田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

メビウス(뫼비우스(英題/Moebius))

2014年12月29日 09時59分07秒 | 日記

 

 「嘆きのピエタ」でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した鬼才キム・ギドクの監督作で、その狂気に満ちた過激すぎる内容から韓国で上映制限がかけられた問題作。韓国のとある上流家庭。夫の不倫に嫉妬心を燃えあがらせた妻は、夫の性器を切り落とそうとするが失敗し、自分の息子に矛先を変える。妻は夫と息子を残して家を飛びだし、性器を失った息子は生きる自信さえもなくしてしまう。息子への罪悪感に苦しむ父は、ある方法で解決策を見出し、息子と新たな関係を築いていく。ところがそこへ、行方をくらましていた妻が帰ってきて……。全編にわたってセリフを排し、「笑う」「泣く」「叫ぶ」の3つの感情要素だけで、人間の欲望や家族についての壮絶なドラマを描いていく。夫役に「悪い男」のチョ・ジェヒョン。(映画.comより)

 

 

 なんという映画を作るんだ!いくらキム・ギドクでも。ちょっと極端になりすぎているのではないでしょうか。過激だったらいいってもんでもないし、人間の本質をえぐったように見せればいいってもんでもない。もちろん、食欲・性欲や物欲など、人が持って生まれた欲と言うのはあると思う。でもここまで描かれて「人間の本質だ」と言われたくはない。極端すぎる。まぁ映画だからわかりやすくする必要はあるんだろうけれど。

セリフもいっさいなし。うめき声や言葉にならない発声だけで、きちんとしたセリフはありません。これについては前にも「うつせみ」だったかなんかで、一切話さない男性が登場してましたね。もっとも、あの作品では彼以外の人は話してましたけど。

今回、監督のこだわりでそういった表現になったのでしょうけれど、少し不自然さを感じました。まぁ内容から言って、セリフを付けたところで嘘っぽくなったのかもしれませんけれど。

今回の主人公たちは、わりと裕福な感じの家庭。母は充分若くて美しいのに、父は近所の雑貨屋の若い女(と思いこんで見ていたけれど、妻と二役の同じ女優さんだった!!)と公然と浮気をしています。お父さん、いけませんねぇ。息子にデートを目撃される(しかも「あ~ん」とかやってる)ばかりではなく、母にも息子にも見られるような駐車場で車内セックスするなんて。もう少し隠そうって意図はなかったのかな。息子、多感な時期なのに。

ともかく、嫉妬に狂った母が父の性器を切断しようとして失敗し、代わりにぐっすり眠っていた息子のそれを切断してしまう、しかも気付いた父がすぐ取り戻そうとしたら、あろうことか母がそれを飲み込んでしまう、そんな話の展開です。ひぇ~、飲み込むって・・・。

母はそのまま家を飛び出してしまいます。ここから、父と息子の人生との格闘が始まります。罪の意識に苛まれる父、トイレでうまく用が足せずに同級生たちに「それ」がないことがばれ、いじめに会う息子。

いじめられてる息子を見かけ、助けに入った父親にまで殴る蹴るの乱暴を加える同級生達って、何?出て来る人たちが皆(同級生だけでなく、街のチンピラや警察官まで)、息子のそんな状態をさらしものにして笑うのです。なんで?同情こそすれ、普通笑う?

とにかく、いい人(?)が一人も出て来ない。常識人というか。単に文化の違いかなぁ。

そして、父は贖罪のためか息子に移植させるためか、自分のを切除する手術を受けたり、「それ」がなくても快楽を得られる方法を見つけたり、あるいは終盤母親が帰って来たりと、次から次と予想できない展開が待ってます。

これでも日本で公開するにあたって、手を加えたらしいですね。で、やっとR18+で公開できたとか。むむむ・・・。当然韓国では事実上公開できないような条件がつけられているらしいです。

単に好みの問題とは思いますが、私は前作「嘆きのピエタ」の方が好きですね。この作品は、特に女性にはお勧めしません。心臓の弱い方はやめておきましょう(笑)。

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