<平成7年4月>
■平成7年5月18日に発覚した安中市土地開発公社51億円巨額横領事件(通称タゴ51億円事件)。15年間に着服した公金が約51億円。安中市の当時の予算が約160億円だったから、タゴはなんとその3分の1を懐に入れたことになります。「市役所の七不思議」と言われた世紀の横領男を公務員として重用した関係者がキモを冷やしたこの事件は、発覚から13年が経過しました。この間、当会は事件の真相解明をテーマに掲げて活動してきました。そしてこれからも引き続いて事件の真相究明と責任の明確化を目指していきます。そのためには、13年前にいったい何か起きたのか、その事実を知ることからすべては始まる、と当会は考えています。今回は平成7年4月に焦点を当てます。
▼4月1日(土)
市役所は閉庁日。タゴの異動の発令日。タゴが教育委員会社会教育課社会教育係長に転任。入れ替わりに、SHが公社職員(安中市都市計画課併任)として任命された。
▼4月3日(月)
タゴに異動の辞令が交付された。群銀の安中支店長Mが、餞別を届けにタゴ自宅を訪れた。ちなみにタゴはこのときのお礼を兼ねて4月中旬に群銀安中支店に挨拶に行った。
▼4月4日(火)
この日付で群銀本店公務部長名の書面「公社向け融資・基金シェア調査について」が各支店長宛に送られた。安中支店のS次長は公務部から「市役所の担当役席に調査させるように」と言われた。
この調査は安中市土地開発公社が群銀や他の金融機関から借り入れた総額のうち、群銀からの融資金額がどのくらいの割合を占めるのかを調べるものだ。
この調査に基づいて、各市町村から指定を受けた群銀の各支店から、各自治体の税金関係の収納、歳費の取り扱い等のために各市町村役所内の派出所に派遣している群銀行員の人数の増減や手数料の見直しをするという。
当時(平成7年2月)、群馬県内の公社等に対する群銀の貸出金合計額は約523億円だった。このうち安中市土地開発公社には45億3900万円で、金体のなんと約8.7%に及んでいた。人口比で県人口の約2.4%に過ぎない安中市にしては、その貸出額は突出していた。
▼4月5日(水)
この日群銀のTMが通常業務を終えて午後3時以降に安中支店に戻った後、S次長がTMに本店公務部の書面を手渡し、調査を命じた。
書面の内容は、平成7年3月末時点での公社に対する融資額、および市町村に対する財政調整基金等の積立額が、他の金融機関に対して群銀がどの程度シェアを占めているのか、という内容だった。本店公務部への報告期限は4月13日となっていた。
▼4月6日(木)
群銀派出所のTMはこの日の午後、公社の事務局次長兼都市計画課係長のTHのところに行き、「参考資料にしますので」と「平成7年3月末現在の公社の安中支店に対する借入額と併せて、農協とか信金の借入残高も教えていただければお願いします」と言った。
するとTH係長は「個別の金融機関の借入額は教えられません。(群銀)安中支店の残高はコンピュータで調べれば分かるんじゃないですか」と答えた。
そこで群銀のTMは「それでは他の金融機関も含めて総体の残高を教えて下さい」と言ったところ、THは「休み明けには回答します」と答えた。
[注]安中市が群馬県警に提出した時系列表によると、何故か4月12日(水)または19日(水)に群銀安中市派出所のTMが公社を訪れ、公社のTKに対し「公社の融資残高を教えてほしい」と言ったが、上司のTH係長がいないので、TKは「翌日来て下さい」と答えた。翌日TH係長が「群銀は借入残高を承知しているのになぜ聴くのか」と言ったところ、群銀TMは「いろいろの調べに使いたい。できれば他行分も教えて下さい」と答えた。
THは「他行分の明細は教えられないが、公社全体の総額と群銀のものは教えても良い」と言って、公社の借入金総額約19億円と、群銀の約10億1700万円の借人分を書面で、その日のうちに公社TKが群銀派出所に届けた。そのときは銀行から何も連絡はなかった――となっている。
一方、公社のTH係長は、4月15日(土)か16日(日)に群銀TMが公社に来たときは不在で、翌日来たTMに会って話したという。
▼4月9日(日)
県会議員選挙投票日。新人の岡田義弘候補(現・安中市長)が、現職の中島博範候補(前・安中市長)を破って当選した。
▼4月10日(月)
午前中、公社係長THが群銀派出所を訪れた。THは公社から群銀宛ての平成7年3月31日現在の借入残高を記載した書面を持ってきた。
その書面には平成7年3月31日現在の公社借入残高は、約1914百万円、うち、群銀からの借入金総額は約1017百万円とあった。
群銀のTMは、公社への安中支店の融資額が平成7年3月31日現在で、47億6569万6000円となっていることを支店内の端末で照会して事前に知っており、公社からの回答書の「約1017百万円」とは約37億円の差があることに気付いた。
しかしTMは市役所で回答した金額は平成6年分という解釈でいたので、その金額を気にも留めずに支店に持ち帰り、融資係のK支店長代理に参考資料ということで直接手渡した。Kも回答書を見て、これは平成6年分のことだろうと、特に調査等することもなく終わったという。
▼4月中旬
タゴがひとりで群銀に異動の挨拶に訪れた。この時タゴは群銀のS次長に「新しい人では分からないことかあるので、市長から引き続き公社の仕事を手伝ってくれるように頼まれている」などと言った。
また同じ頃、群銀安中支店の者がタゴの安中市教育委員会係長への昇任視いとして、ワインをあげたことに対するお礼を言いにタゴ自身が支店に現れたこともあった。
▼4月11日(火)
群銀派出所のTMが、回答のお礼にと都市計画課(=安中市土地開発公社)を訪れたが、K局長もTH係長も不在だった。
▼4月12日(水)
公社TH係長が群銀TMに電話をかけた。TMは、先日の礼と併せて、公社の群銀からの借入残高が平成6年分かどうか尋ねたところ、公社THは、「安中支店の分も、他の金融機関を含めての残高もいずれも平成7年3月31日現在の総借入残高です」と回答した。
群銀TMは、市役所内部の事務手続き上のことで、群銀には分からない事務手続き上の相違から、やはり平成6年分であろうと解釈した。TMは本店公務部に対して回答書をこの日付で内部メールで送付した。
この日公社のTKとSHが、公社役員に報酬を届けた(現金らしい)。この日公社では、公社変更登記申請書を作成した。
▼4月13日(木)
TKとSHが公社変更登記申請書を法務局安中出張所に持参し、登記した。
▼4月14日(金)
午前9時45分から11時まで、さざんかタウン下磯部抽選会を市役所第3会議室で開催した。この日法務局へ公社理事のH市民部長分の登記申請書を取りに行った。
▼4月18日(火)
公社で下磯部区画選定、分譲契約での相談コーナー開設のための文章作成と伺いを作成した。
▼4月19日(水)
公社のSHが、4月26日予定の下磯部の選定会の相談コーナー開催の件で、群銀、東和、信組、かんら、労金、JAに挨拶することになったが、初めてなので公社のTH係長、TK主任と三人で行った。三人は午前10時頃まで公社で書類の整理等やり、そのあと公社の乗用車で出発した。
まず労金安中支店でTKだけが行き、SHとTH係長はクルマで持っていた。労金とは公社はほとんど取引亦なかったため、TKだけが挨拶に行った。
次に東和銀行安中支店の応接室に三人で入り、応対に出た同店次長と名刺交換。TH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。持参した「さざんかタウン下磯部の分譲にともなう依頼文と、市長の債務保証の関係の書類」を渡したりして、約30分くらいいた。
三人はそのあと群報安中支店に行った。応接室に入り、応対に出たK支店長代理、S次長と名刺交換。TH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。約1時間くらいで群銀を出て、丁度昼なので三人で公社に戻った。
(注:群銀のS次長は、公社の三人がタゴの転勤で挨拶に来たが、「すぐに帰ったように記憶している」「このときは挨拶程度で、とくにタゴのことについて話は出なかったと思う」と述べている。)
昼食後、午後1時頃から再び出発。TH係長は午後3時から用事があるため、TKやSHとは別のクルマで銀行に挨拶に向かった。午後の順番は最初にJA、次が県信組で、それぞれTH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。
県信のあと、THは午後3時から用事があると言って別れ、SHとTKの二人でかんら信金安中支店に挨拶に行き、一連の挨拶まわりが終了した。SHはこの他には挨拶に回ったことはないと言っている。
この日公社では、さざんかタウン下磯部契約予定の5月19日の相談コーナーでNTTと東電にも挨拶した。
なお4月1日付で教育委員会社会教育課に異動後、この日タゴは初めて時間休2時間をとり、午後3時早退した。
▼4月20日(木)
公社のTKとSHが県へ出張した。
▼4月23日(日)
安中市長選挙投票日。現職小川勝寿候補が、新人吉田洋候補を僅差でかわし再選された。
▼4月24日(月)
午後、公社のTH係長とSHが県へ出張した。
▼4月26日(水)
さざんかタウン下磯部区画選定会を開いた。受付は午前9時45分~10時30分だった。
▼4月全般
タゴは4月中に、2回にわたって4つの伊万里焼の皿を購入して、計1000万円を支払ったが、支払先は不明とされている。
【ひらく会情報部・続く】
■平成7年5月18日に発覚した安中市土地開発公社51億円巨額横領事件(通称タゴ51億円事件)。15年間に着服した公金が約51億円。安中市の当時の予算が約160億円だったから、タゴはなんとその3分の1を懐に入れたことになります。「市役所の七不思議」と言われた世紀の横領男を公務員として重用した関係者がキモを冷やしたこの事件は、発覚から13年が経過しました。この間、当会は事件の真相解明をテーマに掲げて活動してきました。そしてこれからも引き続いて事件の真相究明と責任の明確化を目指していきます。そのためには、13年前にいったい何か起きたのか、その事実を知ることからすべては始まる、と当会は考えています。今回は平成7年4月に焦点を当てます。
▼4月1日(土)
市役所は閉庁日。タゴの異動の発令日。タゴが教育委員会社会教育課社会教育係長に転任。入れ替わりに、SHが公社職員(安中市都市計画課併任)として任命された。
▼4月3日(月)
タゴに異動の辞令が交付された。群銀の安中支店長Mが、餞別を届けにタゴ自宅を訪れた。ちなみにタゴはこのときのお礼を兼ねて4月中旬に群銀安中支店に挨拶に行った。
▼4月4日(火)
この日付で群銀本店公務部長名の書面「公社向け融資・基金シェア調査について」が各支店長宛に送られた。安中支店のS次長は公務部から「市役所の担当役席に調査させるように」と言われた。
この調査は安中市土地開発公社が群銀や他の金融機関から借り入れた総額のうち、群銀からの融資金額がどのくらいの割合を占めるのかを調べるものだ。
この調査に基づいて、各市町村から指定を受けた群銀の各支店から、各自治体の税金関係の収納、歳費の取り扱い等のために各市町村役所内の派出所に派遣している群銀行員の人数の増減や手数料の見直しをするという。
当時(平成7年2月)、群馬県内の公社等に対する群銀の貸出金合計額は約523億円だった。このうち安中市土地開発公社には45億3900万円で、金体のなんと約8.7%に及んでいた。人口比で県人口の約2.4%に過ぎない安中市にしては、その貸出額は突出していた。
▼4月5日(水)
この日群銀のTMが通常業務を終えて午後3時以降に安中支店に戻った後、S次長がTMに本店公務部の書面を手渡し、調査を命じた。
書面の内容は、平成7年3月末時点での公社に対する融資額、および市町村に対する財政調整基金等の積立額が、他の金融機関に対して群銀がどの程度シェアを占めているのか、という内容だった。本店公務部への報告期限は4月13日となっていた。
▼4月6日(木)
群銀派出所のTMはこの日の午後、公社の事務局次長兼都市計画課係長のTHのところに行き、「参考資料にしますので」と「平成7年3月末現在の公社の安中支店に対する借入額と併せて、農協とか信金の借入残高も教えていただければお願いします」と言った。
するとTH係長は「個別の金融機関の借入額は教えられません。(群銀)安中支店の残高はコンピュータで調べれば分かるんじゃないですか」と答えた。
そこで群銀のTMは「それでは他の金融機関も含めて総体の残高を教えて下さい」と言ったところ、THは「休み明けには回答します」と答えた。
[注]安中市が群馬県警に提出した時系列表によると、何故か4月12日(水)または19日(水)に群銀安中市派出所のTMが公社を訪れ、公社のTKに対し「公社の融資残高を教えてほしい」と言ったが、上司のTH係長がいないので、TKは「翌日来て下さい」と答えた。翌日TH係長が「群銀は借入残高を承知しているのになぜ聴くのか」と言ったところ、群銀TMは「いろいろの調べに使いたい。できれば他行分も教えて下さい」と答えた。
THは「他行分の明細は教えられないが、公社全体の総額と群銀のものは教えても良い」と言って、公社の借入金総額約19億円と、群銀の約10億1700万円の借人分を書面で、その日のうちに公社TKが群銀派出所に届けた。そのときは銀行から何も連絡はなかった――となっている。
一方、公社のTH係長は、4月15日(土)か16日(日)に群銀TMが公社に来たときは不在で、翌日来たTMに会って話したという。
▼4月9日(日)
県会議員選挙投票日。新人の岡田義弘候補(現・安中市長)が、現職の中島博範候補(前・安中市長)を破って当選した。
▼4月10日(月)
午前中、公社係長THが群銀派出所を訪れた。THは公社から群銀宛ての平成7年3月31日現在の借入残高を記載した書面を持ってきた。
その書面には平成7年3月31日現在の公社借入残高は、約1914百万円、うち、群銀からの借入金総額は約1017百万円とあった。
群銀のTMは、公社への安中支店の融資額が平成7年3月31日現在で、47億6569万6000円となっていることを支店内の端末で照会して事前に知っており、公社からの回答書の「約1017百万円」とは約37億円の差があることに気付いた。
しかしTMは市役所で回答した金額は平成6年分という解釈でいたので、その金額を気にも留めずに支店に持ち帰り、融資係のK支店長代理に参考資料ということで直接手渡した。Kも回答書を見て、これは平成6年分のことだろうと、特に調査等することもなく終わったという。
▼4月中旬
タゴがひとりで群銀に異動の挨拶に訪れた。この時タゴは群銀のS次長に「新しい人では分からないことかあるので、市長から引き続き公社の仕事を手伝ってくれるように頼まれている」などと言った。
また同じ頃、群銀安中支店の者がタゴの安中市教育委員会係長への昇任視いとして、ワインをあげたことに対するお礼を言いにタゴ自身が支店に現れたこともあった。
▼4月11日(火)
群銀派出所のTMが、回答のお礼にと都市計画課(=安中市土地開発公社)を訪れたが、K局長もTH係長も不在だった。
▼4月12日(水)
公社TH係長が群銀TMに電話をかけた。TMは、先日の礼と併せて、公社の群銀からの借入残高が平成6年分かどうか尋ねたところ、公社THは、「安中支店の分も、他の金融機関を含めての残高もいずれも平成7年3月31日現在の総借入残高です」と回答した。
群銀TMは、市役所内部の事務手続き上のことで、群銀には分からない事務手続き上の相違から、やはり平成6年分であろうと解釈した。TMは本店公務部に対して回答書をこの日付で内部メールで送付した。
この日公社のTKとSHが、公社役員に報酬を届けた(現金らしい)。この日公社では、公社変更登記申請書を作成した。
▼4月13日(木)
TKとSHが公社変更登記申請書を法務局安中出張所に持参し、登記した。
▼4月14日(金)
午前9時45分から11時まで、さざんかタウン下磯部抽選会を市役所第3会議室で開催した。この日法務局へ公社理事のH市民部長分の登記申請書を取りに行った。
▼4月18日(火)
公社で下磯部区画選定、分譲契約での相談コーナー開設のための文章作成と伺いを作成した。
▼4月19日(水)
公社のSHが、4月26日予定の下磯部の選定会の相談コーナー開催の件で、群銀、東和、信組、かんら、労金、JAに挨拶することになったが、初めてなので公社のTH係長、TK主任と三人で行った。三人は午前10時頃まで公社で書類の整理等やり、そのあと公社の乗用車で出発した。
まず労金安中支店でTKだけが行き、SHとTH係長はクルマで持っていた。労金とは公社はほとんど取引亦なかったため、TKだけが挨拶に行った。
次に東和銀行安中支店の応接室に三人で入り、応対に出た同店次長と名刺交換。TH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。持参した「さざんかタウン下磯部の分譲にともなう依頼文と、市長の債務保証の関係の書類」を渡したりして、約30分くらいいた。
三人はそのあと群報安中支店に行った。応接室に入り、応対に出たK支店長代理、S次長と名刺交換。TH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。約1時間くらいで群銀を出て、丁度昼なので三人で公社に戻った。
(注:群銀のS次長は、公社の三人がタゴの転勤で挨拶に来たが、「すぐに帰ったように記憶している」「このときは挨拶程度で、とくにタゴのことについて話は出なかったと思う」と述べている。)
昼食後、午後1時頃から再び出発。TH係長は午後3時から用事があるため、TKやSHとは別のクルマで銀行に挨拶に向かった。午後の順番は最初にJA、次が県信組で、それぞれTH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。
県信のあと、THは午後3時から用事があると言って別れ、SHとTKの二人でかんら信金安中支店に挨拶に行き、一連の挨拶まわりが終了した。SHはこの他には挨拶に回ったことはないと言っている。
この日公社では、さざんかタウン下磯部契約予定の5月19日の相談コーナーでNTTと東電にも挨拶した。
なお4月1日付で教育委員会社会教育課に異動後、この日タゴは初めて時間休2時間をとり、午後3時早退した。
▼4月20日(木)
公社のTKとSHが県へ出張した。
▼4月23日(日)
安中市長選挙投票日。現職小川勝寿候補が、新人吉田洋候補を僅差でかわし再選された。
▼4月24日(月)
午後、公社のTH係長とSHが県へ出張した。
▼4月26日(水)
さざんかタウン下磯部区画選定会を開いた。受付は午前9時45分~10時30分だった。
▼4月全般
タゴは4月中に、2回にわたって4つの伊万里焼の皿を購入して、計1000万円を支払ったが、支払先は不明とされている。
【ひらく会情報部・続く】
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