Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

12月3-4日デュトワ指揮N響「千人」の前日に吠える(No.1948)

2011-12-02 22:24:47 | 歌曲作曲家・マーラー(1860-1911
 明日と明後日、デュトワがN響でマーラー交響曲第8番変ホ長調「千人」を振る。私高本は両日聴く。佐伯周子は日曜だけ聴く。このチケットは早々に売切になったので、今日まで何も書く気が起こらなかったが、いくつか気になった点があるので、NHKホールに聴きに行く人、テレビやFMで聴く人の役に立つ情報を簡単に記載する。


マーラー「千人」はステージに登場する人数が史上最大で初演時は本当に千人を越した!


ことが有名。ヴェルディ「アイーダ」の比ではないので、オペラファンは誤解無きように(爆

 ソリストが8名に「2つの混声合唱団」「少年合唱団」が必要。アマチュア合唱団が主催して演奏会を催すには規模がとてつもなく大き過ぎて、スケジューリングなどができないので、オーケストラが主催して実演されることが大半だが、プロ合唱団を雇うことは極めて少ない記憶がある。カネが掛かり過ぎるからだ。「録音を兼ねた時」くらいしかプロ合唱団が起用されることは無いような気がする。
 実は、私高本はマーラー「千人」を確か6回以上(おそらく7回)合唱団員として歌った。アマチュア合唱団員で経費がほとんど掛らないからである(爆

今回の デュトワ+N響「千人」は「東京混声合唱団」がクレジットされている


がちょっとここで考えなければならないことがある。

「東京混声合唱団」は「委嘱作品」を核に「現代作品」が主なレパートリーの小編成合唱団で東京文化会館小ホールが定期会場


 佐伯周子の「シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会」会場である。「千人」規模で無いことがお分かり頂けることだろう。

客席数=649 のホールで定期演奏会を実施 が 「東京混声合唱団」


 エキストラが圧倒的多数になることは目に見えているが、プロなのか? アマチュアなのか? アマチュアならばどの水準なのか?

懸念1 : 合唱団は「プロ」を掲げているが、本当に「プロ団員」が全員なのか?


 この点について大いに懸念される。


 鑑賞に当たって、超簡単に全曲をアナリーゼする。スカな「マーラー事典」よりも役に立つぞ(爆


  1. 全曲は2部構成になっているが、第2部は「緩徐楽章」「スケルツォ楽章」「終楽章」が休みなく演奏される形式なので通常の4楽章構成交響曲をあまり変わらない


  2. 第1部は「ソリストがソロを歌うフレーズ」は1節も無く、ラテン語で合唱と重唱を技巧的に走らせる「ソナタ楽章」


  3. 第2部「緩徐楽章」は、長い器楽部分から合唱 → 「役柄になり切ったソロ」の順に登場。ここから終曲までドイツ語。「バリトン → バス → テノール」」の順なのだが、テノールが入る直前に「アルト1」が合唱を従えて「役柄無し」で歌うのが事前に知らないとわからないポイント。テノールの後、ソプラノ2 が締める


  4. 第2部「スケルツォ楽章」は練習番号117から。「ソプラノ1 → アルト1 → アルト2」の順にソロを歌い、続けて3重唱。その後に、ソプラノ2 が来る。次が、児童合唱 に ごく1部合唱ソプラノが加わって、最後にまた ソプラノ2 が締める。全て「女声だけ」の楽章


  5. 第2部「終楽章序奏」は練習番号172から。「ソプラノ3 → テノール」でここまでが「役柄設定」テノールソロに合唱が大々的に加わる。男声の復帰


  6. 第2部「終楽章主部」は「神秘の合唱」(練習番号202の5小節目)から。ソリストは「役柄無し」で重唱だけに戻る。最後にオーケストラとパイプオルガンが壮大に第1部の冒頭を回顧して変ホ長調を堂々と鳴らす



 羅針盤に使って下さい。


 東電福島第1原発放射能垂れ流しのせいでデュトワが想定していたソリスト8名中、3名が来日中止となった。ソリストに罪は無い。東電と日本政府のデマ報道が原因である。
 来日できない人は仕方ない。

懸念2 : 第2ソプラノに中島彰子 起用は「声質」に合わない、と推定


 中島は「スーブレットソプラノ」である。おそらく「ハイCを張れるソプラノ」と言うことで起用されたのだと思うが、声が細いのである。スーブレットソプラノだからなあ。第1部コーダのカノンも聞こえてくるか? 第2部の「3回のソロ」は充分に響くか? 特に第2部は「第2ソプラノ と テノール」で印象の半分が決まる重要な役。ワーグナー歌い、とまでは言わないが、ヴェルディやプッチーニの「主役ソプラノ」(← 「リゴレット」のジルダじゃないぞ!)を任せられるソプラノでないとなぁ。中島の当たり役はプッチーニ「ボエーム」でも「ムゼッタ」だからなぁ、、、  中島は「ソプラノ3」にぴったりなのに(泣
 マーラー「千人」ソプラノ2 に日本人を起用するとしたら、私高本ならば 2人が頭に浮かぶ。

  1. 老田裕子


  2. 大隅智佳子



 老田裕子は関西人だからN響関係者は知らないだろうが、大隅智佳子 は「アイーダ」で共演している。「ハイC」は出していたと思うのだが、東京オペラプロデュース公演の演目はマイナーなので、スコアで確認していないし、私高本は絶対音感無いので断言は出来ないが。(老田裕子は「ヴィオレッタ」で「ハイEs」をそれは綺麗に決めてました。)
 ちなみに「HMV発表」だと最も人気が高い「マーラー:千人」CDは、ショルティ盤。

ショルティはこの演奏で、『ルチア・ポップを起用するが「ソプラノ2」に用いる』


である。そのくらい大切な役なのだ!!! 「ポップのソプラノ2」はいいぞ! 「ソプラノ2」だけ取り出せば史上最高の録音だ、と感じる。(他のソリストもCD全体の出来も良いので、お間違え無いように)

ソロの最も盛り上がるフレーズが「ソプラノ2」が3度目に出現した時の最後の B を含むフレーズ


だからなあ、、、


 ・・・で最後にもう1つある。

懸念3 : NHKホールのパイプオルガンは響くの?


 サンサーンス「オルガン付き」とかデュルフレ「レクイエム」など、「パイプオルガンが活躍する曲はサントリーホールでばかり演奏しているように感じていた。マーラーも「復活」程度ならばNHKホールで構わないのだが、サンサーンス並みに大活躍するからなあ


 批評は書くかも知れない。書かないかも知れない。何かご要望あればコメント欄に書きこんで下さい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岡原慎也指揮者デビューコン... | トップ | デュトワ指揮N響マーラー「... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

歌曲作曲家・マーラー(1860-1911」カテゴリの最新記事