HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

SF / プロセス

2005-07-13 21:48:59 | 日本のロック・ポップス
1980年に録音され、81年にカリフォルニアで500本の
カセット・テープというフォーマットで発売された作品。
98年にCD化されるまで、ほとんどの人が聴いたことが
なかったアルバムだろう。もちろん私もその一人。

SFというのがユニットの名前。ボーカルとギターを
担当する中島茂雄と、ベース、ボーカルを担当する
山下富美雄のイニシャルからとられている。
カリフォルニアで音楽活動をしていた二人が、アルバム制作を
思い立ったときに宮下富実夫とであう。
宮下は名前を文夫から富実夫へと改名していたのだが、
そう、ファー・イースト・ファミリー・バンドの宮下である。
宮下はファー・イースト・・・解散後、カリフォルニアにバンドの
メンバーを探しにきていたのだが、二人にプロデュースを
頼まれ、できた作品がこれである。

出てくる音は・・・。
「炎」~「ザ・ウォール」の時期・・・といってもこの3枚の間に
ピンク・フロイドはどんどん変化しているのだが、大雑把に
後期ピンク・フロイドを想起していただきたい。
このアルバムの録音は80年だが、フロイドがその後発表する
「ファイナル・カット」まで含めてもいいだろう。
初期ビートルズの音の再現が難しいように、後期フロイドを
思わせる音というのも、ありそうでないものだ。

ジャランと鳴らす中島のギター、隙間をうめる宮下自身の演奏する
シンセ、何より山下のボーカル、特に抑揚というか、節回しが
ロジャー・ウォータースを彷彿させる。
このアルバムを手にした人のほとんどは、宮下の「その後」に
興味があってのことだろうが、アルバムは期待をいい方向に
大きくうらぎる。
歌詞は理想郷を求め、もしくは悟りの境地にたどり着きたい
とでもいうようなもので、ほとんど英語で歌われる。唯一、
日本語歌われる1曲が宮下のボーカルというのも興味深い。

宮下はいまやヒーリング・ミュージックの大御所である。
ちょっと検索すれば膨大な数のCDがヒットするが、
音楽に「癒し」を求めない私には必要の無いものだ。
残念ながらこのユニットはこの1作で消滅するが、こういった
作品が残されていることを覚えておいて損はないと思う。

コメント (3)
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