Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

佐伯周子のシューベルトの魅力(No.1719)

2009-12-11 21:06:07 | ピアニスト・佐伯周子
 私高本の「CDリストの大半 = シューベルト」である。

2004年8月 佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会開始


以来、限りあるゼニの中から購入するCDの9割方はシューベルトになり、その8割方は「シューベルトピアノ曲」である。随分あるものだ。

 「シューベルトピアノ曲録音」の特徴としては、

  1. 「ソナタ」録音タイプ
  2. 「即興曲」、「楽興の時」系 録音タイプ
  3. 「舞曲」録音タイプ

の3つに大別される。全3分野を満遍なく弾くピアニストは皆無に近い。多くのピアニストは「3」の舞曲をほとんど弾かないし、「1」のソナタについても「ブレンデル型」で弾くピアニストが大半である。


 佐伯周子の次回 1/7(木)の演奏会では、「第3グランドソナタはどの曲?」の題名で、ソナタが3曲弾かれる。2曲がソロソナタ、1曲が連弾ソナタである。

D568,D664,D823 の「どれか」が「第3グランドソナタ」


は間違いない。

「佐伯周子のシューベルト」の魅力の1つに、シューベルトが作曲した通りのダイナミクスとアーティキュレーションが再現される


がある。数多くのCD録音を聴くと、特に「ダイナミクスが再現」がほとんどの演奏で実現していない。なぜか?

「シューベルトの意図」が交響曲の演奏を1台のピアノで再現したかった


だからだと感じる。ソロ曲も連弾曲も「ソナタ」では同じ方向だ。岡原慎也と佐伯周子の合わせを聴いて、「連弾ソナタ」の方が「ソロソナタ」以上にダイナミクスの巾を要求していることが判明した。これまでの演奏やCDではわからなかったことである。
 シューベルトほど、「ピアノ曲にダイナミクスの巾」を求めた作曲家はおそらく リスト くらい。「フォルティッシモの大きさ」か、「ピアニッシモの小ささ」を求めた作曲家は多くいるのだが、両方を求めたのは シューベルト と リスト くらいであろう。リストは「シューベルトのさすらい人幻想曲」」から学んだように感じる。


 これまで「後期ソナタ」「中期ソナタ」を中心に弾いて来た 佐伯周子 の今回のプログラムは、一見すると「初期ソロソナタ中心」に見えるかも知れない。多くのCDプログラムには、D568 も D664 も「初期ソナタ」と書いてある方が多い。最低、どちらか1曲は「初期ソナタ」の可能性が「第3ソナタは1曲」からすると高いのだが、

シューベルトのピアノ曲は初期から名曲あり!


なのだ。
 連弾曲も超有名な「ヘ短調幻想曲D940」でなく、一見するとあまり有名な曲では無いように見える。しかし、最近のヨーロッパでは人気が高まって来ている2曲であり、例えば グルダの息子 = パウル・グルダ の「連弾デビューCD」は、D968A も D823 も収録されている。(D823 は第2楽章のみ)
 「佐伯周子の初期シューベルト」と言えば、

最初のピアノソロ曲 = 「モーツァルト幻想曲」ハ短調 D2E の名演


も思い出される。また

ピアノソナタ 嬰ハ短調 D655 の補筆完成版 の名演


もあった。
 後期の曲ばかりが取り上げられ易いシューベルトであるが、どの曲も佐伯周子の演奏ならば大いに楽しめるだろう。
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