嗚呼、オーベルジュへの道

長野県佐久市にあるホテル「おいまつえん」CEO兼こづかいさん(爆)の日常

履き道楽2024 ミョーなCITYがやってきた

2024-06-03 07:19:21 | 履き道楽

どーん、久々のジョンロブねたでございますw。とはいえ、私のコレクションではございません。センパイのAさんからの依頼で、履きおろすにあたって、お手入れを頼みたい、ということで手元にやってきた個体です。

このタグを見て、ピーんときた方はかなりなマニヤですねw。そう、ラストの番号が8695となっております。つまり現行モデルのCITY2ではなく、CITY1のオマージュ。再制作されたバイリクエストか、という想像は正しいです。

正確には三越別注モデル(!)。どうりで

ストイックなはずのCITYが、愛嬌たっぷりな仕立てになってるぢゃありませんかw。ソールに着色してある個体は私もはじめて見ました。ベルルッティぢゃあるまいしw。

おまけにネイビーミュージアムカーフで作られておりまして、全体に洒落のめした、洒脱な雰囲気が漂っております。ラスト8695は現行CITYに使われている7000に比べると若干ボリューミーで抑揚が強く、印象に残る木型です。7000はひたすらスマートで都会的な印象。クールといって良いか。

7000が登場する以前はジョドファーにも使われていましたけれど、やはりぽってりとした印象でした。ポールスミスコラボにも使われた木型でしたっけ?

ネイビーカラーのミュージアムカーフはご覧のように屋内ではブラックにしか見えず、これを礼装用として使うアイディアですが、そこも秀逸。ハイライトが当たった瞬間にミュージアムカーフに特有のムラ感が浮き出る様はなんともいえない色気が漂います。

さて、履きおろす前にお手入れするだなんてミョーだ、と思われる方も多いかと思いますが、靴の身になって考えてみますと必要な理由がよくわかります。

例外はあるものの、店頭で売られている革靴というのは、製造からは少なくとも3ヶ月、ものによっては2、30年経っているものもあります。そのかん水分、油分の補給がされていたかどうかは未知数。

原則、箱の中やショーケースの中にいて、革そのものはカチカチの板みたいな状態になっているのが普通です。

そいつをいきなり履いて歩いたのでは当然ダメージが大きく、場合によっては割れたり、裂けたりというのが現実に起きます。そうならないよう、油分と水分をあらかじめ補っておくのがこの工程です。今ではプレメンテだなどという言葉がありますけど、こんなのジョーシキ。

私、40年前からやってますけどw。トクイチオートでいう新車整備っすねw(わかんねーし)。

今回のこの個体も表面に艶出しのワックスは塗ってあったものの、靴の内装や外側は触るとカチカチ。やはり保管期間が長かった様子でしたので、見栄えだけのワックスを落としたのちに、指で大量のオイルを含ませるやり方で攻めておきました。

大まかにいって1週間。一度塗ったら、完全に乾くまで放置、というのがオイル塗りの原則ですから、トータルで6回程度塗り込んだでしょうか、そのかん随分と靴が柔らかくしなるように変化してきています。

使ったウエポンはこれ。ブートブラック、リッチモイスチャーw。洗面台に置いとくと、顔に塗りそうになるくらいな上質オイルですがw、こいつを新品のCITYに塗り込むのは、靴好きにとりましては至福のひとときというものです(爆)。

というわけで、間違いのない仕上がり。ワックスは一切使わずにオイルのみでCITYのミゴトな造形が際立つようなツヤとしました。モーニングでもいけるし、ダーク系スーツでもブレザーでもおけー。

ううむ、虎屋のおもかげというものっす(またいってら)。