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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613補筆完成版詳細 1(No.2194)

2013-01-17 21:56:09 | 歌曲作曲家・マーラー(1860-1911

「シューベルトのソナタ楽章」は緊密な調性関係を保持している建造物である!


 多くの「研究書」とか「学術書」と呼ばれる書物に「シューベルトのソナタ楽章は、ベートーヴェンほどの緊密な調性関係が保たれていない」と書かれているが、あれは「書いた本人がアホ」なために「過去のベートーヴェン研究者」と同じ高みまで到達出来なかったことの残滓である(爆

 シューベルトは「同時代人 = ベートーヴェン」を綿密に研究し、分析し、体得し、自作に反映させた。その分析方法が著名な「ベートーヴェン学者」とは違っただけである。主として「調性関係」と「第2主題(第3主題の存在など)」
 シューベルトは「ベートーヴェン中期までの作品」を主として、勉強して「作曲力」を信じられないスピードで、信じられない高みに持ち上げた。

「糸を紡ぐグレートヒェン」や「魔王」のような「超大人気歌曲」を作曲できる『メロディーメイカー = シューベルト』の強み


が備わっていたので、ベートーヴェン と同等以上のソナタ群が産み出された。但し、31才で若死したので、弟子もおらず、「技術の伝承」を次世代に繋ぐことが出来なかっただけである。ベートーヴェンは「弟子ツェルニー(← シューベルトの「悲しみのワルツ」をパクって変奏曲を出版した作曲家)の大活躍」により名声を確立できたのと対照的である。


シューベルトが「再現部は呈示部と変化無し」と意図したならば、「再現部第1主題=主調で入り」「2主題ならば第2主題の終結部、3主題ならば第3主題の入りは、呈示の5度下の調性」「コーダは不要か、あってもごく短いモノ」


 大原則である。イ長調ソナタD959第4楽章コーダのような大掛かりなモノを想定していたら、スケッチが残っているのだ > D959のスケッチ残っているし。


シューベルト中後期のピアノソナタでの「遠隔調楽章」は、全て「ソナタ楽章」にて表出する調性


 これを明示した書物は、私高本は読んだことが無い。単行本になっている主要英語文献は全て目を通しているし、ドイツ語文献も「単語だけ追って」目を通している(爆

 いくつかの「有名遠隔調楽章」を取り上げてみよう。全て「完璧に仕上げられたソナタ」だ(爆

  1. 変ロ長調ソナタD960第2楽章「嬰ハ短調」 → 第1楽章展開部入りの調性!(調性記号を替えている!!)


  2. ト長調ソナタD894第3楽章「ロ短調」 → 第2楽章第2主題呈示の調性!


  3. ハ長調ソナタD840第3楽章「変イ長調」 → 第1楽章コーダ入りの調性!


  4. イ短調ソナタD784第2楽章「ヘ長調」 → 第3楽章第2主題呈示の調性!



 見事なまでに「遠隔調」と思われる調性も他楽章と緊密な関係を結んでいる。中期以降ではっきり確立した手法を初期から使用していた、と考える方が普通だろう。


 ハ長調ソナタD613 も「同じような調性構造設計」と考える方が自然である。バドゥラ=スコダ補筆完成版であらわになった調性が「中間楽章」だった可能性が極めて高いのである!!!

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