京都府が今、水道事業についてのパブコメを募ってるので、意見を送った。
「京都水道グランドデザイン改定」の中間案に対する意見募集について
「京都府営水道ビジョン(第2次)中間案」に対する意見募集について
まぁ、超絶簡単に(若干穿った見方を含めて)言うと、
「国が広域化しろって言ってきてるから乗るね。各自治体がやってる水道だけどこれから一本化していくから。あと民営化も考えるから。効率化するし地方の負担も減るし良いでしょ?ヨロシク」
ってな内容。
いやいやいや、
インフラは民営化しちゃいけない、ってのが今の世界の潮流やんか。
地方自治体に負担になっているからその解消、とか言われたら、成る程、とか思いがちだけど、負担してでも守るべきものだからこそ公がやらなくちゃいけないのであってその責任を放り投げちゃダメでしょ。負担で大変だって言うのなら、都道府県や国が支援しろ、っちゅう話やないかい。
てな訳で、色々マズイっぽいのでパブコメ書いてみた。
提出した文書はこんな感じ。
賛同していただける方は是非パブコメヨロシクです。
13日までだから、あまり時間がないけれど。。。(^^)
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「京都水道グランドデザイン改定」の中間案に対する意見募集について
今回出されている「京都グランドデザイン」について、いくつか意見を述べます。
・経営的な観点でプランを策定する事の問題
そもそも、水道事業はインフラストラクチャーです。
今回のプランで気になったのは、経費節減や効率化、合理性といった言葉が出てきて経営的視点での見方が強調されているところです。もちろん、効率化も合理化も必要な事ではあるのですが、行き過ぎるとその機構やシステム自体に余裕がなくなります。インフラを支える基盤に余裕がない社会が災害や社会の大きな変動時に脆弱であることは、議論を俟たない事です。
説明の中で、利益を追求する民間企業のように経営的視点が強調されている事に強い違和感があります。
また、P58「公民推進」の中で「包括的民間委託や指定管理者制度・コンセッションを含むPPP/PPI」の検討を進めると書かれていますが、これには断固反対します。
水道は市民生活に欠かせないインフラであり、富です。民間業者と協力したり関係があることは否定しませんが、管理運営、計画といった大事な運営の根幹部分を民間に委ねるべきではありません。一度民営化した公共サービスが、料金の高騰やサービス低下を招き再公営化する、という動きは世界中で起きていると聞きます。浜松市であった水道の民営化の動きを止めた話は記憶に新しいところではないですか?
経営的視点という言い方で公共サービスを市場優先の財に変えてしまえば犠牲になるのは市民であり、地方自治体の責任放棄に他なりません。
・多くの選択肢を残すこと
まず、多くの災害を経験して言えることは、いざ災害が起こった時にはマニュアル通りに対応できない事も多い、という事です。
交通や情報が寸断され、状況の把握も難しくなる被災現場で大事なのは、小回りが効く事。その場その場で即断即決ができること、そういった機動性を担保するという事を考えれば、各自治体事に水道事業者を置き、その自治体規模で水道事業を展開している現状は、ある意味災害に適応しやすいともいえます。
今回のプランは、基本的に広域化や統廃合を進める内容になっていると理解します。スケールメリットは理解できますが、危機管理を大きな柱にしているこのプランの中ではスケールデメリットについては触れられていません。
基本的に各自治体の事業者の形は残したまま、システムやノウハウなど、スケールメリットで効率化できるところは大いに効率化するのが危機管理上有効だと考えます。
また、効率化の観点から物理的に施設を統廃合する事も提案されています。府の視点で見た時にそれはとても効率的に見えるかもしれませんが、災害時には施設や配管の多くが使えなくなるという可能性を考えた場合、一見非効率であっても施設を多く保つことは対応できる選択肢を多く持つことでもあります。また、その非効率性は、府の視点から見たために非効率なのであって、自治体から見た場合には必要な施設であるともいえます。
広域化を前提にしたプランであるが為に、ボトムから考える視点は逆に見落とされがちな視座です。再考を求めます。
・水源を活用する事
私は城陽市在住ですが、城陽市は水源に多くの地下水を利用しています。しかし、効率化、施設の統廃合となれば、府営水道を受水する方向になるのではないでしょうか。
市の水道部の方に聞いた話によれば、城陽市が汲み上げている地下(京都水盆)の貯水量は211億tで2700年分だ、との事。京都府南部に広がる京都水盆を利用可能な自治体は城陽市だけではありません。実際、南部の自治体では地下水を多く利用しています。一方、府営水道は現状では河川を水源としています。最近は少なくなったものの、水瓶と言われる琵琶湖の渇水なども過去にはありました。また、あって欲しくない事ですが、万が一にも若狭湾にある原発が事故をした場合にまず琵琶湖が汚染される事を考えれば、当面他の水源がある、というのはとても重要な事になります。各自治体が保つ地下水源は極力持続させるべきだと考えます。
・シミュレーション結果について
プランの中で複数のシミュレーション結果が示されていますが、いくつか疑念があります。
そもそもシミュレーションというのは条件の設定によっていくらでも操作できるものと理解しているので参考程度にしかならない、というのが私の認識ではありますが、それでもプランの中で提示されている以上一定の説得力を持ってしまいます。その上での指摘です。
案P63「 表7.4.2 経営統合による効果」
私の居住域、南部圏の効果は2%です。年一人当たり45円削減。
シミュレーション結果で「改善される見通し」と書かれていますが、南部圏に関して果たしてこれだけでそう結論づけられるものでしょうか?
案P65「 表7.4.3 試算結果(区分②南部圏域)」
補助金がある方で見ても削減率は人件費で2%、給水原価0.2%、供給単価0.1%。効果は果たして本当にあると言えるのでしょうか?
また、意図が理解できていないのでなんともいえないのですが、前者は50年間の総額であるのに対して、後者は40年後の5年間の平均であるところに疑念があります。
1年後でさえ社会の情勢が見通せない昨今です。50年後のシミュレーション結果をだして、どれだけの説得力があるのでしょう?その頃にはまた社会も大きく変化してる、とは考えられないでしょうか?
案P71「 表7.4.10スマートメーター導入の試算結果」にも同様の疑念があります。
・人材について
P56「人材育成・技術継承」の【事業者などの取組】の中で「中途採用や任期付職員採用」で人員確保、とあります。何故でしょう?
中途採用や任期付でしっかりした人材が育つのでしょうか?何故新卒者をきちんと教育するとか正式職員の採用にはならないのでしょう?疑問です。
昨今、自治体職員も非正規が増えている現状は知っているますが、逆にそれが人材育成や技術継承困難にしているという現実もあると考えます。せっかくのプランであるのに、根源的な部分を看過してるように思われます。
以上の点について考慮願います。
「京都水道グランドデザイン改定」の中間案に対する意見募集について
「京都府営水道ビジョン(第2次)中間案」に対する意見募集について
まぁ、超絶簡単に(若干穿った見方を含めて)言うと、
「国が広域化しろって言ってきてるから乗るね。各自治体がやってる水道だけどこれから一本化していくから。あと民営化も考えるから。効率化するし地方の負担も減るし良いでしょ?ヨロシク」
ってな内容。
いやいやいや、
インフラは民営化しちゃいけない、ってのが今の世界の潮流やんか。
地方自治体に負担になっているからその解消、とか言われたら、成る程、とか思いがちだけど、負担してでも守るべきものだからこそ公がやらなくちゃいけないのであってその責任を放り投げちゃダメでしょ。負担で大変だって言うのなら、都道府県や国が支援しろ、っちゅう話やないかい。
てな訳で、色々マズイっぽいのでパブコメ書いてみた。
提出した文書はこんな感じ。
賛同していただける方は是非パブコメヨロシクです。
13日までだから、あまり時間がないけれど。。。(^^)
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「京都水道グランドデザイン改定」の中間案に対する意見募集について
今回出されている「京都グランドデザイン」について、いくつか意見を述べます。
・経営的な観点でプランを策定する事の問題
そもそも、水道事業はインフラストラクチャーです。
今回のプランで気になったのは、経費節減や効率化、合理性といった言葉が出てきて経営的視点での見方が強調されているところです。もちろん、効率化も合理化も必要な事ではあるのですが、行き過ぎるとその機構やシステム自体に余裕がなくなります。インフラを支える基盤に余裕がない社会が災害や社会の大きな変動時に脆弱であることは、議論を俟たない事です。
説明の中で、利益を追求する民間企業のように経営的視点が強調されている事に強い違和感があります。
また、P58「公民推進」の中で「包括的民間委託や指定管理者制度・コンセッションを含むPPP/PPI」の検討を進めると書かれていますが、これには断固反対します。
水道は市民生活に欠かせないインフラであり、富です。民間業者と協力したり関係があることは否定しませんが、管理運営、計画といった大事な運営の根幹部分を民間に委ねるべきではありません。一度民営化した公共サービスが、料金の高騰やサービス低下を招き再公営化する、という動きは世界中で起きていると聞きます。浜松市であった水道の民営化の動きを止めた話は記憶に新しいところではないですか?
経営的視点という言い方で公共サービスを市場優先の財に変えてしまえば犠牲になるのは市民であり、地方自治体の責任放棄に他なりません。
・多くの選択肢を残すこと
まず、多くの災害を経験して言えることは、いざ災害が起こった時にはマニュアル通りに対応できない事も多い、という事です。
交通や情報が寸断され、状況の把握も難しくなる被災現場で大事なのは、小回りが効く事。その場その場で即断即決ができること、そういった機動性を担保するという事を考えれば、各自治体事に水道事業者を置き、その自治体規模で水道事業を展開している現状は、ある意味災害に適応しやすいともいえます。
今回のプランは、基本的に広域化や統廃合を進める内容になっていると理解します。スケールメリットは理解できますが、危機管理を大きな柱にしているこのプランの中ではスケールデメリットについては触れられていません。
基本的に各自治体の事業者の形は残したまま、システムやノウハウなど、スケールメリットで効率化できるところは大いに効率化するのが危機管理上有効だと考えます。
また、効率化の観点から物理的に施設を統廃合する事も提案されています。府の視点で見た時にそれはとても効率的に見えるかもしれませんが、災害時には施設や配管の多くが使えなくなるという可能性を考えた場合、一見非効率であっても施設を多く保つことは対応できる選択肢を多く持つことでもあります。また、その非効率性は、府の視点から見たために非効率なのであって、自治体から見た場合には必要な施設であるともいえます。
広域化を前提にしたプランであるが為に、ボトムから考える視点は逆に見落とされがちな視座です。再考を求めます。
・水源を活用する事
私は城陽市在住ですが、城陽市は水源に多くの地下水を利用しています。しかし、効率化、施設の統廃合となれば、府営水道を受水する方向になるのではないでしょうか。
市の水道部の方に聞いた話によれば、城陽市が汲み上げている地下(京都水盆)の貯水量は211億tで2700年分だ、との事。京都府南部に広がる京都水盆を利用可能な自治体は城陽市だけではありません。実際、南部の自治体では地下水を多く利用しています。一方、府営水道は現状では河川を水源としています。最近は少なくなったものの、水瓶と言われる琵琶湖の渇水なども過去にはありました。また、あって欲しくない事ですが、万が一にも若狭湾にある原発が事故をした場合にまず琵琶湖が汚染される事を考えれば、当面他の水源がある、というのはとても重要な事になります。各自治体が保つ地下水源は極力持続させるべきだと考えます。
・シミュレーション結果について
プランの中で複数のシミュレーション結果が示されていますが、いくつか疑念があります。
そもそもシミュレーションというのは条件の設定によっていくらでも操作できるものと理解しているので参考程度にしかならない、というのが私の認識ではありますが、それでもプランの中で提示されている以上一定の説得力を持ってしまいます。その上での指摘です。
案P63「 表7.4.2 経営統合による効果」
私の居住域、南部圏の効果は2%です。年一人当たり45円削減。
シミュレーション結果で「改善される見通し」と書かれていますが、南部圏に関して果たしてこれだけでそう結論づけられるものでしょうか?
案P65「 表7.4.3 試算結果(区分②南部圏域)」
補助金がある方で見ても削減率は人件費で2%、給水原価0.2%、供給単価0.1%。効果は果たして本当にあると言えるのでしょうか?
また、意図が理解できていないのでなんともいえないのですが、前者は50年間の総額であるのに対して、後者は40年後の5年間の平均であるところに疑念があります。
1年後でさえ社会の情勢が見通せない昨今です。50年後のシミュレーション結果をだして、どれだけの説得力があるのでしょう?その頃にはまた社会も大きく変化してる、とは考えられないでしょうか?
案P71「 表7.4.10スマートメーター導入の試算結果」にも同様の疑念があります。
・人材について
P56「人材育成・技術継承」の【事業者などの取組】の中で「中途採用や任期付職員採用」で人員確保、とあります。何故でしょう?
中途採用や任期付でしっかりした人材が育つのでしょうか?何故新卒者をきちんと教育するとか正式職員の採用にはならないのでしょう?疑問です。
昨今、自治体職員も非正規が増えている現状は知っているますが、逆にそれが人材育成や技術継承困難にしているという現実もあると考えます。せっかくのプランであるのに、根源的な部分を看過してるように思われます。
以上の点について考慮願います。