市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

群馬高専アカハラ問題で総理府情報開示等審査会の答申後早くて60日以降=5月連休明けに文書開示か

2016-03-21 23:36:00 | 群馬高専アカハラ問題
■学科長によるアカデミックハラスメントに揺れ動いている群馬高専ですが、2016年3月3日に突然、内閣府の情報開示・個人情報保護審査会から3月2日付で「答申書の写しの送付について」と題する文書が当会に送られてきたことは3月5日のブログ記事で報告したとおりです。

 その後、群馬高専からも、国立高等専門学校機構からも、答申に関する当会への反応が全くないため、先週の金曜日、2016年3月18日に、独立行政法人国立高等専門学校機構の総務課の須田氏(電話042-662-3120)に、答申に対する対応について電話で問い合わせをしました。

 同氏によると、3月2日の答申を受けて、現在、機構と群馬高専と相談しながら、決定書の作成準備中だということです。そして、総務省のガイドラインにしたがって、答申書の交付後60日をめどに、通知することで作業をすすめているが、60日以内というのはあくまでもガイドラインであり、答申後何日以内に決定書を出さなければならないというルールはないのが実状、という説明がありました。

 この60日というのは総務省の情報開示に関する施行状況調査をもとに、平均値をとったものだそうです。須田氏によれば、総務省のホームページの次のURLを見ると、その根拠が分かるというのです。
※総務省の施行状況調査のURL → http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/chousa.html

 これを見ると調査結果の「概要」として、次の文書が紹介されています。
※平成26年度における行政機関及び独立行政法人等の情報公開法の施行の状況について(概要)PDF → 26nxsysljs.pdf

 この文書の6ページ目に次の記述があります。

<審査会の答申を受けてから裁決・決定をするまでの期間>
 上記①で示した各府省申合せにおいては、答申後の裁決・決定についても、原処分を妥当とする答申などにあっては30日以内に行い、その他の事案についても、特段の事情のない限り60日以内に行うこととした。

 どうやらこれによれば、5月連休明けごろの決定書の送付のタイミングの可能性があるようです。当方が期待している学期末が終わり新入生が通い始める4月初めまでのハラスメント行為情報の開示は、とてもおぼつかない見通しです。さらに須田氏いわく、「決定書の送付までに答申から1年くらい期間をとる事例もある」のだとか。

■以上のような説明だったので、当会から「機構は群馬高専の指導的立場にあるのだから、群馬高専からいろいろと時間稼ぎの相談がきているとしても、諸般の事情を鑑みて、一日にでもはやく開示決定をだして、該当情報をすべて開示するように強く指導する必要があるのではないか」と申し入れると共に、「今後、ずるずると開示決定が遅れないように、頻繁に電話をして督促させていただく」と伝えました。

 市民オンブズマン群馬では、なんとか学期が変わる前に、開示ができないものかどうか、直接、群馬高専に督促したいと考えております。

 そのため、今週3月23日(水)午後一番に群馬高専を訪れ、早期の開示決定を行うよう、直接申入れをする予定です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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ショーンKも経歴詐称に利用したデラウェア州に法人登記している日刊スポーツゴルフ場跡地の開発業者

2016-03-21 22:20:00 | 安中市内の大規模開発計画

■3月16日のテレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜、午後10時09分)で、番組の冒頭に古舘伊知郎キャスター(61)が、「本日からショーンさんの出演は取りやめさせていただく、ということになってしまいました」と報告しました。イケメン過ぎるコメンテーターとして著名だった経営コンサルタントことショーン・マクアードル川上(通称:ショーンK)について、同氏が同番組の水曜日コメンテーターを務めていたのですが、同日発売された週刊文春に学歴・経歴詐称が報じられたため、急きょ、上記の報告が番組冒頭で視聴者に告げられたのでした。

 週刊文春の記事については、本稿の末尾に掲載しているので、後ほどゆっくりとご覧いただくことにして、このショーンKという人物が、代表者として名乗っていたブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドという会社が、米国デラウェア州にあることに、当会では興味を覚えました。

 一方、同じく朝日新聞グループの日刊スポーツが昭和48年と平成2年のバブル時期に、朝日新聞自前の高級ゴルフ場をつくろうと、安中市岩野谷地区の南にある137ヘクタールの山林(一部農地含む)を買収(一部賃貸)しましたが、バブルが弾けたため、目前で挫折し、平成13年以降、社有林として所有していました。ところが昨今のメガソーラー開発ブームで、この山林に目を付けた業者が現れたため、日刊スポーツはそのうち数社に絞って、事業提案書を提出させて、最終的に1社を選定し、そこにゴルフ場跡地の山林等を売り渡す決定をしました。

 日刊スポーツの子会社でこの土地を管理している日刊スポーツ興産では、数社の中から、おそらくもっとも高額で購入を申し出たと思われるザイマックス・アセット・コンサルティングに土地の売却を決めたと説明していますが、実際には、ザイマックスはメガソーラーの開発手続きのとりまとめをするだけで、実際の開発事業者は、「安中ソーラー合同会社」という資本金1円の特別目的会社(SPC)だということが、昨年3月に群馬県に提出した構想書から判明しました。

 この構想書によれば、「安中ソーラー合同会社」の業務執行社員が、グレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCという合同会社(Limited Liability Company。有限責任会社ともいう)で、代表社員も同じくグレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCとなっています。ところが、職務執行者として、東京都の山崎亮雄と、香港在住のリュー・シャオ・フィの2名が選任されています。しかし、行政に対する開発事業構想書では、事業者の職務執行者は、山崎亮雄のみの名前となっており、リュー・シャオ・フィの名前はありません。

 ちなみに、グレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCをネットで検索すると、唯一次のURLがヒットします。確かに組織はありそうですが、このURLからもその実態は不明です。
※「Great Discovery Holdings LLC」↓
http://delawarecompanies.us/free-delaware-company-search.find/great-discovery-holdings-llc

■このように、安中ソーラー合同会社の業務執行社員であるグレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCと、ショーンKが代表を務めている経営コンサルティング会社は、いずれもデラウェア州で法人登記をしています。

 週刊誌の記事によれば、「米デラウェア州は、法人設立が簡単で、税制上の優遇措置もあるため、世界中の企業が『登記だけを置く土地』として知られるが、プラッド社の登記住所には複数の企業が登記していた」と記しています。

■朝日新聞の実質的な子会社であるテレビ朝日で放送してきた「報道ステーション」ですが、コメンテーターとして起用した人物が、学歴と経歴を詐称していたことがわかり、番組の信用は一気に下がってしまいました。信用が最も重要な報道番組で、デタラメな経歴の人物に私見を語らせていたからです。

 同じく朝日新聞グループの日刊スポーツの子会社の日刊スポーツ興産が、朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場を建設しようと買収した、安中市岩野谷地区にある貴重な自然の宝庫である丘陵地帯を、得体のしれないメガソーラー開発業者に売り渡そうとしています。

 奇しくも朝日新聞グループの放送部門と新聞部門が、それぞれ米国のデラウェア州に法人登記をしている会社と関わっていることから、朝日新聞の信用度にも黄色信号が点っているのではないか、という懸念が払しょくできません。

 ショーンKの場合は、日々刻々と新たなキャスターやコメンテーターが登場し、視聴率至上主義の放送分野での出来事なので、報道ステーションの信用失墜の影響はあまり尾を引かないと思われます。現に、テレビ朝日では、古舘キャスターの後任として、あの橋下徹氏の起用も視野に入れているとする報道もあります。

 しかし、日刊スポーツが、その所有する137へクタールの広大なゴルフ場跡地を、得体のしれないペーパー会社に売り渡せば、地元の周辺や下流に住む住民らは、今後、半永久的に、ずっと不安な生活を余儀なくされることになっていまします。

 国土のセキュリティ保持のためにも、朝日新聞グループの日刊スポーツには、なんとしても、得体のしれない合同会社には、きちょうな山林を売り渡さずに、未来永劫に亘、社有林として保有することを、要請していきたいと思います。

【ひらく会情報部】

※参考記事
**********2016.3.24週刊文春(2016年3月16日発売)
フジテレビ“新ニュースの顔”の正体
ショーンK(ショーン・マクアードル川上(47))の嘘

■「報ステ」「とくダネ!」で人気の経営コンサルタント
■ハーバードМBA取得もテンプル大卒もでたらめ
■世界7都市に拠点、だが米パートナー顔写真は別人
■本名は川上伸一郎、高校同級生は「えっ、顔が違う!」
■記者が疑惑を質すと低温美声で「それはダメだと思います」

 四月四日からフジテレビが社運を賭けてスタートさせる新・報道情報番組「ユアタイム」のイケメンキャスターに、耳を疑うような“疑惑”が浮上した。学歴詐称、経歴詐称に、赤の他人の顔写真のパクリ疑惑。本誌記者の追及に、ついには自ら新たなパクリを告白した!

 三月半ばにしては肌寒い日曙の夜九時前。
 その男はフジテレピの関係者に付き漆われ、黒塗りのハイヤーから姿を現した。
 日焼けした浅黒い肌に、日本人離れした彫りの深い顔立ち。スリムな体にフィットしたスーツ姿は、ジェームズ・ポンド風だ。
「記事が醸し出す色んな空気感とか印象とかいうものが、場合によっては私の仕事に色んな大きな影響を与えて(仕事が)無くなるかもしれないというのは、十分に私は覚悟して来ています」
 眉間にシワを寄せ、トレードマークの低温の美声でこう述べた男の名は、ショーン・マクアードル川上氏(47)。二時間半に及ぶ“ショーン劇場”の始まりだった――。
<経営コンサルタント ラジオの経済番組を10年以上担当し経営者など500人以上と対談>
 こんなプロフィーるとともに、川上氏が朝の情報番組『とくダネ!』(フジテレビ)にコメンテーターとして出演し始めたのは二〇一〇年のことだ。東京のFM局で「ショーンK」として人気DJだった川上氏は、“イケメンすぎる経営コンサルタント”として主婦層を中心に人気を呼ぶ。一五年四月からは『報道ステーション』(テレビ朝日)の木曜(現在は水曜)コメンテーターにも就任。キャスターの古舘伊知郎(61)と組み、安保法案から人工知能まで幅広い知識を披露している。
 そうした実績を買われ、新たに川上氏が抜擢されたのが、フジテレビが「春の大改編」の目玉として四月四日から始める平日深夜の大型報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』のメインキャスターだ。
「視聴率低迷にあえぐフジが、『あしたのニュース』と『すぼると!』をつぶし、ワイドショー的なソフト路線のニュース番組として始めるものです。キャスターは川上氏とモデルの市川紗椰(29)。亀山社長体制になってからの大改編でフジは失敗し続けている。しかも『プロ野球ニュース』以来、定評のあった平日夜のスポーツ番組を打ち切るわけです。失敗は許されません」(スポーツ紙デスク)
 テレビ朝日との縁も切れるわけではない。
「「報ステ」は降板しますが、テレ朝とサイバーエージェントが組んで四月に開局するインターネットテレビ局「AbemaTV」の看板ニュース番組の金曜MCに内定しています。こちらはテレ朝が社運を賭けたプロジェクトです」(同前)
 この春、報道番組の一時代を築いた花形キャスターが軒並み入れ替わる中で、川上氏はまさに「新時代のキャスター」として脚光を浴びる存在なのである。
 ニュース番組のキャスターは、時には政治家以上の大きな影響力をもつ。川上氏のキャスターデビューにあたり、本誌はそのパックグラウンドを徹底取材した。
 川上氏の公式ホームページ「SEAN K www.seank.biz」。
 現在、このホームページにアクセスすると、表示されるのは「CONTACTSK/お問い合わせ」欄だけである。だが、川上氏のファンで、このサイトを以前からチェツクしている人物は語る。

★ハーバード同窓会に存在せず

「以前は各カテゴリーについて、日本語版・英語版がありました。彼の出自や学歴、米国本社の住所、マネジングパートナーの紹介などもありましたが、なぜか少しずつ削除されていき、最近ついに問い合わせ欄のみになってしまいました」
 本誌はインターネットのキャッシュ検索を駆使して、削除されたページを順にチェッククしていった。
<ショーン・マクアードル川上は、アイリッシュ・アメリカン・ジャパニーズの父と日本人の母がいる。アメリカのNYに生まれ、十一歳のときに日本に転居した。高校卒業まで日本で教育を受け、大学で米国に戻り、フランスで二年間を過ごした。(中略)テンプル大学でBA(学位)、ハーバード・ピジネス・スクールでMBAを取得。パリ第一大学に留学した》(英文プロフィールより*編集部訳)
 フランス留学、米ビジネススクール留学については過去に雑誌のインタビューでも語っている。
<現在の仕事で使うのは日本語と英語がメインだが、フランス語は大学の3、4年を過ごしたパリで習得した>(『AERA ENGLISH』○六年十一月)
<私は米国のビジネススクールで学んだのちに、現地で少し働いてから、日本のコンサルティング会社に就職しました>(『THE21』一五年十月号)
『THE 21』一三年三月号に登場した際には、プロフィール欄に<テンプル大学、パリ第一大学で学んだ後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得>と記載されている。
 だが、ハーバード・ビジネス・スクールの同窓会名簿を確認すると、カワカミ姓のMBA取得者は十八名いたが、川上氏の名前は本名を含めて(本名については後述)、見当たらなかった。
 経営コンサルタントとしての実績にも疑問符がつく。
<95年、米デラウェア州に経営コンサルティング・ファーム、ブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドを設立、代表に就任。現在、東京、ニューヨーク、パリ、シンガポールなど7都市を拠点に、日本企業、外資系企業の様々な事業領域における戦略コンサルティング業務、投資ファンド運営事業、地方自治体、各国政府・行政団体へのアドバイザリー・サービスに従事>(日本語プロフィールより)
 しかし、ブラッド社の登記を確認すると、米国でも日本でも設立は「二〇〇二年一月七日」。
 米デラウェア州は、法人設立が簡単で、税制上の優遇措置もあるため、世界中の企業が「登記だけを置く土地」として知られるが、プラッド社の登記住所には複数の企業が登記していた。
 一方、<US Headquarters(米国本社)>と紹介されているのは、米国NYウォールストリートにある、かの有名なトランプビルの二十八階だが、在米日本人記者はこう呆れる。
「二十八階は、月額六十九ドルから借りられるレンタルオフィスです。ブラッド社も借りていることは確認できましたが、電話しても取り次いではもらえません。直接アポを取るように指示されますが、米国本社の公式サイトすらなく、連絡先は調べられません」
 川上氏は、○九年五月に放送された『魔女たちの22時』(日本テレピ)に、貧しい新聞配達の少年から年商三十億円を稼ぐ経営コンサルタントになったイケメン「魔王」として登場している。オフィスは東京渋谷のセルリアンタワー、ホテル住まいの優雅な生活が紹介されていた。
 だが、本誌三月十日号で既報のとおり、セルリアンタワーの該当フロアはレンタルオフィス。公式ホームページでは、この住所がブラッド社の<APAC本社(アジアパシフィック本社)>とされている。
 また、米国での会社登記には、ブラッド社の納税情報が掲載されているが、最後の納税申告は十三年。納税額はわずか百七十五ドル(約二万円)だ。

★怪しげな雑居

 さらに日本の会社登記を調べていくと、役員として記載されてぃるのは「ショーン・マクアードル川上」ではなく、「川上伸一郎」。どうやらこちらが本名らしい。「支店」として記載されている東京・恵比寿駅前にあるビルの一室に赴くと、エステや整体、競馬予想会社、果てはネット上で闇金業者と名指しされている金融会社まで入居するような雑居ビル。一部屋わずか四・五坪で、一流コンサルタントがオフィスを置くのにふさわしい場所とは思えない。
 過去の雑誌連載ではクライアントの実名を挙げている。
<ワーナーブラザーズの日本法人(中略)のライセンス事業におけるコンサルティングに携わらせていただいた>(『月刊BOSS』○五年十二月号)
<一九九七年から九八年にかけて(FIチームの)マクラーレンのコンサルティングをさせていただいたことがあって、そのうちサーキット内のパドックにも入らせてもらえるようになり、カーレースの醍醐味を知ったのだ>(同○六年一月号)
 だが、当事者は否定する。
「数年前に、プレゼンテーションの司会をお願いしたことはありますが、少なくとも商品化関係で仕事をお願いしたことはないはずです」(ワーナー エンターテイメントジャパン担当者)
「この二十五年間、お名前は聞いたことがありません。鈴鹿サーキットなどへの招待客も把握しているので、もし来ていたとすればわかるはずなんですが」
(マクラーレンスタッフ)
 さらに、驚くべきは、公式サイト内の「マネジングパートナー」の顔写真だ。
 ブラッド社には川上氏以外に三名の幹部がいる。米国グループ代表のジョン G マクガバン氏、欧州グループ代表のニコロ・デ・グルート氏、在仏代表の大井大氏である。だが、検索をかけても該当する人物は見つからない。そこで顔写真の画像検索を行うと、マクガバン氏とされる人物は、全く別人の顔写真と一致したのだ。
 写真の主は、米ミシガン州の不動産会社ホライソン・グループ・プロパティーズのCEO、ゲイリー・スコイエン氏。スコイエン氏が北イリノイ大学の学内誌に登場したときの顔写真と、スーツ、ネクタイ、チーフ、背景にいたるまで同一としか思えない。
 いったいどこまでが真実なのか――。取材班は川上氏の故郷、熊本市へ飛んだ。
 県立のトップ校である熊本高校や熊本県立済々黌高等学校に落ちた生徒が進学するすべり止めの私立高校が、川上氏の母校だった。
 取材班は卒業名簿を頼りに、一学年全九クラスの同級生に電話取材を試みた。
 だが、テレビに出ている「ショーン・マクアードル川上」が「川上伸一郎」だと気がついている同級生は一人としていなかった。
 三十三ぺージの写真は高校三年生の時に撮影したクラスの集合写真である。色白で上品だが、現在のようなエキゾチックな顔立ちではない。
記者「川上伸一郎さんが、テレビに出ているショーン・マクアードル川上なのですが……」
同級生(パソコンで川上氏の画像を検索して)「うおー、見たことある、この人」
記者「面影は?」
同級生「まったく。顔が違います!言われるまで、まったく気付きませんでした」

★あだなはホラッチョ川上

 別の同級生の話。
「高校三年間、吹奏楽部でトランペットを吹いていましたよ。熱心に合宿にも参加して。三年生の時の演奏会で、息が続かなくなって失敗したのか、うつむいていた記憶があります。顔立ちが整ってぃて、確かパーマを掛け、身なりも清潔でした。でも、住み込みの新聞配達の話は、聞いた記憶はありません」
 当時のあだ名を、二人の同級生が覚えていた。
「“ホラッチョ川上”と呼ばれていました。熊本でホラ吹きという意味です。川上君が一年、二年の時を知る女子生徒がそう呼んでいました」(男性の同級生)
「口の悪い二、三人の男子生徒が、川上君を“ホラッチョ”とはやし立てていました。理由は聞いていないので分かりませんが」(女性の同級生)
 本誌は一連の疑感について、フジテレピ広報部に取材を申し込んだ。そして締切直前、ついに冒頭のシーンとなったのである。
――テンプル大には本当に入学しているのか?
「テンプル大学ジャパンにまず入りまして、そのときは下落合にございました。まずはIELP(International English Language Program)に入って、そこから経済・経営の道に違もうと思って、フィラデルフィア(米国テンプル大学)に行かせてもらうんですが。テンプル大学ジャパンのほうには十ヵ月はいなかったんじゃないかな。でも、若気の至りなんですが、お付き合いをしていた女性がフランス人だったので、(学ぶなら)ヨーロッパじゃないかと。現地(フィラデルフィア)には三ヵ月しかいなかった。
 パンテオンソルボンヌ(パリ第一大学)には入っていません。オープンキャンパスの中で経済・経営だけ聴講したんです。聴講とは何かというと、教授に名前だけ、「こういう者です?受けさせてください」というもので、学校に入ったわけではないです。でも図書館も勉強室も使えますし、先生ともお話しできますし、非常に有意義だった」
 本人は「学位はない」と表現するが、要はテンプル大卒も虚偽なのだ。パリ第一大も正規の留学ではなかった。
「(パリでは)お金がないのでバイトしなきゃということで、ゴンサルタント会社のキャップジェミニから独立した方のところでレポー卜の翻訳のバイトなどをしました。私は日本語も英語もできるので、フランス語から英語になったレポートを、英語から日本語にという感じで。そのうち仕事が面白くなって、学校に戻るモチベーションが無くなって、つてのあるニューヨークでコンサルティング会社のインターンになりました。でも、(金銭的に)しんどくて、いったん二十歳くらいで熊本に戻っています。
 ただ結局、熊本に帰っても何も無くて、東京の田無で家を見つけ、近くの英会話学校でバイトをするんですけども。それもなんか違うっていうことで、ある方にコンサルタント会社を紹介していただいた。“私はこれができます”と一生懸命プレゼンしました。英語でのインタビューもあった」
――何という会社か?
「日本LCAという会社です。京都で生まれた会社で、九〇年代前半には京都ではマッキンゼーよりも規模的には大きかった。この会社には、生み出した価値の三・三分の一を報酬として出すというルールがありました。ちなみにこの会社が今日現在どうなっているかというと、一部上場してその後管理下に入ってしまっていますね。当時は二十二、三歳くらいじゃないかと思いますが、それにしては高い年棒をいただいていたと思います」
 ――ハーバードのピジネススクールには行ったのか?
「その後、子会社のベンチャーリンクという会社に出向したんですけども、当時、私は相当な売り上げになりまして。三・三分の一ルールだと報酬がえらい金額になると、会社といろいろもめた時期があった。
 だったらハーパードのMBAは無理だけど、お金を出せば参加できセミナーがあるからと行かせてもらったのです。オープンコースで、企業研修とかエグゼクティブ・エデュケーション・プログラムとか色々なメニューが二日コースから二年コースまであって、その中の一つにまったく外部の人間として聴講させてもらいました。いわゆる條了証はありません。
 ただ逆に言うと、今私の持っている能力というのは、MBAの経営管理の勉強会や学校で教えたりもしていますが、MBAで帰ってきた人間よりも多分詳しいと思いますよ。いろんな意味でコンサルティングの現場で死ぬほど勉強しましたから。

★もう一人のパクリも告白

――何日間のコースに?
「三日くらいだったと思います」
――一回?
「そうですね。それはMBAの学生も行くんです。一応ハーバードプロデュースなので、しっかりしている」
 ハーバードはたった数日のMBA体験だった。川上氏は「HPをつくるとき、自分は正確に伝えたのに、なぜかあんな記載に」と説明するが、十年以上誤りを放置していたわけだ。
――パートナーとして掲載していたジョン・G・マクガバン氏の顔写真は、まったくの別人ですよね?
「それはダメですね。人のせいにするつもりは全然ありませんが、HPは三人でつくりました。私はだいたいの構図を言ってお願いしたんですが、なんか本当にわかんないんですけど、ジョン・マクガバンに関してはわけのわからない写真があって。私も『誰の写真?』って聞いたんですけども、送られてきた写真だって当時言うんです。私もマクガバンと疎遠になり、ほったらかしにしてしまった。私が管理していないのが悪い。それはダメだと思います」
――マクガバンさんは実在する?
「ニューヨークで、いまは多分引退しちゃったのかな。ライセンスの仕事をしているときに出てきてくれた弁護士なんですね。二、三年前のフェイスブックで引退してどうのこうのって写真をちらっと見ました。ジョン・マクガバンとニューヨーク、アトーニー・アット・ロー(弁護士)で(検案すれば)出てくると思います」
――二コロ・デ・グルート氏も実在する?
「イタリアの人です。グッチの店舗展開をする時に、ニューヨークのデザイン事務所がデザインして、日本の会社が受けて日本用の設計図に起こした時、向こうで担当してくれました。“私と一緒にやりたい”って、途中で入ってきたのですが、それ以降は一緒になる機会はないですね」
――写真は別人?
「合っているはずなんですけど。送ってきたのをそのまま渡して」
 記者は川上氏にグルート氏の写真を見せ、もう一度問うた。すると、観念したようにこう告白した。
「違いますよね。間に合わなかったというのが実はあって、これはダメだと思います。でも、大井さんはいらっしゃいます。フランスにいる方で、九四、五年頃に知り合いました。今、一緒に仕事はしていないです。息子さんが東京にいるので、名剌を後ほど。私との付き合いということで、話を聞いて頂ければ……」
――別人だと分かったものを、確信犯的に放置していた?
「……まあ、そうですね」
――『魔女たちの22時』では年商三十億円と。
「それはダメだと思います。二〇〇〇年を超えて、声を掛ければすぐに集まってくれるコンサルタントが二十八人位になりました。“みんなで、一人一億円は付加価値が出せるように頑張ってます”とテレビの取材に話したのですが、二十八人掛ける一億円で年商三十億円になった。テレビってこういうものかと。否定すべきだったと思います」
 その後も記者が疑感を迫及するたびに川上氏は「それはダメだと思います」と繰り返した。大井氏の息子さんの名剌はまだ届かない。
*********

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無登録で観劇ツアーを毎年実施していた小渕「姫」について東京第6検察審査会から不起訴処分相当の通知

2016-03-21 09:41:00 | 政治とカネ
■旅行業の登録を行わずに、旅行を企画し、事業として報酬を得ると、旅行業法第29条に違反し、100万円以下の罰金に処せられます。しかし、これは、一般市民に対して適用されるだけで、政治家が地元選挙民を対象に観劇ツアーを実施したり、行政の息のかかった旅行業法協会に会費を払っていたり、ネットで企画旅行等の斡旋を行ったりした場合は、無登録であってもお咎めがないことがこの度はっきりしたので報告します。

東京第六検察審査会事務局から3月19日に届いた議決通知書の入った封筒。

 ちなみに、旅行業の定義とは「旅行業とは、こういうものだ」というのと同時に、「こういうものは全部旅行業として扱う」という法律上のルールです。そのため、旅行業法で定められている定義に当てはまってしまうと、自分では旅行業のつもりがなくても、旅行業法の適用を受けて処罰されます。

 なぜなら、第1条に定めた「登録制度」が存在するので、旅行業を営むつもりがない人が無登録のまま旅行業に当てはまる行為をしてしまうと必然的に旅行業法に違反することになってしまうからです。

 旅行業の定義には、大きく見ると次の3つの要件があるとされています。
① 報酬を得ること
② 事業であること
③ 一定の行為(=旅行業務)を行うこと

 この3つ全てに当てはまるものは全て旅行業ということになります。

■この観点から、群馬5区の選挙民を毎年千人単位で東京・明治座までバスで観劇ツアーを行っていた小渕優子・元経産相が、実は旅行業法で定めた登録義務を行っていなかったことについて、市民オンブズマン群馬では、旅行業法違反で告発していましたが、東京地検が不起訴処分とされたため、2016年2月15日に検察審査会に審査申立てを行っていました。

 この度3月18日付で、東京第六検察審査会事務局から、議決通知書が簡易書留で送られてきました。さっそく内容を見てみましょう。

*****議決通知書*****
※PDF→201603186rcmiiusj.pdf
                         平成28年3月18日
審査申込人 小 川   賢 殿
      鈴 木   庸 殿
                   東京第六検察審査会
          議決通知書
 当検察審査会は、あなたが申し立てた審査事件について議決しましたから、別添の議決の要旨を送付します。

*****議決の要旨*****
平成28年東京第六検察審査会審査事件(申立)第2号
 申立書記載罪名  旅行業法違反
 検察官裁定罪名  旅行業法違反
 議 決 年 月 日  平成28年3月17日
         議 決 の 要 旨
 審査申立人  小 川   賢、鈴 木   庸
 被 疑 者  小 渕 優 子
 不起訴処分をした検察官  東京地方検察庁検察官検事 小 嶋 英 夫
 上記被疑者に対する旅行業法違反被疑事件(東京地検平成28年検第2002号)につき,平成28年1月26日上記検察官がした不起訴処分の当否に関し,当検察審査会は,上記審査申立人の申立てにより審査を行い,次のとおり議決する。
         議 決 の 趣 旨
 本件不起訴処分は相当である。
         議 決 の 理 由
 本件不起訴記録及び審査申立人提出資料を精査し,慎重に審査したが,検察官がした不起訴処分の最低を覆すに足りる理由がないので,上記趣旨のとおり議決する。
   平成28年3月17日
               東京第六検察審査会
**********

■当会では2016年2月15日に東京地検3階の検察審査会の窓口で審査申立ての手続をしていました。この度、1カ月後の3月17日(木)に議決が行われたことになります。ということは、何度も審査会で協議を重ねた結果、というわけではなさそうです。

 当会では、代議士や行政関係者への無法状態を是正している現在のルール運用面での二重基準を問題視して、審査申立てをしましたが、どうやら検察審査会のメンバーのかたがたは、事の本質を理解できなかったようです。

 当会では、今後も官の都合で恣意的に旅行業法が運用されている現状の是正に向けて、また、我が国行政の二重基準の弊害の解消のために、微力ながら全力を尽くしてまいりたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局から】

※参考
**********
         審 査 申 立 書
〒100-8920東京都千代田区霞が関1-1-4
(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内)
東京  検察審査会 御中

申立年月日:平成28年(2016年)2月15日

申 立 人:資格:告発人
住所:〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
      電話:090-5302-8312
      職業:会社員
      氏名:小川 賢(おがわ・まさる)            印
      生年月日:昭和27年(1952年)3月5日生
      その他の申立人は別紙備考欄のとおり

罪   名:旅行業法29条1号、3条、33条、同法施行令5条1項違反

不起訴処分年月日:平成28年(2016年)1月26日〔平成28年検第2002号〕

不起訴処分をした検察官:東京地方検察庁 検察官検事 小嶋英夫

被 疑 者:住  所:群馬県吾妻郡中之条町大字伊勢町1003-7
      職  業:代議士
      氏  名:小渕優子
      生年月日:昭和48年(1973年)12月11日

被疑事実の要旨:
 被疑者の被疑事実記載の所為は、旅行業法第3条に定める登録義務を欠いたまま、旅行業法第2条第1項第1号(運送のサービス提供に関わる企画・募集・手配等の業務)、同第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)を実施したことで同法違反に該当すると思料するので、同人に対する厳重なる処罰を求める。

<被疑事実>
 被疑者は公職である衆議院議員であるところ、旅行業法第3条に定める「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」とする登録を受けないまま、すなわち旅行業法の資格を持たないまま、被疑者自らが主宰・代表する「小渕優子後援会」及び「自民党群馬県ふるさと振興支部」をして、旅行業法第2条第1項第1号に定める「対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為」に該当する事業を行わせた。
 すなわち、募集要項を作って、代金を受け取るという行為が旅行業と定義づけられているのである。被疑者が後援会の名のもとに募集要項を作らせて、対価として一人当たり1万2000円を集めたのは明らかである。
 具体的には、被疑者自らが主催・代表する政治団体に「小渕優子後援会女性部大会」を企画させ、「群馬」「高崎」ナンバーの大型バス26台をチャーターさせて、群馬第5選挙区内の投票人ら約1000人を対象に、一人当たり1万2000円を会費名目で徴収させ、東京・日本橋浜町の「明治座」における天童よしみショーの観劇ツアーを平成26年10月8日に実行させた。
 明治座のエントランスに掛かっていたボードには「本日の御予約団体様」として、〈昼の部 小渕優子後援会女性部大会〉とされていた。
 なお、被疑者は2014年10月20日に経産相を辞任する際の記者会見では、昼と夜の2部にわけて小渕優子後援会女性部大会を企画したと説明している。
 また、観劇ツアーに参加した選挙人全員に対して、昼食として明治座の弁当を提供させていた。
 なお、観劇ツアーの会費は被疑者の後援会の地区ごとの代表者を通して被疑者の秘書が選挙人らから現金で集め、自らの後援会の事務所などで管理させていた。
 以上の事実によれば、無資格のまま、旅行業法第2条第1項第1号(運送のサービス提供に係る企画・募集・手配等の業務)の観点から、群馬バスなどのバス会社と運送サービスの提供に係るやりとりを行ったことや、同じく無資格のまま、同法第2条第1項第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)の観点から、明治座と観劇や食事など付帯サービスの提供に係るやりとりを行ったことは明らかである。
 なお、被疑者はそれ以前にも毎年同様の観劇ツアーを実施したり、後楽園球場での巨人戦の観戦ツアーも実施したりしたことが報じられている。

不起訴処分を不当とする理由:
 代議士だからと言って嫌疑不十分で不起訴処分は有り得ない。また、有ってはならない。
 旅行業法では、「運送」と「宿泊」のサービス提供に関わる、企画・募集・手配等の業務を「旅行業」と定義されている。(旅行業法第2条第1項第1号)
 また、運送・宿泊以外のサービス提供、たとえば「食事の提供」「観光施設等への入場」「体験プログラム」等については、運送・宿泊のサービスに付随して取り扱う場合に限って「旅行業」となる。(旅行業法第2条第1項第2号)
 被疑者が仮にこれらの行為を、利益を得ずに行っていたとしても、「旅行業法施行要領」により、(1) 事業者が法第2条第1項各号に掲げる行為を行うことによって、経済的収入を得ていれば報酬となり得る。また、(2) 企画旅行のように包括料金で取引されるものは、旅行者から収受した金銭は全て一旦事業者の収入として計上されるので、報酬を得ているものと認められる。
 さらに、行程全体に対して「参加費お一人様1万2000円」という形で、募集した時点で、包括料金での取引となる。
 この場合、利益が出なくても、たとえ赤字でも、一旦事業者の収入となるので、報酬を得ていると判断され、旅行業法の適用を受けるため、旅行業法の登録のない者が行うと違法と判断される。
 報酬を得て法第2条第1項各号に掲げる行為を行うのであれば旅行業の登録が必要になる。
 さらに、旅行業法では、不特定多数とか会員のみだとかの制約は特にないため、自分の後援会内のネットワークのみで募集とか、後援会女性部だけを対象に募集とかは、関係ないと思料される。
 これらのことから、被疑者の所為は、旅行業法違反で罰せられることになる。たとえ代議士だからと言って、不起訴特権が適用されることはできないはずである。
 旅行業法では、同法第2条で「旅行業」を次のとおり定義している。
「対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為」
 要するに、この法律では「募集要項を作って、代金を受け取る」という行為を旅行業と言っている。続いて、同法第3条には「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」と定めているのである。
 被疑者及びその関係する後援会は、いずれもこの登録を受けていないのは、明らかである。 まして、東京地検特捜部がその権限をもって調べれば容易に確認できたはずである。
 また、被疑者の後援会に対して、公開質問状で旅行業法の登録は行ったのかどうか、質問しましたが、未だに回答がない。
 検察審査会におかれては、公平な社会の実現に対して本事件が及ぼす影響の重大性を十分に考慮され、是非とも「起訴相当」の議決をしていただくことを切望いたします。
                                    以上
別紙

備   考:その他の申立人
資格:告発人
住所:〒370-0801 群馬県前橋市文京町1-15-10
      電話:090-9134-2942
      職業:自営業
      氏名:鈴木 庸(すずき・よう)              印
      生年月日:昭和26年(1951年)9月10日生
**********

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最近事故多発の碓氷峠で1月15日起きたスキーバス事故の重傷者受入れを断念した公立碓氷病院の事情

2016-03-19 12:22:00 | 安中市の行政問題
■2016年1月15日深夜1時55分頃、長野県北佐久郡軽井沢町の国道18号碓氷バイパスの入山峠付近の群馬県(安中市)と長野県(軽井沢町)の境界から軽井沢側に下る坂道で、定員45人の大型観光バスがガードレールをなぎ倒して道路脇に転落しました。この事故で、乗員・乗客41人(運転手の乗員2人と乗客39人)のうち、15人が死亡(乗員は2人とも死亡)、生存者も全員が負傷し、バス事故としては1985年の犀川スキーバス転落事故以来の過去30年で最多の死者が出る事故となりました。

 この事故では、事故に巻き込まれた乗客らが、現場に駆け付けた両県の救急隊員らにより直ちにトリアージ処置が行われ、重症度が判定され、その場で死亡が確認された乗員・乗客以外は救急車で最寄りの病院に運ばれました。

 報道によれば、それらの病院としては、次のように報じられていました。
JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター(現場から直線距離で約20キロの佐久市。15日午前5時半までに男性6人を受入れ。1名死亡、2名渋滞、3名重症)
軽井沢病院(約5キロの軽井沢町。男性3名を受入れ。2名死亡、1名重症で長野市内の病院にヘリで転送)
くろさわ病院(約20キロの佐久市。午前4時ごろ、男性4名を受入れ。いずれも負傷者)
公立富岡総合病院(約23キロの富岡市。消防から3人の搬送要請があったが病床に空きがなく15日午前4時過ぎ、女性2名を受入れ。いずれも重傷者)
高崎総合医療センター(約30キロの高崎市。午前4時40分、男性1名を受入れ。意識不明の重傷者)
群馬大医学部付属病院(約40キロの前橋市。午前5時50分ごろ、男性1名を受入れ。重傷者)

 以上のように、事故発生から2~4時間以内に、佐久市、軽井沢町、富岡市、高崎市、前橋市に18人(うち長野県が13名、群馬県が5名)が搬送されました。

 この報道を聞いた安中市民は、なぜ、現場から20キロしか離れていない安中市の公立碓氷病院の名前が出てこないのだろうか、とずっと疑問に思っていました。そうした声が当会にも寄せられたため、事故発生から約1カ月が経過した2016年2月17日に、次の情報内容の行政文書開示請求書を安中市に提出しました。

**********
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
2016年1月16日の東京新聞の報道によれば「多数の死傷者を出した十五日に長野県軽井沢町で起きたバス事故。事故現場の国道18号碓氷バイパス入山峠付近は県境に近く、県内の消防署からも救急隊員が出動して救命活動にあたり、負傷者は県内の三病院にも搬送された。(中略)高崎、安中両市でつくる高崎市等広域消防局が派遣した救急隊員たちの証言をまとめたところ、現場は氷点下で非常に寒く、負傷した乗客に毛布を一枚ずつ渡したが、足りずに二枚、三枚と重ねる人が相次いだ。(中略)同消防局によると、十五日午前二時十九分ごろ、長野県佐久市の佐久広域連合消防本部からファクスと電話で応援要請があった。管内各署から隊員計二十一人が計七台の救急車などで出動、現場には同三時以降に次々と到着した。先に到着していた長野の隊員が負傷者の救助に当たり、群馬の隊員は暫定的に重症度によって治療や搬送の順番を定める「トリアージ」と、五人の搬送を同六時ごろまで担当した。トリアージには最優先で治療が必要な重傷者に赤色、次いで入院が必要な重傷者らに黄色のタグを付ける。高崎総合医療センターに搬送した二十~三十代の男性、公立富岡総合病院に搬送した十九歳と二十三歳の女性二人、群馬大病院(前橋市)に搬送した二十代の男性はいずれもタグが赤色。浅間総合病院(佐久市)に搬送した二十五歳前後の女性はタグが黄色だった」とあります。これに関連して、次のことがわかる情報。
(1) 公立碓氷病院への重傷者らの搬送についていつどのような打診があったのか、あるいはなかったのか。
(2) 公立碓氷病院が重傷者らの搬送打診に対して、どのような対応をしたのか、あるいはしなかったのか。
(3) そのような対応をした(あるいはしなかった)理由や背景はどのようなものだったのか。

**********

 その結果、2016年2月26日付で次の決定通知がありました。つまり、上記の(1)~(3)までの情報のうち、(2)(3)に係る情報はなく、(1)のみを開示するというものです。
※行政文書不存在通知書 → 20160226smixloxj.pdf
※行政文書部分開示決定通知書 → 20160226jmxloxj.pdf

 部分開示決定通知書に基づき、当会は2016年3月1日午後2時から、安中市役所で情報開示を受けました。開示された情報は、当直日誌メモ帳のコピー1枚だけでした。当日のメモを次に示します。

**********
20160114oxaixloxj.jpg
※PDF→20160114xloxj.pdf
1/14(木)  中村DR911  嘉島NS951  河、篠原
3:20 高崎消防指令よりTEL。バス事故により負傷者多数あり。何名収容可能かDRにTEL繋ぐ。来院なし
5:55 高崎指令より、対応ありがとう終了した旨報告のTEL有り。(ニュースでは、11人死亡28人ケガ)
6:45 朝日新聞記者よりTEL
**********

■この当直日誌メモ帳から分かるのは、事故発生から1時間半後に、現場に出動していた高崎市等広域消防局から碓氷病院にもコンタクトがあったことです。

 メモによると、当直の2名の職員は、午前3時20分に高崎市等広域消防局指令センターから電話を受けて外科の中村医師に繋ぎ、同医師が指令センターとやり取りをした結果、公立碓氷病院では、重傷者らの受け入れを断念したことがわかります。

 断念した経緯や、後日、碓氷病院内でこの件について院長以下、協議をしたのかどうかという事実関係についても、(2)(3)の情報について不存在とされたことから、そうした判断や対応に関して、協議された経緯はなかった、ということがうかがえます。

 ここからは当会の勝手な推測ですが、中村医師が高崎等広域消防局指令センターとのやり取りの結果、碓氷病院での受け入れを断念した背景には、次の2つの理由があったのではないかと推察されます。

 1つ目は、重傷者の受け入れに対して、外科専門の中村医師としては、重傷者の受傷状況の説明を消防局から伝えられた際に、自分とは専門外の処置が必要と判断し、人的にも施設的にもより適切な措置が受けられる他の病院への転送を勧めたのではないか、ということです。

 2つ目は、こうした社会的に重要な緊急事故対応について、日頃の院長の方針がきちんと出されていたのかどうか、ということです。

■碓氷病院では、群馬大学医学部からの医師派遣に依存する体制が、最近ずっと定着しています。ところが、一昨年から取り沙汰されている群馬大学附属病院での腹腔鏡手術ミスで、肝臓切除手術を受けた患者8人が2010年から2014年にかけて相次いで死亡した事故の影響もあって、群大からの医師派遣がますます難しくなっているという事情があるようです。

 今回の事故被害者は、シートベルトを着用していなかったため、バスの転落と立木への衝突の衝撃で、頭部を天井などに強く打ち付けたことによる脳挫傷が多かったと報じられています。

 高崎市消防指令センターから、現場でのトリアージの結果、碓氷バイパスから国道18号で直行できる碓氷病院に対して、どのような重傷者の受け入れ打診があったのかは、情報が不存在のため分かりませんが、碓氷病院に午前3時20分に受け入れ打診があり、碓氷病院が受け入れを断念した後、午後4時過ぎに公立富岡総合病院で、腰椎・頸椎骨折と骨盤骨折の女性2名の重傷者を受入れ、午後4時40分に高崎総合医療センターで男性1名の意識不明者を受入れ、午前5時50分ごろ、群馬大医学部付属病院で男性1名の重傷者を受入れたことがわかります。

 いずれも、碓氷病院では処置の対応が難しい重傷者もしくは重体者だったことから、最初に高崎消防局指令センターから打診を受けた碓氷病院では、受け入れを断念したのではないか、と推察されます。

 あるいは、設備的には対応可能だったかもしれないが、人的な面で対応が困難だと、当直の中村医師は判断したようです。

 いずれにしても、高崎島広域消防局から、碓氷病院に対して対応についての謝辞があったことから、対応に特に問題はなかったと推測されます。しかし、そうした事情はともかく、市民感情としては、碓氷病院で一人でもよいから重傷者を受入れて処置をすることで、全国にその存在を知らしめることができたらよかったのに・・・と思った市民も結構いらっしゃると思います。

【3月20日追記】
**********2016年3月19日上毛新聞社会面
安中・公立碓氷病院 3カ年計画で経営立て直し
 安中市は18日、2016年度から3か年計画で公立碓氷病院の軽軽を立て直す方針を示した。常勤医不足で整形外科などで入院患者を受け入れられず、赤字が拡大している。
 同日の市議会全員協議会に報告した。
 病院経営に詳しいコンサルタントに経営状況の分析と改善計画の策定を委託する。委託業者は公募型プロポーザル方式で選考する。
 市が昨年7月に設置した有識者でつくる検討委員会が、整形外科と泌尿器科の医師の確保や、高齢者施設や開業医からの照会件数の増加などの早期実現を求め、コンサルタントの導入を提言した。
**********

【ひらく会情報部】

※参考情報「事故に関する新聞報道」
**********毎日新聞2016年1月15日 11時00分(最終更新 1月15日 14時10分)
スキーバス転落 長野、群馬の病院搬送「多くが頭を損傷」

記者会見で患者の状態を説明する岡田邦彦・救命救急センター長(左)。右は渡辺仁院長=長野県佐久市のJA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センターで2016年1月15日午前8時47分、武田博仁撮影
 スキー客を乗せて暗闇の峠を走っていたバスに、何が起きたのか。長野県軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで15日、乗客・乗員41人を乗せた大型バスがガードレールを突き破り、14人が死亡、27人が重軽傷を負った事故。現場では負傷者のうめき声が響く中、懸命の救出活動が繰り広げられた。
 負傷者は長野、群馬両県の計9病院に搬送され、緊急手術など救命・救急治療を受けた。
 長野県佐久市のJA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センターには15日午前5時半までに20代の男性6人が運ばれた。同センターによると、このうち川崎市の男性(22)が脳挫傷で死亡。2人が内臓損傷などで重体、3人が重傷という。岡田邦彦・救命救急センター長は「患者の多くが頭を損傷している。無防備な状態でバスが転落したため、かなりの衝撃を受けたのだと思う」と話した。
 3人が搬送された軽井沢病院(同県軽井沢町)によると、心肺停止状態で運ばれた20代男性が頭蓋(とうがい)内損傷で、30代男性が頸椎(けいつい)損傷で死亡が確認された。30代後半の男性は意識はあるものの、顔や上半身に多発骨折があり重傷。長野市内の病院にドクターヘリで転送された。
 佐久市のくろさわ病院には午前4時ごろ、男性4人が搬送された。救急車が足りなかったためか、他の消防車両で運ばれてきたという。いずれも意識はあり、命に別条はないが、顎(あご)や鼻を骨折したり、頭や顔、肩、腕を打撲したりしていた。黒澤一也院長は「4人は擦り傷が多く、かなり出血して服も破れていた」と話した。
 群馬県富岡市の公立富岡総合病院には午前4時過ぎ、女子学生2人が相次いで搬送された。沖縄県うるま市の女性(19)が腰椎(ようつい)骨折と頸椎骨折、神奈川県茅ケ崎市の女性(23)が骨盤骨折で入院。ともに搬送時は意識があり、家族とも連絡が取れているという。病院関係者は「消防から3人を搬送したいと要請があったが病床に空きがなく、2人しか受け入れられなかった」と話した。
 群馬県高崎市の高崎総合医療センターには午前4時40分、20〜30代とみられる男性1人が搬送された。病院によると、氏名は不明。脳挫傷のほか、鎖骨と肋骨(ろっこつ)を骨折しており、意識不明の重体という。
 前橋市の群馬大医学部付属病院には午前5時50分ごろ、東京都八王子市の20代の男子大学生が運び込まれた。背骨を骨折したほか、胸を強く打っているため緊急手術する予定だが命に別条はないという。宮城県から家族が病院に到着した。【武田博仁、安藤いく子、高橋努】

**********IZAニュース2016.1.15 17:03
軽井沢スキーバス転落 シートベルト着用徹底せず、指示なく被害拡大か

 長野県軽井沢町の国道バイパスを走行中の大型バスが転落しスキー客ら14人が死亡、27人が負傷した事故で、シートベルト着用が徹底されず、死傷者の多くが事故発生時に着用していなかった疑いがあることが15日、複数の乗客の証言で分かった。出発前や走行中も着用を指示するアナウンスはなかったという。ベルト非着用が甚大な被害につながった可能性がある。
 負傷者の一部は一定速度の交通事故など大きな衝撃で生じる「高エネルギー外傷」と診断されていたことも判明。犠牲者はバスがガードレールに激しくぶつかったり、横転したりした際、いすから投げ出されて壁や窓に激突し頭部などを負傷、死亡したとみられる。多くは即死状態だった。
 病院で取材に応じた大学4年の男子学生(23)は「周りにシートベルトをしてない人が多かった」と説明。腰などを負傷した別の大学生も「着用指示はなく、自分もしていなかった」と話した。

**********2016年1月15日NHK 18時11分
スキーバス転落で14人死亡 バス会社を捜索へ

 15日午前2時ごろ、長野県軽井沢町のバイパスで、スキー客を乗せたバスが道路から転落し、乗っていた41人のうち、乗客12人と乗員2人の合わせて14人が死亡したほか、27人が病院に搬送されて手当てを受けていて、意識がない人もいるということです。警察は過失運転致死傷の疑いで東京のバス運行会社を捜索する方針です。
 15日午前2時ごろ、長野県軽井沢町の国道18号の碓氷バイパスで、スキーツアー客を乗せて群馬方面から長野方面に向かっていたバスが反対車線に出てガードレールを乗り越え、およそ3メートル下に転落しました。
 このバスには大学生など18歳から38歳までの乗客39人と乗員2人の合わせて41人が乗っていて、警察によりますと、乗客12人と運転手ら乗員2人の男女合わせて14人の死亡が確認されました。
 このうち、いずれも大学生で川崎市中原区の林晃孝さん(22)、さいたま市大宮区の阿部真理絵さん(22)、東京・渋谷区の田端勇登さん(22)、東京・小金井市の小嶋亮太さん(19)、東京・杉並区の大谷陸人さん(19)、東京・八王子市の田原寛さん(19)、東京・多摩市の池田衣里さん(19)の7人の身元が確認されました。
 また、死亡した乗員2人はバスを運転していた土屋廣運転手(65)と補助員の勝原恵造運転手(57)と確認されました。
 このほか、27人が病院に搬送されて手当てを受けていて、病院によりますとこの中には意識がない人もいるということです。
 ツアーを企画した東京・渋谷区の「キースツアー」によりますと、このバスは14日午後11時に東京を出発して、長野県飯山市の斑尾高原に向かっていましたが、途中、行程表にある上信越自動車道ではなく、ルートを変えて今回事故が起きた碓氷バイパスを通っていました。
 道路を管理する高崎河川国道事務所によりますと、碓氷バイパスのおよそ16キロの区間には合わせて45か所のカーブがあり、事故が起きたのは群馬県側から数えて43か所目のカーブだったということです。
 現場のカーブは緩やかで、当時、積雪や路面の凍結などはなく、警察は過失運転致死傷の疑いで東京・羽村市にあるバス運行会社「イーエスピー」の捜索を始め、事故の原因や安全管理などについて詳しく調べることにしています。

**********毎日新聞2016年1月15日 23時16分(最終更新 1月16日 01時52分)
スキーバス転落 タイヤ痕1本、直前に片輪浮いて走行か

ガードレールを突き破り転落したスキーバスのタイヤ痕=長野県軽井沢町で2016年1月15日午後2時52分、宮間俊樹撮影
14人死亡、2人重体、24人が重軽傷の大惨事に
 長野県軽井沢町の国道18号「碓氷(うすい)バイパス」入山(いりやま)峠で15日未明に起きたスキーツアーバス転落事故は、運転手2人を含む男性9人と女性5人の計14人が死亡し、2人が重体、24人が重軽傷を負う大惨事となった。バスは事故直前、蛇行していた可能性があることが乗客らの証言で判明。車外に投げ出されたり上半身などが車外に出たりした状態の遺体も多く、県警軽井沢署捜査本部は何らかの原因でバスがかなりの速度になっていたとみている。一方、路上にはタイヤ痕が1本しか残っていなかったことが、国土交通省が委託した事業用自動車事故調査委員会の調査で分かった。調査委はバスが事故直前に傾いて片輪が浮いた状態で走行したとみている。
 国交省によると、10人以上が死亡したバス事故は、長野市で1985年1月に25人が死亡した犀川スキーバス転落事故以来。
 捜査本部は15日夕、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑でバス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)本社の家宅捜索を始めた。
 捜査本部は、死亡した乗客全員の身元を確認した。いずれも大学生だった。乗客1人は、けがはなかった。
 群馬県側から峠を越えるとカーブは緩やかだが急な下り坂になり、バスは約1キロ先の左カーブに差し掛かった地点で対向車線側ガードレールをなぎ倒して、立ち木に衝突した。タイヤと路面がこすれたとみられる直線状の跡が1本残っており、左側ガードレールにも接触痕があった。
 乗客の男子大学生(19)は取材に「尋常ではない速度で、左右に少なくとも3回は揺れた」と証言。別の男子大学生(22)は「揺れが異常で、『やばいよ』『え、なに?』と言っていたところ、大きな衝撃がきた」と話した。
 乗務していたのは契約社員の土屋広運転手(65)=東京都青梅市=と社員の勝原恵造運転手(57)=同=で、事故当時は土屋運転手が運転していた。土屋運転手は昨年12月に雇用され、大型バスの運転は4回目。その前に5年間勤めた会社によると主にマイクロバスを担当し、大型バスを運転したことはない。
 国交省によると、大型バスの車齢平均は11年程度。事故を起こしたバスは使用し始めてから約13年経過していた。累積走行距離など詳しい車体の状況は分かっていない。
 ツアーは旅行会社「キースツアー」(東京都渋谷区)が企画した。行程表の予定通りの場合、事故現場は通行しない。イーエスピーの山本崇人営業部長は「(異なるルートだった理由は)分からない」と話した。運転手が会社へ報告せずにルートを変更した場合、道路運送法違反になる。【巽賢司、川辺和将】
**********
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大同有害スラグ問題を斬る!・・・連日のように続く危険スラグ報道!「中之条町もフッ素」の巻

2016-03-18 23:11:00 | スラグ不法投棄問題

■連日のようにスラグ報道が続いています。複数の報道機関が危険スラグを取り上げている状況が続いています。特に群馬版は、春が間近なこともあり、スラグの話題で花さかり(話さかり)の様相を呈しています。それでは春爛漫さながらの群馬版から、3月17日付の朝日新聞記事を見てみましょう。
20160317vv.pdf
**********2016年03月17日 朝日新聞デジタル群馬
2カ所のスラグから基準超すフッ素 中之条町工事道路など /群馬県
 大同特殊鋼渋川工場の有害物質を含む鉄鋼スラグが公共工事で使われていた問題で、中之条町が発注した太陽光発電施設工事で利用する道路など、計2カ所のスラグから環境基準を超えるフッ素が検出されたことがわかった。町はスラグを撤去する方針で、同社へ費用負担を求めて協議している。
 町保健環境課によると、現場は太陽光発電施設で使われる林道と、町有地にある太陽光発電施設の敷き砂利。フッ素が基準値の最大約5倍となった。ほかの町道2カ所でもスラグが使われており、検査する。
**********

■オブチ「姫」のお膝元の中之条町でも、危険スラグが不法投棄されていたようです。

 まず報道で目を引くのは「フッ素が基準値の最大約5倍」と環境基準をはるかに超えたスラグが確認されたことです。この事実を、中之条町が自ら公表したことに、当会はふと安堵の念をおぼえました。なぜなら、中之条町は危険スラグそのものをサンプリングし、分析検査したようすがうかがえるからです。

 「毒物は直ちに片付ける」という至極当たり前な考えを実践するとき、毒物の実態を把握して認識するためには、スラグ自体を分析検査しなければなりません。大同特殊鋼渋川工場から排出されたスラグは、スラグ自体を検査すれば、必然的に環境基準を超過してしまうはずですから、このことをきちんと分析検査で確認することが基本だからです。

 ところが、大同の企業城下町の渋川市においては、「基準値を超えた場所も被覆工事する」と建設部長が議会の質問に平然と答弁しています。スラグの毒が頭に回ったせいか、これまでに、正常な判断が狂わされているのは渋川市と国土交通省、それに群馬県の土木・農業行政だけのようでした。

 中之条町におかれましては、これからも正しいスラグ対策を施し、その経緯を広く公表されますよう、切に希望する次第です。

■もう一つ、今回の報道で目を引くのが「町有地にある太陽光発電施設」と紹介されていることです。

 5年前の3.11東日本大震災を契機に発足した電力の固定価格買い取り制度(FIT)は、自治体や民間に再生可能エネルギーの導入を積極的に進めさせる原動力となり、県内でも、榛東村にあるソフトバンク榛東ソーラーパークや民間のソーラー発電施設など、“地球環境にやさしい”再生可能エネルギー発電所が数多く企画されました。

 ところが、“環境にやさしい”という謳い文句で推し進められたこれらのエコ発電所ですが、華々しいキャッチフレーズの裏で、また、復興の掛け声のどさくさに紛れて、危険スラグの不法投棄が行われていたことが発覚しました。今回の報道でも、危険スラグが不法投棄された場所と捨てかたについて、「(中之条町の)町有地にある太陽光発電施設の敷き砂利」と紹介されています。

 それでは、中之条町の太陽光発電設備の稼働情報についてバイテック社のHPを見てみましょう。
バイテック社http://www.vitec.co.jp/PV/nj/


■中之条町では、2013年8月27日に一般財団法人 中之条電力が設立され、「再生可能エネルギーの町」と銘打ってソーラー発電所の建設が始まりました。一般財団法人 中之条電力については次のURLをご覧下さい。↓
中之条電力http://www.nakanojo-denryoku.jp/index.html

 これによれば、発電開始は2013年10月と12月となっています。2013年(平成25年)は佐藤建設工業が危険スラグ不法投棄に拍車がかかった年ですが、2013年当時中之条町の町長は、あのオブチ「姫」の「国家老」の折田謙一郎でした。やはり折田と危険スラグには接点が存在していたのです。

 榛東村の場合にも、当時の阿久澤成實町長にまつわる利権の噂が付きまとっており、スラグマネーの匂いが立ち込めていました。今回、中之条町でも、当時、町長の職にありながら、オブチマネーの裏帳簿を一手に取り仕切っていた折田・元秘書(現在、執行猶予期間中)に、豊富なスラグマネーを持つ佐藤が擦り寄った可能性が指摘されています。


2014年10月20日、町議会に辞表を提出した「国家老」。

■まさか、1年後、政治資金不正問題で辞表を余儀なくされるとは本人も夢にも思わなかったでしょう。辞職の1年前の2013年9月22日、折田謙一郎がニンマリと鍬入れ式を楽しんでいる様子を、「広報なかのじょう」の6ページ目でみることができます。
広報なかのじょう2013年11月号
https://www.google.com/url?q=http://www.town.nakanojo.gunma.jp/~info/2-kikakuseisaku/kouhounakanojo_pdf/kouhounakanojo_201311.pdf&sa=U&ved=0ahUKEwig5fnLgsnLAhWJjJQKHQpnBPg4ChAWCBwwCQ&client=internal-uds-cse&usg=AFQjCNF2VnrxkaU8VQJrps7bFaHwoZ2jIA

 今回、大同特殊鋼渋川工場の危険スラグが、中之条町が発注した太陽光発電施設工事で利用する林道と、中之条町有地に作られた太陽光発電施設の敷き砂利に使われていたことが発覚し、基準値を遥かに上回るフッ素が検出されたことで、大同危険スラグ入りの敷き砂利を提供したのは、佐藤建設工業の可能性が極めて高いことになります。

 もちろん、町有地を使って、中之条町が太陽光発電施設工事を発注した公共工事に、大同スラグを引っ提げて佐藤建設工業が参画したわけですから、当然、町長だった折田と、大同スラグマネーを潤沢にばらまいていた佐藤建設工業との間に、接点が芽生えたことは想像に難くありません。

■ここで、大同スラグの出荷と販売パターンの遷移について見てみましょう。

 八ッ場ダムの建設予定地では、2000年代から2010年代まで代替地の造成、付替え国道や県道の建設、町道の建設等の公共工事が行われてきました。これと呼応するかのように、2014年1月27日まで、大同特殊鋼渋川工場の危険スラグが盛んに搬出され続けてきました。記録が確認できた2002年11月から出荷を停止した2014年 1月までの間、大同特殊鋼渋川工場から出荷された鉄鋼スラグの総量は、29万4330トンだったとされています。そして、その危険スラグは、八ッ場ダム関連の公共工事において、基礎工、裏込材、下層路盤工、盛り土材等に大量に使われてきました。

 一方、大同スラグの出荷形態の遷移についても、2009年7月から2012年5月までは、大同が子会社の大同エコメットに1トン当たり10円で売却し、大同エコメットが佐藤建設工業に1トン当たり100円で売却し、それを佐藤が建設業者に販売していました。ところが2012年7月から2014年1月までは、大同がスラグ混合所でスラグに天然砕石を混ぜてスラグ混合路盤材として佐藤に売却するようになっていました。

 この間、現在、群馬県県土整備部のトップで、4月には前橋市の副市長に転出すると見られている倉嶋敬明部長が、県土整備部管理課建設政策室長だった2010年10月15日当時、スラグ混合砕石を再生砕石と同等に扱うという、いわゆる「倉嶋通達」を出しており、公共事業への危険スラグの不法投棄に一層拍車がかかることになりました。

 そのため、2011年から2013年にかけて、八ッ場ダムの公共事業工事現場に大量のスラグが持ち込まれるようになったのでした。2012年7月1日に稼働を開始した榛東村のソフトバンク榛東ソーラーパークや、2013年8月27日に設立された中之条電力(中之条町とV-Powerの共同出資)が、同年10月30日と12月20日にそれぞれ稼働を開始した沢渡温泉第1太陽光発電所と同第2太陽光発電所は、まさにこうした最中に建設された施設でした。

■これらの施設に共通して、スラグが持ち込まれたということは、当然、スラグマネーが関与していることを窺わせます。ソフトバンク榛東ソーラーパークの場合は、佐藤が極端に安い費用で造成を引き受けて、スラグを不法投棄したものですが、中之条町の太陽光発電所は、町が自ら出資をして建設したものなので、不法投棄されたスラグに公金が投入されていた可能性もあります。

 産業廃棄物の危険スラグに天然砕石を混合し、再生砕石として安価で使用できることから、サンパイ処理費を浮かせることのできる大同特殊鋼や、大同から逆有償の恩恵にあずかれた佐藤建設工業はもとより、安い危険スラグを調達して八ッ場ダム関連工事を受注していた土建会社も、スラグマネーの恩恵を受けることができました。

 そのスラグマネーの存在について、官業癒着の仲介者だった八ッ場ダム建設推進派の地元住民代表で、2015年12月に84歳で亡くなった萩原昭朗が気付かなかったはずはありません。2005年頃まで毎年、萩原昭朗の誕生日に開催されていた「丸岩会」には、八ッ場ダム工事事務所の所長を始め、群馬県知事、県土木行政職員OB、そして建設会社や測量会社の代表や幹部らが一堂に集まってゴルフコンペや大宴会を催していました。当会の次のブログ記事を参照ください。
八ッ場ダム物語/丸岩会に所長を講師派遣した国交省の言い分
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/199.html
政官業癒着と税金ムダ遣いの象徴・・・八ッ場ダム推進派による丸岩会の所業
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/336.html

 確かに2000年代の半ば頃までは、まだ佐藤建設工業の名前は「丸岩会」参加者名簿には見当たりませんでした。しかし、利権に聡い萩原昭朗のことですから、大同スラグが生み出すスラグマネーに着目したはずです。

 こうして、産業廃棄物であるにもかかわらず再生砕石と同等の価格で公共事業に使用された大同スラグから生み出されたスラグマネーの一部は、八ッ場ダムを推進する自民党系の政治家にも還流していったと考えられるのです。

 このことについて、当会では2015年6月26-27日に開かれた一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会でも言及しました。次の議事録のP132をご覧ください。
「一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会」議事録
http://www.mlit.go.jp/common/001101938.pdf

 このスラグマネーが、ダムマネーとなって、政治家に還流し、その一部が地元代議士のオブチマネーに化けたのではないか?当会は常々そう考えていましたが、今回、オブチ「姫」の「国家老」だった元秘書で中之条町長だった折田謙一郎が、力を入れていた太陽光発電設備に大量のスラグが不法投棄されていたことが分かったことで、ますます、大同スラグが生み出した八ッ場ダムの利権をめぐる官業癒着の構図が、いよいよ政官業にまで波及していたことを象徴するものとして、注目したいと思います。

■なお、2015年10月9日に禁固2年執行猶予3年(求刑禁固2年)の判決を受けて、現在執行猶予中の折田謙一郎については、当会が告発したことが捜査の端緒となったため、政治資金規正法を巡る違反行為に関して、捜査機関が調べて裁判所に提出された刑事確定記録を当会は閲覧できる立場にあります。

 今年2016年1月に東京地検に問い合わせたところ、まだ裁判所から確定記録が戻っていないということでしたが、今日あらためて問い合わせたら、ようやく裁判所から戻ってきたそうです。当会事務局では、これから閲覧申請を行うことにしています。もし、記録を閲覧できた場合には、スラグマネーから派生したダムマネーがオブチマネーに化けていたかどうか、詳しく精査する所存です。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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