ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

夢十夜@京都シネマ

2007-02-12 10:48:29 | 映画感想
関心空間の仕様がちょっと変わりましたね。今まで右上に出ていた「お知らせが○件あります」という表示がなくなって不便。って、無くなったんじゃなくって見えなくなっただけかも知れないけど(今までもそんなん何回かあったしなぁ)。

原作:夏目漱石。
漱石っていうのはやっぱり変わった作家だったのかなぁ、と思う。もっとも漱石の本なんか「吾輩は猫である」と「坊っちゃん」と「こころ」と有名どころしか読んでいなかった(と思う)ので、ヘタな事は言えないけど、この映画を見てから夢十夜も読んで、あらためてそう思った。

なにはともあれ映画である。

2時間で10の話。つまり一話12分。せわしない、いや、それ以上に作品の内容がバラバラ過ぎて、1つのまとまりの映画とはとうてい言えませんよ、完全にオムニバス。脈絡は無いけど、単純におもしろいモノにはなっています。

第一話の中で唐突に死ぬと言う女性が「あなた、100年待てますか?」と問う。
100年前に漱石は「余は吾文を以て百代の後に伝えんと欲する野心家なり」と言った(百代=100年ではない気もしますが。。。)。プロローグとエピローグでも触れられる100年の謎解きというモチーフ。この話は漱石から100年後の私たちへの宿題なのでしょう。100年かわいがってくれたのだから後100年待てますか?と、これは漱石の作品自体の事を言っているのかしらん?
漱石、なんかふてぶてしくって恰好良い。

原作に忠実なものもあれば、大きく外れたモノもあります。
1、2、3、6、7夜なんかは基本的に原作に忠実ですよね。8夜なんかわけがわからん。10夜はアレンジしまくりです。

魅せ方に趣向を凝らそうとしているのはどの作品も同じ。

原作に忠実だけど一番夢っぽい(現実にはありえない現実っぽさを表しているあたり)一夜。
モノクロで無声、ラストにはオリジナルな解釈を盛り込んだ二夜。
ちょっとホラーがかってるけど、漱石の実際の夢という演出と、最後のとぼけた「書いちゃお」という科白の効いてる三夜。
難解なモノをノスタルジーに変えて、らしくない漱石像を登場させた四夜。
あの包帯だらけの生き物は天探女?時代設定を大きく変え、メンタルな話としてミステリアスに昇華させた五夜。
ヒップホップとブレイクダンスと2ちゃんねる用語を盛り込んで、芝居のようなセンスで魅せる、え、良純さんの夢?六夜。
ここにきて、アニメーションという反則技(?)で、幻想的な世界を作り出しながら原作の持つ雰囲気を損なわない七夜。
原作から大きく離れたナンセンスな世界を無遠慮に展開して、なんでそこから肉まん出すねん!と「?」を振りまく八夜。
時代設定を太平洋戦争に置き換え、残された妻の嘆きに焦点をあてることで、わかりやすい佳作に仕上げた九夜。
豚に翻弄される美男子の災難を、ナンセンス感てんこ盛りでエンターテイメントにした十夜。

と、言った感じでしょうか。

監督陣も豪華。
出演者も豪華。

とくにこういうものは予想外の出演者にビックリさせられる事が多いですね、二夜のうじきつよしとか、四夜の山本耕史とか九夜のピエール瀧とか、なんでそこに石坂浩二?とか。

じっくり1つ1つの話をも一回ゆっくり見たならまた言いたい事もたくさん出てくるんだろうけど、なにしろ展開が早くて全ての話がうろ覚え状態。まぁ、なんにしろ贅沢な企画映画でした、うん。

儂、P.N.「枕水」にしよかな。。。。。何て読むんやろ?

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