ちょうどいい眺め

2012-04-05 18:09:31 | 旅行記

120405

京都市とイタリアのフィレンツェとは、姉妹都市として提携して、50年近くになるそうです。ともに歴史文化の深い街ですが、いろいろな面で似ているな、と思うところがあります。

まず、街の中をゆったりと流れる川、鴨川とアルノ川は、どちらも川辺が心地よい美しい川です。そしてふたつの街はどちらも盆地に位置します。その分、夏はものすごく、暑い。暑い盆地から逃げるようにして、周囲をとりかこむ山や丘陵にも、文化がひろがっていきます。京都市には東山といわれる丘陵が広がっていて、そこには多くの社寺仏閣とともに、別荘や御殿や離宮がつくられました。暑い夏にはそこに出かけていって、そこから京都市中を眺める。たとえば、江戸時代に後水尾上皇が指揮して造営した修学院離宮は、その最たるものだとも言えそうです。とても広い境内に、庭園とともにパヴィリオンを点在させ、その最も高い位置にある庵から、美しい人工池越しに京都市中の眺めが広がります。江戸時代と現在とではその眺めも当然異なりますが、高さの低く抑えられた、いぶし銀の家並みのなかに、ところどころ寺の塔が建ち山々を感じる眺めは、街の中にいながら感じるものとはまた別の魅力に溢れていたことと思います。

フィレンツェには、ちょうど東山にあたるような存在としてフィエーゾレという地域があります。歴史はむしろフィエーゾレの方が古いそうなのですが、中世の頃、貴族や裕福な人の間では、少し離れた場所からフィレンツェの街並みを見渡す、というのがステイタスだったそうです。フィエーゾレには、メディチ家をはじめ多くの有力者たちの別荘が建てられました。上の写真は、そんなメディチ家の別荘と同じ目線でフィレンツェの街並みを眺めたところ。上の方をよーく見ると、かの有名なドームをもつ大聖堂の姿も見えます、周囲にはトスカーナのゆったりとした丘陵や山々の風景。

街の中にいても楽しいし、街の外から眺めても美しい。そんな懐の広い楽しみ方のできる街は、やはり素晴らしいのだと思います。小さな視点と、大きな視点と。その両方を大切にした街づくりがひろがっていくといいですね。そうえいば昔に聞いたことがあるのですが、京都市のなかに、姉妹都市を記念してフィレンツェの有名な「ポンテベッキオ橋」を真似た橋をつくろう!との話がもちあがったことがあるそうです。しかもそれを鴨川に架けようというのです。いやあ、文化が違いますからね・・・。真似をすればいいというものではありません。その話は立ち消えになったそうですが、結果的によかった(笑)

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