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シューベルト : 「楽興の時」について (No.1331)

2006-08-04 23:35:21 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 8月13日に佐伯周子が弾く シューベルト作曲「楽興の時」第4番が属する「楽興の時」について、考察する。
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「楽興の時」 = 「音楽の生まれた瞬間たち」



 私高本のような「ヨーロッパ語学」に弱い人間(外国語全般に弱い?)は、「クラシック音楽」について語る時に、ちょっとだけ不利な点が存在する。 例えば、今回取り上げる「楽興の時」もその1つ。

  1. シューベルト の 作品94(D780) が最初で
  2. ラフマニノフも「作品16」で取り上げた有名な「名前」

である。 私高本のような「ヨーロッパ語系に弱い」ヤツが読むと、「?」と思える題名である。多くの皆様には理解できる または 理解できるかも知れない と思っているらしいが
  • 「楽興の時」とは
  • どのような意味なのか?

は、数冊の「シューベルト楽曲解説の本」&「音楽辞典」を私高本は、読んで全く理解できなかった。「楽興」と言う単語も全く意味不明。何だ? 「らっきょう」か??

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 シューベルト自身だか、出版社 = ライデスドルフ社 は
  • "6 Moment musicals" (← フランス語の文法上間違っている!)
  • と初版で表記していたので
  • 「6曲の 音楽の瞬間たち」
  • と思っていたハズ

である。 自筆譜が発見されていないので、シューベルトの発案なのだか、ライデスドルフの発案であるかは未だに意見が分かれていて統一されていないが。
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 「音楽の瞬間たち」がフランス語的な直訳である。 何を意味しているか? それはシューベルト本人以外には誰にも分からない。

 ・・・が、おおよその方向で「音楽が生まれた瞬間が(1つでなく)2つ以上集まった曲集」と言うことだけは理解できるだろう。 事実、シューベルト「楽興の時 作品94」は、最小限に言って 3つ以上の機会に作曲されたことが判明している。

  1.  第3番ヘ短調 : 1823年12月19日初版「ロシアの歌」
  2.  第6番変イ長調 : 1824年12月11日初版「吟遊詩人の嘆き」
  3.  残りの4曲 : 1828年7月11日初版

が「印刷楽譜」の歴史であり、全て「ライデスドルフ」から、初版印刷された。
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 残リ4曲が「同時に1828年に作曲された」可能性は極めて低い。 どんな音楽学者でもコワくて主張できていない。 もう1回「原題」に戻って考えると
  • 「音楽の瞬間」が異なった曲の集合体であり
  • 内2曲は「出自」がほぼ判明していて、5年前の曲 と 4年前の曲!

だからである。
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 第4番は「楽興の時」の中心を為す曲である。 第4曲を中心に「鏡の対照」を調性上に描いているのが、「楽興の時」である。
 ・・・で、第4番は 1828年作曲の曲なのだろうか?
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 自筆譜が再発見されない限り、論争が終結しないことは(誰の目にも)明らかであるが、私高本は「楽興の時 第4番 嬰ハ短調」は、嬰ハ短調ピアノソナタの終楽章として作曲された可能性が最も高い、と感じる。
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 8月13日 「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲全曲演奏会 Vol.2」では、ピアノソナタ嬰ハ短調D655 の「終楽章」の可能性を考えて、連続して演奏してもらう。
  • 納得性が高ければ「佐伯周子の演奏の質の高さ」を褒め称え
  • 納得性が低ければ「私高本の組み合わせの齟齬」を非難

するのが正しいと思う。 1人でも多くの「シューベルトファン」の皆様に聴いて判断して頂きたいと、心から願う次第である。
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