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パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

御宿かわせみ(24) 春の高瀬舟

2016-02-28 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ「春の高瀬舟」24冊目 初出オール讀物平成9年3月号から11月号1998年3月

花の雨」
定回り同心吉井伝兵衛は50歳。そろそろ家督を一人息子の喜一郎に譲ろうと思うのだが,麻布の岡場所に入り浸っていて家に帰らないという。
通之進から相談を受けた東吾は,親子の仲立ちをするのだが。
連続盗賊事件の片棒を,喜一郎の馴染みの妓が努めていた。父親と子の関係は難しい。
春の高瀬舟」
下総の古川米を扱う古河屋の大旦那市太郎が米の買い付けに養子の輝之助といっしょに出かけた帰りにいなくなった。
3日後に利根川の水田で死体で発見された。
妻のおくめは輝之助が犯人だといい,娘のお万は輝之助が気持ち悪いと東吾にいう。
輝之助にも市太郎の話を聞くが,両者の話が食い違う。
日暮里の殺人」
かわせみの常客の川崎の庄屋,世話好きの森川徳兵衛が日暮里のお寺本行寺で殺されていた。
川崎から出てきた婿の源蔵と手代の甥の吉三郎が骨を持って帰るが,本行寺に骨を置いて行方知れずになる。
吉三郎の女房のおいとは2人の幼子を残して駆け落ちをしていた。おせっかいが招く悲劇。
伝通院の僧」
東吾が長助から聞いた柳橋の蕎麦屋の話。小石川の伝通院の若い僧がちょくちょく通ってくるという。
柳橋の芸者お染の顛末。
二軒茶屋の女」
深川富岡八幡宮の近くに昔,二軒茶屋と呼ばれる料理屋があった。幕府の倹約奨励で伊勢屋は潰れ,松本は残った。
その松本で日本橋の骨董商仙鶴堂の展示会が開かれたが,その売り上げの300両が盗まれた。見慣れぬ女中がいたという。
源三郎から東吾は相談を受ける。成長する千春。家の不幸で堕ちていく娘。人の世の怖さ。
名月や」
お吉に団子の味見を頼まれる東吾。その団子で行商をしようとする庄吉は,江戸で指折りの料理屋,深川の平清に生まれたが,女中の子で,赤ん坊の時に養子に出された。その姉おしなは妾の子であったが,老舗の菓子屋丸勘に嫁ぎ,庄吉を支援していた。
長助,宗太郎,文吾兵衛も庄吉を支援していた。
その長助が,今度はかわせみへ野菜を届ける孫七の心配をする。孫七の女房おやすが,連れ子の5歳2歳の子を置いて,箱根の湯治の付き添いに出かけるという。
子どもがいては商売ができない。長屋の皆で世話を焼くことになる。
しかし,おすがは予定より早く帰り,途中寄り道をし,孫七のお金も使ってしまう。その2人の子も事故で亡くなり,孫七はおやすに三行半を突きつける。
その孫七に庄吉が世話を焼きはじめる。女に懲りた男同士の友情。
紅葉散る」
麻生源右衛門,神林の亡父と懇志の旗本滝川大蔵の古希の祝いに,香苗,宗太郎と招かれる。その時,家の前で女が斬られた。
立花藩の大村家へ嫁に行き,未亡人となった清水琴江だった。琴江は,主家の柳河藩立花家の姫君が多度津藩の京極家へ嫁入りして,その姫のお供としているはずだった。
麻太郎も一緒だという。若殿の密書を持って,江戸の大殿へ届ける途中だったという。
麻太郎の行方を必死に探す東吾。琴江はこと切れる。
その麻太郎は琴江が機転をきかし,籠に匿い江戸に着いていた。麻太郎は琴江から神林通之進への書状を言付けていた。
両親のいない5歳の麻太郎を,通之進は養子に引き取ることを東吾に告げる。東吾泣きの一編。
金波楼の姉妹」
るいの幼馴染,五井和世,日暮里の普門寺にある西行庵の和光尼は,琴の発表会にるいと千恵を誘う。
その会場は今戸の料理屋,金波楼だった。そのお礼にまた,かわせみを訪れた和光尼は東吾に金波楼の内情を相談する。
金波楼の主人庄右衛門は後妻におせんをもらい,先妻の子おさちとおせんの子おしながいる。おせんの働きで繁盛を続ける金波楼。庄右衛門は,おせんが金波楼を乗っ取るつもりだという。7
その庄右衛門とおさちに毒が盛られる。
男前の板前をめぐっての姉妹のさや当てかと東吾と宗太郎はにらむ。

御宿かわせみ(23) 源太郎の初恋

2016-01-03 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ23冊 「源太郎の初恋」
初出 オール讀物平成8年7月号から9年2月号
1997年6月

「虹のおもかげ」
定回り同心 吉田又茂51歳が殺された。先妻の子,後妻の2人の姉妹,隠し子の登場で跡目相続が混乱する。方月館から講武所へ行く途中に,蝉取りをしていた5,6歳の少年。東吾は蝉取りを一緒にしてやる。麻生の家で木村琴江と出会う東吾。筑紫の柳河へ国家老として帰ったが夫が卒中で亡くなったという。琴江は,主君の娘が嫁ぐ多度津へ麻太郎と行くという。蝉取りの少年は麻太郎だった。

笹船流し」
麻太郎を見た東吾の心情。引き取りたいと宗太郎を通し,琴江に伝えるが。琴江は木村麻太郎として生きたいと伝えてくる。長助が本願寺で出会った一人の女。自分の名前や居所を思い出せずにいた。かわせみに連れてくる長助。宗太郎にも見せるが治る気配がない。そんな中,藤沢で平塚代官所の御用を勤める柏屋藤蔵が妻のおすみの妹おけいではないかとかわせみにやっていくる。藤蔵を見た途端におけいは記憶を取り戻す。るいのおめでたが発覚。

迷子の鶏
かわせみに迷子の鶏がつがいで住み着く。源三郎はお寺の釣鐘泥棒に手を焼いている。東吾が鶏騒動と釣鐘を結び付ける。

月夜の雁」
東吾は兄通之進の命で姉香苗と唐墨を求めに対山軒へ行く。応対した内儀のお俊32歳,主人の善右衛門48歳。宗太郎の所へ薬草を持ってきた亀有の百姓の15,6歳の息子丑太郎。その丑太郎ついでに13歳の妹のお卯のが奉公している店へ鯉を持っていくという。東吾が付き合うとそこは対山軒だった。その鯉こくで,主人善右衛門が殺された。心配するお卯のの家族。

狸穴坂の医者
狸穴の方月館の近くで起こった麻布の大火。そこで親身に治療にあたる小野寺十兵衛45,6歳。その後妻はあさので5年前に結婚した25歳であった。そのあさのは弟子の久之助26.7歳と家を出ていく。その騒動に巻き込まれる東吾。あさの,久之助,十兵衛ともかわせみに東吾を訪ねる羽目になる。十兵衛はあさのに離縁状を書くことになる。ところが,その十兵衛が3番目の妻をもらったという。これが19歳だった。

冬の海」
るいがお腹の子によいと散歩に出かける。海の見えるところで女に出会う。その女はお吉の財布を拾い渡す。お吉は八丁堀育ちが財布を落とすなど情けないとしょげるが,東吾はなんとかつくろう。その女,おとくは千代松という男の子がいた。生きていれば21歳,10歳のときに手放したという。東吾が源太郎に凧を作ってやろうと材料を買いにいき,その女が掏るところを見る。悲しい人の運命と人生の無常。名作。

源太郎の初恋」
畝源三郎の倅,源太郎は7歳になった。母の千絵が歯痛で悩んで,いっしょに日比谷稲荷に詣でる。麻生宗太郎と七恵の娘花世も乳歯が入れ替わろうとして抜歯に悩んでいた。源太郎は花世のために一緒に日比谷稲荷へお札をもらいに行く。2人は東吾に会いたくて,狸穴の方月館に行こうとするが,暗くなり,途中の番屋に立ち寄るが。放火犯をつかまえる2人。
子育ての難しさを抱える3人,宗太郎,源三郎,東吾。

立春大吉」
るいが女児を出産する。喜ぶ東吾が長助の蕎麦屋長寿庵を訪れると2,3歳の児おせんが一人で煮込みうどんを食べていた。母親はお初といい,博打が趣味という。お初の母親は8歳の時に駆け落ちをしていなくなっていた。かわせみに泊まった信州からの女隠居の団体。つきそいのその女中にお民がいた。お初の母親だという。そして,おせんがさらわれた。

御宿かわせみ(22) 清姫おりょう

2015-12-06 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ22冊 「清姫おりょう」1996年10月 オール讀物平成7年10月号~8年6月号

横浜から出てきた男」
庄司家の菩提寺で会った横浜の糸問屋川崎屋利兵衛は,かわせみに泊り客だった。幼い頃に別れた姉おみのを探しに日本橋穀物問屋柏屋を訪ねる。
利兵衛とおみのは柏屋の先代の妾の子だった。
柏屋は利兵衛を丁重にもてなし,姉まで見つけてくれた。長助は,柏屋の身代があまりおもわしくないと聞きつけてくる。

蝦蟇の油売り」
長助のところへ蕎麦を届ける秩父の百姓喜助42歳が殺された。江戸に知り合いもいない喜助がなぜ殺されたのか。
娘のおふくが江戸へ出てくる。東吾に隣村の彦市が5年前に村を出ていったと東吾に話す。

穴八幡の虫封じ」
源三郎に女の子千代が生まれた。東吾は千代に虫封じのお守りをもらいに長助と穴八幡へ行くと,そこに深川の芸者,22か3の女盛りの駒吉もいた。
駒吉は生みの親,育ての親の姉妹の面倒をみていた。駒吉はこの母親のせいで破談になり,娘を養女に出していた。
ままならぬ母子の定め。東吾は筑紫国柳川にいる東吾の血を引くと思われる男児のことを思う。

阿蘭陀正月」
阿蘭陀正月を祝う医者の催しが品川で行われ,東吾は宗太郎と蘭方医や大店の店主と食事をともにする。
その場に出された鮟鱇の肝に河豚の肝が入っていた。依田貴一郎が死んだ。男の妬みの深さ。

月と狸」
狸穴の仙五郎が東吾を訪ねてきた。青山の刀屋備前屋の倅芳太郎を連れてくる。京へ修行に行って1年後,父藤兵衛が倒れ,まもなく,火事で藤兵衛,妻お元,姉のお加世が亡くなった。
お加世の婿番頭の新兵衛は無事だった。新兵衛は妹のもとに身を寄せていた。

春の雪」
王子権現に天璋院の代参がある。東吾の講武所の行軍がある。東吾は下見に行って,素焼きのかわらけを投げている武士と出会う。13代将軍家定の生母本寿院のお年寄りの甥加納政之助だという。
そして,お百度参りをしている娘を見かける。
5年前,加納政之助が投げた石礫が目が当たり,自害した娘がいた。天璋院の代参の行列に礫が投げられる。そして,自害した政之助の姿があった。

清姫おりょう」
雨宿りした東吾。その家は材木問屋田原屋の女主人46歳が殺されていた。
痴情の線をあたっていたが,相手が見当たらない。
また,宿で大金が取られる事件が起きる。女祈祷師,清姫稲荷のおりょうが怪しい。その清姫稲荷と田原屋は近くだった。

猿若町の殺人」
猿若町の旦那衆の素人芝居が評判で麻生宗太郎が招待される。宗太郎は東吾に七重,花世を連れて行ってくれと頼む。
その芝居で三河屋の徳之助が殺される。その芝居に出た春日屋のおきぬがかわせみに東吾を訪ねてくる。
おきぬの父,春日屋長兵衛に疑いがかかっているという。東吾の見事な推理が冴える。

御宿かわせみ(21) 犬張子の謎

2015-11-03 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ21冊目「犬張子の謎」1996年1月 初出オール讀物平成7年1月号から9月号(8月号除く)

独楽と羽子板」
正月に一組の老夫婦が江戸見物とかわせみに泊まる。藤沢の池田屋の隠居,仁左衛門と後妻のお芳だった。
その頃,老夫婦が病気のふりをして店の大金を盗む事件が続発していた。
かわせみの人たちはこの泊り客があやしいとふむのだが。
そのかわせみに,木綿の行商をしていてこのたび店を出したと久吉が挨拶に来た。その久吉は仁左衛門の先妻の娘おあんと駆け落ちをしていた。
柿の木の下」
節分の日,深川の木場で川並鳶筏の初乗りがあった。注目は材木問屋の岩代屋の倅,勘左の宙返りだった。
その勘左が大梯子から落ちて亡くなる。
その日,東吾は近くの富岡八幡宮で柿木に祈る娘,お光を見かける。
お光の兄勇次は15年前,11の時にお光を助けるため,柿の木から落ちて死んでいた。
永代の文吾兵衛の倅,小文吾が東吾に相談を持ちかける。
犬張子の謎」
大川で花見をしていた東吾,るい,お吉,長助。るいはその途中で犬張子を買う。後日,間違えて売ったと50過ぎの玩具職人の文治郎がかわせみにやって来る。
その文治郎が殺される。
文治郎はその犬張子を持ち出して,犬張子は真っ二つに割られて捨てられていた。
文治郎は東吾に相談があると家を出たらしい。
その通夜で文治郎の娘,おさきが殺される。そして,孫の徳太郎がかわせみやって来る。
大店の跡継ぎをめぐる争い。
割れた犬張子を修理するるい。その時,犬張子の中から・・・。
鯉魚の仇討
鯉の絵で有名な遊漁斎泉水が,料理屋中村楼で書画会を開く。千絵とるいはそこへ出かけていく。
その席で遊漁斎はいなくなり,土左衛門となる。
中村楼の主人長右衛門と遊漁斎の金銭トラブル。鯉の絵の出自が明らかに。長助の勘と東吾の機転。
十件店人形市
久しぶりに狸穴のおとせ,正吉,仙五郎がやってくる。仙五郎に初孫ができ,鯉の吹き流しを買いに来たという。
その人形市を訪れた東吾は木綿問屋相州屋の良右衛門の孫を奪い取る麻布の名主,安東重兵衛の内儀,お今と出会う。
お今は20年前,重兵衛と奉公人との子,重吉10か月を置き逃げにしていた。
東吾は鍾馗の旗が気に入り,その親子職人,源七,源太親子と知り合う。
その旗を,仙五郎,正吉,長助,源三郎,宗太郎に配る姿が微笑ましい。
愛宕まつり」
愛宕権現に参ったるいとお吉は深川の材木問屋甲州屋の大番頭吉兵衛と出会う。
その吉兵衛は60になり,30年務めた甲州屋を去るという。その吉兵衛は,娘のいる甲州へ行く途中に午に蹴られてかわせみに運ばれる。
そんな中,甲州屋が付け火に会う。そこには吉兵衛の煙草入れが落ちていた。
何が不運で幸いか。
蓮の花」
上野不忍池の蓮の花を将棋仲間と見に行った長助は,深川一の会席料理屋大和屋の隠居,治郎八がこの池に女房を沈めたといって皆を驚かせる。
その治郎八が店で倒れた。長助はこの話が気にかかり,東吾に相談する。その治郎八が亡くなった。
治郎八の女房のお房には昔,好き合った人がいた。
富貴蘭の殺人」
長助の家の近くの按摩の娘,お戸美が旗本屋敷に奉公に上がり,富貴蘭を枯らし,自殺した。
しかし,お戸美には将来を誓い合った大工の甚太郎がいて,枯らした富貴蘭の後始末を話し合っていた。自殺するはずがないと長助と東吾はにらむ。
そして,富貴蘭が枯れたと,旗本,河田伊織も切腹してしまう。


御宿かわせみ(20) お吉の茶碗

2015-10-12 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ20冊目 お吉の茶碗 1995年4月

花嫁の仇討」
中津川から江戸に出てきた木材商日ノ木屋の女房おさだと娘のおたかが良い嫁ぎ先を探すためかわせみに泊まる。
上野で出会った仲人医者の鶴田典庵が間に入り,浅草の口入屋辰巳屋利兵衛の倅久松を紹介する。
辰巳屋の思わしくない噂を聞き,東吾は源三郎に相談を持ちかける。
源三郎と東吾は結婚に反対するが,おたかは決心したという。
姉さん思いの妹の仇討顛末。
お吉の茶碗」
大安売りの季節がやってきた。お吉は深川の骨董屋から一箱1両で買って来た。その骨董屋に賊が入り,主人を殺し,帳面が無くなっていた。
東吾が調べると,盗品を扱っていたらしい。東吾の勘が冴える。
池の端七軒町」
池の端の小さな煎餅屋のおばあさんお源は,細々と煎餅を焼いていた。
昔は大店の煎餅屋だったが,早くに主人を亡くし,一人息子も相場に手を出し,自殺していた。
今は,孫娘のおひさと暮らしていた。おひさは口汚くお源をののしる毎日に東吾も腰が引ける。
そのお源が不忍池へ身を投げた。心配して小田原から甥の市五郎がお源を引き取りに来るが,おひさはお源を放さない。
祖母と孫で暮らすせつなさが身に染みる。
汐浜の殺人」
浦安の行徳の塩屋の多田屋総右衛門の内儀,おつぎ43歳がかわせみに泊まりに来る。誰かと待ち合わせをしていると話すおつぎが長じゅばんを手入れする姿にるいは誰が来るのか心配するが。
しばらくしておつぎの亭主の総右衛門がやって来て,おつぎを連れて帰る。
しばらくして,おつぎの弟と名乗る伝之助が横浜からおつぎを訪ねてかわせみにやって来る。
そして,総右衛門が塩田で殺された。おつぎと伝之助は血のつながりのない姉弟だった。
春桃院門前」
麻布の料理屋 涵月亭の仙右衛門には一人娘の18歳のお順がいた。仙右衛門の妾おすがは花屋を営み,お順の1つ下の娘おえいがいた。
先月仙右衛門が亡くなり,お順はおえいを引き取る。
よく似た娘がいる料亭は評判になるが,そのおえいと板前の吉三郎が心中をしてしまう。
そのお順に縁談があり,店を閉じることになっていた。おえいの母のおすがは,おえいは殺されたと申し出る。
お順の悲しい人生の顛末。
さかい屋万助の犬」
洋風の武器弾薬を扱う御用商人さかい屋は,深川に広大な屋敷を建てる。その接待に大工の孫助の娘手伝いに行ったきり,戻って来ない。そして,使いが5両で引き取ると孫助に伝える。
その頃,屋敷にいる巨大な犬が話題に上る。
怪盗みずがらし」
東吾は勝麟太郎に気に入られ,軍艦操練所で洋上にいることが多くなった。そんな時に江戸の富商を荒らしまわる怪盗みずがらしが暗躍していた。
その手口から長助がるいに相談をかける。家人が眠ってしまうこと,火をつけること,家人がひとり逃げ出していることなどから,その女中が怪しいと推理する。
かわせみの近くで,盗人火事があり心配になった東吾はかわせみに駆け付ける。
捕り物小町のるいの感が冴える。
夢殺人」
神田の菓子屋三春屋の末娘,おふじが殺される。おふじは神田の東竜軒の若主人,堀江平太郎の許嫁であった。
そのおふじは嫁入り道具を身に,かわせみへ来ていた。
その姉のお銀は殺しをする夢を見ると麻生宗太郎の知り合いの医者に相談していた。
三春屋の主人長兵衛と後妻の女房のお永が心中する。長兵衛の遺書に自分がおふじを殺したとあった。

御宿かわせみ(19) かくれんぼ

2015-10-11 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ19冊目 「かくれんぼ」1994年7月

マンドラゴラ奇聞」
横浜異人館で商売をしている横浜屋弥助というものがかわせみに泊まる。その弥助を探しに宗太郎がやって来る。人を狂わせる危険な人参を持っているという。
その弥助が殺される。持っていた荷を探しに東吾と宗太郎は横浜へ行く。ブラザ商会のイギリス人に襲いかかる唐人がいた。
花世の冒険」
宗太郎と七重に長男の小太郎が生まれる。注目の長男に比べて,少し寂しい花世は,一人でかわせみへ向かう。その頃,小さな子が誘拐される事件が起きる。
その事件を迷子になった花世が解決する痛快編。
本所深川の盛り場や岡場所の元締め,永代の文吾兵衛,倅の小文吾に助けられる花世の女親分が見もの。
残月」
深川の木綿問屋相模屋の娘,おきたは近江屋へ嫁いだが4歳の娘,おうのを残し,廻船問屋の隠居,五郎左を殺し,20年の刑を終えて,島流しから帰ってくる。
実家の相模屋は火事で家族もいなくなっていた。源三郎は父が関わっていたため,かわせみへ泊まらせてくれと頼む。
源三郎は,おきたの動機に不審を抱き,東吾は過去を調べ始める。子を想う母の執念。別れの波止場で娘をよろしくお頼み申しますと東吾にいうおきた。
かくれんぼ」
品川の滝川大蔵の茶会。知人の麻生源左衛門や香苗・七重姉妹が務め,るいと千絵が手伝いに行く。
東吾は源三郎の息子源太郎と花世を連れて行く。
そこで源太郎と花世がかくれんぼをしていて事件に巻き込まれる。滝川家の隣の廻船問屋播磨屋の夫婦殺害事件のてんまつ。
薬研掘の猫」
かわせみが鼠の被害で困っている時,柳橋の売れっ子,小てるの三毛猫が行方不明になり,探してくれと番屋に届け出る。
貸本屋の隠居彦四郎が,その猫を連れていたと情報が入るが,箱根に静養に行ってしまう。貸本屋の夫婦,おたね源七郎が店をたたむという。
江戸の節分」
月を迎える江戸の風情が楽しめる。
準備に忙しいかわせみに1人の隠居が亡き夫の供養をするために浜松から江戸にやって来る。
その頃,講がはやり,集めた大金が持ち逃げされていた。どうもこの隠居が持ち逃げした犯人と目を付けるかわせみの皆。
その隠居が大川に身を投げるのをるいが助ける。親と子の情が正月気分を盛り上げる。花世と文吾兵衛親分の登場もいい。
福の湯」
深川の福の湯の女将,お寿は,50歳で独り身。体休めにとかわせみに泊まりに来る。
そんな時に,木更津の米屋信濃屋の隠居夫婦,与兵衛とおとりが故郷の信州へ行く途中に江戸見物とかわせみに泊まる。
中のよさそうな夫婦を見て,お寿は羨ましがる。
そんな隠居夫婦を訪ねて,倅の新助がかわせみにやって来る。
親に乱暴をふるう新助を,諭す東吾。人はなにがしか不安や心配,悩みを抱えて生きている。
一ツ目弁財天の殺人」
本所一ツ目橋の弁財天は目の神様。そこに参りに来ていた名主の娘,おみちが殺された。
そのおみちが心を通わせていた鍼師の弥三郎が放火の犯人として捕まる。
瓦町の岡っ引きの鬼甚が手柄を立てるが,弥三郎の知り合いの永代の元締め,文吾兵衛が,犯人ではないと東吾に相談に来る。

御宿かわせみ(18) 秘曲

2015-09-13 | 御宿かわせみ
御宿かわせみの18冊目「秘曲」1993年7月刊行

「念仏踊りの殺人」
父が亡くなったと聞いて,かさせみの女中のおたまは木更津の実家に帰るが,その念仏踊りの夜に殺される。
おたまの家には父の後添えのお辰とその娘,お梅がいた。おたまが殺される理由は何か。お梅には名主の手代との縁談があった。
名主吉衛門の倅は,おたまに言い寄っていたという。おたま殺しの犯人を追う東吾とるい。
「松風の唄」
東吾が通う銃隊調練所に川上武八という御家人がいた。妻は1人娘が生まれた時に亡くし,一人娘は近所の旗本へ奉公に出た17歳の時に事故で死んだという。
そのうち,修練所で銃が紛失する。武八に隠された悲しい過去と恨み。
花世の東吾を「ととさま」,るいを「ばばさま」という幼児語のかわいらしさが武八のむなしさをより際立たせる。
おたぬきさん」
東吾は講武所からの帰りにお吉から団子を頼まれる。その道すがら相模屋の辰三郎の女房のお勝35歳が茶店で毒を盛られ殺されるのに出くわす。
辰三郎30歳は,2年前に病死した先代の相模屋清右衛門の弟だった。お勝はその清右衛門の妻だった。
江戸の馬市」
狸穴で馬市に出かけた東吾は,馬を引く15,6歳の娘おきくを酔漢から救う。そのおきくが義理の兄孫太郎と,姉のおよねを探しに来たと東吾を訪ねてかわせみにやってくる。
姉は5年前に江戸の馬市に出かけ,行方不明になった。
その孫太郎が死体となって赤坂の池に浮かんでいた。東吾は,死体の近くの岡場所にいるのではないかと見当を付けたが,手掛かりがない。
冬の鴉」
姫路藩酒井家の奥女中が出入りする商家から金が盗まれる事件が立て続けに起きる。
源三郎は東吾に相談をかける。酒井家出入りの塗物問屋に張り込む源三郎は無事犯人を召し取る。
そんな騒ぎの中,かわせみには備中阿部家の家中,石原勘三郎がお吉を訪ねてくる。乳母ではないかと言うのだが,もちろん,お吉には心当たりがない。
目籠ことはじめ」
狸穴で紹介された竹細工職人の清太郎28歳とお内儀のおみや。清太郎は日本橋の竹細工物の老舗井筒屋の倅だという。18の時に家を飛び出し,瀕死のところをおみやに助けられたという。
そのおみやから東吾は,清太郎が井筒屋に帰れないかと相談を受ける。
井筒屋では病弱な次男,橋之助は3年前に病死していた。
井筒屋の重兵衛とおえいは清太郎との再会に喜ぶが,おみやは浮かない顔。一途なおみやの思いが,重兵衛とおえいに過去の出来事を思い起こさせる。
秘曲」
麻生の父が習う能の鷺流。その一子相伝の秘曲をめぐるお家騒動と麻生七重の幼馴染の琴江の息子麻太郎と東吾,るいの運命の出会い。
麻生七重がるいを能の舞台へと誘う。るいは,麻生家を訪れ,そこで木村主馬と,その妻,七重の幼馴染,琴江とその息子3歳になる麻太郎と出会う。
その後,当主の広信に秘曲を伝えるべく広信の父晴信の従妹,京の御所の女官綾路は娘の高信を江戸へ向かわせる。
跡継ぎの無能さと男子継承の伝統の難しさ。
その高信を襲う広信と母正香の陰謀。高信に救いを求められる東吾。無事,京へ向かう高信をかわせみで見送り,麻生家へ向かった東吾は,七重の幼馴染,琴江と麻太郎と出会う。
宗太郎と七重の娘,花世と貝合わせで遊ぶ東吾。その謡曲花月は,謡曲を描いた右の貝はあったが,左の貝が無くなっていた。そして,ようやく東吾は琴江の顔を思い出す。
菜の花月夜」
かわせみに赤ん坊の捨て子があった。るいは赤ん坊に付っきりで,東吾は面白くない。そんな折,東吾は木村麻太郎の件を東吾に相談する。子どもをめぐる東吾とるい。

御宿かわせみ(17)雨月

2015-06-21 | 御宿かわせみ
御宿7かわせみ17冊目「雨月(うげつ)」1992年9月
「尾花茶屋の娘」
蔵前の料理茶屋尾花屋は遠縁の旗本の三男坊建石捨三郎をかわせみに泊まらせてくれと頼まれた。そこへ尾花屋の娘お里が訪ねてくる。捨て三郎は当主左門の嫁と関係があったらしい。その捨て三郎hある日,東吾に切りつけてくる。
「雨月」
火事で焼け出された兄弟の運命。兄の吉太郎15歳,伊之助8歳の時に離れ離れになる。伊之助は茶の行商をしながら兄を探していた。東吾は,るいとお吉に頼まれ,兄探しの手伝いをする。その頃,武家屋敷に盗賊が入ると通之進から聞く東吾。悲しい兄弟の出会いと別れ。
「白い影法師」
東吾は甲州屋に入った賊から千両箱を守る。その賊の頭が何者かに殺される。そしてその墓が何者かに発かれる。その息子,市太郎は別居し豆腐屋を女房と営んでいたが,何者かに川に突き落とされ,家が放火される。そして,今度は甲州屋の主人太左衛門が変死する。賊が殺されていた稲荷と甲州屋は隣同士だった。
梅の咲く日」
かわせみに泊まっている清水の隠居,孫八は,亀戸天満宮に日参していた。門前で飯屋を営む息子徳松に会いたいという。孫八は30年前に妻子を捨てて江戸を出ていった徳兵衛だった。東吾は徳松に話をするが,父に会いたくないという。かわせみに徳兵衛を呼び出す文が届く。徳兵衛の過去。
矢大臣殺し」
名主の倅,徳太郎は近所でも有名な鼻つまみ者の35歳。女房には逃げられ,昼間から酒を飲む毎日。その徳太郎が一杯飲み屋の布袋屋で背中に白羽の矢が刺さって死んだ。その時,稲荷小路の長屋の者たちが,仇討の芝居を練習していた。東吾が長屋を調べに行くと次々と長屋の住人が自分が犯人と申し出る。東吾の人情裁きがみごと。
春の鬼」
川口の善光寺のご開帳に深川の町役人名主が参加する。その帰り道,志保井茂右衛門の娘,お妙25歳と高橋新左衛門35歳が無理心中をした。新左衛門の女房お富世は先代の外妻のお浜と娘のお光を家に入れない。お光には,深川八郎右衛門の倅の辰之助との縁談があった。そのお富世に子ができたという。東吾は新左衛門は子どもができない体だったと突き止める。
百千鳥の琴」
東吾のかつての同門,五井兵馬の妹,和世は剃髪し,和光尼となっていた。その和光尼が,幼馴染のるいを訪ねてかわせみを訪れる。るいが持っている琴を譲ってほしいという。亡き父の思い出の琴を手放す決意をするるい。和光尼のもとへ琴を習いに来ていたおみわの亭主,森助が家の近くで殺される。

御宿かわせみ(16) 八丁堀の湯屋

2015-05-10 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ16冊目「八丁堀の湯屋」1991年11月

「ひゆたらり」
東吾が方月館に行かなくなって1年にもならないが,狸穴の名主,松本庄右衛門の倅,伊太郎が師範代として勤めていた。(「千鳥が啼いた」)
東吾は久々に松浦方斎の元を訪ねる。その頃,狸穴の近くに医師が住み着いた。曲直瀬(まなせ)桃庵で薬頭の今大路成徳の血縁と名乗っていた。しかし,長女の浜路は宗太郎の母親,次女の糸路が後妻に入り,宗次郎,宗三郎を生んだ。西麻布の大百姓の荒木家で食中毒が発生した。この辺りを縄張りにしている飯倉の仙五郎の家に投げ文がある。ひゆたらりは悪い人だ。荒木家の女御隠居おとよが殺されると。
「びいどろ正月」
江戸で風邪が大流行り。宗太郎もかわせみ,神林家,麻生家とうがいと手洗いを奨励していた。そんな折,薬種問屋,長崎屋のうがい薬,びいどろの瓶に入った「神聖水」が評判になる。
その長崎屋で間違って口にすると猛毒になる消魔水が一瓶売ったという。びいどろの瓶は硝子職人,雛屋弥助が作っていた。弥助の妹,おせきは長崎屋を手伝っていた。
「黒船稲荷の狐」
門前仲町の呉服問屋,尾張屋半兵衛とおかつの一人娘おしまが昨年養子を迎えた要助が行方不明になった。その要助の許嫁というおいねが小田原から訪ねてくる。尾張屋では要助が返るまでおいねを雇うことにする。そんな折,尾張屋の恒例の大売り出しが始まる。東吾は,長介を小田原へ調べに向かわせる。
「吉野家の女房」
千絵に頼まれていっしょに雛人形を見に行ったるいは吉野家と言う古道具屋で雛箪笥を買う。その箪笥に恋文が入っていた。翌日,吉野家の内儀お多加が雛箪笥を引き取りに来る。その吉野家の主人,儀兵衛と雛人形屋の翁屋の女主人お初が心中する。東吾は,お初とお多加は新宿で宿場女郎をしていたことを突き止める。
「花御堂の決闘」
源三郎が毎夜、遅くまで働き、香の香りをさせて戻ると、浮気を心配して妻の千絵はるいに相談をかける。助は源三郎と亀戸天満宮の光蔵寺に張り込んでいるという。その寺の前にある茶屋の茶汲み女のお栄がいい女で、どうも源三郎に気があるらしい。そのお栄は、昔、東吾が源三郎とともに神道無念流、岡田十松の岡田道場に通っていたときの同門、五井兵馬の仇として東吾を狙っているものがいると源三郎に話す。五井は、盗賊の仲間となり、切腹をして果てていた。その妹、和世の世話を東吾と源三郎は見ていた。
「煙草屋小町」
東吾がかわせみの老番頭の嘉助に煙草を渡す。深川のそば屋長寿庵の岡引、長助も同じ煙草を吸っていた。どうも日本橋の花屋という煙草屋のものらしい。花屋は彦太郎とおはんの若い兄妹が営んでいた。おはんは煙草屋小町といわれるほどの人気者であった。そのおはんに、堀江六軒町の名主の倅、表之助がほれて、東吾は中を取り持ってってほしいと頼まれる。どうも兄の彦太郎が反対しているらしい。その、彦太郎がある夜、刺される。しかし、相手をいわない彦太郎。火事で焼け出された兄妹がどうして店が出せるようになったのか。東吾は不信を抱く。通之進の粋な計らいが光る。
「八丁堀の湯屋」
かわせもの嘉助のひいきの湯屋,松の湯がしばらく休むので,なつかしい八丁堀の湯屋大黒屋へ出かける。その大黒屋で,町奉行配下の同心,松田庄三郎が女湯の湯船で殺されていた。
「春や,まぼろし」
深川猿江町の足袋屋,三河屋喜兵衛67歳は2度目の妻もなくし,おつねとおかつの2人の子がいる。そこに喜兵衛は最初の妻おとよの父親違いの娘お小夜を連れてきた。おとよは30年以上行方不明になっていた。2人の娘はそれがおもしろくない。そのおつねの息子新之助12歳が水死する事件が起きる。新之助はおかつの婿金次郎と仲が悪かった。そのお小夜の出自を調べに行ったおつね夫婦がなかなか帰って来ない。東吾は源三郎に頼まれて長助と府中へ行くことになる。

御宿かわせみ(15) 恋文心中

2015-04-29 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ「15冊目「恋文心中」1990年11月オール讀物平成2年1月~10月
「雪女郎」
黒舟の来航。甲州屋の番頭忠兵衛36歳が殺された。その忠兵衛は先日の大雪の日に雪女に会っていた。独身の忠兵衛は色町に出入りしていたという。
「浅草天文台の怪」
2月,両国の回向院に武具を身に着けた幽霊が出るという。そんな中,千絵が,実家の江原家に出入りのある直参の矢島菊蔵の娘,弥生をかわせみに連れてくる。許嫁の天文方の井上丈太郎の家の大切な兜が質屋から盗まれたという。東吾の推理が冴える。
「恋文心中」
神林東吾の身辺が一変する。幕末の非常時を受け,奇数日は駿河台の講武所へ,偶数日は軍艦操練所へ行く事になる。兄の通之進はそのまま奉行所勤めとなった。
その軍艦操練所で坪内文二郎が大名家の御後室のお勝の方の恋文紛失騒動を東吾に相談する。恋文を出したのはなんと文次郎だった。
「わかれ橋」
本郷の大和屋の娘,お喜久がかわせみにるいを訪ねてくる。夫の新助に殺されるという。東吾が夫婦を元の鞘に納める。
「祝言」
東吾とるいが結婚。涙の祝宴の模様。姫路藩酒井家の本田籐七郎は,20年ぶりに江戸を訪れ,かわせみに宿をとる。江戸にいたときに将来を誓った,江戸屋敷奉公に出ていた畳表問屋播磨屋次郎兵衛の娘おはつの行方を捜してほしいという。20年前,江戸には大火があり,播磨屋の行方も分からなくなっていた。東吾は,その火事で焼け出されたという40歳ぐらいの岡場所の女初菊と出会う。
「お富士さんの蛇」
厄除けで有名な駒込の富士浅間神社。小間物問屋の吉野家の娘お初,隣の大和屋の娘おたかは共に19歳で,器量よし。富士浅間神社に参る。そのお初が,神社厄除けの藁細木の蛇で首を絞められ殺される。そのお悔みに東吾が講武所で教える久保栄次郎と出会う。また,近くの色街の売れっ子芸者,小染,小光,小えんの三羽烏とも出会う東吾。次におたかが殺される。
「八朔の雪」
8月1日は八朔といい,大名は白づくめで登城する。そして,吉原は白づくめで接待をする。講武所は,吉原の春景楼」へ繰り出す。そこで東吾は小染という遊女と一夜を共にする。その小染が日本橋の近江屋の手代,清三郎に殺される。るい似の悲しい女の一生。
「浮世小路の女」
浄瑠璃講釈師の菊花亭秋月が,大名の御典医,高橋良典を訴える。自分の三味線引きのおていをおもちゃにしたと。通之進は,御典医と秋月の両方を調べるようにと指示を出す。秋月の取り調べに手を焼いた源三郎は東吾に助力を頼む。秋月と2人で高橋の鼻を明かす東吾。秋月は幼い頃八丁堀で暮らしていた。東吾と秋月の幼い思い出。お秋と知った東吾が訪ねていくとすでに上方へ立っていた。せつない幼い思い出。