月見台の家.6 ~一年点検~

2012-05-15 16:46:05 | 月見台の家

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「月見台の家」ができあがってから1年が経ち、定期点検にお伺いしました。この住宅には、敷地の南北にふたつの庭が計画されていて、それらに包まれるようにしてリビングがあります。ですので、この一年の間に植えられた草木の雰囲気がどのようになっているかも、とても楽しみでした。

伺ってまず感じたのが、お施主さんがとてもこの家を大切にしてくださっているということ。ご自身で庭も手入れされています。手間がかかることではありますが、そんな風に暮らしていただいて、設計者としては頭の下がる思いです。

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点検では、お施主さんご夫妻と、施工担当の栄港建設の監督さんと一緒に家の内外を廻りながら、不具合等がないかをチェックしていきました。大工さんや建具屋さんをはじめ、各職人さんが丁寧な仕事をしてくださったおかげで、とても良い状態に保たれていました。時間が経って、その差がでてくるんですね。一通りチェックをし、庭の木戸の建て付けなど幾つかの部分について少し手を入れることにしました。

この家には、とりたてて目新しいデザインはありません。むしろ、極力そういう「個性」を削ぎ落しました。一方で、ものごとの間合いや、風景を切り取る窓のプロポーション、素材感や質感といったものを吟味しました。以前にこのブログで、「カタチ」ではなく「場所」をデザインしたかった、という話を書きました。丁寧につくられた木の窓枠や床は、少しずつ色味を深めています。窓からは庭の緑が鮮やかに見え、深い軒に守られた室内は、安らぎのある陰影に満たされています。椅子にすわって談笑しながら、今、この場所で時間を過ごしていることの居心地の良さを感じることができました。きっとそれが、この家の個性なのだろうと思います。

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南庭のパーゴラには、モッコウバラがだいぶ絡んできて、白いかわいい花がいくつか咲いていました。来年には、もっと多くの花が一斉に咲くことでしょう。華やかなんだろうなあ。楽しみです。

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