御宿かわせみ「春の高瀬舟」24冊目 初出オール讀物平成9年3月号から11月号1998年3月
花の雨」
定回り同心吉井伝兵衛は50歳。そろそろ家督を一人息子の喜一郎に譲ろうと思うのだが,麻布の岡場所に入り浸っていて家に帰らないという。
通之進から相談を受けた東吾は,親子の仲立ちをするのだが。
連続盗賊事件の片棒を,喜一郎の馴染みの妓が努めていた。父親と子の関係は難しい。
春の高瀬舟」
下総の古川米を扱う古河屋の大旦那市太郎が米の買い付けに養子の輝之助といっしょに出かけた帰りにいなくなった。
3日後に利根川の水田で死体で発見された。
妻のおくめは輝之助が犯人だといい,娘のお万は輝之助が気持ち悪いと東吾にいう。
輝之助にも市太郎の話を聞くが,両者の話が食い違う。
日暮里の殺人」
かわせみの常客の川崎の庄屋,世話好きの森川徳兵衛が日暮里のお寺本行寺で殺されていた。
川崎から出てきた婿の源蔵と手代の甥の吉三郎が骨を持って帰るが,本行寺に骨を置いて行方知れずになる。
吉三郎の女房のおいとは2人の幼子を残して駆け落ちをしていた。おせっかいが招く悲劇。
伝通院の僧」
東吾が長助から聞いた柳橋の蕎麦屋の話。小石川の伝通院の若い僧がちょくちょく通ってくるという。
柳橋の芸者お染の顛末。
二軒茶屋の女」
深川富岡八幡宮の近くに昔,二軒茶屋と呼ばれる料理屋があった。幕府の倹約奨励で伊勢屋は潰れ,松本は残った。
その松本で日本橋の骨董商仙鶴堂の展示会が開かれたが,その売り上げの300両が盗まれた。見慣れぬ女中がいたという。
源三郎から東吾は相談を受ける。成長する千春。家の不幸で堕ちていく娘。人の世の怖さ。
名月や」
お吉に団子の味見を頼まれる東吾。その団子で行商をしようとする庄吉は,江戸で指折りの料理屋,深川の平清に生まれたが,女中の子で,赤ん坊の時に養子に出された。その姉おしなは妾の子であったが,老舗の菓子屋丸勘に嫁ぎ,庄吉を支援していた。
長助,宗太郎,文吾兵衛も庄吉を支援していた。
その長助が,今度はかわせみへ野菜を届ける孫七の心配をする。孫七の女房おやすが,連れ子の5歳2歳の子を置いて,箱根の湯治の付き添いに出かけるという。
子どもがいては商売ができない。長屋の皆で世話を焼くことになる。
しかし,おすがは予定より早く帰り,途中寄り道をし,孫七のお金も使ってしまう。その2人の子も事故で亡くなり,孫七はおやすに三行半を突きつける。
その孫七に庄吉が世話を焼きはじめる。女に懲りた男同士の友情。
紅葉散る」
麻生源右衛門,神林の亡父と懇志の旗本滝川大蔵の古希の祝いに,香苗,宗太郎と招かれる。その時,家の前で女が斬られた。
立花藩の大村家へ嫁に行き,未亡人となった清水琴江だった。琴江は,主家の柳河藩立花家の姫君が多度津藩の京極家へ嫁入りして,その姫のお供としているはずだった。
麻太郎も一緒だという。若殿の密書を持って,江戸の大殿へ届ける途中だったという。
麻太郎の行方を必死に探す東吾。琴江はこと切れる。
その麻太郎は琴江が機転をきかし,籠に匿い江戸に着いていた。麻太郎は琴江から神林通之進への書状を言付けていた。
両親のいない5歳の麻太郎を,通之進は養子に引き取ることを東吾に告げる。東吾泣きの一編。
金波楼の姉妹」
るいの幼馴染,五井和世,日暮里の普門寺にある西行庵の和光尼は,琴の発表会にるいと千恵を誘う。
その会場は今戸の料理屋,金波楼だった。そのお礼にまた,かわせみを訪れた和光尼は東吾に金波楼の内情を相談する。
金波楼の主人庄右衛門は後妻におせんをもらい,先妻の子おさちとおせんの子おしながいる。おせんの働きで繁盛を続ける金波楼。庄右衛門は,おせんが金波楼を乗っ取るつもりだという。7
その庄右衛門とおさちに毒が盛られる。
男前の板前をめぐっての姉妹のさや当てかと東吾と宗太郎はにらむ。
花の雨」
定回り同心吉井伝兵衛は50歳。そろそろ家督を一人息子の喜一郎に譲ろうと思うのだが,麻布の岡場所に入り浸っていて家に帰らないという。
通之進から相談を受けた東吾は,親子の仲立ちをするのだが。
連続盗賊事件の片棒を,喜一郎の馴染みの妓が努めていた。父親と子の関係は難しい。
春の高瀬舟」
下総の古川米を扱う古河屋の大旦那市太郎が米の買い付けに養子の輝之助といっしょに出かけた帰りにいなくなった。
3日後に利根川の水田で死体で発見された。
妻のおくめは輝之助が犯人だといい,娘のお万は輝之助が気持ち悪いと東吾にいう。
輝之助にも市太郎の話を聞くが,両者の話が食い違う。
日暮里の殺人」
かわせみの常客の川崎の庄屋,世話好きの森川徳兵衛が日暮里のお寺本行寺で殺されていた。
川崎から出てきた婿の源蔵と手代の甥の吉三郎が骨を持って帰るが,本行寺に骨を置いて行方知れずになる。
吉三郎の女房のおいとは2人の幼子を残して駆け落ちをしていた。おせっかいが招く悲劇。
伝通院の僧」
東吾が長助から聞いた柳橋の蕎麦屋の話。小石川の伝通院の若い僧がちょくちょく通ってくるという。
柳橋の芸者お染の顛末。
二軒茶屋の女」
深川富岡八幡宮の近くに昔,二軒茶屋と呼ばれる料理屋があった。幕府の倹約奨励で伊勢屋は潰れ,松本は残った。
その松本で日本橋の骨董商仙鶴堂の展示会が開かれたが,その売り上げの300両が盗まれた。見慣れぬ女中がいたという。
源三郎から東吾は相談を受ける。成長する千春。家の不幸で堕ちていく娘。人の世の怖さ。
名月や」
お吉に団子の味見を頼まれる東吾。その団子で行商をしようとする庄吉は,江戸で指折りの料理屋,深川の平清に生まれたが,女中の子で,赤ん坊の時に養子に出された。その姉おしなは妾の子であったが,老舗の菓子屋丸勘に嫁ぎ,庄吉を支援していた。
長助,宗太郎,文吾兵衛も庄吉を支援していた。
その長助が,今度はかわせみへ野菜を届ける孫七の心配をする。孫七の女房おやすが,連れ子の5歳2歳の子を置いて,箱根の湯治の付き添いに出かけるという。
子どもがいては商売ができない。長屋の皆で世話を焼くことになる。
しかし,おすがは予定より早く帰り,途中寄り道をし,孫七のお金も使ってしまう。その2人の子も事故で亡くなり,孫七はおやすに三行半を突きつける。
その孫七に庄吉が世話を焼きはじめる。女に懲りた男同士の友情。
紅葉散る」
麻生源右衛門,神林の亡父と懇志の旗本滝川大蔵の古希の祝いに,香苗,宗太郎と招かれる。その時,家の前で女が斬られた。
立花藩の大村家へ嫁に行き,未亡人となった清水琴江だった。琴江は,主家の柳河藩立花家の姫君が多度津藩の京極家へ嫁入りして,その姫のお供としているはずだった。
麻太郎も一緒だという。若殿の密書を持って,江戸の大殿へ届ける途中だったという。
麻太郎の行方を必死に探す東吾。琴江はこと切れる。
その麻太郎は琴江が機転をきかし,籠に匿い江戸に着いていた。麻太郎は琴江から神林通之進への書状を言付けていた。
両親のいない5歳の麻太郎を,通之進は養子に引き取ることを東吾に告げる。東吾泣きの一編。
金波楼の姉妹」
るいの幼馴染,五井和世,日暮里の普門寺にある西行庵の和光尼は,琴の発表会にるいと千恵を誘う。
その会場は今戸の料理屋,金波楼だった。そのお礼にまた,かわせみを訪れた和光尼は東吾に金波楼の内情を相談する。
金波楼の主人庄右衛門は後妻におせんをもらい,先妻の子おさちとおせんの子おしながいる。おせんの働きで繁盛を続ける金波楼。庄右衛門は,おせんが金波楼を乗っ取るつもりだという。7
その庄右衛門とおさちに毒が盛られる。
男前の板前をめぐっての姉妹のさや当てかと東吾と宗太郎はにらむ。