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メッセージはどストレート。
仏教で言うところの「不殺生」を破る戦争は悪である。そして、自分で考えろ、時代に流されるな、と。
主人公である落語家、金山亭我楽が若かりし頃、それまでは布教使としてずっと戦争を推進していたのに、主人公が出征する時には「戦争は罪悪だ」と言うように変わっていた杉原良善という僧侶。
その変節の理由を探る中で時代の空気と、命より大切なものはないという至極当たり前の考えを露わにする。
「洗脳」という言葉も最初の方に出てきたけれど、儂らの国を時に覆うこの空気というやつに抗う事の難しさを、多くの宗教人でさえも疑う事なく従わせてしまった事実によって儂らはもっと自覚する必要があるのだ。仮にその洗脳から解けたとしても周りが洗脳されたままであれば当然とてつもない苦境の中に放り出されることになる。だから儂らは自分を守るためにも進んで洗脳されるし、進んで疑うことをやめてしまう。もしかしたら、それはかなり本能的な事なのかもしれない。
中には植木徹誠さん(植木等の父)やこの映画のモデルとも言われる竹中彰元さんのように声に出して戦争に明確に反対する宗教人もいたのだろうけれど、そういう人たちがどんな目に合うのか考えれば、世の中が常に正しいだなんて呑気な妄想に浸っていることはできないだろう。
映画の作りは最初と最後にも先の安倍政権による安保法制に反対するデモの様子を流しその意図的なものを決して隠しはしないのだけれど、まぁそれをどう取るかといえば、極めて必然的な事なのだろうと儂は好意的に評価するわけで。
だってさ、この作品があの七十数年前のこの国の支配的な空気についての映画だというのなら、それが昨今の政治的な状況が生み出す気味の悪い空気感と通底している事を端的に言いたいのなら、まぁそういう事だと率直に言うことに何の問題があるのかと。いや、むしろもっともっと煽っていいくらいなのだ。
それが鼻に付くという雑音に全てのメディアが配慮する必要があると主張できるほどに余裕があるとは儂にはもう思えない。
ま、とにかく戦争に反対するのに一点の疑いもないね。色々考えるのは大事だけどプリンシプルはこの映画の中にある。
落語は、、、お世辞にも上手とは言えないけれどね。