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パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

御宿かわせみ(14) 神かくし

2015-03-08 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ「神かくし」14冊目。1990年5月,オール讀物。平成元年4月号から12月号。

「梅若塚に雨が降る」
江戸で大火事があり,源三郎の口利きで呉服屋の近江屋の奉公人夫婦がかわせみの厄介になる。夫の清二郎は先代の倅で手代をしている。女房のおふねは16歳だった。おふねは,赤ん坊をほったらかしにして昼間は出かけてしまう。その近江屋は火事で焼け太りしていた。同じような今回の火事で大もうけした呉服屋に賊が入り,皆殺しになった。5.6千両の金が奪われる。そして,また,起きた火事騒ぎ。東吾は近江屋に駆け付けるが,清二郎が殺されていた。
「みずすまし」
かわせみに東吾が訪れると,るいの幼馴染のお与里が来ていた。大番組の佐伯和之介に嫁いだが,子ができずに離縁されていた。その和之助は他の女,おたまに子を産ませていた。東吾,源三郎と千絵の長男源太郎の顔を見に行くと,そのお与里が来ていた。東吾は,和之助の子がほんとうの子かと相談を受けることになる。おたまには男がいた。東吾は目黒村に出かけ,張り込むことになる。
「天下祭の夜」
6月に江戸で行われる天下祭。かわせみの客も江戸へ出て来た人で賑わう。その客で神林家に出入りする日本橋の呉服屋,布袋屋が東吾とるいを桟敷に招待する。そこに,かわせみに泊まっていた足利の羽島屋夫婦も招かれていた。東吾には兄,通之進から家督を譲る話が出ていた。るいと結婚し,お吉と嘉助も神林家へ来てくれという。祭りの翌朝,羽島屋の女房18.9になるおよねが神田川の川舟で殺されていた。
「目黒川の蛍」
眼病にご利益のあるという越後の五智如来さんにまつわる男女の悲話。信濃屋惣兵衛の妹,28・9になるおすえが五智如来に参り,良縁にめぐまれたという。東吾は方月館で,その五智如来に行っても良くならない30過ぎの農家の娘おたねと知り合う。そのおたねはいい中になった男に逃げられ途方に暮れていた。
「六阿弥陀道しるべ」
神林家に,出入りの呉服屋白木屋の大番頭治兵衛が56歳でお暇をもらうことになったとあいさつに来た。その治兵衛が行方知れずになったと源三郎が東吾に相談に来る。六阿弥陀詣でに出かけ,行方知れずになったという。治兵衛にはおなみという女房がいて,子どもまでいた。
「時雨降る夜」
るいは茶会で菓子屋の若主人織部と妻二十歳のおきみと知り合う。織部は先代の主人の甥,おきみは先代の妻,40過ぎのお由良の遠縁にあたる京都の娘だった。おきみは江戸に慣れず,失態を重ねていた。そのおきみが,由良に家を追い出されたと,かわせみにやってくる。お由良とおきみの間に立つ東吾。源三郎も巻き込んで嫁姑に首を突っ込む。
「神かくし」
初冬の朝,かわせみの老番頭の嘉助が外に出てみると若い娘がいた。神田の名主宮辺又四郎の娘15歳のお由紀だという。30日に琴の稽古に出かけ,今日三日だった。嘉助と長介が家へ送っていく。どうも神田界隈でかどわかしが頻発しているという。源三郎が東吾に相談をかける。東吾はいまだ帰ってこない3軒の商家を訪ねる。どうもそれぞれ訳ががあるらしい。
「麻生家の正月」
大晦日に麻生家の七恵が女子を出産する。大喜びの麻生家と神林家。長介はそばを持参し祝う。その長介が,部下の伊助をかわせみに連れてくる。伊助は,本所で木村庵という蕎麦屋を一家で営んでいた。どうも伊助は女房に頭が上がらないらしい。通之進は隠居し,東吾を6月から奉行所に出仕させるとあいさつ回りをする。花世の誕生。

御宿かわせみ(13) 鬼の面

2015-02-01 | 御宿かわせみ
御宿かわせみの13冊目「鬼の面」。1989年11月。昭和63年9月~平成元年3月オール讀物
夕涼みの女」
越後の縮問屋の若旦那伊之助26歳は,商いで江戸に来て,日本橋の呉服屋近江屋で針子をしていたおすみと知り合い,結婚することになり,親を説得し,江戸に出てきたら,おすみが死んだという。伊之助はカワセミを定宿にしていたので,東吾に相談する。そんな中,伊之助はおすみの幽霊に会った。その話を聞き,お吉は体調を崩してしまう。東吾は宗太郎に相談するが,宗太郎は,お吉を連れて浅草の幽霊の見世物小屋へ連れて行く。
「大川の河童」
麻布の父が元気がないと七恵が香苗に相談にくる。東吾は宗太郎を紹介し,源右衛門は回復に向かう。そんな中,大川に河童が出て,船に悪戯するという噂を聞く。
浅草に住む向井恒庵と芸者おとよが船に乗っていて,恒庵が溺れて死んだ。その恒庵は評判が悪い医者だった。
麻布の秋」
東吾は方月館の主,松浦方斎に連れられて,麻を織る仕事場を見学に行く。そこに二十歳のおすずがいた。おすずは父弥助と2人暮らし。母親のおもんは父子を捨て,小田原の大工と駆け落ちをしていた。その母親が帰ってきた。おすずが江戸で働きたいと東吾を頼ってかわせみに来た。我慢しておもんと暮らすおすず。でも,おもんはまた,出ていく。
忠三郎転生」
義姉の香苗の実家麻生源右衛門の病気から付き合いが始まった天野家。その3人息子。宗太郎,宗次郎,宗三郎。宗次郎は母の実家,今大路家へ養子に入った。次々と起こる医者がらみの盗賊事件。皆殺しの残虐な手口に畝源三郎は困っていた。医者がらみの事件と会って東吾は宗太郎に相談をかける。宗次郎の家にいる医師の中に疑いをかける東吾。江島屋の事件で取り逃がした忠三郎の決着。人質にとられた七重。通之進と源右衛門の大捕り物,宗太郎と七重の鶴亀など,盛りだくさんの一編。」
雪の夜ばなし」
天野宗太郎と七恵の祝言は雪の降りしきる夜だった。東吾はその帰りにかわせみに行く途中に橋の上で女と出会う。その女お久麻は七重ぐらいの年であろうか,東吾はその女と一夜を過ごすことになる。その女は,七重の知り合いで旗本の清水帯刀の娘,七重の一つ年下の清水琴江だった。そして琴江は自分の祝言を無事に済ます。
「鬼の面」
節分の豆まきで賑わうかわせみで泊まっていたお客が捕えられた。信濃屋の主人,吉三郎は店の蔵の長持ちの中で殺されていた。日本橋の麻苧問屋信濃屋の元店主の和助だった。和助は16年前にお春の婿養子になり,2歳の娘お初を授かった。
「春の寺」
神林家の菩提寺,日暮里村の経王寺近くの茶店へ休憩していた神林家の一行。50になる店主おきぬはその店をたたむという。その頃かわせみの客で川越から来た造り酒屋の奉公人長太郎は15年ぶりに江戸に帰ってきた。実家の吉野家は潰れていた。長太郎は,行方知らずの妾お俊の子だった。逆恨みをして家を出た長太郎は,母親に謝りたいと母親を探していた。力になろうとするるい。東吾とるいも結婚の話が・・・。七恵のおめでたの話も

御宿かわせみ(12) 夜鴉おきん

2015-01-11 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ12冊目「夜鴉おきん」1989年5月。オール讀物昭和63年1月から8月

「酉の市」
東吾とるい,お吉が揃って酉の市へ出かけた。そこへ深川の書物問屋大店の英盛堂の中年夫婦,お紀乃と佐兵衛の中年夫婦と出会う。
そのお紀乃が殺された。東吾は源三郎から相談を持ちかけられ,葬式に出向く。そこに同業の神田の村田屋の主人次郎兵と息子の佐太郎を見かける。佐太郎とお紀乃の妹,お三輪と縁談があった。
「春の摘み草」
本所の貸席業三河屋喜左衛門の倅万太郎は15歳児で問題児。祖母に手を挙げ,傷つけたという。それでも祖母は万太郎をかばう。その万太郎の母は三河屋の奉公人で店から追い出されていた。母を思う万太郎の複雑な心情。喜左衛門はおよねが再婚したと知って逆上する。
「岸和田の姫」
東吾と源三郎は代々木野の恩師の見舞いに行く。そこには天野宗太郎が看病していた。東吾と宗太郎はしばらく滞在することになる。
ある日鯉をもらいに行った帰り,東吾はまだ幼い少女と出会う。気品のある容姿にぜんそくを病んでいた。それは泉州岸和田5万石の岡部美濃守の娘,花姫だった。
東吾は江戸の暮らしを姫に話す。姫はその暮らしを見たいとかわせみに来る。ほっとする一編。
「筆屋の女房」
花嵐の止んだ夜,東吾のいないかわせみに神田の筆屋の家付き娘おたかが東吾を訪ねてきた。命を狙われ逃げてきたという。
どうも白酒で殺されかけたらしい。そして,おたかの幼馴染のお蝶が殺される。お蝶と,おたかの養子要助は昔,好きあっていた。
「夜鴉おきん」
6件の店が続けて盗賊に入られた。そして,若い使用人が殺されている。通之進は東吾に探索を命じる。どうもその若者は皆,伊勢参りに行く抜け参りをしていたらしい。その一人の姉におきんという芸人がいた。
「江戸の田植歌」
お吉が気に入っている売り舟の百姓,野菜売りの良吉。その良吉が土左衛門になって大川に引っかかった。良吉は質屋の吉野家の死んだ旦那の妻おけいの情夫だった。
吉野家の女房,お里の仕業か。おけいと良吉の仲を羨んだのか。
「息子」
大工の棟梁源太が仕事に入った店が次々と盗賊に襲われる。親子喧嘩が絶えない3男坊の大工小源太の仕業ではないかと噂が立つ。かわせみではこの2人に家の造作を頼んでいた。
「源太郎誕生」
源三郎の妻千絵が2度目のおめでた。1回目は流産していたので大事をとって実家の江原家で静養していた。源三郎が風邪をひき,宗太郎が治療し,東吾やるいが看病しているところに千絵がやって来る。千絵の幼馴染のおたけの亭主布袋屋の新七が殺される。生まれたばかりの子どもを楽しみにしていた。

御宿かわせみ(11) 二十六夜待の殺人

2014-12-14 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ 11冊目「二十六夜待の殺人」。1988年9月。オール読物昭和62年4月~12月。8月号を除く。

「神霊師・於とね」
19歳の於とねは神霊師として病を治したり、物事を予見したりと評判だった。茶問屋静好堂の若主人千之助27歳は、内儀のお久との間に子供が出来ずに於とねに相談していた。うわさを聞きつけた東吾は、将軍家お典医の天野宗伯の息子、宗一郎を尋ね、於とねの話を聞く。そんな中、お久が於とねの家でお籠もりをしていて首をくくって死んでいた。千之助夫婦に仕掛けられた罠。
「二十六夜待ちの殺人」
表具師の今井有斎が俳諧師として、6人の商人と目白不動の二十夜待に行き、月見としゃれていた。その夜、有斎は目白不動の崖から落ちて水死した。しかし、東吾はその死に疑問を抱く。この6人は、有斎の家財道具一切をすべて買い取ると、有斎の妻に告げ、家捜しをし出した。
「女同志」
青山の京菓子の三升屋の初孫、一歳を迎えた一太郎が連れ去られた。母親はるいの幼馴染のお美也だった。かわせみに相談に来るお美也と春之助。春之助は、昔、菊屋に奉公していたときに、おぎんとお美也と付き合っていた。お美也は、おぎんが一太郎を連れ去ったという。しかし、おぎんは店に出ていた。人は、生まれてからいろいろな人にねたみ、そねみをもらっている。人生を狂わせる出会い、そして別れ。
「牡丹屋敷の人々」
るいが目を患い、眼病に効く茶の木稲荷へ参る。そこで、目の不自由な若い娘、小雪と出会い、花作りを生業とする屋敷に招かれる。その兄、岡本彦四郎が、釣りに出かけて、溺れて死んだ。その頃、大名屋敷の名刀が盗まれる事件が多発する。東吾と源三郎、るいのチームワークが冴える。
「源三郎子守唄」
源三郎の妻の千絵の父、蔵前の札差、江原屋佐兵衛の法要が浅草であった。その時、近くの田で武士が斬られ殺される。その男は赤ん坊を近くの社に置いていったという。その赤ん坊の着物から松戸を訪ねた東吾は、その母親が千絵の夫の畝源三郎と縁談のあった新番方組頭、笠原辰左衛門の娘、おいねだったことを突き止める。
「犬の話」
かわせみに迷い犬が住み着いた。日本橋のい木綿問屋の伊豆屋の隠居が犬好きで数10匹を飼っているという話が伝わってくる。その犬が、近くの雛人形屋の近江屋の猫をかみ殺してしまう。険悪な2つの店。そんな折に、江戸を荒らしまわる盗賊、竜巻組の話が伝わってくる。その竜巻組が、伊豆屋と近江屋に押し込んだ。
「虫の音」
岡本家と内藤家。姉妹が嫁いだ両家には同じ年頃の姉弟がいた。その子の学業えをめぐる母親同士の確執。内藤家の長太郎16歳が狸穴の方月館に通っていることから姉のお鈴の相談を受ける羽目となった東吾。岡本家の18歳の富之助が母親を斬ってしまう。
「錦秋中仙道」
漆器問屋の宮越屋の長女、おしまが嫁に行くことになったが、漆にかぶれ、顔が腫れ、代わりに腹違いの妹、おきぬが代役を務めることに。ところが、代役が主役になってしまった。かわせみに泊まっていた、木曾から宮越屋へ品物を届けに来た檜細工の店の若主人、木曾屋新助がいた。


御宿かわせみ(9)「一両二分の女」

2014-10-12 | 御宿かわせみ
御宿かわせみの第9弾『一両二分の女』1987年6月
オール読物昭和60年12月号~61年7月号
「むかし昔の」
10両をもったお年寄りの男性がかわせみにお吉をたずねてくる。しかし、お吉はその男性を知らず、お年よりもお吉ではないという。東吾は源三郎と人探しに奔走する。認知症をテーマに取り上げた。
「黄菊白菊」
深川の岡っ引き長助が、東吾に相談を持ちかけた。日本橋の大店の奈良屋徳兵衛の息子16歳の銀之助が、火事で一時身を寄せている、本妻の実家、大地主の舘市左衛門の家からいなくなったという。異腹の兄弟徳太郎と良吉とともに悪さのし放題だったという。腹を立てる東吾の見立ては。
「猫屋敷の怪」
日本橋の山形屋字五郎の娘、おすがは評判の悪い渡り中間の松五郎とつきあい、かどわかしと見せかけて、字五郎から金をせしめていた。そしてまた、おすががいなくなり、脅迫状が届く。困った岡っ引きの伝三は、先輩の長助に相談しようとしたところ、東吾と出会う。旗本が住んでいた猫屋敷で、おすがは殺されていた。300両を届けた手代の松之助が空井戸の中に落ちていた。
「藍染川」
東吾の兄嫁香苗の実家、麻生家で妹の七重から聞いた、茶道具屋の井筒屋徳右衛門の隠し子騒動。実の父に会いに来た新之助がかわせみに泊まる。いいかげんな人の思いにふりまわされる人々。
「美人の女中」
かわせみが女中不足になり、口入屋から20歳過ぎのおきたという娘が来た。そんな折、泊り客のお金が盗まれる。かわせみの使用人を調べてみると、おきたの部屋から100両近いお金が出てきた。
「白藤検校の娘」
本所石原町で金貸し、あんまで生計を立てる盲人の徳の市。白藤検校は16の娘、おきみと二人暮らし。おきみは世間の目のつらさから、金貸しを辞める決意をするが。借りたものは返すのが道理だが、その理がわからない人々。借りる場がなくなると困るといってくる武家。世の中の難しさに戸惑うおきみ。
「川越から来た女」
長助に誘われ夜釣りに出かけた東吾は、若い娘を川から救う。お三重は両親も亡くなり一人ぼっち。知り合いをたずねて川越から江戸へやってきた。翌朝、現場を見に来た東吾は、植木職人の松五郎という若者を見かけた。この松五郎が殺される。
前作『白萩屋敷の月』の「美男の医者」で登場した将軍御典医の天野宗伯の息子、宗太郎が2回目の登場。医者と命の軽重を東吾に語る。
「一両二分の女」
能登からかわせみに泊まった輪島屋久兵衛は、連れとかわせみで落ち合い能登へ帰る予定だった。その折戸屋吉之助は江戸に囲っていた妾のお蓮の家へ泊まると言っていた。東吾は調べるうちに、江戸へ来て商売をし、金を持って家へ帰らない商人が5人もいることに気付く。その宿にお辰という針灸をする女が出入りしているのを見かける。

御宿かわせみ(8)「白萩屋敷の月」

2014-09-14 | 御宿かわせみ
御宿かわせみの第8弾『白萩屋敷の月』
「美男の医者」
深川の長助親分が左太郎とおもんをかわせみに案内してきた。染屋の若い兄妹が、倒産した四条屋の下請けをしていて、10両もの勘定がたまっていた。おもんが腹痛を起こし、偶然、泊まっていた若い医師、寒井千種であった。四条屋の倒産には訳があった。女房と娘、番頭がぐるであった。東吾は寒井に助けを求め一芝居打つ。寒井こと、将軍の御殿医の息子、天野宗太郎の登場。
恋娘
塗り物問屋山口屋の一人娘、お鹿が父を川に突き落とした。わががままに育ったお鹿。いろいろ問題を起こし、許婚の中番頭の与之助も店を出て、同じ塗物屋の京本屋へ奉公に出る。そこで番頭に認められ、その娘おけいと祝言を挙げる。お鹿の行く末は・・・。
絵馬の文字
父親が死んでから半年経った先月に「お父ちゃんを助けて下さい」と書いた絵馬があった。矢倉清之助は14歳。母お志乃は実家で通い奉公をしていた。悲しい少年の末路。
水戸の梅
水戸の豪農の兄妹、庄太郎とお三重がるいを頼って、10年前に江戸へ出てきて帰らない、父庄兵衛を探しに、かわせみにやってきた。養子だった庄兵衛は、深川で女に養われていた。長助親分の縄張りで東吾が一肌脱ぐことになった。尻に敷かれ家の中に閉じこもる男の居場所。
持参嫁
東吾は方月館の主松浦方斎の知人の弟の娘、信江の死について調べてほしいと頼まれる。四谷の医師、坂上周庵が持参金目当てで信江の後添えをもらうらしい。信江から相談を受けていた妹の加江は、姉の死の真相を知るため、周庵との見合いを東吾に頼む。付き添いは、るいであった。
幽霊亭の女
深川の鰻屋逍遥亭に幽霊が出るという。そこで女主人のおきたが殺された。息子の清吉は、女で勘当されていたが、許され家を手伝っていた。勘当されていたときに店を手伝っていたのが、先代の旦那の甥、辰三郎だった。
藤屋の火事
馬喰町の旅籠藤屋から火事が出た。その中に京都から来た姉妹、お幸いとお六がいた。日本橋の扇問屋近江屋彦兵衛が京都で生ませた娘お幸で19歳になっていた。しかし、京都の両親は亡くなり、彦兵衛もすでに亡くなっていた。近江屋は、おりき、おようの姉妹がおり、おりきには婿の由太郎27歳が継いでいた。おりきがお幸を井戸へ突き落とそうとする。妹のおようが殺される。
白萩屋敷の月
東吾は兄、通之進から根岸の旗本青江但馬の別宅へ使いを頼まれた。そこは白萩屋敷といわれていて、通之進の7つ上のお香が嫁いでいた、お香は、子供の頃、通之進の家と親交ああった。その額には火傷の痕があった。美人でいきおくれ、年寄りの妻となり、火事のときに夫を助けに火の中に入ったという。その真実とは。通之進とお香の思い出。

御宿かわせみ(7)「酸漿は殺しの口笛」

2014-08-24 | 御宿かわせみ
御宿かわせみの第7弾「酸漿(ほおずき)は殺しの口笛」。1986年昭和61年4月刊行
春色大川端
正月早々、深川の材木問屋檜屋の一人娘お志津がかわせみに身を寄せてきた。昨年、父の主人庄右衛門が木曾山中で亡くなり、正月早々、味噌汁に毒が入っていた。
庄右衛門の妹おつね又五郎夫婦の息子弥吉が殺される。さらに、おえんの息子孝太郎も毒を盛られて殺され、庄右衛門の妹おつね又五郎夫婦も酒に毒を盛られ、庄右衛門のめかけのおえん、おえんも首をくくる。
檜屋のお家騒動に畝源三郎が一肌脱ぐ。
酸漿は殺しの口笛
日本橋の呉服問屋の婿の忠三郎が気に入らないと話すと主人の徳兵衛。母親の思い出の酸漿を鳴らしながら小さい頃別れた母親おとくを探す大百姓の娘お三重。母親そっくりのおしずを探し当てたのだが。
玉菊徒燈籠の女
吉原の花魁の紅葉野が、日本橋の塗り物問屋唐木屋のおかみ、おそのに刺されたと源三郎が東吾に相談に来る。唐木屋のおそのの婿養子、平八は、妹そっくりの紅葉野のところに通っていた。そのおそのが倉で首をくくって死んでいた。
おそのには腹違いの妹、18、9になるおいせがいた。
能役者、清太夫
東吾が小さい頃世話になった麻生家の女中が暮らす家の隣は能役者の進藤家。その養子は、相模の国大山の修験者清太夫だった。
また、かわせみに泊まり、勧進能で浄財集めをしていた加藤武太夫がいなくなった。その頃、水戸家をはじめ大名屋敷に盗賊が入っていた。また、大名家に融通する金を準備していた商家が1日で次々と賊に金を奪われる事件が起きた。
こられの事件を東吾は一つに結びつける。それは、貧乏旗本を飛びだした大川紋之助だった。しかし、八丁堀はその盗賊一味を捕られたが、紋之助を取り逃がしてします。
冬の月
かわせみ近くの酒問屋唐島屋の隠居、徳兵衛は、さびしい毎日を過ごしていた。そんな折に、結城から織物問屋のお内儀、おふきが子供を独り立ちさせ、一人暮らしがしたいと江戸に出て、かわせみで機を織るようになる。そんな徳兵衛とおふきは自然と話し相手になるようになる。しかし・・・。
老いがもたらす寂しさとそれを取り巻く世間体。しみじみとその難しさを語り合う東吾とるい
雪の朝
正月早々、かわせみに若い兄妹が泊まりに来る。どうも、駆け落ちらしい。沼津の茶問屋の倅惣吉と奉公人お町だった。
そんな折、東吾の通う狸穴の方月館の近くの呉服問屋の主人、正兵衛は独り身で老いた母親と暮らしていたが、女中おきたにせがまれ100両貸すが、おきたに逃げられる。
江戸は大雪で庭木の手入れにかわせみに来た、市五郎も駆け落ちものだった。若さの強みと男と女の歳月。


御宿かわせみ(6)「狐の嫁入り」

2014-07-20 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ第6弾「狐の嫁入り」昭和58年1983年5月刊行
師走の月
茶問屋東竜軒の一人娘おひでは、船頭の佐吉に熱を上げていた。そんな中、東竜軒の主人市右衛門が何者かに刺される。
迎春忍川
鼈甲かんざしの老舗加納屋の主人清右衛門が殺された。60過ぎの内儀は19歳のお比奈。そして、探索していた伊之吉も殺される。
犯人はだれか。手代の清次郎か、お比奈の母親か。東吾、源三郎、かわせみのおるい、嘉吉、お吉の推理とチームワークが冴える。
梅一輪
東吾が捕まえそこねた女掏り。その背中には将門の娘、滝夜叉姫の刺青が。それは将門の彦六という掏りの娘なのか。東吾が通う方月館で目黒村の出会ったおまさは彦六の娘だった。神田明神の対決が見もの
千鳥が啼いた
八丁掘吟味方与力の通之進は、弟東吾といっしょにいたところを襲われる。そこに助太刀をした伊之助は狸穴方月館の東吾の弟子だった。伊之助は名主の子だったが出自は侍の子だった。侍にあこがれる伊之助。そんな折、蔵前の料亭鶴伊勢屋に賊が入り、主人夫婦、跡取り息子が惨殺される。
狐の嫁入り
本所界隈で、狐の幽霊の話が持ちきり。金貸しの検校が借金のかたに材木問屋木曾万の娘を自分の息子の嫁にと所望する。
殺しの無い、粋な成敗が楽しめる。
子はかすがい
東吾の兄嫁香苗のおめでた騒ぎ。東吾が通う方月館の奥向きを取り仕切るおとせの犯人騒動、おとせの息子正吉6歳の行方不明騒動、そして、同じ犯人の殺人事件が3件連続で起きる。
赤ん坊を巡る悲しい兄妹の始末。
オール読物昭和57年11月号~58年4月号初出

御宿かわせみ(5)「幽霊殺し」

2014-06-08 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ第5弾「幽霊殺し」昭和57年1982年9月刊行。初出はオール読物昭和57年4月号から10月号

「恋ふたたび」
日本橋の薬種問屋中村屋伊兵衛の後添え、おとせの連れ子も正吉5歳がかわせみの物置で泣いていた。その中村屋の跡継ぎ、長男の長松がおとせの飲ませた薬で命を絶つ。おとせが長松を殺したのか。
「奥女中の死」
水戸家の奥女中みよしのは42歳、材木問屋の大忠の娘お勝だ。そのお勝つがかわせみで泊まり、人を待っていた。15歳のときに行儀奉公に出て、籠の鳥だったお勝は、向島の寮に住んでいた。東吾はお勝に同情を寄せる。
「川のほとり」
「恋ふたたび」で濡れ衣を着せられたおとせは、東吾の紹介で、狸穴の方月館に身を寄せる。、息子の正吉は東吾になついていた。東吾と正吉が散歩に出かけ、川のほとりである女が正吉に声をかける。その方月館の紙問屋万屋小兵衛の倅、藤太郎が婚礼の夜に殺された。その発見者はおとせだった。
「幽霊殺し」
深川で蕎麦屋をしている長助は畝源三郎の元で岡っ引きをしている。その長助が、かわせみの面々に幽霊話を持ちかける。貸席の主人、安兵衛がその幽霊を殺したという。その頃、盗賊野分のさぶの一味が大名屋敷え襲う。業を煮やしたお目付役の香苗の父、麻生源右衛門が東吾と源三郎に探索を命じる。
「源三郎の恋」
源三郎が小さい頃から世話になっていたおよねが体が弱り、方月館の近くに住んでいた。そのおよねは近くの庵主の尼僧に灸を吸えてもらっていた。
「秋色佃島」
八丁堀近くの薬師堂で神田のお菓子屋三春屋が配る饅頭で具合を悪くした者が続出した。かわせみのお吉もその一人だった。
しかし、当の三春屋は心当たりが無い。そんな中、三春屋の手代伊之助がかわせみに詫びに訪れる。伊之助はるいに店に来てほしいと誘いだす。おるいがかどわかされた。
「三つ橋渡った」
神田の煙草問屋伊藤屋藤四郎宅に賊が入った。捨て子を拾ってもらってその家に押し込みに入る手口が続出する。そんな中、かわせみに、赤ん坊の病気を治すために江戸に来た夫婦連れ、赤ん坊を負ぶった少女が次々とやってくる。
泣かせる一作。

御宿かわせみ(4)「山茶花は見た」

2014-05-11 | 御宿かわせみ
昭和52年12月御宿かわせみ第4弾 山茶花は見た
山茶花は見た
七化けの太郎次一味がつかまった。3・4千両にもなる盗んだ金のありかがわからない。そんな事件を被害者がかわせみに泊まり、東吾に相談をもちかける。
女難剣難
源三郎に一目ぼれをしたという御高祖頭巾の女が現れる。そんな折り、御高祖頭巾の女すりが現れ、江戸市中を賑わす。また、源三郎の懇志の札差の主人が100両を取られ、殺される。
源三郎が昔捉えた朽縄の仁吉の一味が源三郎を狙う。2巻目の江戸の子守歌「お役者松」の松が登場、いい働きをする。
江戸の怪猫
深川芸者と余興を楽しんでいた茶屋の扇屋藤左衛門が吹矢で殺された。そして、その娘のおきぬが井戸へ落ちて死んだ。嘉助の旧知の息子、岡っ引きの政次郎がかわせみに助けを求めてきた。
鬼女
るいがひいきの呉服屋津田屋の婿養子、五兵衛がいなくなった。遊びも道楽もしない五兵衛は、毎月、千駄ヶ谷の富士権現に詣でていた。そこへ妻のおあつが出かけていた。
鴉を飼う女
かわせみに行こうとしていた東吾は、襲われていた、鴉使いの彦三の娘、お絹を助ける。お絹は、香具師の文七にめかけになれと責められていた。文七のアリバイを崩す東吾の見識。
ぼてふりの安
棒手振りの魚屋の安吉が、娘のおいちと深川の女郎を取り替える算段をしている。そのことを聞いた東吾は・・・。人の運命はわからない。
人は見かけに
かわせみに泊まっていたおていは、信州の湯の宿で女中をしていたときに知り合った深川大店の、息子の子供を産む。
偶然、おていと一緒について来た政吉は、飾り職人をしていたという得たいの知れない人物だった。
贋金つくりの一味を一網打尽にする東吾の活躍。
夕涼み殺人事件
逢引の男女を殺す事件が立て続きに起こる。そんな折、その殺人現場を麦湯売りの娘おたよが見ていた