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1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素だらけでも「土壌に影響なし」宣言した群馬県の重金属汚染思考マヒ

2018-08-21 23:54:00 | スラグ不法投棄問題
■昨日の8月20日に群馬県建設企画課が報道提供資料としてニュースリリースした情報を、本日、一部のマスコミが報じたことは、さきほどこのブログでも報じましたが、その中で、地元の上毛新聞が、社会欄の片隅に掲載した記事を引用して、この事件をめぐる群馬県行政の異常性を浮き彫りにしてみたいと思います。
**********上毛新聞2018年8月21日


PDF ⇒ 2018n0821ay.pdf
高渋バイパス 土壌に影響なし 
鉛とヒ素検出問題
 県道高崎渋川線バイパスの中央分離帯の盛り土から環境基準を超える鉛とヒ素が検出された問題で、県は20日、盛り土の下の土壌の数値は基準値内で、影響はないとする調査結果を発表した。21日に撤去工事を始め、9月末までに完了させる予定。撤去を確認後、4車線化工事に取り掛かる。
 対象区域は中原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋付近(榛東村新井)の約900メートル。盛り土の約1メートル直下の土壌に鉛とヒ素が溶出していないか調べたところ、いずれも土壌汚染対策法で定める溶出量の基準値(1リットルあたり0.01ミリグラム)内だった。鉛の含有量も基準値(1キログラムあたり150ミリグラム)内だった。
 盛り土は路肩を保護する目的で、表面をアスファルト乳剤で覆っている。溶出量の調査で基準値の最大25倍の鉛と2.1倍のヒ素、含有量の調査で13倍の鉛が検出されていた。撤去工事は当時の請負業者が行う。
**********


基準値の25倍もの猛烈な鉛とヒ素が検出された高崎渋川線バイパスの様子。中央分離帯には草が生えていない。雑草も毒には勝てない!

 今回も報道のポイントを整理してみましょう。

ポイント①鉛とヒ素を撤去し、「4車線化工事に取り掛かる」こと。

ポイント②「対象区域は中原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋付近(榛東村新井)の約900メートル」であること。

ポイント③「盛り土の約1メートル直下の土壌に鉛とヒ素が溶出していないか調べた」こと。

ポイント④「撤去工事は当時の請負業者が行う」こと。

 それではそれぞれのポイントを検証してみましょう。

●ポイント①
鉛とヒ素を撤去し、「4車線化工事に取り掛かる」こと

 新聞記事の冒頭、10行目には「4車線化工事に取り掛かる」ことが協調されています。この記事は、基準値を超過した鉛とヒ素が発見された高崎渋川線バイパスの直下の土壌への影響問題の記事であるところ、今後の工事計画が早々と強調されています。工事の今後の予定などは、記事の最終で触れるのが通常ではないでしょうか?

 なぜ高崎渋川線バイパスの今後の工事計画が強調されたのでしょうか?それは記者発表した群馬県県土整備部建設企画課が、「4車線化工事」計画をことさら強調して公表したからに他なりません。

 なんとか鉛・ヒ素汚染問題を早期に鎮静化し、次の工事に取り掛かりたい!
 次の工事の工期に影響してなる物か!

 そこには群馬県行政の独善的な工期至上主義が見え隠れているように感じてなりません。工期などより、近隣住民の生活環境を保全することが先ではないでしょうか?自分たちの保身しか興味が無いことで悪名を轟かす“建設企画課”ならではの記者発表と言えるでしょう。

●ポイント②
「対象区域は中原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋付近(榛東村新井)の約900メートル」であること

 次のステップとなる高崎渋川線バイパスの「4車線化工事」の工期至上主義に凝り固まる建設企画課は、鉛・ヒ素汚染の場所を、何の根拠もなく、調査もせず、さっさと「対象区域は中原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋付近(榛東村新井)の約900メートル」であると狭く断定しています。それも「盛り土」と説明する部分のみに汚染が広がっている、と勝手に限定して判断しているのです。

 現場写真をごらんください。建設企画課が「盛り土」と説明する部分はアスファルト舗装から50cm程度の部分しかありません。アスファルト下の上層路盤材や下層路盤材と同じところから鉛・ヒ素汚染が見つかったと考えるのがジョーシキというものでしょう。

 悪名高き建設企画課が(株)佐藤建設工業がスラグを混入させた「盛り土」を調査もせず誤魔化しているように、今回も「盛り土」と称し、鉛・ヒ素汚染場所を狭く・小さく見せようと、調査もせず、早期に鎮静化しようとやっきになっているのです。

 当会では、なぜ鉛・ヒ素汚染が「対象区域は中原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋付近(榛東村新井)の約900メートル」と分かったのか情報開示請求を通じてこの問題を徹底追及しようとしました。ところが、恐るべきことに、建設企画課は、当会の情報開示請求に対して、非開示決定通知、つまり開示拒否を通知しました。次のブログをご覧ください。
〇2018年8月17日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素入りサンパイを盛り土扱いする群馬県が情報開示拒否を当会に通知
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2729.html

 当会では、再度、別の切り口で情報開示請求を群馬県知事に対して行う予定です。その後、有害物質を確かめもせずに公費を使って施工させた責任を追及すべく、住民監査請求を視野にいれて検討を開始したいと考えております。

●ポイント③
「盛り土の約1メートル直下の土壌に鉛とヒ素が溶出していないか調べた」こと

 しつこいようですが、鉛・ヒ素汚染場所は「盛り土」には到底見えません。アスファルト下の上層路盤材・下層路盤材の続きです。せめてもの救いは約1メートル直下の土壌に鉛とヒ素が基準値を上回るほどは溶出していなかったことでしょう。しかし、この検査を誰がどのように実施したのかを確かめない限り、虚偽公文書を平然と作成する県行政を信じることはできません。

 それにしても、約1メートル下は本当に土壌なのでしょうか?路床材の続きなのではないのでしょうか?

 下層路盤材の下には路床材が敷き均されていると思われますが、これも建設資材です。例えば50cm下の建設資材には鉛やヒ素は含まれていないのでしょうか?

 高崎渋川線バイパスには、大同の鉄鋼スラグと、今回騒ぎになっている非鉄スラグが競うように投棄された可能性があります。高崎渋川線バイパス全線にわたり、使用されたすべての建設資材の環境分析調査が必要です。その際にはスラグのみを取り出して環境分析調査しなければなりません。

●ポイント④
「撤去工事は当時の請負業者が行う」こと

 それにしても「当時の請負業者」とは一体何なのでしょうか?
 請負業者に“当時”も“今”も、などと区別があるのでしょうか?

 これは、ポイント①でも触れたように、とにかく次の「4車線化工事に取り掛かる」ことばかりが気にかかる“悪名高き”建設企画課が、用意周到に準備を重ねて当事者どうしで話し合いを進めてきたからだと当会では見ています。

 そして、その甲斐あって、道路建設工事の瑕疵担保責任の期間が過ぎているものの、最後は廃棄物排出者がカネを出すことで(?)、シャンシャンと調整がうまく為されるメドがついて、「4車線化工事」に影響が出ないようにできたものだから、「当時の請負業者」などと、つい本音が出てしまったというふうに考えられないでしょうか?

 群馬県県土整備部“建設企画課”なるお役人様達は、自分たちの都合ばかり気にかけ、高崎渋川線バイパスの近隣住民の生活環境など全く気にかけない“悪名高き”お役人集団?という印象がヒシヒシと伝わってくる新聞報道となっているのです。

 だから、当会の1回目の情報開示請求に対して、全て開示を拒否し、直接何度も開示を要請する当会に対して「このA4判一枚の非開示決定通知がすべてだ」などと不遜な言葉を吐き続けたのです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…大同スラグと異なり早くも撤去工事に着手する県土整備部の胸中は?

2018-08-21 21:32:00 | スラグ不法投棄問題
■2018年7月27日に群馬県が「県道に使用された建設資材の基準値超過について(建設企画課)」と題して記者発表しましたが、その内容たるやビックリ仰天!鉛やヒ素が基準値を爆発的に超えて含まれているというものでした。テレビや新聞報道でも大きく取り上げられたことを、当会のブログでも皆様に報告済みです。
○2018年7月27日:【速報】群馬県スラグ行政を象徴!…当会の告発から1年かかってようやく公表の背後に東邦亜鉛の影か
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2708.html
○2018年7月29日:【速報】高崎渋川線バイパスにスラグ汚染報道・・鉄鋼スラグに続いて非鉄スラグの不法投棄か!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2710.html
○2018年8月5日:高崎渋川線バイパスの鉛・ヒ素入りスラグ撤去方針!…じゃ~佐藤がばら撒いた有害スラグも撤去しろよ!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2712.html
○2018年8月12日:鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…群馬県中にばら撒かれているかも?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2724.html
 その後、3週間が経過した8月20日に、突然群馬県は次の内容記事を記者発表しました。

*****群馬県報道提供資料*****PDF ⇒ 20180820_houdou_teikyou_siryou_hitetu_slag.pdf
【8月20日】県道工事に使用された建設資材の下の土壌調査結果について -「土壌への影響はありませんでした」-(建設企画課)
 県道高崎渋川線バイパス(仲原交差点~新蟹沢大橋付近)の中央分離帯部に使用された一部の建設資材から、土壌汚染対策法で定める基準値を超える「鉛」及び「砒素(ひそ)」が検出されました。
 このたび、これらが土壌に溶出していないかどうか、建設資材直下の土壌調査を実施したところ、土壌汚染対策法で定める基準値内であり、土壌への影響はないことが判明しました。

1.対象区域 
 県道高崎渋川線バイパスの仲原交差点(高崎市金古町地内)から新蟹沢大橋付近(榛東村大字新井地内)までの約900メートル間。(別添1 参照)

2.土壌調査結果(速報値) 
 保護路肩部の建設資材から、土壌汚染対策法に定める基準値を超えて「鉛」と「砒素」が検出されたため、当該建設資材直下約1mの土壌における「鉛」及び「砒素」を確認する土壌溶出量調査(環境省告示第18号)及び土壌含有量調査(環境省告示第19号)を実施したところ、土壌汚染対策法で定める基準値内であり、土壌への影響はないことが判明しました。(別添2 参照)

3.今後の対応 
 1.撤去工事は8月21日より着手し、9月末までに完了予定です。
 2.県で建設資材が全て撤去されたことを確認後、4車線化工事に着手します。
【別添1】土壌調査の実施箇所pdf ⇒ 100076584_betten_1.pdf
【別添2】建設資材直下土壌調査結果(速報値)pdf ⇒ 100076585_betten_2.pdf

このページについてのお問い合わせ
県土整備部建設企画課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-3531
FAX 027-224-1426
E-mail kensetsukika@pref.gunma.lg.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの一部(@pref.gunma.lg.jp)を画像化しております。
**********

■この行政から提供された提供資料をもとに、マスコミが本日の朝刊に掲載しました。事の本質をまったく知ろうとする姿勢が見えません。ぜひ当会のブログに目を通していただきたいものですが、記者クラブのメンバー各社としては、そうした姿勢は禁物と感じていることでしょう。

**********東京新聞2018年8月21日
【群馬】土壌への影響なし 高崎渋川線バイパス有害物質 きょうから撤去
 県道高崎渋川線バイパスの高崎市と榛東村の境の約九百メートル間で、中央分離帯部の盛り土に使われた建設資材から土壌汚染対策法の基準を超える鉛とヒ素が検出された問題で、県は二十日、直下の土壌への影響はなかったと発表した。
 県によると、基準を超える鉛とヒ素が検出された区間のうち五カ所で、県が直下約一メートルの土壌を調査したところ、いずれも基準値を下回った。県は盛り土部分の工事を行った事業者に撤去を求め、二十一日から撤去工事に着手し、九月末までに完了予定という。
 問題の区間はバイパスの仲原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋付近(榛東村新井)間で、二〇一二年六月に暫定二車線で開通し、本年度、四車線化に着工予定だった。
 基準超の有害物質が検出されたのは、車線の中央分離帯側で舗装面の端を保護するために盛り土された部分。表面は液体状のアスファルトを散布して覆う措置をしてあったが、中の建設資材から検出された。
 県は撤去工事終了後に四車線化工事に着手する。 (石井宏昌)

*********上毛新聞2018年8月21日
高渋バイパス 土壌に影響なし 鉛とヒ素検出問題
 県道高崎渋川線バイパスの中央分離帯の盛土から環境基準値を超える鉛とヒ素が検出された問題で、県は20日、盛り土の下の土壌の数値は基準値内で、影響はないとする調査結果を発表した。21日に撤去工事をはじめ、9月末までに完了させる予定。撤去を確認後、4車線化工事に取り掛かる。
 対象区域は仲原交差点(高崎市金古町)-新蟹沢大橋(榛東村新井)の約900メートル。盛り土の約1メートル直下の土壌に鉛とヒ素が溶出していないか調べたところ、いずれも土壌汚染対策法で定める溶出量の基準値(1リットル当たり0.01ミリグラム)内だった。鉛の含有量も基準値(1キログラム当たり150ミリグラム)内だった。
 盛り土は路肩を保護する目的で、表面をアスファルト乳剤で覆っている。溶出量の調査で基準値の最大25倍の鉛と2.1倍のヒ素、含有量の調査で13倍の鉛が検出されていた。撤去工事は当時の請負業者が行う。
*********

■このように、明らかに不法投棄された非鉄スラグの直下の土壌には基準値の150ppmこそ超えていないものの、本来あってはならない鉛が最大88ppmもあります。東邦亜鉛周辺の土壌よりも高濃度と思われますが、土壌汚染対策法では、野菜や穀類などの食べ物への影響には触れられておらず、これほど鉛に汚染されていても、残置できると群馬県では判断しているのです。

 これでは、東邦亜鉛安中製錬所周辺の重金属汚染土壌の撤去事業が、半世紀にわたって、足踏みを続けているはずです。誰が、この事業の進行を食い止めているのか、その理由が皆さんにもよく認識できることと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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