市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡に揺れる群馬高専・・・7月15日(金)に行われた同校との2回目の協議の模様

2016-07-17 23:11:00 | 群馬高専アカハラ問題
■アカハラ事件とそれに続く寮生連続不審死事件に翻弄されている群馬高専ですが、従前の予告通り、市民オンブズマン群馬では、7月15日(金)午後4時半から代表と事務局長の2名で群馬高専を訪れ、学校側から総務課の桜井課長と六本木課長補佐のお二人と45分にわたる協議を行いました。残念ながら今回も西尾校長は当会との協議について「トラブルを避けるため」として、出席してもらえませんでした。

7月15日午後4時22分ごろの群馬高専。

 午後4時20分ごろ群馬高専の校門を入り、来客用の駐車場に車を停めて、正面玄関から事務棟に入りました。今回は、先週の学校側の脅しの張り紙効果のためか、ロビーには学生が10人ほど歓談しているのみでしたが、一方学校側の職員の監視や出迎えもなく、スムースに2階の総務課を訪れることができました。

 もっとも、正面玄関まで歩く間に、事務棟の2階の窓のカーテン越しに、総務課の職員がこちらを見ていたのはわかりました。

 4時30分に支障なく総務課のドアを開けて面談のための来訪を告げると、桜井課長と六本木課長補佐が、今や遅しの風情で、すでに椅子から腰を浮かしているところでした。


群馬高専2階配置図。会議室Bは左上に見える。


学生相談室かと思ったら「学習相談室」だった。

■今回も桜井課長と六本木課長補佐の2名が当方の対応をしました。会議は先週と同じ会議室Bで、会議時間は約45分でした。口頭で、当会が昨日送ってあったFAXによる質問に対して、桜井課長から概ね次の説明がありました。


学生ホールに掲示されている平成28年度授業時間割(前期)。

① 平成27年度のすべての学期の時間割(担当教職員氏名含む)⇒【桜井課長からの回答】学校のHPに掲載中。H28年度も掲載してある。

② 寮および寮生の管理に関わる次の規則集
 群馬高専学寮規則、群馬高専寮生会規約、群馬高専寮生準則、校務分掌一覧
 ⇒【回答】現在、オンブズマンからの法人文書開示請求について機構で対応している。その中で対応することになる。

③ 教育的休寮措置など、学生へのペナルティーにかかる制度とその適用条件 ⇒【回答】現在説明しているとおり。上記の学寮規則の開示手続にも関連する。

④ 7月8日に貴学内の教室等に張り出されたという張り紙の目的 ⇒【回答】書いてある内容のとおり。

⑤ 寮の運営体制(なお、寮のパブリックスペースの視察を希望)⇒【回答】寮生のプライバシー保護の観点から、寮の建物内のパブリックスペースを含めて外部者は一切立入不許可としている。建物外でも、寮の建物ある敷地内は立入禁止。寮と寮との間の舗装歩道も外部者は立ち入れない。駐車場から事務棟、学習棟などへの外来者の移動は既定のルート以外、使えないことになっている。


 上記の通り、今回の訪問では、当会として、寮に関する件を主体に協議をするつもりでした。

 とくに疑問に思っていた件について、冒頭から桜井課長と六本木課長補佐に質問しました。

 当会から、「寮関係者からのヒヤリングによると、2年ほど前までの時点では休寮あけの寮生に対しては、朝9時から(実際には寮事務員が出勤する8時半には)部屋のキーを渡していたらしいが、なぜ今年1月の寮生死亡事件の場合には午後5時までキーを渡さなかったのか?」と質問しました。それに対して、今年4月に他の高専から赴任したばかりの桜井課長はともかく、古参の六本木課長補佐も、寮のことになるとさっぱりわからない様子で、当会の上記の質問に対しても、顔を見合わせるだけでした。

 「寮の規則では明記されていないようだが、やはり内部の決まりが何かあるのではないか?調べてほしい」と要求したところ、桜井課長が六本木課長に、しらべるように促しました。そして数分ほどして戻ってきた六本木課長補佐から「まちがいなく午前9時にキーは渡していることが分かった」と確認結果の説明がありました。

 このため、いったいなぜ1月の時点で、午後5時という遅い時間まで寮の部屋のキーを寮生に渡さなかったのか、その理由を追及したところ、学校側は「引き続き調べる」ということでその場は了承しました。

 この他、寮の規則や運営状況について、学校側(といっても西尾校長ではなく総務課長と課長補佐)にいろいろ質問しましたが、寮の実態についてはあまり把握していない様子でした。それでも、飲酒の問題については、成人と非成人が入り混じっている状況もあり、指導が難しいこと、ゲーム禁止については、いわゆるゲーム機はともかく、スマホ内内蔵のアプリなどを使ったゲームまでは指導が難しいことなど、通り一遍の話題については、総務課らしい一般的な回答がありました。

 桜井課長は、4月にここに来る前には、別の高専に赴任していた様子で、自殺する学生の割合が高専の場合、比較的多いという傾向も含めて、飲酒などの問題は、どの高専でも共通しているという見解を示しました。

■約45分間の協議を終えて、総務課の前の廊下を歩いて行くと、校長室の前を通りがかりました。なにやら、衝立でよく見えませんでしたが、半開きのドア越しに、部屋の中で声がするので、立ち止まってきくとどうやら誰かが誰かと話をしている様子でした。


突入寸前の校長室。

 前回、校長は「トラブルを避ける」という名目で学内から“脱出”していたことから、今回も、当会が学校に来ることは校長も十分承知していたでしょうから、まさか校長室にはいるはずがないだろう、と思い、一旦、下に降りる階段まできました。

 しかし、もし校長が在室しているとすれば、我々に対しては対応しないと言っておきながら、前回は学校内から立ち去ったという校長が、今回はなぜ平然と校長室で通常通り執務をすることができるのか、これはきちんと校長の有無を確認し、在室していた場合には、校長と面会しておく必要があると考えて、再び校長室の方に向かいました。すると、廊下の向こうから総務課の課長と課長補佐の両名が書類を携えて校長室にやってくるところでした。

 おそらく本日のオンブズマンとの協議の結果を校長に報告しようというつもりのようです。

 そこで当会は、半開きの入口ドアから「オンブズマンですが、お目にかかります」と名乗るや否や、後ろで声をあげかかっていた総務課長らを尻目に校長室に先に入りました。すると、以前、2月初めに3件目の寮生不審死事件の後の、保護者説明会で会場から排除された時に見た人物の姿がそこにありました。間違いなく西尾校長です。

 西尾校長は驚いた様子を見せましたが、あまり取り乱しては、ちょうどなにかを打ち合わせていた学校職員と思しき人物の手前、都合がわるいのか、あるいは覚悟を決めたのか、挨拶に応じました。

 当会から西尾校長に、「これからこの問題については徹底追及するので、ぜひ協力願いたい」と申し入れて、退室しましたが、オンブズマンの要請を無視し、アカハラと寮生死亡事件についての説明責任をはたさないまま、こうして平然といられることに、西尾校長が自らの保身によほどの自信を持っている様子がうかがえました。

 そしてその後、事務棟の玄関を出ると、そとで待機していたマスコミの記者に今回の協議のあらましを報告しました。

■こうして当会は、2回目の高専訪問を終えて引き揚げました。ところが、なんとその日の夜8時すぎに、六本木課長補佐から当会の事務局長に電話があり「入寮時間は確かに9時だったのだが、昨年の夏休み、すなわち7月から17時に変更されたそうなので、間違ったことを伝えてしまった。訂正させてほしい」という電話がありました。

 我々との面談時には、「ぜったいに9時に間違いない」と言っていたのに、この遅い時間にわざわざ午後7時が正しかった、と連絡してきたところを見ると、可能性としては校長への報告で、なにか指示があり、それに基づき、躊躇した挙句、夜遅く電話をしてきたものと想像せざるをえません。このことについては、さらに調査が必要と思われます。

■ところで、学校側との協議の最後に、総務課の二人から次の報告がありました。

 それによると、機構から7月15日付でオンブズマンからの法人文書開示請求に対する通知を出した、という連絡が群馬高専にあったのだそうです。

 六本木課長補佐の話では、「今日付けで本部(全国高専機構のこと)が(通知を)出したと言っている。郵送でうち(群馬高専)に一旦送られてくる。だから、(連休明けの)19日にこちらに開示決定通知が届くと思う。そのあと、開示情報の通知書というものを我々(総務課)で一緒に入れ替えて。その日のうちに窓口を通して、オンブズマンあてに発送手続きをとる。それに基づいて、どういうふうな開示を希望するのか、という通知書をこちらに出してもらえれば、出してもらった日から3日後以降というかたちにはなるが、今回の開示の手続が完了することになる」そうです。

 つまり、7月19日に機構からの通知が群馬高専に届くだろうから、オンブズマンに対して群馬高専が機構からの開示に係る通知と一緒に、開示日時などについての通知を一緒に同封したものを即日送るので、それが付いたら開示希望日を連絡してもらい、7月の最終週にでも開示が可能になる見込みのようです。

■決して予断は許されませんが、以前のように存否を明らかにしないままの全面不開示といった異常な事態は回避されるかもしれません。しかし、油断は禁物です。いかに具体的な情報まで開示に踏み込めるか、今や全国的にその動向が注目される中、群馬高専と機構の開示に対する判断の行方を見守りたいと思います。


群馬高専正門。

道路に面した群馬高専の校名表示板。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス計画への補助金を止めるため県を提訴

2016-07-17 22:16:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■「赤城の山も今宵限りか」の名セリフで名高い赤城山が、権力の威を借りた東電のグループ会社である関電工により、国定忠治以来の危機に直面しています。権力に逆らって最後まで屈服することのなかった忠治が大事に想った赤城山を、権力の蹂躙により放射能まみれの大気、土壌、地下水にしてはならない。今回の関電工の無謀な計画と、それをおんぶにだっこ、肩車する行政という権力に立ち向かう「現代の忠治」ともいうべき、地元住民の皆さんを支援すべく、地元住民団体と市民オンブズマン群馬が7月15日の午後2時過ぎに、前橋地裁を訪れて、訴状を提出しました。内容は次のとおりです。

**********PDF ⇒ 20160715i.pdf
               訴    状
                          平成28年7月15日
前橋地方裁判所 御中

         原告 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
                  小  川     賢
                  電話090-5302-8312
         同  〒371-0244 群馬県前橋市鼻毛石町1991-42
                  羽  鳥  昌  行
                  電話■■■-■■■-■■■
         被告 〒371-8570 群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
                  群馬県知事 大澤 正明

住民訴訟によるバイオマス補助金取消し請求事件

訴訟物の価格   160万円(算定不能)
貼用印紙額    13,000円

第1 請求の要旨
1.被告 群馬県知事 大澤正明は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として計上した「事業名 木質バイオマス発電燃料製造施設等整備」に係る補助金480,000,000円を取り消せ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 当事者
(1)原告らは群馬県の住民であり納税者である。
(2)被告は、群馬県知事であり、上記補助金を計上した者である。
(3)訴外 前橋バイオマス燃料㈱、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合

第3 住民監査請求
(1)平成28年3月31日、原告らは群馬県監査委員に、地方自治法第242条第1項により、「事業名 木質バイオマス発電燃料製造施設等整備」(以下、「本事業」という。)にかかる補助金(以下、「本補助金」という。)について措置請求(甲第1~10号証)を行った。
(2)平成28年5月19日、原告らは群馬県監査委員に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、意見の陳述と証拠の提出(甲第11・12号証)を行った。
(3)平成28年6月19日、原告らは、請求棄却の監査結果(平成28年6月14日付、群監第202-32号)(甲第13号証)を受け取ったが不服である。

第4 監査請求と監査結果に対する不服
(1)原告らは、群馬県監査委員に対し、「知事大澤に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。本事業に対する補助金の交付に関し、平成27年度補正予算から支出することを決めた措置を撤回し、補助金の交付を停止せよ。」との趣旨で、監査請求を申し立てた。
(2)ところが、群馬県監査委員の監査結果では、原告らの請求内容が、「群馬県知事に対し、前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付を差し止める措置を講ずるよう、監査委員が勧告するよう求める。」と改竄され、補助金の計上ではなく交付の差止のみを取り上げて、「本事業に対する本補助金の交付については、監査実施日現在、いまだ前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対し、補助金交付申請が行われておらず、その状況下では、既に一般会計補正予算が可決されていたとしても、そのことのみをもって群馬県知事により本事業に対する本補助金が確実に交付されるものとはいえないから、現時点において本補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえないというべきである。」として、争点を歪めて却下した。

第5 群馬県の損失
(1)本事業にかかる本補助金480,000,000円は、公金で負担すべき理由がなく、群馬県の損失である。

第6 本件請求の要旨
 甲第2号証によれば、群馬県は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の本事業を後述する本補助金の対象事業として計上し、本事業は、同年9月14日から10月7日まで開催された群馬県議会第3回前期定例会に上程され承認された。
  事業名:(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕
  金 額:480,000千円
  説 明;・林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備に対して補助。
・事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
・補 助 率:6/10以内
 即ち上記の4億8000万円は、本事業費8億円に対する本件補助金で、国は50%、県が10%の補助率とされている。
 本事業は、関電工が、親会社である東京電力を主体とする赤城山麓にある電力中央研究所の敷地内に建設を計画中の木質バイオマス発電施設に併設される、同発電施設専用のチップ破砕施設やチップ加工施設貯蔵庫の整備を行うもので、発電用に使われるチップの年間生産量は7万トン、原料である間伐材等の受入量は8万4100トンであり、補助対象施設設備は、燃料乾燥施設、作業用建物兼燃料貯蔵庫、チップ製造機等とされている。
 また、本事業主体は、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合の共同出資の「前橋バイオマス燃料㈱」とされている。
 しかし、本補助金が投入されることになる木質バイオマス発電用のチップ燃料の製造施設整備事業、および、同事業と同じ場所に立地される木質バイオマス発電施設は、未だに事業の内容について、不確定な情報が多く、事業者はもとより関連自治体など行政側においても、十分に説明責任が果たされているとは言えない。それにも関わらず、既に本補助金の交付申請を提出済みだということを、事業者側が自ら認めており、近日中に補助金が交付されようとしている。
 本事業により燃料の供給を受ける関電工とトーセンが出資する前橋バイオマス発電㈱による木質バイオマス燃焼による発電事業では、放射能汚染された燃料を燃やすことにより、高濃度の放射性物資が濃縮され、それらが排ガスとして、あるいは燃焼灰として、さらには排水として、長年にわたり半恒久的な排出源となることから、その影響は地元及び周辺住民のみならずひろく群馬県に住む多くの県民に及ぶことになる。
 そのような危険性が指摘される中、住民らの不安要素が払しょくされないまま、木質バイオマス発電事業が進められているが、次に示す問題点により、本事業は補助金交付事業として不適格であるため、被告群馬県知事においては、本事業に対する補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。
 次にその理由を述べる。
(1)補助事業の目的から逸脱していること
 本事業は、次の補助事業によるものとされている。
<森林整備加速化・林業再生総合対策事業>
 この補助事業は、「森林整備加速化・林業再生計画」と呼ばれており、実施要綱別記1の第1に定める森林整備加速化・林業再生計画(以下「再生計画」という。)は、都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現するために、森林整備加速化・林業再生交付金(以下「交付金」という。)を活用して行う事業(以下「交付金事業」という。)の実施により達成すべき目標及びその達成状況を客観的に評価できる内容並びにそれを実現するために必要となる内容をとりまとめた計画とする、とされている。
 本事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により大量に外部に放出された放射性物質が風にのって、隣接の北関東の山間部に降り注いだことによる放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県、茨城県等においては、リスクの増大に結びつく結果をもたらすことになる。
 よって、放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは、法令違反行為であり、森林整備や林業再生という次元よりさらに根本的な住民の生命や財産の安全のほうが重要であることから、補助対象事業には当たらないことは明らかである。
(2)補助金交付を受ける資格がないこと
 関電工は、福島第一原発事故の原因者である東京電力のグループ会社であり、本来、放射能汚染に苦しむ住民に対して、謝罪すべき立場にあるはずである。また、甲第3号証によれば、株式会社トーセンが平成26年2月28日に設立した㈱松井田バイオマスという法人が平成26年10月30日に看板を架け替えただけの㈱前橋バイオマスに対して、甲第4号証によれば、関電工は、本件事業で補助金交付に関して群馬県議会の平成27年第3回定例会議の最中の同年9月28日に、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合とともに、104株の出資参加をして、併せて、関電工の戦略事業本部開発事業部長の石塚浩が取締役として役員に就任している。
 即ち、知事大澤が、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業として計上し、同年9月14日から開始された群馬県議会の定例会期間中、9月25日(金)の県議会本会議、一般質問までは補助金交付を受けるための事業主体ではなかった。
 また、甲第4号証によれば、㈱前橋バイオマスの定款には「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と記されており、本来、㈱トーセンは、廃棄物中間処理の許可が必要な廃材や木くずなどを間伐材に紛れ込ませて発電燃料として受け入れることを想定していた。そして、平成27年9月28日に関電工らが出資参加した際、「間伐材等を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と定款を変更したが、依然として「間伐材“等”」というふうに表現しており、放射能汚染された木くずや廃材などを間伐材に紛れ込ませようとする意図が強く感じられる。
 さらに甲第6号証及び甲第7号証によれば、平成27年6月22日に関電工とトーセンによって設立された㈱前橋バイオマス発電では、定款で「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、㈱前橋バイオマスの定款のコピペであることがわかる。このことは、㈱前橋バイオマス燃料の現在の定款に記されている「間伐材等」の“等”の意味が、廃材も含む可能性を示唆しており、極めて危険である。
 このような行き当たりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを要請している地方自治法第2条第14項及び「経費は、その目的を達するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 とする地方財政法第4条第1項の各規定に違反するものである。
(3)地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること
 甲第10号証に示すように、本事業については、平成27年5月の連休中に、事業計画予定地の電力中央研究所の敷地に隣接している赤城ビュータウンの住民らが、関電工が施工主として密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べてはじめて本事業の存在が発覚した。その後も、関電工は、本事業に関して、近隣住民に対する個別説明方式にこだわり、現在でも、「赤城ビュータウン以外の住民は原則として事業説明の対象としない」とする立場を取り続けている。
 関電工による昨年10月、12月、今年3月に開かれた地元住民説明会では、口コミで本事業の存在を知った赤城ビュータウン以外の参加住民らが、「放射能汚染された木質資源を燃やすという違法行為による広範囲の放射能汚染の拡散のリスク」をアピールして、県内に広く事業の周知徹底を要請する声を上げても、本事業主体のリーダーである関電工は「我関せず」という態度をとり続けている。
 こうした関電工による本事業に関する極めて消極的な説明責任を見るにつけ、地元及び周辺住民らは関電工など事業主体に対して、一層不信感を募らせざるを得なくなっている。
 さらに、同じく本事業の事業主体である㈱トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず平成27年10月3日の第1回地元説明会や平成28年3月27日開催の第3回地元説明会には全く顔を出さず、唯一平成27年12月20日開催の第2回地元説明会に出席したが、本事業について一言も語ることはしなかった。このため、監査請求人らをふくむ住民らは、肝心の本事業に関わる木質燃料チップ工場の施設の内容についての説明を事業主体から受けられずにいる。
 このような事業内容の不透明性と、情報開示への消極性は、本事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは、相容れない。したがって、そのような社会性に欠ける企業が進める本事業には、我々の血税である補助金という公金を支出することは絶対に許されない。
(4)事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと
 関電工は事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、これを遵守するためには、本事業はまったく馴染まない。だからただちに本事業を白紙撤回しなければならない。
(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること
 事業主体である関電工は、当初のうち群馬県内の間伐材を100%使用すると言いながら、まもなく、万が一足りなければ、近県の間伐材も入れることを可能性として仄めかす発言に転じている。このように、言っていることが最初に比べ、あれもこれも変わること自体、信用できない。
 本事業により発電用に使われるチップの年間生産量7万トン、原料である間伐材等の受入量8万4100トンの安定した確保が、事業実現の基本の一つであるが、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態をみれば、年間間伐材等の受入量8万4100tもの確保は到底現実的ではない。
 このため、事業主体は上述のとおり、群馬県以外の周辺の栃木県、長野県、埼玉県等から必要に応じて間伐材等を調達する必要があると認識しているのである。そうなると、福島県の製材所で保管されていた大量の放射能汚染木くず・バーク(樹皮)チップなどの特定廃棄物相当のサンパイが、東電から依頼を受けた元官僚で自称コンサルタントの男により、福島県外に持ち出され、滋賀県の琵琶湖西岸に不法投棄された放射能汚染木くず・バークチップが、群馬県民のしらないうちに前橋市内の産廃中間処理業者の破砕施設に持ち込まれ、他の廃材等と眞挫合わされて、オガクズとして群馬県内外に販売された事件と同様な手口で、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
 とりわけ、関電工は、絶対安全だとしていた福島第1原発の重大事故の責任を取らないまま、多額の税金を政府につぎ込ませても平然としている東京電力のグループ会社である。本事業が、東電の思惑で立案されたことは、こうした背景から容易に想像できる。
 もし、本事業に補助金が交付されると、東電の除染責任を我々の税金で尻拭いされることになる。東電の息のかかった関電工は、本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたないとしているが、そのような不採算事業を強引に推進する背景には、東電の思惑が見え隠れしているのである。
 群馬県の誇る安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を厳守し、次世代に引き継ぐためにも本事業を助長する補助金の交付は、県民への裏切り行為であり、直ちに停止しならない。
(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること
 群馬県に提出された事業計画の情報公開で入手したが、近隣住民への説明経過によると、甲第8号証により、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続き、虚偽の記載をし、不正に補助金の支給を受けようとしている。
(7)放射能汚染対策に重大な不備があること
 放射能対策が全く盛り込まれていないことは明らかである。放射能汚染物質対策の不備による放射性物質の流出が懸念される理由と、関連する施設の場所・工程を次の①~④に示す。
 ①事業主体の関電工は、地元説明会での配布資料(甲第9号証)では「間伐等を受入する際、トラックスケールで検査する」としているが、メーカーは技術面から「管理基準値(40ベクレル/㎏)は、到底できない」と発言している。その時のやり取りを次に示す。
(質問)走行しながらの測定ということで、トラック全体の総ベクレルが370kBqということではなく、ある一定の塊の線源が370kBq以上ないと測定不可能という解釈でよろしいでしょうか。
(回答)その通りです。【回答者:株式会社テック・デル高畑】
また、関電工自身も、3月26日の話し合いや3月27日の説明会の場で、住民からの質問に対して「できない」と答えている。したがって、放射能のかなり高い間伐材が持ち込まれても、その実態について全く把握できないということになり、それによる危害は甚大である。
つまり、その約1万分の一である40ベクレル/㎏など測定できるはずもない。
 ②貯木スペースは間伐材の乾燥のため野天に保管されるが、風等により放射性物質の敷地外への拡散防止策が講じられていない。また、雨等による放射性物質の排水口や敷地外への流出対策が講じられていない。
 ③チップ加工時の放射性物質の空気中への拡散防止策が講じられていない。
 ④チップの脱水時の排液を、放射性物質を未処理のまま地下浸透させてしまうことになり、関東平野の地下水資源に対する重大な脅威となる。
 以上のことより、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑への営農環境、河川への自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の危険性はかなりの確率で高くなることは必至である。
(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること
 事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、今だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。
(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること
 本事業では、年間8万トンの木質チップを発電用燃料として製造する計画だが、それを全量発電施設で使用した場合の排ガス量について、きちんとした計算手順と結果について、被告群馬県からも事業主体からも全く説明がなされていない。被告群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万ⅿ³/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告している可能性が高く、本事業は法令違反であることが明白である。

 以上のさまざまな観点から、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質だが、本事業が実施されれば、これらの危険物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層危険度が増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民がひろく晒されるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、被告知事大澤には、本事業に対する補助金の交付による財政支出を停止する措置をとる義務がある。

証 拠 方 法    PDF ⇒ 20160715.pdf

甲第1号証 群馬県職員措置請求書  PDF ⇒ 20160715b1.pdf
甲第2号証 平成27年度9月補正予算検討案(知事査定) PDF ⇒ 20160715b2.pdf
甲第3号証 ㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前) PDF ⇒ 20160715b3.pdf
甲第4号証 ㈱前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前) PDF ⇒ 20160715b4.pdf
甲第5号証 ㈱前橋バイオマス燃料の路歴全部証明書(平成27年9月28日以降) PDF ⇒
甲第6号証 ㈱前橋バイオマス発電の履歴全部証明書   PDF ⇒ 20160715b5.pdf
甲第7号証 ㈱前橋バイオマス発電の定款   PDF ⇒ 20160715b7.pdf20160715b8.pdf
甲第8号証 近隣住民への説明経過(林業振興課 開示資料) PDF ⇒ 20160715b8.pdf
甲第9号証 地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」PDF ⇒20160715b9.pdf
甲第10号証 その他、事業主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す証拠 PDF ⇒
20160715b101.pdf
20160715b102.pdf
20160715b103.pdf
甲第11号証 甲状腺がん異常多発津田論文と国際環境疫学会の書簡の意義 PDF ⇒ 20160715b11.pdf
甲第12号証 明白な甲状腺がん異常多発と健康障害の進行 PDF ⇒ 20160715b12.pdf
甲第13号証 監査結果通知  PDF ⇒ 20160715b13.pdf
**********

■訴状は、前橋地裁3階の民事係のチェックを受けて、2時半までに受理されました。

 その後、前橋市役所4階の記者室において、記者会見を行いました。幹事社の上毛新聞の他、読売など数社が記者会見に出席しました。訴状の写しは、記者室に所属する13社に配布されました。

 こうして、昨年5月の連休中に、関電工が地下水採取のための井戸掘りをこっそり開始してから、休日にその騒音をいぶかしく思った地元住民のかたがたが疑問に思って、調査を開始してから約1年2カ月近く、このバイオマス計画の白紙撤回を求めて当会及び地元住民団体の皆さんはついに法廷の場で、群馬県、そして前橋市のシンボルである赤城山の存続をかけて関電工と争うことになりました。

 群馬県の次の世代に、クリーンな赤城山を受け継いでもらえるよう、皆様の力強いご支援をお願いするとともに、この問題についてひろく県民のかたがたに知ってもらいたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする