合体に魅力はあったのだろうが、
デイブの目指すポップでフォーキーな方向性とスティーヴィーの
目指す、よりジャズに近い自由な演奏形態とが摩擦を
バンド内にもたらしたのは間違いない。

トラフィックは「最終出口」と名がついたアルバムをもって
解散し、スティーヴィーは「ブラインド・フェイス」「エア・フォース」と
活動の場を変える。そこでの活動の成果が「ジョン・バーレイコン・
マスト・ダイ」にはよく表れている。自由なソロ、インプロを
とりいれながらも、骨組みのしっかりした曲をつくることに
成功している。長尺の曲が増えたわけだが、徒に長いわけではない。
ここらのバランスは微妙で、これ以降のアルバムではちょっと
雑な展開もあることを思えば、絶妙の1枚といえる。

タイトル曲はイギリスのトラッド・ソング。トラッド・ソング収集家で
1921年に没するまでに、生涯で8000を超える歌を書きとめてきた
といわれるセシル・シャープのソング・ブックで広く知られることになる。
ジョン・バーリコーン(大麦)は一度刈り取られ、アルコールとなって
人々に幸福をもたらす・・・というものだ。

アルバムはスティーヴィーのソロとしてガイ・スティーブンスを
プロデューサーに迎え、レコーディングされていたが、レコーディングに
トラフィックのメンバーだったジム・キャパルディとクリス・ウッドが
参加したことで、再結成トラフィックのレコーディングへと姿を
変える。当初アルバムは「MAD SHADOWS」という仮題がついていたが、
プロデュースを降りたガイ・スティーブンスがその後、プロデュース
するモット・ザ・フープルのアルバム・タイトルとなる。こちらも
70年発表。ちなみに原盤番号がトラフィックが「Island ILPS9116」、
モットが「Island ILPS9119」。トラフィックが使用しなかったから
このタイトルをつけたのか、元々このタイトルのアイディアはガイの
ものだったかよくわからないが、面白い話である。

オープニングのインスト「GLAD」続く「FREEDOM RIDER」(アート・
ブレイキーとは関係なし)の流れが最高にクールで、グルーヴを
感じさせながらも落ち着いた演奏を聞かせる。
そしてこの流れがアルバムの印象を決定付けるのだ。
大体、3人のメンバーの主な担当楽器は、オルガン、サックス、そして
パーカッションなのだ。構造的にもロック・バンドとしては変わっていて
むしろジャズよりな編成なのだが、「ブラインド・フェイス」を通過した
スティーヴィーの理想的な編成がこれだったというのが興味深い。
もっともライブで再現するにはメンバーの補充は必至で、またまた
ギタリストとして、デイブ・メイスンがツアー・メンバーに名を
連ねるところが、自由なメンバーの出入りがあるトラフィックらしいところ。

オリジナル・アルバムでは最後の曲「EVERY MOTHERS SON」の出来も良い。
ゴールデン・カップスがカバーしたら絶対に似合う曲。
ミッキーのオルガン、エディのギター、デイブ平尾がこぶしまわしも
快調に歌う姿を想像したら・・・軽く眩暈がした。(笑)

現行CDは71年3月に発売される予定だったが日の目を見なかった
「LIVE NOVEMBER 1970」からのライブ・テイクが3曲(1曲は
イントロダクションだが)収録されている。

ちなみに収録予定されていた曲は下記になる。
A 01 IN THE DRESSING ROOM
02 WHO KNOWS WHAT WHAT TOMORROW MAY BRING
B 01 GLAD
02 PEARLY QUEEN
03 FORTY THOUSAND HEAD MAN
04 DEAR MR. FANTASY
05 CAN'T FIND MY WAY HOME

CDのボーナストラックとしてA-02,B-01が収録されているが、
B-01が終わると当然のように「FREEDOM RIDER」が演奏され、
イントロが聞こえたらすぐ フェイド・アウトしてしまう。
ああ、聴きたいよ~、と思うと同時に、当初発売が予定されていた
「LIVE NOVEMBER 1970」ではどんな編集がされていたのか
気になってしまう。実はこの盤はごく少数出回ったという話もあるのだが
内容に触れている記事を見たことが無いので、本当のところは
どうなんだろう?。


コメント (2)
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