画像は懐かしい、John Lobb Paris St.Germain。まだ店頭のコーポレートカラーがレモンイエローだった頃。今ぢゃ行きたくても、近寄れやしない、ときた。
画像はJOHN LOBBのバイリクエストで使われているカラーサンプルです。ルビコンを渡ったものだけが手にする聖書です(爆)。
各帳面は素材ごとにこれだけあるんですよ。なにも決めずにお店に入ったが最後、客は素材とカラーの迷宮に溺れることになるのですが、これがまた至福ときています(勝手にすれば)。
あれやこれや、と好き放題やってると、あっという間に30〜400万円程度がクツ一足に吹き飛ぶことになるわけですが、それもまたよし(ほんとうかい)。靴好きにとりましてはこのバイリクエスト時の店内は竜宮城のような存在といえるでしょう。
バイリクエスト経験者は、ああ、あの分厚いやつね、ということになるのですが、熱心な読者の方から、つぎのバイリクエストでDEEP BLUEを検討中だが、実際どんな色なのか、とダイレクトに質問をいただきましたので、許可をいただいたうえで詳細な記事にしてみます。
この色に出会ったのは初めてパリに出向いたときに泊まったホテルのロビーのガラスケースにディスプレイされていたイヤーモデル2007に目が留まったのが最初。スポットライトで照らされていたので、画像のようにだいぶハデな印象でした。
ですが、実際に色見本帳で眺めてみるとぜんぜんちがう色。ブルーと呼ぶよりはネイビー、角度によってはブラックか、とまことにあいまいな色調です。実際、見本帳にはネイビーも存在しているし、なんちゃらブルーなんてえのも多数あってまさに迷宮。
この辺りの顛末は、この年のパリ旅行記に詳細に記してありますので、ご興味おありの方はぜひどうぞ。
店頭でいくら眺めてみたところで、ダークネイビーか、とそんな印象しかない暗く沈んだ色です。実際にこの色が塗られた靴はないのかい、といって所望したところで、パリはもちろんロンドンでもまずムリ。店頭にはないでしょう。
納品待ちの注文品が偶然にあったとしたらまさに奇跡。ご縁と捉えていただきソク注文か、とそれくらいなレアぶりです。僕の場合は名前のイメージで決めたようなものです、はい。
外で見た印象は、まず画像の通りなんです。ところが
これ、ついさっき、おなじクツを冬のよわーい日光に当ててみた、の図。完全なブラックに見えます。右足の甲部分にハイライトがきて、ネイビーがビミョーに透けているのがわかりますでしょうか?このあたりがDEEP BLUEの所以です。
革の肌理も霧を吹いたように見えており、これが Misty Calfというネーミングの由来です。ワックスで埋めずに、水性クリームのみで仕上げていると、数年後にこのように仕上がります。さらに
これ、パリからロンドンにユーロスターに揺られながらヘロヘロになりつつ持ち帰った翌日にカンパイした時のもの(爆)。うれしさのあまり、これ履いてバスに乗ってジャーミンの店にビラかしに行って、戻ってきたときのショットです(ばかだわー)。このような光線下ではこれまた完全なブラックに見えます。
ちなみに直上の画像とその上の画像の間には5年の使用期間が経っています。月一程度で塗り込む水性クリームのみで維持している関係で、パッと見の外観は、ほぼ変化なく推移しております。
履きじわも水分を浸透させると、このように見えなくなってしまいます。クツそのものも柔らかく感じられて、全体に水分をたたえた感じ。5年後のほうがツヤが若干失せていますね。
かようにDEEP BLUEは、ビミョーな色調です。私的に表現するとインクのブルーブラックがちかいか。
珍しくもないたとえですが、わかりやすいところでいうとモンブランのブルーブラックそっくり(万年筆用インクね)。商品名Royal Blue。
もちろんたとえに過ぎませんけれど、色調、濃度共にかなりなところで似通っている印象っす。
経年劣化でミスティカーブの細部はこのようにだいぶ傷んできましたけれど、なにこれが味わいというもの。この個体もそろそろカカトが、という状態ですが、せいぜい履き込んでやるといたしましょう。
期待していた色アセはほぼ見られません。10年経てば、もう少し味が出るか、期待しつつ「履いて」待ちましょう。
コロナ禍の昨今の状況では、そもそもバイリクエストイベントの開催もあやしいものです。本国では、変異して感染力をあげた新型が蔓延っているとのニュースですし、工場はおそらく閉鎖。
じつは今年の春先にAさんにお願いしたRolex Explorer もまだてもとにきておりません。おそらく工場ごと生産停止しているのでしょう。
三越の「お帳場」に依頼してあるのに、この有様です。決定的な品薄状態がつづき、新品はもちろん、中古市場でも入手不可というのが実情。中古相場もここ6ヶ月で20万円近くの上昇で、プレミヤムつきまくり。
定価で買う方法は正規代理店頭のみ。というのですから、皮肉なことです。並行輸入のタマもプレミアムつきなのにも関わらず、完全に枯渇しています。
エクスプローラー1にはモデルチェンジの噂があるので、この先の展開も楽しみ。ちなみに三越伊勢丹ホールディングスへのEX1 の入荷数はいまや年間数本にまで落ち込んでいるので、ペーペー(=私みたいな新参者)が購入依頼してみたところでリストにすら加えてもらえないのだそうです。