市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有害スラグ問題を斬る!・・・連日のように続く危険スラグ報道!「中之条町もフッ素」の巻

2016-03-18 23:11:00 | スラグ不法投棄問題

■連日のようにスラグ報道が続いています。複数の報道機関が危険スラグを取り上げている状況が続いています。特に群馬版は、春が間近なこともあり、スラグの話題で花さかり(話さかり)の様相を呈しています。それでは春爛漫さながらの群馬版から、3月17日付の朝日新聞記事を見てみましょう。
20160317vv.pdf
**********2016年03月17日 朝日新聞デジタル群馬
2カ所のスラグから基準超すフッ素 中之条町工事道路など /群馬県
 大同特殊鋼渋川工場の有害物質を含む鉄鋼スラグが公共工事で使われていた問題で、中之条町が発注した太陽光発電施設工事で利用する道路など、計2カ所のスラグから環境基準を超えるフッ素が検出されたことがわかった。町はスラグを撤去する方針で、同社へ費用負担を求めて協議している。
 町保健環境課によると、現場は太陽光発電施設で使われる林道と、町有地にある太陽光発電施設の敷き砂利。フッ素が基準値の最大約5倍となった。ほかの町道2カ所でもスラグが使われており、検査する。
**********

■オブチ「姫」のお膝元の中之条町でも、危険スラグが不法投棄されていたようです。

 まず報道で目を引くのは「フッ素が基準値の最大約5倍」と環境基準をはるかに超えたスラグが確認されたことです。この事実を、中之条町が自ら公表したことに、当会はふと安堵の念をおぼえました。なぜなら、中之条町は危険スラグそのものをサンプリングし、分析検査したようすがうかがえるからです。

 「毒物は直ちに片付ける」という至極当たり前な考えを実践するとき、毒物の実態を把握して認識するためには、スラグ自体を分析検査しなければなりません。大同特殊鋼渋川工場から排出されたスラグは、スラグ自体を検査すれば、必然的に環境基準を超過してしまうはずですから、このことをきちんと分析検査で確認することが基本だからです。

 ところが、大同の企業城下町の渋川市においては、「基準値を超えた場所も被覆工事する」と建設部長が議会の質問に平然と答弁しています。スラグの毒が頭に回ったせいか、これまでに、正常な判断が狂わされているのは渋川市と国土交通省、それに群馬県の土木・農業行政だけのようでした。

 中之条町におかれましては、これからも正しいスラグ対策を施し、その経緯を広く公表されますよう、切に希望する次第です。

■もう一つ、今回の報道で目を引くのが「町有地にある太陽光発電施設」と紹介されていることです。

 5年前の3.11東日本大震災を契機に発足した電力の固定価格買い取り制度(FIT)は、自治体や民間に再生可能エネルギーの導入を積極的に進めさせる原動力となり、県内でも、榛東村にあるソフトバンク榛東ソーラーパークや民間のソーラー発電施設など、“地球環境にやさしい”再生可能エネルギー発電所が数多く企画されました。

 ところが、“環境にやさしい”という謳い文句で推し進められたこれらのエコ発電所ですが、華々しいキャッチフレーズの裏で、また、復興の掛け声のどさくさに紛れて、危険スラグの不法投棄が行われていたことが発覚しました。今回の報道でも、危険スラグが不法投棄された場所と捨てかたについて、「(中之条町の)町有地にある太陽光発電施設の敷き砂利」と紹介されています。

 それでは、中之条町の太陽光発電設備の稼働情報についてバイテック社のHPを見てみましょう。
バイテック社http://www.vitec.co.jp/PV/nj/


■中之条町では、2013年8月27日に一般財団法人 中之条電力が設立され、「再生可能エネルギーの町」と銘打ってソーラー発電所の建設が始まりました。一般財団法人 中之条電力については次のURLをご覧下さい。↓
中之条電力http://www.nakanojo-denryoku.jp/index.html

 これによれば、発電開始は2013年10月と12月となっています。2013年(平成25年)は佐藤建設工業が危険スラグ不法投棄に拍車がかかった年ですが、2013年当時中之条町の町長は、あのオブチ「姫」の「国家老」の折田謙一郎でした。やはり折田と危険スラグには接点が存在していたのです。

 榛東村の場合にも、当時の阿久澤成實町長にまつわる利権の噂が付きまとっており、スラグマネーの匂いが立ち込めていました。今回、中之条町でも、当時、町長の職にありながら、オブチマネーの裏帳簿を一手に取り仕切っていた折田・元秘書(現在、執行猶予期間中)に、豊富なスラグマネーを持つ佐藤が擦り寄った可能性が指摘されています。


2014年10月20日、町議会に辞表を提出した「国家老」。

■まさか、1年後、政治資金不正問題で辞表を余儀なくされるとは本人も夢にも思わなかったでしょう。辞職の1年前の2013年9月22日、折田謙一郎がニンマリと鍬入れ式を楽しんでいる様子を、「広報なかのじょう」の6ページ目でみることができます。
広報なかのじょう2013年11月号
https://www.google.com/url?q=http://www.town.nakanojo.gunma.jp/~info/2-kikakuseisaku/kouhounakanojo_pdf/kouhounakanojo_201311.pdf&sa=U&ved=0ahUKEwig5fnLgsnLAhWJjJQKHQpnBPg4ChAWCBwwCQ&client=internal-uds-cse&usg=AFQjCNF2VnrxkaU8VQJrps7bFaHwoZ2jIA

 今回、大同特殊鋼渋川工場の危険スラグが、中之条町が発注した太陽光発電施設工事で利用する林道と、中之条町有地に作られた太陽光発電施設の敷き砂利に使われていたことが発覚し、基準値を遥かに上回るフッ素が検出されたことで、大同危険スラグ入りの敷き砂利を提供したのは、佐藤建設工業の可能性が極めて高いことになります。

 もちろん、町有地を使って、中之条町が太陽光発電施設工事を発注した公共工事に、大同スラグを引っ提げて佐藤建設工業が参画したわけですから、当然、町長だった折田と、大同スラグマネーを潤沢にばらまいていた佐藤建設工業との間に、接点が芽生えたことは想像に難くありません。

■ここで、大同スラグの出荷と販売パターンの遷移について見てみましょう。

 八ッ場ダムの建設予定地では、2000年代から2010年代まで代替地の造成、付替え国道や県道の建設、町道の建設等の公共工事が行われてきました。これと呼応するかのように、2014年1月27日まで、大同特殊鋼渋川工場の危険スラグが盛んに搬出され続けてきました。記録が確認できた2002年11月から出荷を停止した2014年 1月までの間、大同特殊鋼渋川工場から出荷された鉄鋼スラグの総量は、29万4330トンだったとされています。そして、その危険スラグは、八ッ場ダム関連の公共工事において、基礎工、裏込材、下層路盤工、盛り土材等に大量に使われてきました。

 一方、大同スラグの出荷形態の遷移についても、2009年7月から2012年5月までは、大同が子会社の大同エコメットに1トン当たり10円で売却し、大同エコメットが佐藤建設工業に1トン当たり100円で売却し、それを佐藤が建設業者に販売していました。ところが2012年7月から2014年1月までは、大同がスラグ混合所でスラグに天然砕石を混ぜてスラグ混合路盤材として佐藤に売却するようになっていました。

 この間、現在、群馬県県土整備部のトップで、4月には前橋市の副市長に転出すると見られている倉嶋敬明部長が、県土整備部管理課建設政策室長だった2010年10月15日当時、スラグ混合砕石を再生砕石と同等に扱うという、いわゆる「倉嶋通達」を出しており、公共事業への危険スラグの不法投棄に一層拍車がかかることになりました。

 そのため、2011年から2013年にかけて、八ッ場ダムの公共事業工事現場に大量のスラグが持ち込まれるようになったのでした。2012年7月1日に稼働を開始した榛東村のソフトバンク榛東ソーラーパークや、2013年8月27日に設立された中之条電力(中之条町とV-Powerの共同出資)が、同年10月30日と12月20日にそれぞれ稼働を開始した沢渡温泉第1太陽光発電所と同第2太陽光発電所は、まさにこうした最中に建設された施設でした。

■これらの施設に共通して、スラグが持ち込まれたということは、当然、スラグマネーが関与していることを窺わせます。ソフトバンク榛東ソーラーパークの場合は、佐藤が極端に安い費用で造成を引き受けて、スラグを不法投棄したものですが、中之条町の太陽光発電所は、町が自ら出資をして建設したものなので、不法投棄されたスラグに公金が投入されていた可能性もあります。

 産業廃棄物の危険スラグに天然砕石を混合し、再生砕石として安価で使用できることから、サンパイ処理費を浮かせることのできる大同特殊鋼や、大同から逆有償の恩恵にあずかれた佐藤建設工業はもとより、安い危険スラグを調達して八ッ場ダム関連工事を受注していた土建会社も、スラグマネーの恩恵を受けることができました。

 そのスラグマネーの存在について、官業癒着の仲介者だった八ッ場ダム建設推進派の地元住民代表で、2015年12月に84歳で亡くなった萩原昭朗が気付かなかったはずはありません。2005年頃まで毎年、萩原昭朗の誕生日に開催されていた「丸岩会」には、八ッ場ダム工事事務所の所長を始め、群馬県知事、県土木行政職員OB、そして建設会社や測量会社の代表や幹部らが一堂に集まってゴルフコンペや大宴会を催していました。当会の次のブログ記事を参照ください。
八ッ場ダム物語/丸岩会に所長を講師派遣した国交省の言い分
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/199.html
政官業癒着と税金ムダ遣いの象徴・・・八ッ場ダム推進派による丸岩会の所業
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/336.html

 確かに2000年代の半ば頃までは、まだ佐藤建設工業の名前は「丸岩会」参加者名簿には見当たりませんでした。しかし、利権に聡い萩原昭朗のことですから、大同スラグが生み出すスラグマネーに着目したはずです。

 こうして、産業廃棄物であるにもかかわらず再生砕石と同等の価格で公共事業に使用された大同スラグから生み出されたスラグマネーの一部は、八ッ場ダムを推進する自民党系の政治家にも還流していったと考えられるのです。

 このことについて、当会では2015年6月26-27日に開かれた一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会でも言及しました。次の議事録のP132をご覧ください。
「一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会」議事録
http://www.mlit.go.jp/common/001101938.pdf

 このスラグマネーが、ダムマネーとなって、政治家に還流し、その一部が地元代議士のオブチマネーに化けたのではないか?当会は常々そう考えていましたが、今回、オブチ「姫」の「国家老」だった元秘書で中之条町長だった折田謙一郎が、力を入れていた太陽光発電設備に大量のスラグが不法投棄されていたことが分かったことで、ますます、大同スラグが生み出した八ッ場ダムの利権をめぐる官業癒着の構図が、いよいよ政官業にまで波及していたことを象徴するものとして、注目したいと思います。

■なお、2015年10月9日に禁固2年執行猶予3年(求刑禁固2年)の判決を受けて、現在執行猶予中の折田謙一郎については、当会が告発したことが捜査の端緒となったため、政治資金規正法を巡る違反行為に関して、捜査機関が調べて裁判所に提出された刑事確定記録を当会は閲覧できる立場にあります。

 今年2016年1月に東京地検に問い合わせたところ、まだ裁判所から確定記録が戻っていないということでしたが、今日あらためて問い合わせたら、ようやく裁判所から戻ってきたそうです。当会事務局では、これから閲覧申請を行うことにしています。もし、記録を閲覧できた場合には、スラグマネーから派生したダムマネーがオブチマネーに化けていたかどうか、詳しく精査する所存です。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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大同有害スラグ問題を斬る!・・・連日のように続く危険スラグ報道!「小学校からフッ素」の巻

2016-03-18 01:04:00 | スラグ不法投棄問題
■連日続くスラグ報道です。それも多数の報道機関が危険スラグを取り上げている状況が続いています。特に群馬版は、春が間近なこともあり、スラグの話題で花さかり(話さかり)の様相を呈しています。

2016n0317vwztbf1.pdf
**********2016年3月17日毎日新聞群馬版
鉄鋼スラグ 小学校からフッ素
渋川 環境基準10倍超

 大同特殊鋼渋川工場からでた鉄鋼スラグを巡り、渋川市立古巻小学校の駐車場から環境基準の10倍超のフッ素が検出されたことが16日、市議会で明らかになった。環境省の指定調査機関に委託して独自調査した結果を角田喜和(共産)が公表した。【尾崎修二】
 
 フッ素の環境基準は含有量で1キロ当たり4000ミリグラム以下、溶出量で1リットル当たり0.8ミリグラム以下。渋川市が過去に実施した簡易検査では、古巻小の駐車場で使われた砕石のフッ素含有量(参考値)は1キロ当たり310ミリグラム、溶出量は0.15ミリグラムだった。
 しかし、角田氏が2月に資料を採取し、大阪市の分析機関に測定を依頼したところ、含有量7800ミリグラム、溶出量も10ミリグラムものフッ素が検出されたという。市議会の一般質問で田中市郎建設部長は「基準値を超えた場所も被覆工事をする方針なので、再調査の必要はない」と答弁した。人体に大量のフッ素が入ると神経障害や知能障害を引き起こすとされる。渋川市は、環境基準を超過した49カ所で撤去か被覆処理を進めており、基準値以下だった古巻小、橘北小、渋川中、赤城北中でも、敷き砂利の駐車場でむき出しとなっているスラグを舗装工事で覆うと決めている。
**********

■この新聞報道には、数値が踊っています。分かりやすく表にまとめてみましょう。


20160317_furumaki_shogakkou_fusso_bunseki_kekka.pdf

渋川市立 古巻小学校  / フッ素含有量(mg/kg)/ フッ素溶出量(mg/L)
 ●環境基準値                 4000              0.8
 ▼渋川市が簡易測定した参考値            310            0.15
 ◆角田氏が環境省の指定調査機関に委託した結果 7800(基準値超)     10(基準値超)

 分析値というものは誤差が多少はあるのでしょう、しかし渋川市が簡易測定した参考値と、正規の分析結果はあまりにもかけ離れています。ここまで差があると渋川市の参考値など信用できません。

 新聞報道では、渋川市の簡易測定に疑問を持った角田市議の調査結果で、これだけの有害物質が検出されているのに、『市議会の一般質問で田中市郎建設部長は「基準値を超えた場所も被覆工事をする方針なので、再調査の必要はない」と答弁した』と驚きの回答が示されたことが報道されています。

 「基準値を超えた場所も被覆工事する」とは、法律を無視し、自分たちが勝手に都合よく導き出した間違ったスラグ対策ではありませんか?その間違えを盾に再調査の必要はないと考えているのです。新聞報道では「人体に大量のフッ素が入ると神経障害や知能障害を引き起こすとされる。」とフッ素の恐ろしさが紹介されていますが、渋川市の建設部長様もフッ素の毒に汚染されてしまったのでしょうか?

■当会も危険スラグ自体の再調査は必要ないと考えています。しかし、その理由は、正常な判断のできない、お気の毒な建設部長とは異なります。

 当会の考えは、危険スラグは、群馬県が廃棄物と認定しましたので、廃棄物処理法第3条に従い、排出者が適正に処分、つまり「撤去させるべき」ものとの考えに基づいています。群馬県がスラグを廃棄物と認定したからには、これ以上の調査は予算=血税の無駄遣いというものです。危険スラグ=有毒廃棄物は、問答無用で撤去すれば良いのです。ただし、撤去後には直下の土壌の分析調査は必要になってきます。土壌も汚染されている場合には、当該土壌も大同様の負担で撤去しなければなりません。

 渋川市では、スラグがどんなに環境基準を上回る毒を含んでいようとも、撤去せずアスファルトで被覆する方針であることが確認できました。撤去も対策に含まれているような報道記事が過去にありましたが、お題目だけで住民をごまかし、大同様のご機嫌取りに終始するようです。

 大同様はスラグの最終処分費を節約できるため、さぞかしご満悦のことでしょう。その一方で、悲しいかな、渋川市には「信用のおけない公共団体」というレッテルが貼られてしまったのです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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