鎌倉小町へ

2023-10-28 22:24:08 | 鎌倉小町の家


鎌倉の小町にできあがった家。植栽の植え付けも終わったとのことで、お伺いしました。
鶴岡八幡宮の門前町らしい古風な趣きのある界隈にしっくり馴染むよう、控えめに佇む外観としてデザインしました。
建て主は裏千家の茶人で、家には茶道の稽古にかかわる諸室が設けられています。

京畳でつくられた八畳広間は、明るく柔らかい雰囲気の部屋です。
亭主が座る畳の向こう側には庭が広がり、午後の穏やかな光が入ってきます。
住宅の中にある和室ですから、やはり日常使いとしても気持ちの良い部屋にしたいですね。

撮影をさせていただいた後、薄茶を一服いただきました。
その美味しいこと!

午後の時間、照明もいらず、自然光だけの室内でおしゃべりするのは、穏やかでとても楽しい時間でした。
設計のはじまりからの思い出話にも花が咲き。
できあがった家は、訪れた方々からも「とても居心地がよい」と評判をいただいているそうで、設計者としては冥利に尽きる思いです。



お茶の道具のお話にもなり、所有されている「高台寺蒔絵」柄のナツメを拝見しました。
ナツメというのはお茶の粉を入れておく器のことなのですが、和室のなかで見るその姿は、なんとも美しい趣きがあります。
こういう雰囲気を、言葉でなんと表現したらいいのでしょうか。

楽しく盛り上げていくようなインテリアではなく、むしろ穏やかさのなかに沈んでいくような不思議な空間。
そんな室内をつくれたことが、とても嬉しく思っています。

コメント
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