Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

ピアノソナタ D568 の稿問題2(No.1715)

2009-12-03 17:37:44 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 D568問題の概要は前回記載の通りである。要点が4つしか無いのに、未だに結論が出ないのは「3」と「4」に大いに矛盾と考えられる点があるからだ。つまり

  1. 「1817年の第3ソナタと第4ソナタ」のどちらかに D568変ホ長調最終決定稿があるハズ

  2. すると D567初稿変ニ長調稿 → D568変ホ長調最終決定稿 → D593/2 で変ニ長調に戻って「スケルツォ楽章」だけ改訂?


と言うことが「誰が見ても変」になっているのだ。ちなみに、

本日号でここまでに書いたことは、ドイチュ自身の最終結論 = ドイチュカタログ(1951)の結論


である。ドイチュも生涯を賭けて、結局「暫定結論」を出さなければならなかった様子。不健康な私高本も他人事では無いので身を摘まされる思いである。


 「シューベルト研究者」として、『最も基本』に立ち返る。つまり「最小構成に基づき履歴を探る」だ! D568 の各楽章について「最終稿の名称」を用いて、履歴を辿ってみたい!!

ピアノソナタD568 第1楽章履歴



  1. 1817.06 の自筆署名 変ニ長調 D567/1 草稿(235小節)

  2. 1817.06 の自筆著名 変ニ長調 D567/1 決定稿(238小節)

  3. 1829.05.29出版 変ホ長調 D568/1(258小節)


ピアノソナタD568 第2楽章履歴



  1. 1817.06 ニ短調 D567/2 草稿(61小節で中断)

  2. 1817.06 の自筆署名 嬰ハ短調 D567/2 決定稿(122小節)

  3. 1829.05.29出版 ト短調 D568/2(122小節)


ピアノソナタD568 第3楽章履歴



  1. 1817.11記載筆写譜 変ロ長調 稿 D593/1(50+30小節)

  2. 1817.11記載筆写譜 変ニ長調 稿 D593/2(58+30小節)

  3. 1829.05.29出版 変ホ長調 D568/3(36+30小節)


ピアノソナタD568 第4楽章履歴



  1. 1817.06 の自筆著名 変ニ長調 D567/3 決定稿(167小節までが残存。後続は紛失。紛失はおそらく17小節分と推定)

  2. 1829.05.29出版 変ホ長調 D568/4(223小節)


 記載の時系列は「根拠そのまま」の通り。これが「1次資料の全て」である。私高本は何も加えていないし、削除もしていない!
コメント
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