ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

西の魔女が死んだ@京都シネマ

2008-07-06 15:32:50 | 映画感想
なかなかにストレートな物言いのタイトル。
でもセンスがあるとはとうてい思えないのだけど。 どうなの?
と、チラシを見たときは思った。

魔女とはイギリス生まれのおばぁちゃんの事。
そのおばぁちゃんとすごした数日間を描くお話。

都会に住むイマドキの女の子が、イマドキありがちな東京コーヒー......じゃなくて登校拒否になったののをキッカケに、田舎に住んでいるちょっとセンスのいい祖母と暮らすことになる。そんな田舎生活の中で、都会では気づけない、若しくは忘れてしまったものに気づき学んでいく、みたいなね。チラシを読んで簡単にイメージできる。
「魔女」とは、単におばぁちゃんのニックネームみたいなものか?どうやらファンタジーやSFではないらしい。
ありふれたテーマ。ありふれた設定。

それでも、見に行こうかと思ったのは、映画館に置いてあったポスターに貼られたアンケートをみたからでしょうか。
感動を綴るその一枚一枚は、別にフツーの「感動した」ってな感想ばかりなんだけど、見てみてもいいかな、と。何故か思ってしまったわけです。
魔がさした?魔女だけに?
(座布団ぜんぶ取っちゃえ!)


でね。

映画を見ているあいだはさしてたいした映画だとは思わなかった。ホントに。

「魔女が倒れた。もうだめみたい。」
というモノローグで始まる。
あとはもうひたすら回想シーン。

淡々としたオハナシ。

緑の美しさや、おばぁちゃの家とその生活のおしゃれさとかは特筆できるけど、それだけかな。。。。と。

映画の終盤に、やはり感情はこみ上げてくるけど、さして特別な映画だとは思わなかった。

でも映画館を出て、もう一度ポスターのほかの人の感想を読んで見た。
ダメですねー、涙があふれて、こんな後からじわじわ来るなんて。ちょっとずるい。

思い返す、セツナさといとおしさ、人と付き合う大切さとか。

回想シーンで構成される本編は、最後に再び冒頭(雨の中、倒れたおばぁちゃんに会いに行く車中)にもどる
「魔女が倒れた。もうだめみたい。」
というモノローグを受けとめるかのように
「そうよ、おばぁちゃはホンモノの魔女よ。」
という唐突な母親のセリフ。

勿論、そのセリフまでにいろいろな会話があって、そういうセリフに繋がったと想像する事も出来るけれど、このセリフに見ている人はドキドキさせられる。
そしておばぁちゃんの魂は脱出に成功するのだ。

おばぁちゃんは魔女なんかじゃない、と思いつつも、いや、でもホントはやっぱり魔女なのかも、とギリギリの線で見ている人に思わせる、心憎い演出が、シリアスなヒューマンドラマをファンタジーにしてしまっています。

父親と母親の位置づけが微妙(ベクトルが主人公である娘の方向を向いていないと言うか、、、母親に至っては娘を傷つける発言もさせられているし。存在感が薄いのは、おばぁちゃんを際立たせるために必要だとしてもなぁ)という点はちょっと気になったのですけど、どうなのでしょう。

諸手をあげて賞賛されるようなスバラシイ映画、というわけではないけど良質な佳作だと思います。

幸せになるのは実はとても簡単な事。でもその簡単な事は案外難しい。

魔女の修行のように。

見てよかった、と思える映画でした。

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