ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

バベルの学校 @ エージェンシーアシスト(SOCIAL GIFT THEATER)

2023-11-22 18:31:17 | 映画感想
フランス・パリにある中学校の適応教室が舞台。
フランス語がネイティブではない子どもたちに、一般的な授業だけでなく、語学力をつけさせて普通クラスでの授業が受けられるようになる事を目指すクラス、という事でいいのかな。



「24名の生徒、20の国籍…。この世界の縮図のような多文化学級」(HPより)

元々の言語も違えば宗教も違う。当然文化も違う。

でも、、、

儂の感想はこうだ。
結局、フランスのこの適応教室も日本の普通クラスもおんなじなんじゃないの?

勿論、肌の色も振る舞いも異なる子どもたちが集まるこの教室は、見るからに多様である。多くの日本の教室の様子(いや、日本でだって多様な地域は増えてきているのが現実だけどさ)は一見同質的なものだ。
でも、個々の子どもたちは実は多様で、性格的にも様々であったり、色んな事情を抱えていたり、それは根本的に変わらないと思うのだ。

いやもちろん違うよ、全然違う。程度が全く違う。

それはそうでしょう。
キリスト教、イスラム教、宗教的な違い。アラビア語に感情的に反応する子がいたりもする。あからさまに人種差別的な事を平気で言ってしまう事もある。
10歳にもなればもう文化的に親からの周囲からの影響も色濃く受けていたりもする。無邪気さの中でなんでも許容できる年頃でもない。思春期にも差し掛かっているわけだし。
でも、でもさ、それでも同じ教室の中で学ぶ柔軟な年頃の子どもたち、という事なのか(それとも映画の手前そうなっているのか?<穿った見方)、最終的に一緒に一年を過ごすことができる(親の都合で転校してしまった子はいたにしても)。

ほら、大人の社会を見ればこういった齟齬は決定的な亀裂になったり、最終的には戦争になったりするわけじゃない?(注:一部に飛躍があります)でも、ここではそうはならない。
そうならない要因には、例えば先生の尽力とか、教育のベースにも多様性を認める土壌とか個人の尊厳を重んじるとかの基本的な規範とか(フランスは自由•平等•博愛の国!)。日本の教室のように同質的な空間に少数派がいるわけではなく、少数派こそが多数派みたいな特別な環境であるとかもあると思うよ。

もうちょっと言うと、ちょっとしたことでキレてしまう彼女も、アスペルガー症候群の彼も、人種の問題ではなく個人の抱える個々の事情によるものだ。表面だけを観てだから〇〇人は、とか、〇〇国ってのは、みたいに言っちゃうのがいかにナンセンスなの事か、って話だ。ほら、同じ中国人だって、1人は無口なのにもう1人はとてもおしゃべりじゃないか!

たぶん。
輪をかけて多様なだけなのだ。
教室の性質上、親だってマイノリティ、特殊な家の事情もあれば、文化の違いによる問題も大きい。難民もいれば出稼ぎ外国人もいる。単純に文化レベルの高いフランスで学ばせたいという理由で来ている子もいる。
そういう意味でもバベルの学校は多様性の坩堝と言えるかもしれない。

考えたいのは。。。
日本でこれができるのか?って事なんだよね。
むむむむむぅ。
唸ってしまう。

映画を観終わった後の感想の時間。
実は今回、某大学の幼児教育専攻の学生さんが来ていた。
あぁ、なんとも初々しい♪
映画の子どもたちは中学生だったけれど、実のところ幼児になればもう十分に多様だからね。
感想の時間の中でもインクルーシブ教育の事とか。昨今よく聞かれるようにはなったのだけど、理念のない(少なくとも現場に浸透する事の少ない)日本の教育現場で、それがどれだけ実現可能なのか、儂は現状ではだいぶ懐疑的だ。

今回、初めて映画の前に軽く自己紹介のコーナーがあったのだけれど、あれで会話の垣根が低くなった気がしたな。
同時に、相手のこと(肩書きではなく個人)をみてコミュニケーションをするというのは、上で書いたみたいに映画の内容にも通じている気がする。

あと、この映画を企画してる株式会社アグティの代表さんともちょっとお話できた。
あぁ、この会社にしてこの人か!
魅力的な人というのはいるものだ。うん。

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