ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

2014/01/04 「かぐや姫の物語」姫の犯した罪と罰に思い当った!!

2014-01-04 23:59:10 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

昨年夏の宮崎駿監督の「風立ちぬ」に続いて、11/23に高畑勲監督の「かぐや姫の物語」が封切りになっていた。2つの作品とも二人の監督の若い頃からアニメ作品に込めてきた「この世は生きるに値する」というメッセージを伝えるものだという情報を何かで読んで、それだけで泣けた。

女子高時代のお仲間がノベライズ本を貸してくれたので読んだが、キャッチコピーの「姫の犯した罪と罰」とは一体なんなのか、よくわからなかった。

そんなに気乗りのしなさそうな娘をくどき、今日ようやくMOVIXさいたまで観ることができた。
それでも観た直後は消化不良のまま。
こういう場合、私はしばらく頭の片隅で反芻を繰り返している。
そして、さきほど、ハッと思い当った!そうか、最後の月に帰る場面の違和感に意味があったんだ!!

以下、それについて書く。まずは作品全体の概要は以下のところを参照いただきたい。あらすじは省略しても大丈夫かな?
Wikipediaの「かぐや姫の物語」の項はこちら

「この世は生きるに値する」というメッセージを伝えるものだという情報は大きな手掛かりとなった。
そして最後の月に帰る場面の違和感。月の世界からの迎えがまるで雲に乗った阿弥陀如来の来迎図なのだ。どうしてここで仏様が迎えにくるのか?それもまるで、エンヤの音楽のように癒しの雰囲気ではあるが軽すぎる。茶化しているように感じてしまった。
そして、姫の台詞を耳から聞いた印象を反芻し、思い当ったのだった。

そう、彼岸の世界から此岸(現実のこの世)への憧れを抱いてしまった姫は、この世の世界に落とされた。「それでは悩みの多い現実世界に暮らしてみよ」ということだ。
「竹の子」のように異界からの姫は赤ん坊から子どもへぐんぐんと大きくなり、幼馴染の仲間のうち「捨丸にいちゃん」への思慕を抱くようになったが、翁は都に姫を移して高貴の姫君として育て上げた。姫君教育の中でやがて娘になったが、翁がそれこそが姫の幸福であると固く信じた屋敷の中の「深窓の姫君」となることを強いられる。媼には心癒やされるものの、翁には逆らえずに自由に生きることを自制してしまう。屋敷を飛び出す場面は幻。

5人の求婚者への無理難題、それぞれが失敗に終わるが、石上中納言の死は堪えた。そしてついに帝からの求婚。抱きすくめられて思わず、この世からの救済を願ってしまった姫。
そう、これこそが「罪」なのだ。「生きるために生まれてきたのに」という台詞。「生きる」とは自分で主体的に生きることであったのに、育ててもらった翁への恩義から自分を殺してしまった。そうしておいて我慢ができなくなったからと彼岸への救済を願ってしまったことが「罪」。
「罰」は、自分が安易に救済を求めた彼岸へと無理矢理と連れて帰られること。だから、来迎図のような雲に乗った如来がやってきて無言で彼女の記憶を消し去って連れ帰ってしまうという場面として描かれているのだろう。これは実は高畑勲の痛烈な皮肉なのではないだろうか。
その直前に捨丸と再会し、「一緒に逃げよう」とまで言ってもらえて二人で空中を逃避行する場面も最後には幻で終わる。姫の本音の行動はいつも幻のままというのも切なく、象徴的でもある。

以前、月の世界に住んでいた頃、地球を見て泣く天人がいたという。記憶は消されたはずのに、それでも悩み多かった此岸の世界で生きた記憶の片鱗が浮かぶとき、涙が浮かぶのだ。月に帰る姫が振り返って涙を浮かべるのも同じことなのだろう。

さてふりかえって、私はどうか。最近、救済を求める気持ちが強くなっているのではないか?そういう「罪」を重ねつつ、本格的な「罰」はまだしばらくきそうにもない。小さな「罰」が続いているのかな?
大晦日に自転車で転倒して欠けた前歯は詰め物も全部とれてしまい、重症化してしまった。どうにも痛いので市のガイドブックで休日診療所の電話番号を調べて連絡し、1/4(土)にやっている歯科医院の情報をいただいて、午前中に応急手当てをしてもらい、痛み止めと抗生剤を処方してもらった。これはもう抜かないとダメでしょうという診立てで、1/6は初出勤前にかかりつけの歯科クリニックに行かねばならない。

おせちの蒲鉾ですらガブリとやれないストレスで、映画を観る前にデニーズでふじ林檎パフェまで食べてしまった(娘と分けたが・・・)。

帰宅後は、今日も軽く晩酌。常には晩酌をしないし、歯痛を抱えながらよいのかという感じだが、おせちを並べていただきもののグランドキリンと残り物のワインを飲む。ワインの方は娘からリピート却下(苦笑)
まぁ、晩酌しながら頭の片隅で反芻していてひらめいたのでよしとしよう。

さて、明日はいよいよ年末年始休暇最後の一日だ。やるべきことをしっかりやるつもりだ。


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