ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

野火@ 京都シネマ

2015-08-19 09:36:12 | 映画感想
感想書けない。
書いた方がいいと思って書き始めたけどどう書いていいかわからない。

こんなに早く上映時間が終わればいいのに、と思った映画は多分二つ目だ。
(前に見たやつはひたすら外国の農場の記録映画でひたすら退屈だった)

キツかった。メチャメチャキツかった。

「戦場は地獄だ」なんて、言葉ではよく聞く。
「そうか、戦争は地獄なんだ」頭では理解する。
けど、そんなもの理解でもなんでもないんだな。
映像で見せつけられる。地獄とはこういうことか。

そういえば、こないだNHKスペシャルで広島の爆心地から2キロの地点で被爆数時間後に取られた写真を取り上げた「きのこ雲の下で何が起きていたのか」っていう番組があったんだけど、この番組ではその写真に色をつけ動かし、声や音を入れ、3Dで再現していた。モノクロ写真とは格段に違う生々しさにショックを受けた。リアルなカラー映像の訴える力の大きさに心の準備が間に合わなかった。
%いや、間に合うような心の準備なんてそもそもないんだけれど

戦争反対だとか、平和を守れとか。
言うよ、そりゃ言うよ。もちろん心の底からそれは言うのだけど、言葉として伝えるために言っているのであり、言ってみればそれはスローガンに過ぎないのだ。

この映画を見て出てくるのは、そんなわかりやすい、みんなでシュプレヒコールできるような言葉じゃないんだな。

もっと情緒的な、ドロドロした感じでこみ上げるようにして出てくる《戦争はイヤだ》っていう感情。
生理的な嫌悪感って言ったらいいのかな。
理屈じゃないんだよ。

イマドキの言い回しをすれば、
「戦争とか、マジ無理!」
って感じか。

映画を観終わって、数時間経ってもまだ胸がズキズキする。

でも、映画やろ?そんなもの作りもんやないか。とか、70年前の戦争の話だろ今と全然違うだろ、とか、言ってくる人がいるかもしれない。

逆に言おう。作りものでさえ、こんなに恐ろしい地獄を感じさせるのに、本当の戦場ならもっと悲惨な地獄、ではないと?そんなことがなぜ言える?戦後70年、世界に目を向ければ未だに無残に殺されて行く戦争犠牲者(しかも無辜の市民)が増え続けている現実を知らないのか?と。

そうなのだ、これはまだ映画だから助かっているのだ。
現実はこれに火焔や死の臭いが付き、泥付きの生の芋やたべれるかどうかもわからない草の味覚が付き、屍を踏みつける触覚が付き、空腹感や痛みや疲労が付く。常に命は風前の灯火であり、その状況に好転の兆しはない。さらにいつ終わるともしれない、文字通りの無間地獄だ。
信じられるか?そんな地獄を。

そんな地獄の中で、正気を保つなんて、とてもじゃないができっこない。

でも映画で監督は、全編を通してフレームの背景にに雄大な自然の美しさを置く。
美しい自然の中に多分わざと醜い兵士の姿をポツンと配置するのだ。
ずるい。
その違和感たるや。

本当に、人間というのはどうしようもなく愚かしい。
泣きたくなる。

(結局感想書いた)

野火@ 京都シネマの画像

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