市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有害スラグ問題を斬る!・・・スラグ撤去について前橋市監査委員にオンブズと市職員らが陳述(後半)

2016-08-20 22:12:00 | スラグ不法投棄問題
■当会では前橋市長に対して、前橋市内にも存置されたままになっている有毒スラグの撤去と措置命令を求める住民監査請求を前橋市監査委員に提出していますが、これに関連して、8月2日(火)午前9時半から前橋市役所6階の入札室でオンブズマン側から前橋市監査委員に対する陳述と監査委員との質疑応答が1時間に亘り行われました。その後、同日午前11時から市側担当職員(課長クラス)3名による陳述及び監査委員からの質疑応答が12分にわたり行われましたので、前半につづいて後半として、市役所職員らの陳述の模様を報告します。

後半の市関係職員らの陳述には立会人として参加。
 司会は前半のオンブズマンからの陳述の時と同様に、前橋市監査委員事務局長の湯浅真一氏で、冒頭に次の注意事項として「これより住民監査請求にかかる関係職員の陳述を始めます。私は監査委員事務局長の湯浅ともうします、本日の進行を務めます。よろしくお願いします。はじめに陳述の進行方法と注意事項について4点ほど説明させていただきます」と説明がありました。4点というのは、次の通りです

●1点目 陳述される職員はその場で名前を述べてから陳述を開始すること
●2点目 陳述時間については、通知した通り、監査委員からの質問時間を含めて概ね正午までとすること
●3点目 陳述は7月11日付で収受した前橋市職員措置請求書に記載されている請求の要旨に対して、市としての意見等を述べること。また本日は陳述の場で有ります。監査委員への質問の場ではないので、ご承知おき願いたいこと
●4点目 陳述の録音等は禁止とするが、監査委員事務局では本日の陳述内容を記録するため録音をとること

 次に、司会の湯浅事務局長が、「陳述に先立ちまして出席している関係職員の自己紹介をお願いをいたします。その場でご起立いただき職種氏名をお願いします」と関係職員に対して指示をしました。

 前橋市側から陳述の場に出席したのは、道路建設課長のナガオカ氏、廃棄物対策課長のモロハ氏、環境政策課のカミヤマ氏の3名でした。

 司会の事務局長は「それではただいまから関係職員による陳述を開始する。関係職員は名前を述べてから陳述をして下さい」と高らかに陳述の開始を宣言しました。

**********
【道路建設課長】はい、道路建設課課長のナガオカでございます。陳述を始めさせていただきます。平成28年7月8日付で前橋市監査委員宛に提出のありました前橋市長への前橋市職員措置請求につきまして、担当者として意見を陳述させていただきます。前橋市職員措置請求書の写しを読ませていただきました。この請求は前橋市が市発注工事で使用した有害鉄鋼スラグを撤去せずに、存置する方針を示したことが、公有財産の管理を怠る事実に当たり、公有財産を破壊するほか、住民の生活環境の保全上重大な支障をきたすことから、当該鉄鋼スラグを撤去するため、市長は廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいた措置命令を出すように監査委員による勧告を求める、という内容のものでした。この請求書の要旨に対しまして、道路建設課の立場から考え方を異にする点について意見を述べさせていただきます。
「2 事件の態様」及び「3 違法性」の中で、関東地方整備局、県県土整備部、渋川市で構成される鐵鋼スラグに関する連絡会議において、鉄鋼スラグを含む材料の対応方針を示し、処分方法を勝手に決めるのは越権行為であり、許されないとありますが、本連絡会議は大同特殊鋼株式会社渋川工場から出荷された鉄鋼スラグに関して、国、県、及び渋川市の各公共工事事業者が相互に情報共有等を図り、連携した対応等を行うことを目的としており、群馬県環境部局の助言を得ながら適切に対応して行くこととしております。本市においても、この対応方針を参考の上、市環境部の助言を受けながら、適切な対応を図っていくことで、問題ないと考えております。以上です。

【司会】えー、陳述は以上でよろしいでしょうか?

【道路建設課長】はい。

【司会】はい。えー、それでは、えー、関係職員による陳述が終了しましたので、監査委員から・・・

【場内】ええっ!

【司会】ああ、すいません。

【廃棄物対策課長】すいません。廃棄物対策課課長のモロハでございます。措置の請求に対しまして、陳述させていただきます。えー、廃棄物処理法に基づく措置命令ですけれども、処理基準、又は保管基準に適合しない廃棄物の処理等に起因する生活環境保全上の支障を除去し、または、発生を防止するための必要な限度において行うことができる、というものでありますことから、えー、支障の程度や、状況に応じまして、経済的、技術的に合理的と思われる範囲内で講ずるべき措置を選択しまして、その実施を命じなければならないこととなっております。えー、なお、生活環境保全上の支障と言いますのは、人の生活に密接な関係がある、環境に支障が現に生じまして、または、社会通念上、その恐れがあると思料するに相当な状態が生じる場合を言います。まあ、例えば、汚染地下水の飲用、まあ、こういったようなことが考えられるわけです。えー、これまで鉄鋼スラグを含む材料が使用されました本市公共工事周辺の環境調査結果におきましては、地下水の汚染など、生活環境保全上の支障が生じていると考えられる事例は確認をされておらず、えー、直ちに、廃棄物処理法に基づく措置命令が、必要であるとは考えておりません。以上です。

【環境政策課長】続きまして環境政策課課長のカミヤマと申します、えー、私のほうからは、えー、土壌汚染対策法につきまして陳述をさせていただきます。えー、土壌汚染対策法が対象としておりますのは、土壌でありまして、鉄鋼スラグを含む砕石につきましては同法の土壌とはみなされておりません。従いまして、鉄鋼スラグを含む砕石に対しまして、土壌汚染対策法による措置命令を発出することはできません。えー、次に、鉄鋼スラグを含む砕石の使用箇所についての措置命令ですが、土壌汚染対策法の措置命令として、土壌汚染による健康被害が生じる恐れがある土地についての、調査命令があります。えー、しかし、鉄鋼スラグを含む砕石の使用箇所につきましては、この調査命令を発出する要件に該当しておりません。次に措置命令として、汚染の除去等の措置の指示又は命令があります。この指示又は命令は、土壌汚染対策法に基づく要措置区域について出されるものであります。要措置区域に指定するためには、調査命令による調査が必要であります。えー、鉄鋼スラグを含む砕石の使用箇所におきましては、調査命令を発出する要件に該当しておりません。よって、鉄鋼スラグを含む砕石の使用箇所は、要措置区域として指定する要件に該当しないことから、汚染土壌除去等の措置の指示又は命令を出すことはできません。したがいまして、鉄鋼スラグを含む砕石の使用箇所につきましては、住民監査請求として請求人が請求をしております措置命令を発出するための要件に該当しないと考えております。えー、以上簡単ではございますが、監査委員より指示のありました陳述について担当職員として意見を述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【司会】えー、陳述は以上でよろしいでしょうか。

【市側関係職員ら】はい。

【司会】それでは、陳述が終了しましたので、監査委員から何かございましたらよろしくお願いいたします。

【小林監査委員】はい。よろしいですか。

【司会】お願いします。

【小林監査委員】確認のために質問をしたいと思いますけれども、えー、鉄鋼スラグを使用した道路について、富士見地区内の行政について、ですけれども、請求書の添付資料によりますと、先方の会社の応分の負担で安全対策を講じると、いうふうにされていますけれども、これについてはどのような対応を取っておりますか。

【道路建設課長】はい、安全対策法といたしまして今現在、鉄鋼スラグを含む材料の撤去及び処分費等を大同特殊鋼に負担させていただく、という内容となっております。

【小林監査委員】それに関して、大同スラグ、あー、大同・・・さんとの話は、協議は、どうなっているのですか。

【道路建設課長】えー、今現在はですね、協議の方を進めておりまして、えー、基本協定については、えー、交わしております。ええ、

【司会】よろしいでしょうか。えーと、他に質問は?

【横川監査委員】じゃあ。

【司会】お願いします。

【横川監査委員】ちょっと1点だけ質問をさせていただきたいと思います。さっきのお話の中で、新たにですね、使用が判明した工事6か所については、スラグの砕石を原状のまま存置するとのことですが、なぜそのように存知したのかをおうかがいしたい。

【道路建設課長】えー、あらたに分かりました6工事ですが、えー、該当する工事のですね、品質確認証明書等を確認した結果、えー、環境基準に、環境基準を満足している、というのを確認できましたので存置することといたしました。

【司会】はい、他にえーと、質問はありますか。

【田子監査委員】えーと、本件について、建設部と環境部と関係あると思うんですけれども、その連携等というのはどのような形でしていらっしゃるのか。

【環境政策課長】環境部の方からちょっと、お話をさせていただきます。えー、環境部と致しましてはですね、あのう、まあ、適切な対応が図られますように、今までと同様、まあ今までもやってきたことなんですけれども、建設部に対しまして、まあ、関係法令に基づきます、まあ、助言をですね、えー、行って参りましたというふうに考えております。はい。

【司会】えー、他に何かご質問、ございますでしょうか。はい。えー、それでは、えー、以上を持ちまして、関係職員による陳述を終了させていただきます。ありがとうございました。
**********

■このように前橋市役所から出頭してきた関係職員らは、いずれも大同スラグは法令に違反していない、と口を合わせて主張しました。

 一方で、大同特殊鋼と協議をしており、費用負担については大同と前橋市との間で基本協定は締結していることを示唆した発言もありました。

 しかし、今回の市関係職員らの発言内容から、おそらく、完全撤去は念頭にないものと思われます。今後の住民監査の行方については、慎重に見極めていく必要がありそうです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項終わり】


コメント (3)
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大同有害スラグ問題を斬る!・・・スラグ撤去について前橋市監査委員にオンブズと市職員らが陳述(前半)

2016-08-19 23:09:00 | スラグ不法投棄問題
■当会事務局長は、2016年7月8日、前橋市長に対して、前橋市内にも存置されたままになっている有毒スラグの撤去と措置命令を求める住民監査請求を前橋市監査委員に提出していますが、これに関連して、8月2日(火)午前9時半から前橋市役所6階の入札室でオンブズマン側から前橋市監査委員に対する陳述と監査委員との質疑応答が1時間に亘り行われました。また、同日午前11時から市側担当職員(課長クラス)3名による陳述及び監査委員からの質疑応答が12分にわたり行われました。


陳述会場内の様子。





 初めに、当会の事務局長による陳述が行われました。前橋市の監査委員は、請求人から向かって左から、小林岩男監査委員(2015年3月26日就任、前橋市議会議員)、横山勝彦監査委員(2016年3月29日就任、前橋市議会議員)、赤川常己監査委員(2013年4月1日就任、元前橋市消防局長、田子一夫監査委員(2013年10月1日就任、税理士)の各氏です。

 司会は前橋市監査委員事務局長の湯浅真一氏で、冒頭に次の注意事項として「はじめに陳述の進行方法と注意事項について5点ほど説明させていただく」と説明がありました。5点というのは、次の通りです。

●1点目 陳述される請求人はその場で名前を述べてから陳述を開始すること
●2点目 陳述時間については、通知した通り、監査委員からの質問時間を含めて概ね1時間とすること
●3点目 陳述は請求書に記載されている請求の要旨の内容の補充するために開催するものであり、今回の請求の要旨の範囲を超えて為された陳述は採用されないので、陳述の内容が関係のないものに及ぶことの無いように注意すること。また本日は陳述の場で有、したがって監査委員への質問の場ではないこと。
●4点目 陳述の録音等は禁止とするが、監査委員事務局では本日の陳述内容を記録するため録音をとること
●5点目 本日までに新たに提出された証拠書類については各監査委員の手元に配布してあること

■そして9時35分ごろから当会の陳述を行いました。

**********PDF ⇒ 20160802or4.pdf
                         平成28年8月2日
前橋市監査委員殿
     件名:前橋市職員措置請求書に係る証拠の提出及び陳述
                    陳述人 鈴木庸 代理人
 表件について、平成28年7月11日付で請求人が提出した前橋市職員措置請求書について、7月14日付で前橋市監査委員から受理通知を確かに受領しました。あわせて貴殿から、証拠の提出及び陳述についてと題する通知文をいただいたので、通知内容に基づき、本日平成28年8月2日(火)午前9時30分から前橋市役所6階入札室において、意見の陳述を行います。なお、陳述は以下の意見書を読み上げるとともに、証拠として写真の掲載してある本紙を貴殿宛に提出することといたしますので、よろしくご査収の程お願い申し上げます。

            意 見 書

 大同スラグ問題については、おおむね住民監査請求書に記載しましたが、あらためてここに順をおって説明します。
 前橋市は2016年3月7日(月)日付のホームページで鉄鋼スラグを含む材料を使用した市発注工事調査結果を公表しています。
http://www.city.maebashi.gunma.jp/jigyousya/353/364/001/p014897.html

 この内容のあらましとして、前橋市は次のように公表しています。

「前橋市では、 鉄鋼スラグを含む再生砕石を使用した市発注工事の有無を確認するため、大同特殊鋼(株)渋川工場に対し聞き取り調査を行なってまいりました。」
「聞き取り調査の結果、新たに6工事に使用していることがわかりました。」
「該当する工事では、全て環境基準に対する品質規格証明書を確認することができました。」


 続く調査結果においては、次の通り示しています。

「昨年11月17日に公表しました富士見地区内の8路線以外に鉄鋼スラグを含む再生砕石を使用した市発注工事の有無を確認するため、大同特殊鋼(株)渋川工場から出荷記録等の聞き取り調査を行なってまいりました。
(1) 6工事について、出荷記録がありました。(別紙1、2のとおり)
別紙1 工事一覧(PDF形式:33KB)
別紙2 位置図(PDF形式:1,579KB)
(2) 出荷記録のあった6工事について、設計書や工事関係書類を確認したところ、鉄鋼スラグを含む再生砕石を使用していることがわかりました。該当する全ての工事で環境基準に対する品質規格証明書を確認することができました。」


 更に今後の対応として次のように述べられています。

「国、県及び渋川市で構成される「鉄鋼スラグに関する連絡会議」の対応方針を確認の上、環境部局の助言を受けながら適切な対応を図ってまいります。」

 このように、前橋市は、本来であれば廃棄物処理法などの関連法令をもとに、方針を打ち出すはずですが、今回はなぜか、法的に何の権限もなく、また専門知識も持たない、いわゆる国・県・渋川市から構成される任意の第三者組織にすぎない「鉄鋼スラグに関する連絡会議」が出した鉄鋼スラグを含む材料の「対応方針(案)」を拠り所としています。ところが、この「対応方針」には未だに「(案)」がくっついており、前橋市は、こうした外部の自治体関係者らによる任意組織が、法律的な根拠もなくいい加減に打ち出した決めごとを金科玉条のごとく受け入れて、その方針案にそって対応していくことを表明しているのです。群馬県をリードしなければならない我らが県都前橋市が、このような他力本願の及び腰でよいわけがありません。

 また上記「別紙1 工事一覧」に示されている前橋市内の6工事のほかにも、国が前橋市内で建設を進める上武道路にも大量の有害スラグが投棄されています。次の5枚の写真をご覧ください。


上の写真1の説明:
上武道路・上武小神明信号の東側に投棄された有害スラグの様子です。この道路は国土交通省が建設しましたが、前橋市の地域住民を、有害スラグの埃(ほこり)や土壌汚染で苦しめているのです。



上の写真2の説明:
上武小神明信号の東側に投棄された有害スラグを近寄って撮影した様子です。有害スラグ100%の状態であることが分かります。群馬県警から前橋地検に書類送検された大同特殊鋼グループと佐藤建設工業は、有害スラグを天然石と混ぜて毒を薄めたと装って道路工事などに不法に投棄していましたが、上武道路では盛り土に有害スラグ100%を投棄しています。盛り土とは土そのものなので、廃棄物処理法はもとより土壌汚染対策法に完全に違反し、土壌が汚染されてしまった状態にあります。土壌が汚染されていることは生活環境保全上、重大な支障が生じている事を意味し、ただちに支障を除去しなければならないはずですが、なぜか国は動こうとしていません。



上の写真3の説明:
同じく上武小神明から上武鳥取信号の中間地点にある上武道路の側道と農道との合流地点ですが、食の安全が最優先に配慮されるべき農道に有害スラグが敷設されています。




↑上の写真4と5の説明:
上武道路・上武鳥取信号東側の歩道の様子。手すり下のコンクリートが破壊され10cm程度隆起し、通学中の児童や歩行中のお年寄りが躓いて、転倒の危険が指摘されているが、なぜか未だに放置されたままとなっています。大同特殊鋼は、排出したスラグに蒸気を使ったエージングという堆積膨張を防止するための処置をしているとしていますが、こうした酷い膨張による様子を示す証拠を見せつけられると、エージングの効果は甚だ疑問といわざるを得ません。大同特殊鋼由来のスラグはその中に有毒物質を含んでいて、物性面から見ても問題のある廃棄物ですので、到底、建設資材には使用できるとは思えません。↑

■大同特殊鋼由来のスラグは、「鉱さい」と呼ばれる産業廃棄物であり、不法投棄されていれば撤去すべきものであることは言うまでもありません。しかも、その危険物質を含有する性状から、「特別管理産業廃棄物」として処理しなければならないものであります。したがって、道路や学校、公園、ソーラー発電所等に不法に投棄されたスラグは、直ちに撤去する必要があるのです。以下、順次、その理由を説明してまいります。

◎群馬県廃棄物リサイクル課は大同特殊鋼由来のスラグを廃棄物と認定しています。
http://www.pref.gunma.jp/houdou/e1700084.html

 その理由として、群馬県の同課は次の通り説明しています。
「(7)ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。」

 しかも、「土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり」と指摘し、その有毒性に触れています。土壌が汚染されることは、生活環境保全上支障があることを意味するからです。

 群馬県廃棄物リサイクル課が大同特殊鋼由来のスラグの有毒性に触れていることから、「特別管理産業廃棄物」としての基準値(鉱さいの環境基準値)が問題となってきます。

◎廃棄物処理法を簡単に見ていくと、まず目的を示し、考えを整理しています。

(目的)
第一条  この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする
というように、生活環境の保全を目的にしている。

■次に、特別管理産業廃棄物の基準を考えるにあたり、定義を見てみましょう。

(定義)
第二条
5  この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。


 このように、生活環境に係る被害すなわち生活環境の保全を目的として政令で定める基準値が「特別管理産業廃棄物」を定義しているのだな、と、読んで理解することができます。土壌汚染は生活環境にとって重大な支障となることは言うまでもないからです。

■では具体的に、廃棄物処理法施行令では特別管理産業廃棄物をどのように定義しているのでしょうか?

●まず、大同特殊鋼由来のスラグは、群馬県が廃棄物と認定しました。これは前にも述べたとおり、廃棄物処理法施行令第2条第1項8号 の「鉱さい」に分類されます。この、「鉱さい」には、特別管理産業廃棄物が規定されています。

廃棄物処理法施行令第2条の4(特別管理産業廃棄物)
第5項
ホ 第二条第八号に掲げる廃棄物(事業活動に伴つて生じたものに限る。以下「鉱さい」という。)(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)及び当該鉱さいを処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)


 この環境省令として次の二つが挙げられます

① 環境庁告示第46号.
( 改正平成5環告19・平成6環告5・平成6環告25・平成7環告19・平成10環告21・平成13環告16・平成20環告46・平成22環告37・平成26環告44.)⇒末尾資料3参照

② 環境省告示第105号(平成十八年七月二十七日)⇒末尾資料4参照


 これらのどちらも、

ふっ素 検液1Lにつき0.8mg以下であること。

と定められています。

●次に、具体的に環境省令を見ると、環境基準値の明示に関して、次の記載があります。

環境庁告示第46号は、環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項による土壌の汚染に係る環境上の条件につき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)並びにその達成期間等は、次のとおりとする。

 上記の通り、別表で土壌環境基準値を示しています。

 「生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準」であるので、産業廃棄物処理法の目的(第1条)や特別管理産業廃棄物の定義(第2条)により、廃棄物の性状を判断するにあたっては、この環境省令は遵守すべき法令であることは明らかです。

●また、環境省告示第105号は、石綿含有産業廃棄物を溶融したことにより生じた産業廃棄物(鉱さい)の安定型産業廃棄物の環境基準が示されています。

 これは石綿含有産業廃棄物由来の鉱さいについての環境基準ですが、大同特殊鋼渋川工場から排出される「鉱さい」にも適用されるのは明らかです。⇒末尾資料5 を参照ください

 国土交通省等により、大同特殊鋼由来のスラグが分析調査されましたが、多数の調査箇所でフッ素基準値の0.8mg/Lを超える状態が確認されています。群馬県廃棄物リサイクル課も「土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり」と指摘しています。

 廃棄物処理法施行令第2条の4第5項ホ 及びこの2つの環境省令により、大同特殊鋼由来のスラグは、生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして「特別管理産業廃棄物」として分類されなければなりません。

■それでは、大同特殊鋼グループの違反行為というものは、無許可で有害スラグを細かく破砕した=つまり中間処理をしたこと、そして佐藤建設工業の違反行為は、許可の範囲を超えて有害スラグを収集運搬したことが、それぞれ違反行為として問われているのでしょうか?

 大同特殊鋼由来のスラグは「特別管理産業廃棄物」であるので、たとえ、破砕という中間処理をしても、遮断型最終処分場に埋設処分しなければなりません(廃棄物処理法施行令第6条)。道路や公園、学校、ソーラー発電所等に埋設された状態は完全に廃棄物処理法で定めたルールに違反しているのです。

 廃棄物処理法第16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と不法投棄を禁止していますが、この「みだりに」とは法律用語ではなく、「訳もなく」とか「正当な理由なく」とする記述をよく見かけるので、廃棄物処理法で定めたルールに従わずに「みだりに廃棄物を捨ててはならない」のであり、大同特殊鋼由来のスラグが道路等に埋設された状況は、法令で禁止された不法投棄に該当するものであります。

 大同特殊鋼は不法投棄を目的として特別管理産業廃棄物を細かく砕き、佐藤建設工業に不法投棄を指示しました。佐藤建設工業は不法投棄の実行犯です。どちらも違法行為者なのです。当然、不法投棄の状況を原状復旧するための費用は原因者である違法行為者に負担させなくてはなりません。

■廃棄物処理法では第19条の5 で不法投棄の場合に措置命令を規定しています。

(前略)・・・産業廃棄物処理基準又は産業廃棄物保管基準(特別管理産業廃棄物にあつては、特別管理産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物保管基準)に適合しない産業廃棄物の保管、収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事(第十九条の三第三号に掲げる場合及び当該保管、収集、運搬又は処分を行つた者が当該産業廃棄物を輸入した者(その者の委託により収集、運搬又は処分を行つた者を含む。)である場合にあつては、環境大臣又は都道府県知事。次条及び第十九条の八において同じ。)は、必要な限度において、次に掲げる者(次条及び第十九条の八において「処分者等」という。)に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。

 上記の規定から、青字の部分だけ抜き出してみましょう。

産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物の保管、収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。

 以上のように読むことができます。

 この場合、「命ずることができる」とは、命じても命じなくてもどちらも選択することができるという意味ではなく、群馬県知事には「命じる」権限があることを意味しています。権限の裏側には責任を伴うため、必然的に、都道府県知事は産業廃棄物処理基準に適合しない処分が行われた場合に措置命令を出さなければなりません。

 措置命令は都道府県知事の権限に属する事務であるが(廃棄物処理法19条の5第1項、19条の8第2項)、前橋市長は法令(廃棄物処理法24条の2第1項、同法施行令27条、地方自治法252条の22第1項及び同項の中核市の指定に関する政令)により、上記事務をすることができるとされています。

 前橋市長は直ちに躊躇なく措置命令を出さなければなりません。なぜなら、こうしてダラダラしている間にも有害スラグの砂ホコリが、今日もまた住民を襲い続け、土壌汚染が進行しているのですから。

 前橋市長が出すべき措置命令。それは、廃棄物処理法に基づく有害スラグの撤去命令であり、撤去後、地下の土壌の分析調査を行い、汚染土壌の撤去等、土壌汚染対策法所定の必要な措置も命令しなければならないことは言うまでもありません。

■幸い、私たち県都前橋市は、次のように宣言しています。ここで確認の意味も込めて、復唱したいと思います。はじめは水と緑の健康都市宣言です。

<水と緑の健康都市宣言>
私たちのまち前橋は「水と緑と詩のまち」とうたわれているように、利根川、広瀬川をはじめ美しい流れと緑豊かな自然に恵まれ、多くの詩人たちを育んできました。
私たちは、前橋を誇りとし、健康で快適な都市に発展させ、すばらしいふるさとを次代に引き継ぐため力を合わせていかなければなりません。
このため、私たち前橋市民は、水と緑を守り、文化を大切にし、市民が健康で幸せな生活ができる活力ある都市の建設にまい進することを誓い、前橋を「水と緑の健康都市」とすることを宣言します。平成元年3月27日 前橋市議会

 素晴らしい英訳文もあります。これも復唱してみましょう。
________________________________________
The clear waters of the Tone and Hirose Rivers have blessed Maebashi with an abundance of natural resources and a deep poetic tradition. We are proud of Maebashi’s having developed as a healthy, comfortable and wonderful hometown, and we want to do our best to keep it this way for future generations. Therefore, we hereby declare Maebashi to be "A Healthy City of Water and Greenery."
March 27,1989. Municipal Assembly

 次は環境都市宣言です。

<環境都市宣言>
私たちのまち前橋は、雄大な赤城山を背景に利根川、広瀬川などの美しい流れと緑豊かな自然に恵まれています。
この環境を楽しみ、守り、育て、将来の世代に引き継いでいくことは、私たちに与えられた権利であり、責任でもあります。
私たちは、恵み豊かな環境を守り、より良い環境を築き、人と自然が共生する環境・文化都市を創造するため、次のことを宣言します。
1 環境を汚すことのない、まちづくりを進めます。
1 動物や植物と身近にふれあえるよう、地域の自然を守ります。
1 美しい川の流れや木々の緑などをいかして、住みよいまちをつくります。
1 地球にやさしい環境づくりを、私たちの家庭・地域から始めます。
1 みんなで良い環境を守り、つくる活動に参加します。
平成16年7月29日議決

 これにはまだ英訳文がつけられていないようですので、請求人のつたない英語力で英文にしてみました。

Declaration for Environmental City of Maebashi
Our town Maebashi is blessed with nature of beautiful green and flow, having a great landscape of the Tone River, Hirose River, etc., as well as against the background of majestic Mount Akagi. It is a right and responsibility for us to enjoy, protect, nurture this environment, and pass it on to the future generations.
We will declare the following things, in order to protect this blessings rich environment, build a better environment, and create the environment and cultural city where people and nature are in harmony;
- We proceed with the town development not to pollute the environment.
- We protect the nature of the region, to be able to close in contact with the animals and plants.
- We will make a good living city, by taking advantage of our beautiful rivers and trees of green, etc.
- We start the earth-friendly environmental creation from our homes and regions.
- We participate in activities to protect and make the good environment with everyone.
2004 July 29, voted by the Maebashi City Council

■このように、私たちの県都前橋市は、先人のかたがたにより環境面では極めて先進的な取り組みを行ってきました。私たちの後世の安心・安全のためにも、いまわしい特別管理産業廃棄物の大同有毒スラグは全て撤去しなければなりません。これは今を生きる私たち世代の責務でもあります。

 なお、陳述中に引用した参考資料は、この書面の末尾の別紙に掲載してありますので、参考にしてください。

 ご清聴ありがとうございました。以上で、請求人からの陳述を終えます。

別紙:
参考資料1 鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)
参考資料2 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
参考資料3 大同特殊鋼由来のスラグは鉱さいに分類されます
参考資料4 環境政令・環境庁告示第46号
参考資料5 石綿含有産業廃棄物を溶融したことにより生じた産業廃棄物(鉱さい)の安定型産業廃棄物の環境基準
参考資料6 前橋市HP

別紙 参考資料1
鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000260.html#gidai1

基本方針

1.鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所の対策
•管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等については撤去を行う。
•前記以外の箇所については、県環境部局の助言を得ながら表面被覆等を行う。

2.鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を満足している施工箇所の対策
•これまでの調査の結果、直ちに撤去等が必要となるところはない。
•環境基準値を満足しているものの、スラグへの経口・接触リスクが高いと考えられる小・中学校等の箇所については、県環境部局の助言を得ながら必要に応じて鉄鋼スラグを含む材料が表面に出ている施工箇所の表面被覆等を行う。

3.鉄鋼スラグを含む材料を存置する場合の対応
•存置する工事の施工箇所については、県環境部局がリスト化し地下水の常時監視等を通じて、引き続き、環境への影響等について監視を行う。
•公共工事事業者としても、存置する施工箇所については、将来、修繕工事や占用工事等で該当箇所を掘削する場合は、県環境部局の助言を得ながら廃棄物処理法等の関係法令への適用状況を踏まえ適切に対応していく。

※ここでいう「鉄鋼スラグ」とは、大同特殊鋼(株)渋川工場から出荷されたもの。

別紙 参考資料2
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(目的)
第一条  この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2  この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
3  この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4  この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一  事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二  輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
5  この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

別紙 参考資料3
大同特殊鋼由来のスラグは鉱さいに分類されます
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
(産業廃棄物)
第二条  法第二条第四項第一号 の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一  紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)
二  木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三  繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四  食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二  と畜場法 (昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項 に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第一項 に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 (平成二年法律第七十号)第二条第六号 に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号 に規定する食鳥に係る固形状の不要物
五  ゴムくず
六  金属くず
七  ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず

八  鉱さい

九  工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十  動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一  動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二  大気汚染防止法 (昭和四十三年法律第九十七号)第二条第二項 に規定するばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法第二条第二項 に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第一項 に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し、及び大気中に排出するものに限る。)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第七号及び第十号、第三条第三号ヲ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ロ 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(1)、第八号及び第十一号、第三条第二号ホ及び第三号ヘ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ハ 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハ及び別表第五を除き、以下同じ。)
ニ 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ホ 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ヘ 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(5)を除き、以下同じ。)
ト 前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで及び第五号から第九号までに掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)
十三  燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで、第五号から第九号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第二条第四項第二号 に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて、これらの廃棄物に該当しないもの

別紙 参考資料4
環境政令・環境庁告示第46号
http://www.env.go.jp/kijun/dojou.html
http://www.env.go.jp/kijun/dt1.html
平成3年8月23日
                              環境庁告示第46号.

 改正平成5環告19・平成6環告5・平成6環告25・平成7環告19・平成10環告21・平成13環告16・平成20環告46・平成22環告37・平成26環告44.

 公害対策基本法(昭和42年法律第132号)第9条の規定に基づく土壌の汚染に係る環境基準について次のとおり告示する。

 環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項による土壌の汚染に係る環境上の条件につき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)並びにその達成期間等は、次のとおりとする。

第1 環境基準

1 環境基準は、別表の項目の欄に掲げる項目ごとに、同表の環境上の条件の欄に掲げるとおりとする。
2 1の環境基準は、別表の項目の欄に掲げる項目ごとに、当該項目に係る土壌の汚染の状況を的確に把握することができると認められる場所において、同表の測定方法の欄に掲げる方法により測定した場合における測定値によるものとする。
3 1の環境基準は、汚染がもっぱら自然的原因によることが明らかであると認められる場所及び原材料の堆積場、廃棄物の埋立地その他の別表の項目の欄に掲げる項目に係る物質の利用又は処分を目的として現にこれらを集積している施設に係る土壌については、適用しない。

土壌環境基準 別表

ふっ素 検液1Lにつき0.8mg以下であること。

規格34.1若しくは34.4に定める方法又は規格34.1c)(注(6)第3文を除く。)に定める方法(懸濁物質及びイオンクロマトグラフ法で妨害となる物質が共存しない場合にあっては、これを省略することができる。)及び昭和46年12月環境庁告示第59号付表6に掲げる方法

別紙 参考資料5
石綿含有産業廃棄物を溶融したことにより生じた産業廃棄物(鉱さい)の安定型産業廃棄物の環境基準が示されています。石綿含有産業廃棄物由来の鉱さいについての環境基準ですが、大同特殊鋼渋川工場から排出される「鉱さい」にも適用されるのは明らかです。
http://www.env.go.jp/hourei/add/k023.pdf

 この環境省令以後の、大同特殊鋼渋川工場から排出され、道路や学校に埋設処分されたスラグは遮断型最終処分場以外の場所に投棄した、不法投棄に当たるという事ができます。群馬県中に広く有害スラグをばら撒いた佐藤建設工業は不法投棄の実行犯となることでしょう。

○廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条第一項第三号イ(6)に掲げる安定型 産業廃棄物として環境大臣が指定する産業廃棄物
                     (平成十八年七月二十七日環境省告示第百五号)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第六条第一項第三号イ(6)の規定に基づき、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条第一項第三号イ(6)に掲げる安定型産業廃棄物として環境大臣が指定する産業廃棄物を次のように定め、平成十八年十月一日から適用する。
   廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第六条第一項第三号イ(6)に掲げる安定型産業廃棄物として環境大臣が指定する産業廃棄物
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号。以下「令」という。)第六条第一項第三号イ(6)に規定する環境大臣が指定する産業廃棄物は、次に掲げる産業廃棄物(鉱さいであるものに限る。)であって、当該産業廃棄物に含まれる別表の第一欄に掲げる物質ごとに同表の第二欄に掲げる基準に適合するものとする。

―省略―
別表 第一欄 第二欄 第三欄

六価クロム 規格六十五・二に定める方法
合物 〇・〇五ミリグラム以下であること。
ふっ素又はその化合物
検液一リットルにつきふっ素〇・八ミ リグラム以下であること。


―後省略―
**********

■陳述の後、赤川監査委員から次の質問が請求人に対して出されました。

「請求書を見さしていただくと、陳述の内容と重複するところもあるかもしれないが、確認の意味で質問させていただく。最後の4ページで、スラグ、このスラグを存置するということは、公有財産を破壊し、住民の生活環境の保全上重大な支障をきたすという記載があるが、具体的にどういうことがあるのか」

 これに対して、請求人からは、公有財産を壊すということは、有毒物質を含んだ大同スラグはエージングが不十分なため、雨水を含んだりすると膨張する。そのため、擁壁の裏込め材として上部国道などで大量に使用されているため、擁壁がずれたり、ひびが入ったり、オーバーハングしたりしており、既に破壊が進んでいること、さらに道路の路盤材で敷きこまれた現場では、舗装面が凸凹になり、いくら補修をしてもスラグの膨張により舗装が破壊されたりしている現場が多数あることを説明しました。

 また、住民の生活環境の保全上重大な支障をきたす点については、保育園や小中学校の駐車場をはじめ、有毒物質を含んだスラグが地表に露出している場合、誇りとして細かいチリになって子ども達の呼吸器官に入り込んだり、直接手で触ると皮膚を損傷させたりする恐れが強いことを説明しました。

 さらに、有毒物質は雨水に溶け出しやすく、有毒スラグから染み出る有毒物質が、周囲の土壌や地下水を汚染する恐れが強いことが挙げられると説明しました。

■陳述時間と質疑応答時間を入れるとおよそ1時間に及びました。このあと、午前11時から前橋市役所の関係職員らによる陳述が行われ、当会の代表が立会人として出席しました。その模様は、このあと続けて報告します。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】

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安中公社51億円事件に次いで首都高ローリー横転炎上事件で多胡ファミリーが打立てた金字塔・・・偽装倒産

2016-08-17 19:40:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■本日の朝、突然東京商工リサーチが「多胡運輸㈱が破産した」とプレス発表を行いました。株式会社東京商工リサーチは、東京都千代田区大手町1-3-1のJAビルに本社を置き、帝国データバンクに次ぐ国内第2位の信用調査会社です。それではどのような内容のプレス発表をしたのか見てみましょう。

**********東京商工リサーチ 8月17日(水)9時45分配信
平成20年に首都高でローリー横転事故を起こした多胡運輸(株)が破産
 多胡運輸(株)(TSR企業コード:270271104、法人番号:4070001009600、高崎市箕郷町上芝541-2、設立平成4年11月、資本金1200万円、多胡茂美社長)は8月4日、前橋地裁高崎支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には都木幹仁弁護士(ぐんま法律事務所、同市昭和町224-1、電話027-326-6001)が選任された。なお、多胡茂美社長は逝去しており、上野法律事務所の上野猛弁護士が仮代表に就任している。
 負債総額は約33億円。
 昭和50年、運送業務を目的に創業。一般貨物輸送のほか石油燃料の輸送などを手掛けて業容を拡大し、タンクローリー6台を含む46台のトラックを所有し約2億円の年間売上高をあげていた。
 平成20年8月、東京都板橋区の首都高速5号線熊野町ジャンクションで、当社のタンクローリーが横転し炎上する大事故が発生。この影響で高速道路高架部分の架け替え工事、近隣マンションの外壁被害などで多額の損害賠償補償の問題を抱えていた。事故に伴い、本社営業所の車両使用停止、運行管理者資格者証の返納命令などの行政処分を受けながら、以後も事業を継続していた。しかし事故の影響で業績不振を招き、23年12月には本社不動産を売却するなど経営悪化が露呈し、24年度に事業を停止していた。
 この間、首都高速道路が復旧費用など損害賠償を求め、トラック業界では過去に例のない高額補償事案として係争していたが28年7月、東京地裁で敗訴。判決により当社および運転手に対し約32億8900万円の支払命令が下されていたが、高額な損害賠償の支払いができず事後処理を弁護士へ一任し、今回の措置となった。
東京商工リサーチ
最終更新:8月17日(水)9時45分
**********

 このように、さすがに日本全国に82(支社8、支店74)の事業所を構え、1994年に世界最大手の信用調査会社ダンアンドブラッドストリート(D&B)と提携し、国内与信・海外与信情報(世界200カ国超・2億件以上の企業データベース)を一手に提供できる体制を構築し、世界最大の企業データベースをワンストップで効率的に提供できる会社です。23年12月に本社不動産を㈱美正に売却し、既に偽装倒産の手続きを開始していたこと、その後、多胡運輸の多胡茂美社長が逝去したこと、そして8月4日に前橋地裁高崎支部から多胡運輸が破産開始決定を受けたこと、などを簡潔に記載しています。

■これに遅れること約5時間後、今後は業界トップの帝国データバンクが多胡運輸の破産について報じました。

**********帝国データバンク2016年08月17日(水)14時30分頃
多胡運輸株式会社
特定貨物自動車運送
破産手続き開始決定受ける

TDB企業コード:220222496
負債33億円
「群馬」 多胡運輸(株)(資本金1200万円、高崎市箕郷町上芝541-2、代表多胡茂美氏、仮代表上野猛氏)は、8月4日に前橋地裁高崎支部より破産手続き開始決定を受けた。
 破産管財人は都木幹仁弁護士(高崎市昭和町224-1、ぐんま法律事務所、電話027-326-6001)。財産状況報告集会期日は11月9日午前11時。
 当社は1975年(昭和50年)創業、92年(平成4年)11月に法人改組。群馬県内で燃料輸送大手の協力会社として、2008年8月期には年収入高約3億6000万円を計上していた。
 しかし、2008年8月に首都高速道路でガソリンを積載していた自社のタンクローリーがカーブを曲がり切れずに横転・炎上し、橋桁などが熱で熔解して大きく損傷した。
 その際、加入していた保険会社からの限度額となる賠償金10億円に加えて、資産の整理売却などによる賠償を企図したが、損害額が多額であったため補いきれず、道路を管理する首都高速道路(株)などから損害賠償請求を起こされていた。また、運営に関して利害関係人からの裁判所に対する申立により、2016年2月に弁護士である上野猛氏が仮代表に就任した。その後、2016年7月に当社と運転手に対し32億8900万円の支払い判決があり、今回の措置となった。
 負債額は4社(事故の被害会社)に対し約33億円。
 なお、社会ニーズの強い燃料輸送業務を行なっていたことから、運送事業に関しては、経理事務などを担当していた系列会社(以前は当社代表取締役多胡茂美氏が全株出資)に2011年に移管、所有していた土地に関しても同年末に同社が取得している。
**********

 これを見ると、安中市土地開発公社51億円巨額横領事件で、一人で罪をかぶった、多胡運輸社長多胡茂美の兄で元安中市職員の多胡邦夫に感謝の意を込めて、タゴファミリーのために生計を維持しなければならないことから、多胡運輸の事業を実質的に継承して現在も同じ場所で営業をしている㈱美正のことが、さらにわかりやすく書いてあります。

 これによれば、㈱美正は、多胡運輸の経理事務などを担当していた系列会社で、多胡運輸の社長の多胡茂美が全額資本金を出資していたことがわかります。そして、2008年8月3日に自社のアポロマークのタンクローリーが首都高5号線熊野町ジャンクション付近で横転炎上してから、3年後の時効到来直前に、首都高が多胡運輸と元請のホクブトランスポート、そして荷主の出光興産を相手取り、東京地裁に損害賠償を提訴した直後に、ちゃっかりと多胡運輸の運送事業を系列会社の㈱美正に移管し、所有土地も2011年末に㈱美正に譲渡していたことが判ります。

 これほどタイムリーにしかるべき民事破産に備えて準備を進められた背景には、やはり、前述の通り、群馬県の誇る自民党県連所属の中曽根派ファミリーの恩情による的確なアドバイスがあったことが強くうかがえます。

■どうりで、多胡運輸も、中曽根ファミリーに極めて近しいホクブトランスポートも、首都高とその上部機関の独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構による苛斂誅求を極めた訴追にもかかわらず、どこ吹く風で、裁判のことは全て荷主の出光興産(この創業者の出光佐三と大勲位との親交はつとに知られる)に任せきりにできたはずです。

 その出光興産も、多胡運輸やホクブトランスポートのかわりに弁護士費用を負担しただけで、既に完全に事業や財産を㈱美正に継承した多胡運輸と既に破産した当時の運転手にすべての賠償責任を負わせる判決が出たことで、損害賠償からは一切解放され、多胡ファミリーも中曽根ファミリーもハッピーエンドを迎えることができたわけです。

■ところで、東京商工リサーチのプレス発表を受けて、レスポンスが次の追いかけ報道をしました。このレスポンスというのは株式会社イード(ホ社:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル28階)が展開している自動車関連のウェブサイトです。

**********Response 2016年8月17日(水) 11時03分
http://response.jp/article/2016/08/17/280200.html
多胡運輸が破産、首都高のローリー火災事故で損害賠償32億円

 東京商工リサーチによると、群馬で燃料輸送などを展開する多胡運輸が8月4日、前橋地裁高崎支部より破産開始決定を受けた。負債総額は約33億円。
 多胡運輸は1975年、運送業務を目的に創業。一般貨物輸送のほか石油燃料の輸送などを手掛けて業容を拡大し、タンクローリー6台を含む46台のトラックを所有し約2億円の年間売上高をあげていた。
 しかし2008年8月、東京都板橋区の首都高5号線熊野町JCTで、同社のタンクローリーが横転し炎上する大事故が発生。高速道路高架部分の架け替え工事、近隣マンションの外壁被害など、事故による多額の損害賠償補償が問題となっていた。事故に伴い、本社営業所の車両使用停止などの行政処分を受けながら、以後も事業を継続していたが、事故の影響で業績不振を招き、2011年12月には本社不動産を売却するなど経営悪化が露呈。2012年度に事業を停止していた。
 この間、首都高速道路が復旧費用など損害賠償を求め、トラック業界では過去に例のない高額補償事案として係争していたが2016年7月、多胡運輸は東京地裁で敗訴。判決により同社および運転手に対し約32億8900万円の支払命令が下されていたが、高額な損害賠償の支払いができず事後処理を弁護士へ一任し、今回の破産手続きとなった。
**********

 レスポンスの記事試合は東京商工リサーチの記事の引用なので新鮮味はありませんが、サイトの利用者が多いため、瞬く間にこのニュースが広まりました。そのため、当会のブログのアクセス数が急増したものと考えられます。

■さらに今度はやはり同業の信用調査会社で九州の福岡市博多市に本社を置く㈱データ・マックス社が後追い報道を行いました。

 同社は東京経済出身の児玉直が1994年(平成6年)に設立した信用調査会社で、福岡に本局を置くほか、長崎市に支局、日本国内7ヶ所(宮崎市・熊本市・鹿児島市・下関市・倉敷市・東京都千代田区・大阪市西区)と中国・上海に事業所を構えています。

 信用調査とともに、企業情報誌「I・B企業特報」(週2回刊)の発行や、九州を中心とした企業・経済動向について独自調査によるニュースサイト「NETIB NEWS」の運営を主たる業務としていて、「IB」は「Information Bank」の略ということです。

**********Net IB News 2016年08月16日 13:56
【全国】破産手続開始決定
多胡運輸(株)(群馬)/特定貨物自動車運送

代 表:上野 猛
所在地:群馬県高崎市箕郷町上芝541-2
 8月4日、同社は前橋地裁高崎支部より破産手続開始の決定を受けた。
 破産管財人は都木幹仁弁護士(ぐんま法律事務所、群馬県高崎市昭和町224-1、電話:027-326-6001)。
**********

■そして、夕方には、不景気ドットコムがこのニュースを取り上げました。

**********不景気ドットコム2016年8月17日 15:59
群馬の「多胡運輸」が破産、ローリー横転・炎上で賠償命令
官報によると、群馬県高崎市に本拠を置く運送業の「多胡運輸株式会社」は、8月4日付で前橋地方裁判所高崎支部より破産手続の開始決定を受け倒産したことが明らかになりました。
1975年に創業の同社は、一般貨物輸送やガソリンなど石油製品の輸送を主力に事業を展開していました。
しかし、2008年8月に首都高速5号線の熊野町ジャンクションで、同社のタンクローリーが横転し炎上する事故が発生し、被害を受けた首都高速道路会社が多額の損害賠償を請求、2016年7月に東京地方裁判所より約32億8900万円の賠償命令が下ったため、支払いが困難となり今回の措置に至ったようです。
負債総額は約33億円の見通しです。
**********

■しかし、今回の多胡運輸破産のニュースはそのインパクトのわりに、日経など大手新聞社やテレビなどマスコミは全く取り上げませんでした。この背景としては、7月14日に東京地裁で出された茶番判決についての報道で、1件落着というスタンスをとったことが挙げられます。

 しかし、大手新聞社やマスコミの報道でも、本日の東京商工リサーチをはじめとする信用調査会社のネット記事でも、多胡運輸をとりまく深い闇の部分については全く触れていません。唯一、タゴファミリーと中曽根ファミリーの関係を追及してきた当会のブログだけが、この複雑な事件の背景を切り開いてきただけなのです。

 当会は引き続き、安中市で発生した地方自治体では史上最大の巨額横領事件であるタゴ1億円事件の真相究明と責任の所在明確化を目指して、果てしない活動を継続する決意です。

【8月18日追記】
 多胡運輸の破産の報道により、当会は当初「倒産」と「破産」とをきちんと区別していませんでした。
 今回の多胡運輸が倒産したわけですが、「倒産」は企業の経営破綻状態を広く指す用語として使われていて、「倒産」した企業がとる手続きは、大きく分けて次の二つがあります。
   ①事業を停止し、企業を清算する手続き(清算型)
   ②事業を継続し、企業を存続する手続き(再建型)
 このうち①の清算型の手続とは、会社が事業を停止し、財産を処分して、その代金を債権者に分配することで、「破産」などのかたちがあります。
 ②の再建型の手続とは、債務の一部免除や分割払などで債務の負担を軽減し、事業を継続しながら会社の再生を図っていくものです。再建型の手続の中心的なものに、民事再生手続と会社更生手続があります。
 多胡運輸は破産したとはいえ、実質的には㈱美正が事業を継承し、土地や車両そして人員などの財産を引き継いだことから、多胡運輸が破産時に保有していた財産といえば、多胡茂美社長が実兄の安中市元職員多胡邦夫から預かっていたかもしれない使途不明金14億円余りが考えられます。
 しかし、今回8月4日をもって多胡運輸が破産手続きに入ったことから、もしこの使途不明金14億円を多胡運輸が隠し持っていたとすれば、債権者に分配されてしまうことになります。
 となると、タゴ51億円事件のツケである安中市・公社と群馬銀行との間で24億5千万円を103年ローンで市・公社が群銀に支払う和解条項の残金87年分の17億3000万円だけが、安中市民のかたにのしかかってくるになります。
 多胡運輸が破産したのだから、当然、安中市は債権者として直ちに破産管財人にコンタクトし、1円でも多く横領金を取り戻すよう対策を講じなければなりません。


【ひらく会情報部】

※参考情報「7月14日の東京地裁のトンデモ判決直後の報道記事」
**********日本経済新聞電子版2016年7月21日
首都高タンクローリー火災で32億円の賠償命令
 首都高速道路5号池袋線の熊野町ジャンクションで2008年8月にタンクローリーが横転、炎上した事故で、東京地裁は16年7月14日、タンクローリーを所有する多胡運輸(群馬県高崎市)と運転手に対して、計約32億8900万円を首都高速道路会社に支払うよう命じる判決を下した。
 この事故は、2層構造になったジャンクションの下層を通る下り線で発生。火災の熱で上層の上り線の鋼桁が大きく変形し、路面が60~70cm沈下した。首都高は損傷した上層の鋼桁と床版を2径間分、計40mにわたって架け替える工事を実施。部分開放しながら半断面ずつ施工し、事故から73日目に全面開通にこぎ着けた。

急カーブを曲がりきれずに横転し、炎上するタンクローリー。消火までに3時間半を要した。運転手は業務上失火罪で有罪が確定している(写真:首都高速道路会社)
 首都高によると、昼夜連続の復旧工事に要した費用は約17億4000万円。加えて、当初の通行止めや工事中の渋滞などに伴う交通量の減少で、通行料収入が約15億5000万円減った。さらに、迂回路を示す案内看板の設置といった諸経費も掛かった。首都高は11年7月、これらを合計した約34億5000万円の損害賠償を求めて提訴していた。

鋼桁が変形して、路面が60~70cm沈下した上層の上り線(写真:首都高速道路会社)
■荷主の責任は認めず
 首都高は裁判で、多胡運輸と運転手のほか、ガソリンや軽油の運搬を継続的に委託していた出光興産と元請けの運送会社にも使用者責任があると主張した。これに対して、東京地裁は「個別の運送業務について、出光興産が運転手を指揮監督する地位にあったとは言えない」などと判断。出光興産と元請けの運送会社への損害賠償請求は棄却した。
 多胡運輸と運転手の支払い能力は不明。首都高は、今後の対応について「関係者と協議しているところだ」と話している。

現場検証を終えて搬出されるタンクローリー。「出光」マークがあったことから、首都高速道路会社は出光興産などにも賠償を求めたものの、東京地裁は棄却した(写真:首都高速道路会社)
 なお今回の判決とは別に、日本高速道路保有・債務返済機構が多胡運輸の加入していた関東交通共済協同組合に対して、道路法に基づく行政処分として保険金に当たる共済金の限度額10億円の支払いを求めて提訴。判決は15年7月に確定し、同組合は遅延損害金を含む11億7000万円を機構に支払った。この共済金は既に機構から首都高に渡っている。
 仮に今回の判決に基づく賠償金が全額支払われた場合、首都高は共済金と合わせて40億円超を受け取ることになる。事故の損害額に遅延金を加えた額に相当する。
(日経コンストラクション 瀬川滋)
[日経コンストラクションWeb版 2016年7月21日掲載]

**********物流ニッポン2016年7月21日
首都高ローリー横転事故、多胡運輸に32億円支払い命令 荷主・元請け責任問わず 東京地裁

 2008年8月に首都高速道路でタンクローリーが横転、炎上した事故を巡り、首都高速道路(宮田年耕社長、東京都千代田区)が復旧費用など損害賠償を求めていた裁判で東京地裁(青木晋裁判長)は14日、多胡運輸(群馬県高崎市)と運転者に32億8900万円の支払いを命じた。荷主(出光興産)と元請運送会社(ホクブトランスポート)の責任は問わなかった。この事故では、多胡運輸が加入していた関東交通共済協同組合(千原武美理事長)15年6月、11億8千万円を日本高速道路保有・債務返済機構(勢山広直理事長)に支払っており、トラック業界では過去に例の無い高額補償事案となった。(北原秀紀)
 タンクローリーは、東京都江東区の油槽所からさいたま市のガソリンスタンドにガソリン16キロリットル、軽油4キロリットルを輸送していた。8月3日午前5時52分、5号池袋線下りを走行中、熊野町ジャンクション(JCT)の急なカーブを曲がり切れず横転し、左側側壁に衝突した。運転者は重傷を負い、積み荷は5時間半以上にわたり炎上。路面がゆがみ、橋桁が変形したほか、近隣のマンションの外壁も焼けるなど多くの被害が出て、首都高の全面復旧まで2カ月半かかった。
 青木裁判長は高架部分の架け替え工事の費用など17億円のほか、通行止めによる営業損失を認めた。原因については「20~30キロの速度オーバーでカーブに侵入した」と過失を認定。しかし、出光興産については「指揮監督関係が運転者に及んでいたとは認められず、使用者責任は負わない」とした。
 この事故で13年5月、関交協は保有・債務返済機構から差し押さえ債権取り立て請求の訴訟を起こされた。
 事故後トラック事業を廃業している多胡運輸に支払う危険物輸送の補償最高限度額10億円を巡って裁判となったが、1審、2審とも関交協が敗訴。7年分の利息を含めて11億8000万円を支払った。
 一方、関交協は加入している全国トラック交通共済協同組合連合会(坂本克己会長)の再共済により9億3500万円の支払いを受け、多額の損失を回避した。単独車両による事故としては国内史上最大規模となる損壊事故の業界全体に与えた影響は計り知れず、その爪痕は今も残っている。
【写真=タンクローリーが炎上し、高速道路は大きく損傷=首都高提供】

**********企業法務ナビ2016/07/19 15:10投稿)
首都高炎上の運送会社に32億円の賠償命令、使用者責任について

●はじめに
2008年に首都高速でタンクローリーが炎上した事故をめぐり、首都高速道路会社が損害賠償を求めていた訴訟で東京地裁は14日、運送会社と運転手に約32億8900万円の支払を命じました。一方で運送委託をした出光興産に対しての請求は棄却しました。今回は不法行為に基づく損害賠償請求と使用者責任について見ていきます。
●事件の概要
2008年8月3日早朝、群馬県高崎市の運送会社多胡運輸所有のタンクローリーが首都高速熊野町ジャンクション内のカーブで速度超過により曲がりきれず横転・炎上しました。タンクローリーには約16キロリットルのガソリンと4キロリットルの軽油を積載し、埼玉県内のガソリンスタンドに向けて輸送していました。積み荷の燃料は約5時間半に渡って炎上し2階建構造の上層部分の路面を熱で変形させました。道路は長さ40m、深さ最大60cm沈下し北池袋から板橋JCTまでが上下線とも通行止めとなりました。8月9日には片側1車線通行で仮復旧したものの全面復旧までには約2ヶ月半を要しました。首都高速道路会社は多胡運輸と運転手および輸送を発注した出光興産に復旧工事費と逸失利益分で約45億円の賠償を求め東京地裁に提訴していました。
●不法行為による損害賠償責任の要件
故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(民法709条)。その趣旨は損害を補填することによる被害者の保護と損害の公平な分担を図る点にあります。以下要件について見ていきます。
(1)故意・過失
「故意」とは、自己の行為により権利侵害が発生することを認識・認容している心理状態を言います。「過失」とは結果発生の予見可能性があるのに、これを回避する行為義務を怠ったことをいいます(東京地判昭53年8月3日)。その判断基準はその者の職業や身分から通常求められる注意義務に反していないかで判断されることになります。
(2)権利・利益の侵害
他人の権利または法律上保護される利益を侵害するとは、すなわち行為が違法であることを意味していると言われております。民法上違法と言えるためには侵害された利益と行為態様の相関関係によって決まるとされております。利益が生命や身体といった重大なものであれば行為態様が軽微であったとしても違法性が肯定されるということです。
(3)損害の発生
不法行為における損害とは一般的に不法行為があった場合と無かった場合との利益状態の差を金銭で評価したものといわれております(差額説)。たとえば怪我をして病院に行った場合の治療費と仕事ができず得られなかった収入分が損害ということになります。判例も基本的にこの差額説を取っていると言われておりますが、怪我自体を損害と捉え、損害額は個別に算定するという立場(損害事実説)にも理解を示す例もあります(最判昭56年12月22日)。
(4)因果関係
416条は債務不履行に関して、賠償の範囲を原則通常生ずべき損害に限定し、予見可能性のない損害を含まないとしています。つまり債務不履行と相当因果関係に立つ損害に限定しているということです。判例は不法行為においても416条を類推適用し損害とは相当因果関係の範囲内としています。
●使用者責任について
715条によりますと、他人を使用する者は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うとしています。使用者に代って事業を監督する者も同様としています(2項)。要件は①他人を使用していること②被用者が業務の執行について第三者に損害を与えたこと③上記不法行為の要件を満たすことが挙げられます。「他人を使用」とは実質的な指揮監督関係があればよく、雇用形態等を問いません。「業務の執行について」とは、「業務の執行のために」より広く、「業務の執行に際して」よりは狭い概念と言われております。例えば、配達途中で窃盗を働いた場合には使用者責任は生じません。
●コメント
本件でタンクローリーの運転手は約20キロ~30キロの速度オーバーをしていたと言われております。それにより首都高でのカーブを曲がりきれずに横転しました。ガソリンという危険物を常時運搬する輸送業者としては、20t近い積載で速度超過をすれば事故につながることは予見することができたと言えます。それにもかかわらず回避義務を怠ったことにより横転炎上に至ったことについては、過失は否定できないでしょう。損害との因果関係も認められますので、不法行為の要件は満たすことになります。そして運転手は多胡運輸に雇用され、指揮監督の下に業務についていたと言えるので「他人を使用」していたと言えます。そして輸送業務中に事故を起こしたことから「業務の執行について」損害を与えたと言え、多胡運輸には使用者責任が認められたと言えるでしょう。一方で多胡運輸は出光興産にとっては下請業者と言えますが、判決では使用者責任を否定しました。個別の配送業務については出光が運転手に対して指揮監督する地位にあったとは言えないとしています。このように使用者責任が生じるための重要なポイントは不法行為者との間に指揮監督関係が認められるかだと言えます。事故を起こした場合、重大な損害を生じさせる危険のある下請業者を使用している場合には自社が指揮監督権を持っているかを確認し、持っている場合には事故防止を徹底させることが重要と言えるでしょう。
**********


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大同有害スラグ問題を斬る!・・・佐藤建設工業に対する行政処分は片手落ち!?

2016-08-13 23:38:00 | スラグ不法投棄問題
■平成28年盛夏、お盆を迎える今日この頃、皆様、残暑お見舞い申し上げます。さて、ブラック佐藤建設工業が2016年8月3日付けで、産業廃棄物の許可を取り消されるという行政処分を受けました。この処分は8月5日に群馬の地方紙・上毛新聞や毎日新聞群馬版、そして8月10日に朝日新聞群馬版でも報じられました。この行政処分のことについてはこちらをご覧ください。↓↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2095.html#readmore

リットン調査団のブログにメールで情報提供された、佐藤建設工業の資材置き場の様子。この置き場では夕方になると、通常の盛り土材に、白い有害スラグを混ぜていたそうです。また現場では、突然、カラーコーンと黄色いチェーンでバリケードされているとのことです。GWやお正月でもこのような策はなかったので、「行政処分と何か関係があるのでしょうか?」とメール情報は締めくくられていました。情報提供ありがとうございます。

 群馬県は佐藤建設工業に対する行政処分についてホームページで次のように公表しています。↓
【8月4日】産業廃棄物処理業者に対する行政処分について(廃棄物・リサイクル課)
http://www.pref.gunma.jp/houdou/e1700091.html
その中で、処分の内容・理由を述べています。

**********
○処分の内容:
産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業及び産業廃棄物処理施設設置の許可の取消し
○処分理由:
 株式会社佐藤建設工業は、平成21年7月から平成24年6月までの間、大同特殊鋼株式会社から委託を受け、産業廃棄物たるスラグ(種類:鉱さい)を運搬し、天然砕石と混合する行為を行った。
 また、平成24年7月から平成26年1月までの間についても産業廃棄物たるスラグの運搬を行った。
 株式会社佐藤建設工業が許可を受けている産業廃棄物収集運搬業の事業範囲に鉱さいは含まれていないほか、同社が許可を受けている産業廃棄物処分業は、がれき類の破砕のみであり、許可なく事業の範囲を変更した。
 当該行為は、法第14条の3の2第1項第5号(平成22年改正法施行前においては、法第14条の3の2第1項第2号)及び第15条の3第1項第2号に該当する。
**********

 佐藤建設工業は、産業廃棄物に対する許可を全て取り消されたわけですが、許可なく事業の範囲を変更したのがその理由だとされています。

■一方、大同特殊鋼は不法投棄を目的として有害スラグを細かく砕き、佐藤建設工業は天然石と混ぜ、再生砕石と偽装して不法投棄を実行した訳ですが、柔らかく理由付けされています。佐藤建設工業としては、天然石の販売を促進するため有害スラグを利用した訳ですから、天然石の採取許可も直ちに取り消されなければなりません。

それでは、許可の範囲を超えて処理されてしまった有害スラグはどうなるのでしょうか?

 まず、基本を押さえておきましょう。

 不正に処理された産業廃棄物埋設現場まず原状回復しなければなりません。撤去の上、フッ素が土壌を汚染する恐れのある有害スラグは遮断型最終処分場に処分することが廃棄物処理法の定めたルールだからです。

 このことについては、平成 25 年3月 29 日に環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長が発出した、環廃産発第 1303299 号 行政処分の指針について(通知)という文章を環境省のホームページより見ることができます。
⇒末尾資料をご参照ください。

第2 産業廃棄物処理業の事業の停止及び許可の取消し(法第 14 条の3及び第 14 条の3の2)1 趣旨には以下のような記述があります。

**********
産業廃棄物処理業の許可制度は、産業廃棄物の処理を業として行うことを一般的に禁止した上で、事業の用に供する施設及び事業を行う者の能力が事業を的確かつ継続的に行うに足りるものとして一定の基準に適合すると認められるときに限って許可することにより、産業廃棄物の適正な処理を確保するものである。したがって、その基準に適合しないおそれがあると判断されるに至った場合には、直ちに事業の停止を命ずるとともに(法第 14 条の3)、その基準に適合しないと判断されるなど、法が許可を取り消すべき場合として定める要件に該当するに至った場合には、速やかに許可を 取り消す等の措置を講ずること(法第 14 条の3の2)。
なお、産業廃棄物処理業者が不法投棄等の重大かつ明白な違反行為を行っているにもかかわらず、原状回復責任を全うさせること等を理由に許可の取消処分を行わず、事業停止処分等にとどめる事例が見受けられるが、当該運用は、不法投棄等の違反行為を事実上追認するものであり、適正処理を確保するという許可制度の目的及び意義を損ない、産業廃棄物処理に対する国民の不信を増大させるものであるばかりか、違反行為による被害を拡大させかねないものであることから、著しく適正を欠き、かつ、公益を害するものである。したがって、こうした場合には、躊躇(ちゅうちょ)することなく取消処分を行った上で、原状回復については措置命令により対応すること
**********

 青字の部分を抜き出してみると、産業廃棄物の適正な処理を確保するため、その基準に適合しないと判断される場合には、躊躇することなく許可の取り消し処分を行った上で、原状回復については措置命令により対応すること。となっています

 この記述で分かる通り、

1. 産業廃棄物処理業や運搬業の許可を取り消す行政処分と
2. 原状回復の措置命令

はセットになっています。

 群馬県の環境部局は、2015年9月11日の「大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について」の公表から11か月も経過してやっと行政処分を行いました。環境省の通知にある「躊躇することなく許可の取り消し処分」と言えるのでしょうか?

 またその内容はセットで処分を行うべき原状回復の措置命令が含まれていません。環境省の指針を無視した、「適正処理を確保するという許可制度の目的及び意義を損ない、産業廃棄物処理に対する国民の不信を増大させるもの」と言わざるを得ません。群馬県環境部局は産業廃棄物制度を壊してしまうつもりなのでしょうか?

■環廃産発第 1303299 号 行政処分の指針について(通知)では、権限の行使を怠ることへの警鐘も鳴らしています。

第8 措置命令(法第 19 条の5)
1 趣旨
(1) 都道府県知事は、処理基準又は保管基準(以下「処理基準等」という。)に適合 しない産業廃棄物の処理が行われた場合において、生活環境の保全上の支障を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、必要な限度においてその支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるように命ずることができることから、これらの者による不適正な処分を把握した場合には、速やかに命令を行い、生活環境の保全上の支障の発生を防止し、又は除去されたいこと。なお、この場合において、処理基準 等に違反する状態が継続している(不法投棄の場合であれば、廃棄物が投棄されたままの状態が継続している。)以上、いつでも必要に応じ命令を発出することがで きること。
(2) 法第 19 条の5は、「命ずることができる」と規定されているところ、同条は生活環境の保全を図るため都道府県知事に与えられた権限を定める趣旨であるから、不適正処理された産業廃棄物の種類、数量、それによる生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性など客観的事情から都道府県知事による命令の発出が必要であるにも関わらず、合理的な根拠がなく権限の行使を怠っている場合には、違法と される余地があること。

 佐藤建設工業の許可を取り消す行政処分のみで、合理的な根拠なく原状回復の措置命令の権限の行使を怠っている場合には、違法の余地があると環境省は指摘しています。

 環境省が指摘しているのですから、このままの状況が続くなら、当会は躊躇なく“お役人様を刑事告発する”などの対策を行使しなければならないでしょう。そうならないためにも群馬県環境部局はより一層の奮闘努力をしなければならないでしょう。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考情報
*********朝日新聞2016年8月10日

産廃運搬や処分許可を取り消し
県、佐藤建設工業に

 大同特殊鋼渋川工場から排出された有害物質を含む鉄鋼スラグの問題で県は、渋川市の佐藤家拙工業の産業廃棄物に関する収集運搬業や処分業、処理施設設置の許可を取り消す処分をしたと発表した。3日付け。
 県によると、同社は、許可を得ていないのにもかかわらず、2009年7月~14年1月にスラグの運搬や破砕をした。
 県のまとめでは3月末現在、県内の公共、民間工事計373カ所でスラグの仕様が確認され、そのうち環境基準を超えたのは101カ所あった。土壌は57カ所で見つかっている。
**********

※参考資料:環廃産発第1303299号 平成25年3月29日
各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長 殿
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長
行政処分の指針について(通知)

https://www.env.go.jp/hourei/add/k040.pdf



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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・第1回学校見学会参加報告

2016-08-11 22:58:00 | 群馬高専アカハラ問題
■2016年8月6日(土)に群馬高専において第1回の学校見学会があり、当会からは代表と事務局長の2名で、前橋市内の学習塾関係者の立場で参加しました。8時40分ごろ大駐車場に到着後、寮の北側の通路を通り、受付場所の群嶺会館前のテントに向かいました。途中で西尾校長がうろうろしているのに出くわした際に、当会から2名がやってきたことについてどうやら校長が気付いた様子でした。群嶺会館前のテントの受付では、とくに名簿に記入することもなく、資料を渡されたあと、同会館2階の大講義室に入りました。既に50名ほどの中学生や保護者の皆さんが前のほうから座っていたため、当会では左側の通路わきに縦方向に並べた椅子の一番前よりに席を確保しました。

8月6日(土)午前9時から開催された学校概要説明会。左が司会。右から二人目が西尾校長。


学校見学会に集まった中学3年生とその保護者らが乗ってきた車が駐めてある学校駐車場。


学校見学会会場への案内板。

 学校概要説明会は定刻通り9時から始まりました。そのころには、会場内は80名ほどの参加者が入り、ほぼ満席の状態でした。

**********学校見学会案内 PDF ⇒ 20160806wzw.pdf
【司会】皆様おはようございます。(場内:おはようございます)本日はご多用中、また父兄のご参加を賜りまことにありがとうございます。それではただいまより学校概要説明会を開催いたします。本日の司会進行を務めます教務主事補の中山(ナカヤマ)と申します。よろしくお願いいたします。まず初めに本日の学校見学会に関して、皆様にお願いがあります。本校の広報活動のため、名札を、まあ、このような名札を着用した職員が見学会の写真撮影を行っております。参加されている中学生及び保護者の皆様のお顔が映らないよう配慮致しますが、差支えのあるかたにおかれましては、撮影者にお申し出ください。また、参加されている皆様がたの写真撮影につきましては、個人情報保護の観点から、お控えくださるよう併せてお願い申し上げます。それでは、説明会の開催に当たりまして、学校長である西尾典眞(ヨシチカ)よりご挨拶を申し上げます。

【校長】おはようございます。(おはようございます)学校長の西尾です。えー、本日はですね。学校見学会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。私から申し上げたい点は4点ございます。まずですね、理工系分野に関心を持ちまして、将来技術者や研究者として活躍し、ですね、いろんな分野とか社会のために役立ちたいと、いうですね、えー、考えの皆さん、これは当然ですね、男女関係ないところでございますけれども、ですね、こうした皆さんの夢、希望をですね、実現する手助けを、群馬高専はできるというふうに考えております。2点目です。えー、本校では、本科5年で就職する人もいればですね、さらに進学する人もいます。で、現状はですね、進学する人のほうが多く、ですね、また、卒業生の約半数は、ですね、最終的には大学まで進みます。ま、このようにですね、様々な選択肢がありますが、基礎とともに、実践力や創造性をですね、培うことを重視する高専で学ぶこの5年間というのは、ですね、皆さんがどのような選択をしたとしても、ですね、将来に大きな意味を持つというふうに考えています。3点目、えー、勿論ですね、目指すものが高いだけに、入学してからの皆さんの一層の頑張りが求められます。しかしながら、頑張れば頑張っただけ、ですね、モノは確実に得られます。皆さんには、ですね、それができる、ですね、力も意欲もあるというふうに考えております。先ほど申し上げました通り、ですね、学校も入学後も、皆さんの頑張りを支えます。また、同じように高い目標に向かって努力し、励まし合う仲間もいます。これは何よりもですね、大事なこと、重要なことと考えております。4点目。皆さんはですね、志望先の決定におきまして、聞いてみたいこと、確認したいこと等ですね、いろいろあるかと思います。見学の際にはですね、どうか遠慮せずですね、本校教職員や学生にですね、ご質問等頂ければ、というふうに思います。やはりですね、学生の話が一番重要かと思います。なお、えー、……本日の資料の最後にちょっとご案内しておりますが、ですね、えー、体験授業につきましてはすでに、あのう、申し込みは終了いたしましたけれども、この後、ですね、授業見学会、入試説明会もございます。えー、こういったですね、機会もぜひご利用いただきたいというふうに思っております。……で、私から、以上ですが、ですね、さらに1点、付け加えさせて頂きたいことがございます。えー、新聞報道で、ご存知のかたもいらっしゃるかと思いますが、平成25年度ですね、から平成27年度の間にですね、本校の学生が、まあ、事故の可能性が高いとですね、ご家族から伺っている1名を含めましてですね、3名亡くなっております。ま、学校としてはですね、学生の命が失うことをですね、重く受け止めるとともにですね、ご家族の御意向を踏まえながら、ですね、学生や保護者の方にお伝えし、またカウンセラーの協力も得て、ですね、心のケアに努めてまいりました。さらに学生の皆さんが、ですね、少しでも安心して、ですね、学んでいただけるよう、ですね、アンケート等を通じてですね、悩みの早期の気付きであるとか、その対応にも、ですね、力を入れているところです。何卒ですね、この点ですね、ご理解のほどをお願いします。なお、このことにつきまして、個別のご質問がおありのかたにつきましては、えー、この、えー、会の後でございますけれども、ですね、私、またですね、副校長である教務主事、学生主事がですね、別途対応させて頂きます。この会の終了後、お申し出、いただければというふうに思っております。最後に、今日も暑いです。えー、無理をなさらずに、ですね、こまめに水分補給をすることをお願いします。また、これからもしばらく暑い日が続くと思いますが、ですね、えー、中学3年生の皆さん、えー、しっかりですね、えー、体調管理をして、ですね、受験に向けた準備を進めてくだされば、と思います。私からは以上です。

【司会】ありがとうございました。続きまして、学科及び各学科の説明に入らせていただきます。説明につきましては、教務主事補である平社(ヒラコソ)より説明させていただきます。

【教務主事補】皆さんおはようございます。(おはようございます)それではあのう、スライド、パワーポイントと言いますけれども、パワーポイントを元に学校の説明を行わさせていただきたいと思います。まずこれ、あのう、学校の上空から見た風景なんですけれども、今日来て広いなあと思われたかた、多いと思います。えーまあ、群馬高専、ここの領域になりますけれども、結構広い学校になっております。で、次、高専、どういうところを目ざしているかというものを説明させていただきたいと思います。

まず理系、早期英才教育による世界に通じる研究開発型のエンジニアの育成を目指すということで、高専、やっています。私、先ほどご紹介いただきました、教務主事補の平社(ヒラコソ)と申します。で、えー今、現在、時代は刻一刻と変わっておりまして、新しい技術者像としてどういうものが求められているかということを簡単に説明させていただきたいと思います。

イノベーションという言葉を聞いたことあるでしょうか?ありますでしょうか?イノベーション、えーと、日本語で言うと技術革新ですね。えーと、常に時代に対応した新しいものを求めて行かないといけない。次から次に変わるこの時代に対応できるものでないといけない。そういったものを目ざしております。もうひとつ、グローバリゼーション。ちょっと難しい、あのう、横文字ですけれども、地球規模化といことで、これば国際的な、インターナショナルの、日本もこれから海外に行って、あの、こう、技術開発をしていかなければいけない時代となっております。グローバリゼーションというのは、まあ国際化ですね。えー、それと、次、企業現場の中堅技術者から、えー、どういうものを目ざしていくか、ということで、えー、結局は研究開発型の技術者の育成というのを目ざしております。で、まず、ここをちょっと見ていただきたいんですけれども、えーと、中堅技術者ということから、今、もう、高専は、高専出身者は、あのう、もう大学院、さきほど校長先生から、あのう、紹介がありましたけれども、えーと、群馬高専では卒業生の大半がもう、大学院まで進む時代になっております。で、研究開発型の技術者になるために、まあ、大学院まで、こう、行くというのがもう当たり前の時代になっております。で、そこで、群馬高専は、その中で、まあ、大学院までの、あのう、こう、道筋をお手伝いするということもやっていますし、こういったものを、えー、こういったところを、あのう、気を付けて、技術者教育というものを行なっております。1つ目。問題発見能力。えー、問題を自ら、えー、どういうところに問題点があるのか、こういうのを見つけていこうというところを視点に教育を行っております。あと、問題解決能力。問題を見つけて、それを解決していく。こういった能力を育成しようと心がけております。で、3点目。これ、実は重要なことなんですけれども、技術者というのはひとりでできる仕事というのは一つもありません。他人と一緒に「協働」という言葉があります。共に一緒にコミュニケーション、情報交換をしながら、自分がこう思っている、自分はこう考えている、あなたはどう考えていますか、といったものを受け取りながら一緒に、こう、技術開発というものをやっていきます。それに不可欠なものはコミュニケーション能力、そういうものが問われています。これらの育成を念頭において、研究開発型の技術者教育というのを行っております。

で、次に、群馬高専の教育の特徴ということで、申し上げておきたいと思います。全国に51校、えー、国立高専あるんですけれども、その中でも群馬高専、ちょっと若干特徴があります。どういう特徴があるかというと、まずあのう、低学年のころに基礎学力を高専でも、普通科高校と同様に数学、物理、或いは、あのう、人文科目と言っているものですね。こういったものも低学年で、普通科高校相当にやります。その中で自然科学と言われている分野ですね、数学、物理、化学、こういったものに、あのう、非常に力を入れております。で、工学基礎、これはあの、専門と呼ばれているものですね。えーと、概ね3年生以降から急激に、あのう、専門の科目の比率が高まってくる。低学年のころは、自然科学、基礎学力の科目が多いカリキュラムになっております。あと、実験実習、卒業研究、実技科目といわれていますけれども、高専の特徴は、えーと、普通科高校或いは大学のあのう、普通の工学部等でも、あのう、ない特徴としては、実験実習、この辺も低学年、あのう若い年齢から取り入れているということで、目で見て、あのう、実践的に、こう、工学というものを捉えていくという能力を身に着けることができます。あと、エンジニアリング・デザイン教育。えーと、これはあのう、卒業研究だとか、そういうものも含まれますけれども、あの、今言ったみたいに、目で見て、えー、或いは学問的に学んで考えて、あの、手を動かす教育ということが言えると思います。問題解決学習、問題解決型学習。あと、さきほど言いましたコミュニケーション能力の育成。ということで、ここでは特にあのう、語学力について語ってますけれども、あのう、TOEICだとかTOEIC IPというのは内部でやるね、えー、TOEICの過去に出た問題を使った学習になります。で、えー、……あのう、TOEIC IPというのは公式でないTOEICの予備試験になります。で、あと、えーと、海外、あと、後程紹介しますけれども、海外語学研修、だとか、こういったものを通して、語学力の育成にあのう努めております。で、自ら知識を吸収し自己発展できる技術者。10年先、20年先も活躍できる技術者。こういったものを目指して教育を行っております。

で、次に、パンフレットお持ちのかたは開いてもらうと資料があると思うんですけれども、えーと、こういった学年進行の表があります。これをちょっと参考に見ていただきたいと思いますけれども、高専、こちらになります。右側です。高専、5年生の、ないしは7年間の工学系の一貫教育ということで実施しております。えー、7年というのは皆さんあまり聞いたことがないかも、聞いたことがない人もいるかもしれないんですけれど、えーと、我々本科と呼んでいる、まず5年間のカリキュラムがありまして、で、その上に2年間、専攻科というのがあります。

えーと、こちらはだいたい2割くらいの学生が、あのう、進学するところですね。ま、成績上位者が行くところになっております。で、ちょっと見比べてほしいのは、普通科高校、えーと、ここにありますね。中学卒業後に3年間、で、3年後に短大であれば2年間、で、普通の大学であれば、あのう「四大(よんだい)」といわれているやつですね、医学部を除く、えーと、大学、普通であれば、工学系であれば4年間。で、さらに大学院。大学院はあのう、前期課程と後期課程というものがあります。前期課程2年、で、後期課程3年という、こういう流れになっております。ちょっと見比べてほしいのは、えーと、高専、中学卒業後に5年間経つと、本科卒業のときには、大学2年生相当なんですね。大学2年生相当です。群馬高専の特徴としましては先ほども言ったんですけれども、あの、基礎学力、非常に力を入れておりまして、えーと、基礎学力の高さから、進学実績というのが非常にあのう、非常に良い状態になっております。で、5年間終わったあとに、大学に編入学という制度があります。で、えー、大半の学生は、あのう、大学3年生相当に編入学していきます。ちょっと一部はあのう、2年生入学、編入学という大学もあるんですけれども、殆どの大学は3年から編入学することになります。で、こちらの編入学、実は大学のほうから非常に評判がいいです。高専出身の学生は、先ほども言ったみたいに、目で見て、手を動かして、あのう、工学というものを学んでいきますので、えーと、それに裏付けられたフットワークがいいと、あとは実験の手軽さとか、実験をやるぶんには、実験をやる中で非常に手際が良いというふうに大学の先生がたからも言われています。ま、そういったことも手伝ってか、近年、あのう、編入学の定員がずいぶん増えて来てまして、あの、随分追い風の状況になっております。

で、専攻科の説明を次にさせていただきたいと思います。専攻科、先ほど、本科卒業の成績上位者20%くらいが専攻科に行くと言いましたけれども、専攻科、さらに研究だとか学力を付けるというところになります。で、専攻科2年終わった後は大学4年生相当になるんですね。これまた後でお見せしますけれども、殆どの学生が、えー、専攻科を終えた学生が、有名な大学院、国立大学院、国立大学の大学院のほうに入学していきます。で、これが先ほどのデータになりますね。これは本科卒業生の割合になります。専攻科2割、で、国立大学、これは編入学ですね。えーと、54.3%になるわけです。専攻科と国立大学の編入学を合わせまして、トータルで進学率74.7%ということで示しております。で、この値はどういうところかというと、全国、先ほど国立高専51校あると言いましたけれども、高専の中でもトップクラス。で、えーとまあ、群馬高専は、あのう、この中でも進学、先ほど編入学の大学の定員が増えているということを申し上げましたけれども、その辺の、あのう、改革をしていった学校のひとつでもあります。で、残りは就職になります。で、次に専攻科の、えー、専攻科の修了者が行く先をちょっとお伝えしておきます。先ほど有名校と言いましたけれども、国立大学、旧帝国大学と言われているようなところですね。それとあと、東京工業大学、そういったところの有名校の大学院に51.2%進学していくということになっております。そのほかの国立大学、といってもあのう、筑波大学さんとか結構有名なところが、その他に含まれています。群馬大学とかもあります。

次に就職状況。えーと、群馬高専では、残りの25%くらい、4分の1くらいの学生が就職するわけなんですけれども、いずれも有名な企業、まあ、あるいは地元の有力な関係があるところに皆さん就職しております。次に学科の説明をしたいと思います。各学科の説明を簡単にしたいと思いますけれども、まず専門の学科、5学科あります。えー、機械工学科、電子メディア工学科、電子情報工学科、物質工学科、環境都市工学科となっております。で、あの、一般科目として、一般科として、自然と人文という学科がありますけれども、これは専門としてではなくて、基礎学力、まあ、低学年のころの科目を担当する教員が所属しているところであります。で、ここの5学科、えーとパンフレットをお持ちの方は2頁以降から、順次説明していきますけれども、えー、中学3年生の段階で受験するにあたって、まだちょっと少し早い話ですけれども、志望学科というものを決めなければいけません。そこがまず皆さんの中学生にとっては一番の、あのう、大きな難関ということになるかもしれません。で、今日、学校見学会に来ていただいているので、まあ、どういう学科があるのかということを念頭に置きながら、あのう、ぜひ見学していって頂ければ幸いだと思います。

まず機械工学科、えーと、パンフレット2頁からになりますね。えーとこの学科はエンジン、自動車、航空機、ロボットなどの設計開発の基礎を学ぶ学科です。で、力学、力学というのは動くものを、物理的に、数学的に、こう、学ぶ学問ですが、力学などの基礎科目に重点を置いたカリキュラム。で、メカトロニクス、設計製図、機械工作などのモノづくりの基礎を学ぶということになっております。で、ここにちょっと付け加えたいんですけれども、この資料にはないんですけれども、えーと、まあ、そこのね、パンフレットに載っていると思うんですけれども、写真。あの、今はやりのドローンなんかもここでやっている研究室があります。

で、次、電子メディア工学科、3頁になりますね。えーと、身近にあるエレクトロニクスの理論や技術を学んでいる学科です。で、基礎学力だけでなく、工学基礎だけでなく、技術の基礎となる物理学、数学に重点を置いたカリキュラム。で、基礎学力を重視し大学院まで進学する学生が非常に多い学科となっております。それで電気的なもの、電気機器、こういったものの技術的に学ぶことができます。で、電子メディア工学科の、えー、特徴としては、ここの理論というものがね、ひとつ挙げられると思います。で、理論にも強い。で、実を言うと、あのう、数学、物理といった基礎学力はもう電子メディア工学科、ここが一番学力の高い学生が多い。で、高専というと、工業高等専門学校という名前がついているんですけれども、まあ、近年、電子メディア工学科のおかげもあってですね、あのう、理学系の、理学系、工学系というのは、あのう、まあ、理学系と言うのは数学、物理、そういったものを専門に研究するひとたちのいるところの学部の事を言いますけれども、えーと、工学系だけでなくて、理学系も群馬高専が取り扱っているということが言えると思います。実際に電子メディア工学科さんでは、卒業研究とか、そういうところで、まあ、物理学、数学、そういたものを研究の生業にするひとたちが、まあ、4分の1くらいですかね、あのう、います。えーと、そういった学科なので、物理学、数学科、まあ、こういったものをやりたいというかたはぜひ電子メディア工学科にお越しいただければと思います。で、

次、電子情報工学科。ここは何をやっているかというと、コンピューター、通信機器の設計開発、それを活用した情報技術の基礎を学ぶ学科です。で、ここの特徴としましては、まあ、情報工学科という名前はよく聞くと思うんですけれど、ハードウエア、まあ、電子機器ですね。こういったものも同時にやっているというところが特徴かと思います。で、ハードウエアとソフトウエア、両方のバランスを大事にしている学科でもあります。で、最新の情報テクノロジーを身に着けるコンピューターのプロフェッショナルを目指せるということで、ソフトウエア、ハードウエアともに興味のある方ここをお勧めしたいと思います。で、次、物質工学科ということころがあります。ここはあのう、化学と言われているようなところ、全般を担う学科ですね。で、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーの基礎を学ぶ学科です。で、ここの特徴としましては、今紹介している5学科の中では唯一のコース制を採っている学科でもあります。で、このコース制、えー、生物工学コースと材料科学コースという2つのコースを、えー、4年生でしたかね。4年生の時に4年生進学時に、進級時ですね、失礼しました、進級時に選ぶということになります。だいたい比率は3分の1くらいは生物コースだったと思います。で、3分の2くらいが材料科学コースというふうな配分になっています。ただ非常に女性の多い学科でもありますね。あのう、生物コースのほうに非常に人気があります。で、あと、進学する学生が多い学科でもあります。で、最後になりますけれども、環境都市工学科。ここはどういうことを学ぶかというと、環境問題や都市防災に関連した技術の基礎を学ぶ学科です。で、計画、設計、施工、管理および環境に関するカリキュラムが充実しております。で、特徴としましては、ここですね。えーと、まあ、社会基盤、環境に関する知識を身に着けられるということもありまして、学科そのものの特徴でもありますね。群馬高専の特徴というよりは、学科の特徴……学科、まあ、全国的にこういう傾向はあるんですけれども、公務員になるかたが非常に多いです。例えば前橋市だとか、群馬県庁、そういったところに、あの、こういった環境都市開発の仕事がいっぱいある。なので、公務員になられる方が多いです。で、次に、えーと、知っておいてほしいことというところで、簡単にまとめさせてもらいました。えーと、学期制について。えーと、今皆さん、中学生であのう、1学期、2学期、3学期というふうになっていると思うんですけれども、高専では前期、後期という2学期制です。えーとここはちょっとあのう、ビックリするかもしれませんが、今の中学校と同じように混合学級と我々呼んでいるんですけれども、1年、2年のころは全ての学科、今紹介した5学科の学生が均等に混ざったクラスで、1年1組、1年2組、そういった形でクラスを構成しています。3年生から専門の学科に分かれます。で、かといって、専門の、あのう、科目がないのか、というと、そうではなくて、それぞれ教室に移動して、あのう、まとまって機械工学科だとか、電子メディア工学科として、あのう、授業を受けます、で、基本は全学科、混ざったクラスで、混合学級で受けます。あと転学科制度。えー、これは先ほどあのう、学科選びが非常に難しいという話をしたんですけれども、やはり入ってみて別の学科がよかった、あるいはちょっとここ向いてないかも、とか言った時に、学科を変えることができます。これは気軽にやっていただいて、あのうかまわないもので、あのう、実際に、大勢とは言いませんけれども、毎年、あのう、必ず転学科される方がいます。で、2年生と3年生、2回機会があります。学科を変える機会が2回あります。で、あのう、学業成績に基づきと言っていますけれども、これはもう大半、概ねの学生がもうこれクリアするレベルに設定されておりますので、とくにあのう、ご心配する必要はないかと思います。で、次、高専教育の特徴ということで、先ほど言ったように混合学級で1年、2年は過ごします。それで、えーと、高専というと、非常に専門が1年のころから入るというイメージがあるかもしれないですけれど、実は普通科高校とあまり大して変わりがないということは申し上げておきたいと思います。これ配分、7に見えちゃいますね、これ15%ですね。15%。で、高学年に進むに従って、70%、あっ、75だ。75でいいんです。こっちが70だ。あの、ちょうど逆型になっているんですね。で、あのう、4分の3は普通科高校と同じカリキュラムとなっております。普通科高校と同じというか、あのう普通科高校の基礎学力をまあ、75%、4分の3学ぶということになります。あと、特徴としましては、これ、あの、申し上げておきましょうかね。これ、3年と書いてありますけれども、もうちょっとあるんではないかという気がします。あのう、はい。あのう、TOEICが定期的にあります。あと、えーと、4年生でインターシップというのがあります。で、4年生、5年生、また、或いは専攻科生も該当なんですけれども、海外英語研修ということで希望者が、あのう、また、のちほどスライドお見せしますけれども、あのう、オーストラリアだとか、カナダだとか、そういったところに行きます。これが海外研修の写真になりますね。こうなんか、いかにも海外という感じがしませんか。外人さんがいっぱいいて、こういう建物も、海外っぽい、というか海外そのものですね。それでまあ、ホームステイと言う形をとって、向こうの現地のどこか家庭に行ってお世話になると。で、午前中、午後は、昼間の間は遊びに行ったりということもあるんでしょうけども、みっちり英語の学習をするというカリキュラムとなります。で、えー、部活、サークル等も充実しております。で、ここちょっとここ黄色で書いてありますので、ここだけちょっと紹介したいと思いますけれども、NHKで主催しているロボットコンテストというのは少なからず皆さん聞いたことがあると思います。で、高専のロボットコンテストはここのサークルの一環としてやっているんですね。中には学校の中では、学科としてやっているところもあるんですけれども、群馬ではサークルとして参加しております。で、ロボット研究会ということで、まあ、今日も展示を出しておりますけれども、もし興味のあるかたは、体育館に行っていただければと思います。で、あと、いろいろコンテスト等も充実しておりまして、今言ってロボットコンテスト、プログラミングコンテスト、ETロボコン、構造デザインコンテスト、3D デザイン設計造形コンテスト。あのう、これ、デザコン、あっ違うか、こっちはデザコンといっております。で、こっちはあの、だいたい機械工学科の学生が主になって参加して、これもサークルでやっております。で、今日の学校見学のポイントということで、こういうものを見つけていただきたいなと思って用意しました。まあ、面白い、不思議、すごい、かっこいい。こういったものを意識してみていただければと思います。で、保護者の皆さんへということで、各ブースでは5年生が主に説明をしております。えーと、本科5年生ですね。気軽に学生生活等についていろいろ聞いてみてもらってはいかがかと思います。本音の声とかも、聴けるかと思いますので、えーと、我々では語れないような何かを聞いていただければというふうに思っております。以上で、これ最後のロボットコンテストの、あのう、写真になりますけれども、以上で学校説明会、学校概要説明会を終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

ありがとうございました。では、えー、これよりちょっと若干時間が短くなりますけれども、ただ今の学校概要説明に関して、質疑応答の時間を設けたいと思います。ご参加の皆様におきましては、ただ今の学校概要説明について、質問がある場合は挙手をお願いいたします。

【参加者ら】……

【司会】とくにございませんかね。なければ以上を持ちまして学校概要説明会を終了させていただきます。ご参加いただきまことにありがとうございました。えー、それで、各見学会場において、各学科や相談等の各種コーナーを用意しておりますので、案内図に従い自由に見学をお願いいたします。えー、本日は大変暑くなっております。えー、途中での休憩、水分補給をなさってください。なお、体調が悪くなった場合には、お近くの教職員にお伝えください。また、最後に今後の本校見学会の開催の参考にするため、配布資料の中にアンケート用紙が入っておりますので、記入へのご協力をお願いいたします。それでは見学へ移ります。以上で学校概要説明会は終わりになります。ありがとうございます。
**********

 以上で約30分間の学校概要説明が終了しました。西尾校長は、例の寮生連続死亡事件について、さすがに相当気になると見えて、冒頭のあいさつの最後に簡単に触れましたが、アカハラ事件については全く何も言いませんでした。

■当会としては、学校概要説明会後に学校側、とくに校長への質問は用意しておらず、行いませんでした。まずは、今回の学校見学会の機会に、寮内を見学したかったため、説明会終了後、直ちに寮に向かいました。



 群馬高専の寮は、男子寮は3つあり、女子寮は1つです。男子寮である北寮の玄関前でカメラを構えるとさっそく担当職員から「ここでは撮影を遠慮してください」と注意の声がかかりました。この注意を了解して、寮生の生活空間である寮施設内部の撮影を控えることにし、建物や玄関の外観だけを撮影して中に入りました。玄関に入ると受付がありましたが、人数のみカウントしていただけでした。

 そのあと、寮生のかたが施設内を案内してくれました。3つある男子寮では、それぞれ学年ごとに分かれて入寮しているそうです。北寮には1、2、3年生が入寮しており、南寮が3、4、5年生、そして中寮には4、5年生と専攻科生、それに留学生が入っているとのことでした。

 まず、1階の談話室を見学しました。小腹がすいた時に簡単な料理が作れる設備がありました。大型の冷蔵庫も3つならんでありました。

 一人部屋を覗かせてもらいましたが、予想より広めな感じがしました。部屋の内壁も廊下も談話室もリニューアルしてから間もない様子で、内装が綺麗になっており、設備も新しいものが入っていました。

 夏場には便利なシャワー室も1階にありました。なお、大浴場は外の食堂に併設された建物にありました。洗濯場には全自動の洗濯機とガス式の乾燥機がたくさん設置されていました。いずれも新品でした。2階には学習室がありました。また、2人部屋もあり、ロフトベッドが入っていました。

 食堂と大浴場は外にありました。食堂のオープン時間は、平日が朝食7時30分~8時30分まで、昼食11時45分~13時まで、夕食17時30分~20時15分までとなっており、土日祝日が、朝食8時~9時まで、昼食12時~13時まで、夕食17時30分~20時までとなっていました。また、大浴場では、浴槽が2つあり、奥が1年生、手前が上級生専用になっているとのことでした。

■また、説明によると南寮は最近建て替えられたとのことで、一番新しいそうです。となると、平成25年1月に南寮で死亡した物質工学科4年生の部屋は既に跡形もなく存在していないことになります。

 さっそく南寮の玄関にいくと、ドアにはカギが掛かっており、中には入れませんでしたが、玄関ドアのガラス越しに、防犯カメラの位置を確認できました。すると、ちょうど玄関前の様子はかなり広い範囲で分かる位置にあることが判明しました。


南寮の玄関前周辺の様子。

 2016年1月の寮生自殺事件について、報告書等では、1月13日に失踪した寮生が、朝帰寮しても寮の自室のカギを午後5時までもらえなかったため、荷物として持参していた2つのカバンを寮の玄関前に置いていたことになっています。しかし、誰も気づかずに、しかも防犯カメラに写っていなかったということは、玄関前のタタキの上ではなく、少し離れた場所に置かれていたことになります。現在は夏草が生えていますが、それでも放置された2つのカバンはすぐに認識できるはずですし、しかも1月という冬場には、玄関の周りは枯草しか残っていないはずで、なおさら容易に認識できたはずだったと思われます。

 また、本人は寮の自室に入れなかったことから、カギは寮務職員が預かっていたはずですので、学校側としてはすぐにその夕方には本人が失踪したことに気づいていなければならなかったわけです。しかし、この過失について、責任が問われた様子はありません。

■この後、J科とK科を訪問しました。J科では、学生の皆さんからパソコンを使っての実験の様子を活き活きと説明していただいたり、K科では本科の卒業生でも、とくに女子学生の就職が順調であることを女性教授から詳しく説明を受けたりしました。



 また、最後にロボコン研究会がこれまでに試作した数々のロボットの展示を見ながら説明を受けました。これまで最高は全国大会のベスト8だそうです。



 こうして、午前11時ごろまで学校見学会に参加しましたが、先述の通り当会としては、学校概要説明会後に校長への質問をしませんでした。しかし、その後に入手した情報によれば、7月8日に当会が群馬高専を訪問した後に、同校C科の某教授が、西尾校長が掲示した文書の真意や学生側への説明のための緊急会議を学校側に要請したところ、西尾校長がこれをはねつけたことがわかりました。

 また、7月8日午後4時過ぎのオンブズマンによる群馬高専訪問後、同日午後6時以降、学生寮内で寮生に対する一斉呼び出しがあり、「“軽率な”行動を固く禁じる」との警告と共にツイッター等SNSへの投稿に関して圧力がかけられたそうです。ただし、この呼び出しが、校長の指示で行われたものか、それとも寮務主事によるものか、あるいは“何らかの事情”で怒り狂った上級生が起こしたのかについては、これまでのところ確たる情報が得られておりません。

 仮に、校長の指示で行われたとすれば、自ら学生らを実質的に脅す内容の張り紙を各教室や寮の階段の壁に張り出しておきながら、その事実をSNSで広く世間に知らしめるという当然の行為に対して、制裁を加えるのはお門違いではないかと思います。

 なお、アカハラを行ったとされる教授の姿は、残念ながら目にすることはできませんでした。



群馬高専校内にある顕彰碑の表と裏。

■ちなみに平成28年度の第2回学校見学会は2016年11月12日(土)に開催予定となっています。今回、聞きそびれた質問をする機会は、3カ月後に再び巡ってくることになります。




【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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