「国立アーリントン墓地」について知識を得ましたので、これを頭に入れた上で、もう一度小堀・新田両教授の言葉に戻ります。
・「招魂祭」が、明治天皇のおぼしめしで「東京招魂社」に、やがて「靖国神社」へと発展する過程で、「伝統的な温情と和解の心」が働いた。
「すでに、忠臣・逆臣の問題は解決されている」という両氏の意見を、私は自分なりに解釈し、聖徳太子以来の「和をもって尊しとなす」という形で解決されているのだと述べました。
私は前回、「もしそうなら、靖国神社としてやるべきことがあります。」と述べました。今回はその理由を、語りたいと思います。
「国立アーリントン墓地」と「靖国神社」の埋葬方法の違いを知れば、そこに鍵があります。死者の数え方に注目しますと、
「アーリントン墓地」では「建墓数 : 300,001 基」と書かれ、
「靖国神社」では「( 英霊 )246万6千余柱」と説明されています。
「アーリントン墓地」で眠っているのは、亡くなった人物のご遺体です。
「埋葬後に、埋葬に足る要件を満たしていないことが発覚した場合、墓が撤去された上、遺体が遺族に返還されることがある。」
という説明を読めば分かるとおり、墓には納棺されたご遺体が収められています。
靖国神社では建墓数でなく、英霊は「柱」と表示されており、まずもって広大な墓地がありません。神社に祀られているのは、ご遺体でなく、国のため命を落とした方々の魂なのです。
簡単な言葉で言いますと、靖国神社は「墓地」ではなく「霊廟」です。この違いを説明する叙述を、ネットで探しましたので紹介します。
・靖国神社には、被祀者の遺骨・遺灰などはない。
・まず暗闇の夜に、氏名、軍における所属・階級、位階、勲等などを筆書きし、「人霊」を「霊璽簿(れいじぼ)」( 旧称「祭神簿」)と称される名簿に書き移す。
・次に、靖国神社の神体とされる鏡に「霊璽簿」を写し、「合祀祭」を行うことで、「人霊」を「神霊」へと化す。
・このようにして「御霊(みたま)」を招来し、身分、職業、年齢、性別にかかわりなく、手厚く祀っている。
古来からの神事に従い、「合祀祭」を経て「英霊」が祀られていますから、「アーリントン墓地」のように一体毎のお墓がありません。小島氏は、「アーリントン墓地」の話をするのなら、こうした根本的な相違点を説明すべきでした。
そうすれば、心得違いをした反日左翼の遺族が、
「勝手に合祀した家族の遺骨を返せ。」
などと騒ぎ、要望に応じられなかった「靖国神社」を、横暴な国家権力であるかのようにマスコミが報道する愚行も、なかったと思います。
前回私が、靖国神社としてやるべきことがあると言いましたのは、「霊璽簿」の説明です。厳かな神事であるとしても、国民に対してはもっと広く、知らせる工夫がいるのではないでしょうか。
多くの国民が「靖国神社」を大切にしていますから、丁寧な説明が行われれば、反日左翼の人々と違い、そういうことだったのかと納得します。
「霊璽簿」がご神体の鏡に写され、「英霊」として祀られているのですから、どのようにして返すべきなのか困難になります。反日左翼の」ご遺族に説明をしても、誤魔化しだと批判される恐れがありますので、靖国神社は困惑しているのだと思います。
小島教授が「霊璽簿」を知らないはずがありませんから、無知な国民が騒げば「靖国神社」の権威が落ちると、黙っているのではないかと推察します。ネットを検索しますと、次のような間違い情報がありました。
・靖国神社には、韓国人2万1000人余りと、中国・台湾人2万人余りの「位牌 ( いはい ) 」も含まれている。
先の大戦時には朝鮮も台湾も日本でしたから、志願して軍人となった者も多く、日本のために死んだ軍人として祀られています。英霊となっている人数は正しいのですが、「位牌」はありません。
今回で最後とする予定でしたが、「合祀」に関する韓国「東亜日報」の記事を、偶然発見し、取り上げずにおれなくなりました。
日本よりも中国・韓国を大事にする小島氏が、彼らに正しい説明をしていないため、こんな誤解と憎しみが生じるという実例になります。
これ以上不愉快になりたくないという方は、次回をスルーしてください。( 間違いなく、不愉快になります。 )