ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/08/21 『モーツァルト』中川晃教ヴォルフバージョン観劇、終了後オフ会

2005-08-22 18:11:41 | 観劇

歌舞伎座の幕見に行った帰りに帝劇に立ち寄ってプログラムを買い、再演にあたっての演出家・小池修一郎のコメントや作曲家リーヴァイ氏との対談などを読んでから行った。初演初演時に買った『モーツァルト』の手提げ袋に入れて持っていく。再演の手提げ袋よりもロゴが地味に入っているのが気に入っている。ロゴ入りの銀色の金属タグがついているのもポイント!

さて、この間いろいろな方のブログでアマデの子役とヴォルフガングのからみの芝居について言及されていて、これまであまり注目してこなかったと反省した。ヴォルフにしか見えない非現実的存在としてのアマデと二人一役という設定があるために重層性のある舞台を作り出しているのだから、そこをもっと観ようと今回はしっかり表情もチェック。
この日のアマデの子役は川綱治加来(かわつなちから)くんだったが、表情が豊かだった。一幕の終わり、中川ヴォルフの腕に白い羽ペンを突き刺し、流れる血で譜面にペンを走らせるときの嬉々とした表情!刺された中川ヴォルフの苦悶の表情の対極にあるこの表情を対比させた作劇に感動し、期待に応えた治加力くんに感心した。
中川晃教は、前回の公演以降、宮本亜門演出の『キャンディード』と劇団☆新感線の『SHIROH』を観たが、キャンディードはオペラ陣との声調の不調和が致命的だった。この『モーツァルト』と『SHIROH』が彼の代表作になると思っている。
ワクワクと観にいった今回だったが、中川くんの本領発揮のはずの歌で冒頭かなりセーブした歌い方でちょっとエッと思ってしまった。大司教との最初の衝突のあと調子が出てきたけれど。あと何箇所か歌でふらついていたし。「残酷な人生」「影を逃れて」などシャウトで終わる2曲も無事歌い上げてほっとした。最後、死んだ後の場面で胸にくっきりと肋骨が浮き上がっているのが見えてびっくり。3ヶ月公演の長帳場のラスト1週間だが、ちょっと痩せすぎじゃないかと心配になった。名古屋、博多とまだまだ続くのだから元気に頑張ってくれることを祈っている。
初演と比べて進歩したのが芝居。きめ細かな動きや表情も出てきた。2チャンネルによると前日のマチネで最後の作曲で使う赤い羽根ペンがみつからなくなって即興の芝居をしたらしい。その後アマデの子役(高橋愛子)が羽ペンを見つけて渡してつないだという。そうか、そういうアクシデントの疲れが翌日まで残ったのかもしれないとか思ってしまった。この日もアマデの治加来くんとの芝居の息もぴったり合っていたし、二人揃ってカテコの最後の幕前の登場はアマデに見えない糸でひっぱられて登場という小芝居も見せてくれた。(前回の井上ヴォルフは伊藤渚アマデを背負って退場してたっけ。)

コンスタンツェ木村佳乃も8/7に観た時よりも歌の声が出るようになっていて、一応はプロだと見直した。しかしそうなると今度は動きのぎこちなさに目がいってしまう。「ダンスはやめられない」のソロシーンでピアノの上に乗ったり小物を落としたりという動きがまるで段取りになっているのがみえて興ざめ。ネームバリューでの集客力やスポンサーが集めやすいなどがあるのだろうが、舞台の上でも納得させられるようになってほしい。しかし、帝劇のプログラムの裏表紙とその裏が2社の広告になっていて2つとも木村佳乃!ふだんは2000円くらいするものが1600円だったのだからそのおかげなのかもしれない。品が悪くなければ広告入れるのは別にいいんだけど。
ヴォルフガングパパ市村正親のソロの♪心を鉄に閉じ込め~♪の最後の「め~」のところの声の優しさにウーンとなっていたら、親心的優しさの遠い目の光がちょうどオペラグラスでこっち方面に入ってきてしまい、さらにヤラレてしまった。目に力のある役者だけに目の芝居がいい。これってよほど前の席でないとオペラグラス使わないとわからない魅力。というか、それを見たさにオペラグラスを必死に使って後で頭痛になるというくらいとりつかれている。山口祐一郎の「麻薬声」に対して「麻薬目」と命名することにしよう。このふたりはこれにヤラレてリピーターになっているのだ。来年の『ダンス・オブ・ヴァンパイヤ』の二人の共演はもう楽しみで仕方がない。

コロレド大司教の山口祐一郎、ナンネールの高橋由美子、シカネーダーの吉野圭吾も大満足。ドクトル・メスマーの大谷美智浩は『レミゼ』のグランテール以来のご贔屓だが、一幕二幕冒頭のぶちあげがドスのきいた低音がきいていて気持ちがいい。あとアルト伯爵の花王おさむのコミカルな味が山口祐一郎のコミカルシーンとともにこの暗い調子の作品を救っていると思う。若手では、ずっと野沢聡(居酒屋で大司教のマネをしている人)を注目しているのだが、もう少し歌声に安定性と艶が出てくるといいと思っている。

8/12の『たけしの誰でもピカソ』の「小池修一郎特集」は見逃してしまったのだが、プログラムを読んで日本版の台本がウィーンやハンブルク版を踏まえて小池修一郎が流れを整理した独自版になっていることがわかった。ウイーン版などはオペラ同様に一曲一場面主義で物語の展開はつなぎですませているとのこと。ブロードウェイ・ミュージカルはドラマの展開を重視しているそうで小池版はその手法で手を入れたらしい。こういう作劇や演出上の工夫などについての文章が読めるからプログラムを買わずにはいられないのだ。資料がたまる、たまる~。まだ知~らないっと。

そういうことも話題になった終演後のオフ会。4人でしゃべるしゃべる!オーダーストップまで銀座で粘れるなんて、なんていいお店を選んだんでしょう。またの機会を楽しみに、ねっ!

写真は、東宝のHPの舞台写真より。

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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
1曲1場面… (red and black)
2005-08-22 23:31:28
プログラムに載っていた日本版演出の工夫については、わたしも興味深く読みました。ただそれでもやっぱり、1曲1場面主義の名残が強いような気がします。歌で会話するより、一人語りしているほうが多いような…。現地で観たら、歌がもっと長く感じられるのかしら。CD聞いてる限りでは分からないのですが。TBさせていただいたつもりなのですが、反映されてないですね…。長い間このままだったら、もう一度送ってみます。
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アマデいいですよね (花梨)
2005-08-22 23:33:17
こんにちは。先日ははじめたばかりの、ウチのブログにお越し頂きありがとうございました。

私もトラバさせて頂きます。ブログ初心者なので上手くいくか…。



私も最初の観劇した時は、アマデちゃんの表情まで目にいかなかったのですが、

注目すると、ホント良い表情していますよね!



一幕終わりの嬉々としたアマデの表情は、「凄い!」と思いました。

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きのうはありがとうございました (かつらぎ)
2005-08-22 23:39:35
遅い時間まで、いろいろなことをお話できて、いい一日になりましたね。チケットのお手配も頂き、感謝です。ありがとうございました。

「モーツァルト!」への深い洞察、とても面白く読ませていただきました。天才の追い詰められていく様子、痛々しく、でもそれだけに自由を求めるヴォルフガングがいとおしく思えますね。

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TBようやくさせていただきました (harumichin)
2005-08-22 23:54:21
「モーツァルト!」21日の感想。読ませていただきました。

そうか、そうなんだ・・・と改めてお教えいただいた気がします。

ぴかちゅうさんのコメントを読んでいてようやく納まりかけた「モーツァルト!」熱が再び、

むくむく・・と

明日、「SHIROH」を仕事帰りに見てきます。

おそまきながらTBさせていただきました。

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(*^^*) (midori)
2005-08-23 10:00:42
早々の中川版アップ、興味深く拝見しました!

こうして色々なコメントを読んでいると、オフで直接お目にかかり、もっともっとお話しが聞きたくなってきました。

TBも、ありがとうございました。

中川版をアップしたら、そちらに変更いたしますね。

ついつい先延ばしにしてしまって…。

(ーー;

私も張り切ってアップしたいと思います!

p(^^)q
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中川くん! (みゆみゆ)
2005-08-23 15:07:59
コメント&TBありがとうございました。



中川くん良かったです。

そして、麻薬声、麻薬目良いですね〜。

中毒ですもんね・・・(^^;

そして、夢祐病(むゆうびょう)という言葉もありますけど(笑)



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皆様TB、コメントありがとうございますm(_ _)m (ぴかちゅう)
2005-08-24 02:03:08


とにかく初演の際に予感はしました。井上くんはちょっとニンに合ってないから大変だろうと予想したらやっぱりかなり苦しんでる感じでした。中川くんはロック調がぴったりで本当にピッタリだった。東宝さんも上手い!と感心。正統派二枚目で育てたい井上くんには試練を与え、新星発掘も同時にやりとげたのだから。ただ、中川くんはこのあとの役に恵まれるかどうか心配だったんです。宮本亜門『キャンディード』は×。『SHIROH』は◎。役を選ぶタイプですね。この二役を当面はずっと続けて欲しいです。

『モーツァルト』のmy楽はこの公演だったので次の帝劇までお預けです。でも私もゲキ×シネ『SHIROH』を観に行きたいなあ。娘も観たいと言い出したし、台風きそうだけど今週あたり一緒に行けたら行きたいと思ってます。

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4人のアマデ (harumichin)
2005-08-25 00:54:21
『モーツァルト』東京公演最後のともよアマデ、そして私の中川ヴォルフ東京最終日でした。

4人の中一番天才部分が強かったような気がするともよチャンでした。

暖かく見守るのが治加来ちゃん。

お行儀いいのが愛子ちゃん。

自分にはヴォルフという存在があることをわかっているのが、渚ちゃん。

と2人のヴォルフが、アマデが、違うと微妙にちがって見えたのは気のせいかな?

今日またTBさせていただきました。

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楽しかったです! (flyingcat)
2005-08-25 14:22:57
先日はありがとうございました。

このミュージカルでおもしろいのは主人公が「ヴォルフガングとアマデ」の二人で表現されているところで、それによって天才の苦悩が(私にとっては)分かりやすくなっていると思いました。

中川さんは、感情が豊かで無邪気な感じが良かったです。楽しみにしていた市村さんはさすが!!でした。特に「心を鉄に~」を切なげに歌うところが良かったです。山口さんは相変わらず良かったです。高橋さんは上手いしかわいいし私的には「永遠の少女役」です。香寿さんは歌も立ち姿もきれいでウットリしました。あとシカネーダー、吉野さんも結構好きですw

MD聞きました。コンスタンツェ役の松さんは歌手活動のときのイメージがあったので意外な感じがしましたが、こんな役もできるということに感心しました。

ともかく「モーツァルト!」とっても良かったです!!!

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flyingcat様 (ぴかちゅう)
2005-08-25 20:18:48


『モーツァルト!」』もご一緒いただき、ありがとう。また何か機会があったらお声をかけますね。来年の夏休みには山口さんと市村さんが競演する日本初演の『ダンス・オブ・ヴァンパイヤ』にでもご一緒できたらいいですね。

さあ、いよいよ受験だよね。こちらのブログにも何人かの美大生さんが遊びにきてくれてるよ。ラストスパート頑張ってくださいね。

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