市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有害スラグ問題を斬る!・・・オンブズマンが大同スラグ撤去を前橋市長に求める住民監査請求書を提出

2016-07-09 22:50:00 | スラグ不法投棄問題
■大同特殊鋼渋川工場由来の有毒物質含有のスラグを巡る不法投棄問題では、当会の東吾妻町萩生地区の圃場整備事業での農道舗装工事による隠ぺい工作事件の住民訴訟が進行中ですが、先日6月22日付で渋川市在住の当会会員が、この有毒スラグが群馬県により産業廃棄物と認定され、群馬県下に広くばら撒かれた不法投棄状態にあり、周辺土壌や水系など環境汚染を引き起こす恐れがある実態が放置されているという実態から、さらに本質的な観点から廃掃法によるスラグの撤去と土壌汚染対策法に基づく措置命令の発令を行うよう群馬県知事に勧告を求める住民監査請求が、群馬県監査委員に提出されました。
 この度、7月8日午前11時ごろ、この住民監査請求に連動して、前橋市在住の当会事務局長が、前橋市長に対して、前橋市内にも存置されたままになっている有毒スラグの撤去と措置命令を求める住民監査請求を前橋市監査委員に提出しました。


前橋市役所1階の市庁舎案内図一覧。監査委員事務局は6階。
http://www.city.maebashi.gunma.jp/shisetsu/414/p007000.html

 ちなみに、渋川市在住の当会会員が行っている住民監査請求関連の情報は、当会の次のブログを参照ください。
○2016年6月26日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・当会会員が群馬県に対し住民監査を提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2040.html#readmore
○2016年6月27日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・当会会員が県に対し住民監査を提出!②「毒(フッ素)は薄まったのか?」
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2043.html#readmore

■このことは、さっそく本日7月9日付の群馬版の記事にも掲載されました。

**********2016年7月9日朝日新聞群馬版

スラグ撤去求め監査請求書 県に渋川の男性「生活に支障」
 大同特殊鋼渋川工場の有害物質を含む鉄鋼スラグが公共工事などで使われた問題で、渋川市の男性(64)が大沢正明知事に対し、工事現場となった県道などに有害スラグを放置せずに撤去するよう求める住民監査請求書を提出した。
 請求によると、公共工事を発注した国土交通省関東地方整備局、県県土整備部、渋川市が有害スラグの処理方法などを検討するために設置した連絡会議で、「表面被覆」「存置」などスラグを現場に残す判断をしたケースがあった。
 こうした判断は、廃棄物処理法で定められた有害物質を含む産業廃棄物の処理に違反する恐れがあり、公有財産の道路などを破壊するほか、「住民の生活環境の保全上、重大な支障をきたす」と訴えている。
 同工場のスラグを産廃と認定した県廃棄物・リサイクル課は「法律上の対応が必要と判断すれば、連絡会議が決めた方針に縛られず、措置命令の対象としていく」としている。
 これとは別に、前橋市の男性も8日、市道工事などで見つかったスラグをすべて撤去する措置命令を出すよう、山本龍市長に求める住民監査請求をした。(上田雅文)
**********

■本日、当会が前橋市監査委員に提出した住民監査請求書の内容は次のとおりです。

**********
             前橋市職員措置請求の要旨

1、措置対象者
 前橋市長 山本龍

2、事件の概要
 新聞等で報道されたように、大同特殊鋼㈱渋川工場より排出された有害鉄鋼スラグ(以下、大同スラグ)は、群馬県により「産業廃棄物」として認定され、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃掃法)違反で告発、群馬県警の捜査の結果、書類送検された、すでに起こってしまった今回の不法投棄(産業廃棄物が法で規定された処分場以外の場所に処分され公共工事等に使われた)事件(以下、本件不法投棄事件)の当事者(大同特殊鋼(株)・大同エコメット(株)・(株)佐藤建設工業、以下、大同グループ)の処罰は司法の手に委ねられたが、大量にばらまかれた大同スラグの後始末は「廃掃法」により行政処分を行うものとされている。群馬県において産業廃棄物処理を主管するのは「環境森林部・廃棄物リサイクル課」であり、行政処分の権限は群馬県知事にある。
 しかし、どこの部署が主導したか請求者の知るところではないが、県土整備局、関東地方整備局、渋川市の三者で「鉄鋼スラグに関する連絡会議」(以下、三者連絡会議)と称する会合を、独自の規約まで定めて組織した。
 この連絡会議を構成する三者は、いずれも所管する複数の公共工事に(騙されたか、承知していたかは別として)天然砕石と大同スラグを混合し再生砕石の体を装ったものを、敷き砂利、路盤材、盛り土等として使用した当事者であり、本件不法投棄事件のように、天然素材と、本来は遮断型最終処分場に処分しなければならない大同スラグを混合し建設資材として、公共工事の地面の下に不法投棄するという前代未聞の手の込んだやり方は、役所側の関与なしには成しえない、設計書に記載された材料以外の使用は、発注者(役所)側の許可が必要で、許可を与えた三者は不法投棄を幇助したといえる。
 本件不法投棄事件の当事者ともいえる三者が、会議をするのはかまわないが、あたかも自分たちが、産業廃棄物処理の主管であるかのように、「一部撤去」「表面被覆」「存置」など「大同グループ」を利するようかってに決めるなど越権行為であり許されない。不法投棄された産業廃棄物は全面撤去(当事者負担)が鉄則であり、「大同グループ」が自主的に行わない場合、「廃掃法」により群馬県知事が行政処分を行わなければならない。環境省からも「平成25年3月29日(環廃産発第1303299号)行政処分の指針について」で迅速な対応を促している。
 このような状況下において、前橋市においても、大同スラグを含む再砕石を使用した市発注工事が、平成27年11月17日公表された富士見地区内の8路線、及び平成28年3月7日に新たに公表された6件、これまでに確認されている。
 ところが、前橋市長は、大同スラグの今後の対応として、国、県及び渋川市で構成される「鉄鋼スラグに関する連絡会議」の対応方針を確認の上、環境部局の助言を受けながら適切な対応を図ってまいります」という姿勢を示しただけで、大同スラグを撤去せずに存置する方針を示している。

3、違法性
 三者連絡会議が決めたとされる基本方針によれば、大同スラグを環境基準値で区分し、超過かつ「管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等」(意味不明であるが「民有地」のことか?)のみ撤去、その他は「表面被覆」か「存置」、つまり将来訴訟を提起されるかもしれない民有地以外は一切撤去しない、県環境部の助言を得ながら?蓋をして放置するつもりである。
  そもそも、この三者連絡会議はどの法令を根拠に不法投棄産業廃棄物の処分方法について決定する権限を有しているのか、主管部局である県環境部をさておき、県知事から命じられたわけでもないのに、本件不法投棄事件の片棒を担いだ三者に決定権などあり得ない。
  渋川市長・阿久津貞司は、平成27年12月11日、三者連絡会議の基本方針に沿った「渋川市の工事における大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグ製品の処理に関する基本協定書」(以下、渋川基本協定)と称する奇怪な文書を大同特殊鋼(株)と取り交わした、不法投棄産業廃棄物は行政が撤去を命じるもので、協定などあり得ない、(あるとすれば、「無条件、自己負担、自主全面撤去」である)、しかもこれを公表し、群馬県知事の権限を侵し、あたかも行政処分であるかのように県民を欺くのは本件不法投棄に加担した故か。
  三者連絡会議は「基本方針」及び「渋川基本協定」のなかで、「産業廃棄物」の文言は一切使わず、「鉄鋼スラグ」「鉄鋼スラグ製品」と表記し、有害鉄鋼スラグ即ち「大同スラグ」が、群馬県環境部により「産業廃棄物」と認定されていることを無視するがごとく、あたかも手違いで環境基準を超過する不適切な建設資材が、公共工事に使われてしまったので、建設部局で処理するのが相当であるかのように報道させ、有害産業廃棄物を全面撤去することなく県内各地に存置(放置)したまま「本件不法投棄事件」の行政処分を装って終結させようとしている。
  産業廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に則り処理されなければならない主管は群馬県環境森林部廃棄物リサイクル課であり、権限者は群馬県知事である。

4、大同スラグの特性と問題点
ア、群馬県により大同スラグは産業廃棄物と認定された(司法判断は不要)、よって有害物質(以下、毒)の有無にかかわらず撤去の対象となる、地表にあっても、地下にあっても、構造物の中にあっても同様である。
イ、スラグ混合砕石、スラグ100%砕石も、スラグのみを分離して分析しなければ正確な毒の量(環境基準に対する)は分からない、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関で検査していない(渋川市)。
ウ、スラグを撤去しても周辺の土壌が汚染されている。土壌の入れ替えも必要となる。
エ、渋川市の分析参考値(計測に違法性あり)でも、大幅に環境基準を超過した毒が検出されているにもかかわらず、なんの科学的根拠もなく「直ちに健康には影響ない」(渋川市議会答弁)と住民の健康調査すらしようとしない、初期の不法投棄からすでに20年以上経過している。
オ、スラグには、水分を吸収して体積が膨張する特性がある、そのため毒のないリサイクル可能なスラグは予め水分を含ませて処理(エイジング)をした後使用される、しかし本件不法投棄事件の大同スラグの場合、不当な利益追求のあまりこの工程も省き、場所によっては100%スラグのまま投棄した、スラグの膨張は、構造物、道路等を破壊する、本件不法投棄事件発覚のきっかけとなった、「渋川スカイランドパーク」を見れば一目瞭然であり、県内各所のスラグ使用現場(上武国道、八ツ場ダム等)にもその影響が表れている、スラグ撤去には公共工事のやりなおしを要するが、公金の支出はあってはならない。
カ、大同グループは、本件不法投棄事件で莫大な不当利得を得ているので撤去する資力はある、行政は、住民の生活環境の保全上の支障(すでに支障は発生している)の拡大を防止するために、速やかに行政処分を行うべきところ、権限もない「三者連絡会議」は大同スラグ存置に積極的である、大同グループの不当利得が、官側の三者に渡った可能性も否定できない。
キ、仮に「三者連絡会議」の「基本方針」、「渋川基本協定」のとおりで処分終了となれば、群馬県においては、産業廃棄物不法投棄でたとえ刑事罰をうけても、廃棄物は埋めてしまえばお構いなしとの前例となり、全県産業廃棄物処分場となるのが目に見えている。

5、措置の請求
 大同グループが県内各地はもとより、前橋市内の各所の公共工事現場(公有財産)に大量に不法投棄した「産業廃棄物・大同スラグ」を存置することは、公有財産を破壊し、住民の健康を害し、周辺土壌を汚染し「住民の生活環境の保全上重大な支障をきたす」ので、前橋市長 山本龍は、権限者である群馬県知事大澤正明に対して「廃掃法」「土壌汚染対策法」に基づき怠ることなく速やかに「措置命令」を発出するようにただ望んでいるだけでなく、中核市である前橋市の市長として、自ら、措置命令を派出せよ。なぜなら、措置命令は都道府県知事の権限に属する事務であるが(廃棄物処理法19条の5第1項、19条の8第2項)、前橋市長は法令(廃棄物処理法24条の2第1項、同法施行令27条、地方自治法252条の22第1項及び同校の中核市の指定に関する政令)により、上記事務をすることができるとされているからである。
  との勧告を求める。

6、請求者
  住所 〒371-0801群馬県前橋市文京町一丁目15-10
  職業 自営業(市民オンブズマン群馬事務局長)
  氏名 鈴木 庸
  電話 090-9134-2942

地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

前橋市監査委員殿
平成28年7月8日

7、事実証明書
①毎日新聞記事(筆者 杉本修作)(写し)
②週刊金曜日記事(筆者 まさのあつこ)(写し)
③鉄鋼スラグに関する連絡会議 規約他
④渋川市の工事における大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグ製品の処理に関する協定書 他(写し)
⑤環廃産発第1303299号 平成25年3月29日 行政処分の指針について(通知)(前段写し)
⑥2016年3月7日付前橋市公表「鉄鋼スラグを含む材料を使用した市発注工事調査結果」
⑥の1 工事一覧
⑥の2 位置図
⑦2016年3月7日付前橋市公表「鉄鋼スラグを使用した道路の土壌分析結果」
⑦の1 別紙1(鉄鋼スラグ使用路線図)
⑦の2 別紙2(分析結果一覧)
⑦の3 参考資料(フッ素の基準等)
⑧2016年3月14日付前橋市公表「鉄鋼スラグを含む材料を使用した工事個所の対応方針」
⑨2016年3月31日付前橋市公表「鉄鋼スラグを路盤材として使用した指導周辺の地下水調査結果」
**********

■前橋市監査委員事務局では、「内容をよく精査して、補正が必要な場合は連絡する」として、正式受理は、内容のチェック作業後に判断するとの見解をしましました、これに対して当会は、群馬県の監査委員事務局のように、つまらないところについてもわざと補正命令を出すなどして、時間稼ぎや嫌がらせをするのが常道手段だが、前橋市ついてはそのようなみっともない真似をしないようにお願いを申し上げました。

 本来であれば、前橋市内の公共事業現場に不法投棄された有毒スラグも含めて、群馬県知事が権限により全量撤去の措置命令を発すれば事足りるのですが、前橋市が7年前の平成21年4月1日に中核市になったため、群馬県から措置命令の権限を委譲されたため、このままでは前橋市内の公共事業で、前橋市民の税金を投入した工事現場に存置された有毒スラグが撤去されないままになることを懸念したからです。

 そこで、当会の前橋在住の事務局長が、前橋市監査委員に対してスラグ撤去を求める住民監査請求書を提出したものです。


前橋市の監査委員事務局。

当会からの住民監査請求をチェックする監査委員事務局の職員ら。久しぶりの住民監査請求らしく、やや緊張の面持ちのようだ。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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