手作りのタイル

2015-02-09 16:44:06 | アート・デザイン・建築

 つくってみたら、こんな風にできましたよ。ひとつひとつ型に土を押し込むのでちょっと手間なんですけど、案外おもしろいです。
そんな風に言いながら、Hさんはテーブルの上にタイルの試作品を広げてくれました。
Hさんご夫妻はプロの陶芸家で、僕はいま、アトリエ兼住居を設計しています。

 Hさんは、普段は食器づくりが主なのですが、タイルもやれないことはないかな、ということで、実際に家に貼るためのタイルをつくってもらうことになったのでした。
今回はその試作品。一辺3センチ程度の小さなタイルで、モザイクタイルとよばれるものです。
作業そのものは難しいものではないそうです。でも、土や釉薬の選び方で、できあがったタイルの色や表情がまるで違うことに驚きました。
たとえば、土の種類が異なれば、上にかける釉薬が同じでも、まったく異なる色味・風合いのタイルになるのです。

 

今回見せていただいたタイルの釉薬は、すべて「鉄」の配合具合によって色味のバリエーションを出している、とのこと。
ベンガラの粉などを、2パーセント、3パーセント・・・と量をほんの少し変えるだけで、焼成した後の色味がまったく変わるのだそうです。
鉄がつくりだす不思議。それを我が物として習得するためには、やはり長い長い経験が必要なのだろうと思います。陶芸の奥深さを垣間見た瞬間でした。

 それにしても、どれも得も言われぬ渋い色! 人工的につくった作為ある色ではなく、これもそれも全て、鉄が醸し出す色なんだと思うだけで、何か腑に落ちる気持ちになります。
そして、釉薬のかかり方によって自ずとできる色ムラやニュアンスが、強い存在感となって表れます。さあ、どのように活かすか。それを考えるのが楽しみです。
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