■3月16日のテレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜、午後10時09分)で、番組の冒頭に古舘伊知郎キャスター(61)が、「本日からショーンさんの出演は取りやめさせていただく、ということになってしまいました」と報告しました。イケメン過ぎるコメンテーターとして著名だった経営コンサルタントことショーン・マクアードル川上(通称:ショーンK)について、同氏が同番組の水曜日コメンテーターを務めていたのですが、同日発売された週刊文春に学歴・経歴詐称が報じられたため、急きょ、上記の報告が番組冒頭で視聴者に告げられたのでした。
週刊文春の記事については、本稿の末尾に掲載しているので、後ほどゆっくりとご覧いただくことにして、このショーンKという人物が、代表者として名乗っていたブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドという会社が、米国デラウェア州にあることに、当会では興味を覚えました。
一方、同じく朝日新聞グループの日刊スポーツが昭和48年と平成2年のバブル時期に、朝日新聞自前の高級ゴルフ場をつくろうと、安中市岩野谷地区の南にある137ヘクタールの山林(一部農地含む)を買収(一部賃貸)しましたが、バブルが弾けたため、目前で挫折し、平成13年以降、社有林として所有していました。ところが昨今のメガソーラー開発ブームで、この山林に目を付けた業者が現れたため、日刊スポーツはそのうち数社に絞って、事業提案書を提出させて、最終的に1社を選定し、そこにゴルフ場跡地の山林等を売り渡す決定をしました。
日刊スポーツの子会社でこの土地を管理している日刊スポーツ興産では、数社の中から、おそらくもっとも高額で購入を申し出たと思われるザイマックス・アセット・コンサルティングに土地の売却を決めたと説明していますが、実際には、ザイマックスはメガソーラーの開発手続きのとりまとめをするだけで、実際の開発事業者は、「安中ソーラー合同会社」という資本金1円の特別目的会社(SPC)だということが、昨年3月に群馬県に提出した構想書から判明しました。
この構想書によれば、「安中ソーラー合同会社」の業務執行社員が、グレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCという合同会社(Limited Liability Company。有限責任会社ともいう)で、代表社員も同じくグレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCとなっています。ところが、職務執行者として、東京都の山崎亮雄と、香港在住のリュー・シャオ・フィの2名が選任されています。しかし、行政に対する開発事業構想書では、事業者の職務執行者は、山崎亮雄のみの名前となっており、リュー・シャオ・フィの名前はありません。
ちなみに、グレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCをネットで検索すると、唯一次のURLがヒットします。確かに組織はありそうですが、このURLからもその実態は不明です。
※「Great Discovery Holdings LLC」↓
http://delawarecompanies.us/free-delaware-company-search.find/great-discovery-holdings-llc
■このように、安中ソーラー合同会社の業務執行社員であるグレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCと、ショーンKが代表を務めている経営コンサルティング会社は、いずれもデラウェア州で法人登記をしています。
週刊誌の記事によれば、「米デラウェア州は、法人設立が簡単で、税制上の優遇措置もあるため、世界中の企業が『登記だけを置く土地』として知られるが、プラッド社の登記住所には複数の企業が登記していた」と記しています。
■朝日新聞の実質的な子会社であるテレビ朝日で放送してきた「報道ステーション」ですが、コメンテーターとして起用した人物が、学歴と経歴を詐称していたことがわかり、番組の信用は一気に下がってしまいました。信用が最も重要な報道番組で、デタラメな経歴の人物に私見を語らせていたからです。
同じく朝日新聞グループの日刊スポーツの子会社の日刊スポーツ興産が、朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場を建設しようと買収した、安中市岩野谷地区にある貴重な自然の宝庫である丘陵地帯を、得体のしれないメガソーラー開発業者に売り渡そうとしています。
奇しくも朝日新聞グループの放送部門と新聞部門が、それぞれ米国のデラウェア州に法人登記をしている会社と関わっていることから、朝日新聞の信用度にも黄色信号が点っているのではないか、という懸念が払しょくできません。
ショーンKの場合は、日々刻々と新たなキャスターやコメンテーターが登場し、視聴率至上主義の放送分野での出来事なので、報道ステーションの信用失墜の影響はあまり尾を引かないと思われます。現に、テレビ朝日では、古舘キャスターの後任として、あの橋下徹氏の起用も視野に入れているとする報道もあります。
しかし、日刊スポーツが、その所有する137へクタールの広大なゴルフ場跡地を、得体のしれないペーパー会社に売り渡せば、地元の周辺や下流に住む住民らは、今後、半永久的に、ずっと不安な生活を余儀なくされることになっていまします。
国土のセキュリティ保持のためにも、朝日新聞グループの日刊スポーツには、なんとしても、得体のしれない合同会社には、きちょうな山林を売り渡さずに、未来永劫に亘、社有林として保有することを、要請していきたいと思います。
【ひらく会情報部】
※参考記事
**********2016.3.24週刊文春(2016年3月16日発売)
フジテレビ“新ニュースの顔”の正体
ショーンK(ショーン・マクアードル川上(47))の嘘
■「報ステ」「とくダネ!」で人気の経営コンサルタント
■ハーバードМBA取得もテンプル大卒もでたらめ
■世界7都市に拠点、だが米パートナー顔写真は別人
■本名は川上伸一郎、高校同級生は「えっ、顔が違う!」
■記者が疑惑を質すと低温美声で「それはダメだと思います」
四月四日からフジテレビが社運を賭けてスタートさせる新・報道情報番組「ユアタイム」のイケメンキャスターに、耳を疑うような“疑惑”が浮上した。学歴詐称、経歴詐称に、赤の他人の顔写真のパクリ疑惑。本誌記者の追及に、ついには自ら新たなパクリを告白した!
三月半ばにしては肌寒い日曙の夜九時前。
その男はフジテレピの関係者に付き漆われ、黒塗りのハイヤーから姿を現した。
日焼けした浅黒い肌に、日本人離れした彫りの深い顔立ち。スリムな体にフィットしたスーツ姿は、ジェームズ・ポンド風だ。
「記事が醸し出す色んな空気感とか印象とかいうものが、場合によっては私の仕事に色んな大きな影響を与えて(仕事が)無くなるかもしれないというのは、十分に私は覚悟して来ています」
眉間にシワを寄せ、トレードマークの低温の美声でこう述べた男の名は、ショーン・マクアードル川上氏(47)。二時間半に及ぶ“ショーン劇場”の始まりだった――。
<経営コンサルタント ラジオの経済番組を10年以上担当し経営者など500人以上と対談>
こんなプロフィーるとともに、川上氏が朝の情報番組『とくダネ!』(フジテレビ)にコメンテーターとして出演し始めたのは二〇一〇年のことだ。東京のFM局で「ショーンK」として人気DJだった川上氏は、“イケメンすぎる経営コンサルタント”として主婦層を中心に人気を呼ぶ。一五年四月からは『報道ステーション』(テレビ朝日)の木曜(現在は水曜)コメンテーターにも就任。キャスターの古舘伊知郎(61)と組み、安保法案から人工知能まで幅広い知識を披露している。
そうした実績を買われ、新たに川上氏が抜擢されたのが、フジテレビが「春の大改編」の目玉として四月四日から始める平日深夜の大型報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』のメインキャスターだ。
「視聴率低迷にあえぐフジが、『あしたのニュース』と『すぼると!』をつぶし、ワイドショー的なソフト路線のニュース番組として始めるものです。キャスターは川上氏とモデルの市川紗椰(29)。亀山社長体制になってからの大改編でフジは失敗し続けている。しかも『プロ野球ニュース』以来、定評のあった平日夜のスポーツ番組を打ち切るわけです。失敗は許されません」(スポーツ紙デスク)
テレビ朝日との縁も切れるわけではない。
「「報ステ」は降板しますが、テレ朝とサイバーエージェントが組んで四月に開局するインターネットテレビ局「AbemaTV」の看板ニュース番組の金曜MCに内定しています。こちらはテレ朝が社運を賭けたプロジェクトです」(同前)
この春、報道番組の一時代を築いた花形キャスターが軒並み入れ替わる中で、川上氏はまさに「新時代のキャスター」として脚光を浴びる存在なのである。
ニュース番組のキャスターは、時には政治家以上の大きな影響力をもつ。川上氏のキャスターデビューにあたり、本誌はそのパックグラウンドを徹底取材した。
川上氏の公式ホームページ「SEAN K www.seank.biz」。
現在、このホームページにアクセスすると、表示されるのは「CONTACTSK/お問い合わせ」欄だけである。だが、川上氏のファンで、このサイトを以前からチェツクしている人物は語る。
★ハーバード同窓会に存在せず
「以前は各カテゴリーについて、日本語版・英語版がありました。彼の出自や学歴、米国本社の住所、マネジングパートナーの紹介などもありましたが、なぜか少しずつ削除されていき、最近ついに問い合わせ欄のみになってしまいました」
本誌はインターネットのキャッシュ検索を駆使して、削除されたページを順にチェッククしていった。
<ショーン・マクアードル川上は、アイリッシュ・アメリカン・ジャパニーズの父と日本人の母がいる。アメリカのNYに生まれ、十一歳のときに日本に転居した。高校卒業まで日本で教育を受け、大学で米国に戻り、フランスで二年間を過ごした。(中略)テンプル大学でBA(学位)、ハーバード・ピジネス・スクールでMBAを取得。パリ第一大学に留学した》(英文プロフィールより*編集部訳)
フランス留学、米ビジネススクール留学については過去に雑誌のインタビューでも語っている。
<現在の仕事で使うのは日本語と英語がメインだが、フランス語は大学の3、4年を過ごしたパリで習得した>(『AERA ENGLISH』○六年十一月)
<私は米国のビジネススクールで学んだのちに、現地で少し働いてから、日本のコンサルティング会社に就職しました>(『THE21』一五年十月号)
『THE 21』一三年三月号に登場した際には、プロフィール欄に<テンプル大学、パリ第一大学で学んだ後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得>と記載されている。
だが、ハーバード・ビジネス・スクールの同窓会名簿を確認すると、カワカミ姓のMBA取得者は十八名いたが、川上氏の名前は本名を含めて(本名については後述)、見当たらなかった。
経営コンサルタントとしての実績にも疑問符がつく。
<95年、米デラウェア州に経営コンサルティング・ファーム、ブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドを設立、代表に就任。現在、東京、ニューヨーク、パリ、シンガポールなど7都市を拠点に、日本企業、外資系企業の様々な事業領域における戦略コンサルティング業務、投資ファンド運営事業、地方自治体、各国政府・行政団体へのアドバイザリー・サービスに従事>(日本語プロフィールより)
しかし、ブラッド社の登記を確認すると、米国でも日本でも設立は「二〇〇二年一月七日」。
米デラウェア州は、法人設立が簡単で、税制上の優遇措置もあるため、世界中の企業が「登記だけを置く土地」として知られるが、プラッド社の登記住所には複数の企業が登記していた。
一方、<US Headquarters(米国本社)>と紹介されているのは、米国NYウォールストリートにある、かの有名なトランプビルの二十八階だが、在米日本人記者はこう呆れる。
「二十八階は、月額六十九ドルから借りられるレンタルオフィスです。ブラッド社も借りていることは確認できましたが、電話しても取り次いではもらえません。直接アポを取るように指示されますが、米国本社の公式サイトすらなく、連絡先は調べられません」
川上氏は、○九年五月に放送された『魔女たちの22時』(日本テレピ)に、貧しい新聞配達の少年から年商三十億円を稼ぐ経営コンサルタントになったイケメン「魔王」として登場している。オフィスは東京渋谷のセルリアンタワー、ホテル住まいの優雅な生活が紹介されていた。
だが、本誌三月十日号で既報のとおり、セルリアンタワーの該当フロアはレンタルオフィス。公式ホームページでは、この住所がブラッド社の<APAC本社(アジアパシフィック本社)>とされている。
また、米国での会社登記には、ブラッド社の納税情報が掲載されているが、最後の納税申告は十三年。納税額はわずか百七十五ドル(約二万円)だ。
★怪しげな雑居
さらに日本の会社登記を調べていくと、役員として記載されてぃるのは「ショーン・マクアードル川上」ではなく、「川上伸一郎」。どうやらこちらが本名らしい。「支店」として記載されている東京・恵比寿駅前にあるビルの一室に赴くと、エステや整体、競馬予想会社、果てはネット上で闇金業者と名指しされている金融会社まで入居するような雑居ビル。一部屋わずか四・五坪で、一流コンサルタントがオフィスを置くのにふさわしい場所とは思えない。
過去の雑誌連載ではクライアントの実名を挙げている。
<ワーナーブラザーズの日本法人(中略)のライセンス事業におけるコンサルティングに携わらせていただいた>(『月刊BOSS』○五年十二月号)
<一九九七年から九八年にかけて(FIチームの)マクラーレンのコンサルティングをさせていただいたことがあって、そのうちサーキット内のパドックにも入らせてもらえるようになり、カーレースの醍醐味を知ったのだ>(同○六年一月号)
だが、当事者は否定する。
「数年前に、プレゼンテーションの司会をお願いしたことはありますが、少なくとも商品化関係で仕事をお願いしたことはないはずです」(ワーナー エンターテイメントジャパン担当者)
「この二十五年間、お名前は聞いたことがありません。鈴鹿サーキットなどへの招待客も把握しているので、もし来ていたとすればわかるはずなんですが」
(マクラーレンスタッフ)
さらに、驚くべきは、公式サイト内の「マネジングパートナー」の顔写真だ。
ブラッド社には川上氏以外に三名の幹部がいる。米国グループ代表のジョン G マクガバン氏、欧州グループ代表のニコロ・デ・グルート氏、在仏代表の大井大氏である。だが、検索をかけても該当する人物は見つからない。そこで顔写真の画像検索を行うと、マクガバン氏とされる人物は、全く別人の顔写真と一致したのだ。
写真の主は、米ミシガン州の不動産会社ホライソン・グループ・プロパティーズのCEO、ゲイリー・スコイエン氏。スコイエン氏が北イリノイ大学の学内誌に登場したときの顔写真と、スーツ、ネクタイ、チーフ、背景にいたるまで同一としか思えない。
いったいどこまでが真実なのか――。取材班は川上氏の故郷、熊本市へ飛んだ。
県立のトップ校である熊本高校や熊本県立済々黌高等学校に落ちた生徒が進学するすべり止めの私立高校が、川上氏の母校だった。
取材班は卒業名簿を頼りに、一学年全九クラスの同級生に電話取材を試みた。
だが、テレビに出ている「ショーン・マクアードル川上」が「川上伸一郎」だと気がついている同級生は一人としていなかった。
三十三ぺージの写真は高校三年生の時に撮影したクラスの集合写真である。色白で上品だが、現在のようなエキゾチックな顔立ちではない。
記者「川上伸一郎さんが、テレビに出ているショーン・マクアードル川上なのですが……」
同級生(パソコンで川上氏の画像を検索して)「うおー、見たことある、この人」
記者「面影は?」
同級生「まったく。顔が違います!言われるまで、まったく気付きませんでした」
★あだなはホラッチョ川上
別の同級生の話。
「高校三年間、吹奏楽部でトランペットを吹いていましたよ。熱心に合宿にも参加して。三年生の時の演奏会で、息が続かなくなって失敗したのか、うつむいていた記憶があります。顔立ちが整ってぃて、確かパーマを掛け、身なりも清潔でした。でも、住み込みの新聞配達の話は、聞いた記憶はありません」
当時のあだ名を、二人の同級生が覚えていた。
「“ホラッチョ川上”と呼ばれていました。熊本でホラ吹きという意味です。川上君が一年、二年の時を知る女子生徒がそう呼んでいました」(男性の同級生)
「口の悪い二、三人の男子生徒が、川上君を“ホラッチョ”とはやし立てていました。理由は聞いていないので分かりませんが」(女性の同級生)
本誌は一連の疑感について、フジテレピ広報部に取材を申し込んだ。そして締切直前、ついに冒頭のシーンとなったのである。
――テンプル大には本当に入学しているのか?
「テンプル大学ジャパンにまず入りまして、そのときは下落合にございました。まずはIELP(International English Language Program)に入って、そこから経済・経営の道に違もうと思って、フィラデルフィア(米国テンプル大学)に行かせてもらうんですが。テンプル大学ジャパンのほうには十ヵ月はいなかったんじゃないかな。でも、若気の至りなんですが、お付き合いをしていた女性がフランス人だったので、(学ぶなら)ヨーロッパじゃないかと。現地(フィラデルフィア)には三ヵ月しかいなかった。
パンテオンソルボンヌ(パリ第一大学)には入っていません。オープンキャンパスの中で経済・経営だけ聴講したんです。聴講とは何かというと、教授に名前だけ、「こういう者です?受けさせてください」というもので、学校に入ったわけではないです。でも図書館も勉強室も使えますし、先生ともお話しできますし、非常に有意義だった」
本人は「学位はない」と表現するが、要はテンプル大卒も虚偽なのだ。パリ第一大も正規の留学ではなかった。
「(パリでは)お金がないのでバイトしなきゃということで、ゴンサルタント会社のキャップジェミニから独立した方のところでレポー卜の翻訳のバイトなどをしました。私は日本語も英語もできるので、フランス語から英語になったレポートを、英語から日本語にという感じで。そのうち仕事が面白くなって、学校に戻るモチベーションが無くなって、つてのあるニューヨークでコンサルティング会社のインターンになりました。でも、(金銭的に)しんどくて、いったん二十歳くらいで熊本に戻っています。
ただ結局、熊本に帰っても何も無くて、東京の田無で家を見つけ、近くの英会話学校でバイトをするんですけども。それもなんか違うっていうことで、ある方にコンサルタント会社を紹介していただいた。“私はこれができます”と一生懸命プレゼンしました。英語でのインタビューもあった」
――何という会社か?
「日本LCAという会社です。京都で生まれた会社で、九〇年代前半には京都ではマッキンゼーよりも規模的には大きかった。この会社には、生み出した価値の三・三分の一を報酬として出すというルールがありました。ちなみにこの会社が今日現在どうなっているかというと、一部上場してその後管理下に入ってしまっていますね。当時は二十二、三歳くらいじゃないかと思いますが、それにしては高い年棒をいただいていたと思います」
――ハーバードのピジネススクールには行ったのか?
「その後、子会社のベンチャーリンクという会社に出向したんですけども、当時、私は相当な売り上げになりまして。三・三分の一ルールだと報酬がえらい金額になると、会社といろいろもめた時期があった。
だったらハーパードのMBAは無理だけど、お金を出せば参加できセミナーがあるからと行かせてもらったのです。オープンコースで、企業研修とかエグゼクティブ・エデュケーション・プログラムとか色々なメニューが二日コースから二年コースまであって、その中の一つにまったく外部の人間として聴講させてもらいました。いわゆる條了証はありません。
ただ逆に言うと、今私の持っている能力というのは、MBAの経営管理の勉強会や学校で教えたりもしていますが、MBAで帰ってきた人間よりも多分詳しいと思いますよ。いろんな意味でコンサルティングの現場で死ぬほど勉強しましたから。
★もう一人のパクリも告白
――何日間のコースに?
「三日くらいだったと思います」
――一回?
「そうですね。それはMBAの学生も行くんです。一応ハーバードプロデュースなので、しっかりしている」
ハーバードはたった数日のMBA体験だった。川上氏は「HPをつくるとき、自分は正確に伝えたのに、なぜかあんな記載に」と説明するが、十年以上誤りを放置していたわけだ。
――パートナーとして掲載していたジョン・G・マクガバン氏の顔写真は、まったくの別人ですよね?
「それはダメですね。人のせいにするつもりは全然ありませんが、HPは三人でつくりました。私はだいたいの構図を言ってお願いしたんですが、なんか本当にわかんないんですけど、ジョン・マクガバンに関してはわけのわからない写真があって。私も『誰の写真?』って聞いたんですけども、送られてきた写真だって当時言うんです。私もマクガバンと疎遠になり、ほったらかしにしてしまった。私が管理していないのが悪い。それはダメだと思います」
――マクガバンさんは実在する?
「ニューヨークで、いまは多分引退しちゃったのかな。ライセンスの仕事をしているときに出てきてくれた弁護士なんですね。二、三年前のフェイスブックで引退してどうのこうのって写真をちらっと見ました。ジョン・マクガバンとニューヨーク、アトーニー・アット・ロー(弁護士)で(検案すれば)出てくると思います」
――二コロ・デ・グルート氏も実在する?
「イタリアの人です。グッチの店舗展開をする時に、ニューヨークのデザイン事務所がデザインして、日本の会社が受けて日本用の設計図に起こした時、向こうで担当してくれました。“私と一緒にやりたい”って、途中で入ってきたのですが、それ以降は一緒になる機会はないですね」
――写真は別人?
「合っているはずなんですけど。送ってきたのをそのまま渡して」
記者は川上氏にグルート氏の写真を見せ、もう一度問うた。すると、観念したようにこう告白した。
「違いますよね。間に合わなかったというのが実はあって、これはダメだと思います。でも、大井さんはいらっしゃいます。フランスにいる方で、九四、五年頃に知り合いました。今、一緒に仕事はしていないです。息子さんが東京にいるので、名剌を後ほど。私との付き合いということで、話を聞いて頂ければ……」
――別人だと分かったものを、確信犯的に放置していた?
「……まあ、そうですね」
――『魔女たちの22時』では年商三十億円と。
「それはダメだと思います。二〇〇〇年を超えて、声を掛ければすぐに集まってくれるコンサルタントが二十八人位になりました。“みんなで、一人一億円は付加価値が出せるように頑張ってます”とテレビの取材に話したのですが、二十八人掛ける一億円で年商三十億円になった。テレビってこういうものかと。否定すべきだったと思います」
その後も記者が疑感を迫及するたびに川上氏は「それはダメだと思います」と繰り返した。大井氏の息子さんの名剌はまだ届かない。
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