田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ありがとう、トニ・エルドマン(Toni Erdmann)

2017年07月18日 15時57分21秒 | 日記

 

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正反対の性格の父娘が織り成す交流をユーモラスに描き、ドイツで大ヒットを記録したヒューマンドラマ。陽気で悪ふざけが大好きなドイツ人男性ヴィンフリートは、ルーマニアで暮らす娘イネスとの関係に悩んでいた。コンサルタント会社で働くイネスは、たまに会っても仕事の電話ばかりしていて、ろくに会話もできないのだ。そこでヴィンフリートは、ブカレストまでイネスに会いに行くことに。イネスはヴィンフリートの突然の訪問に戸惑いながらも何とか数日間一緒に過ごし、ヴィンフリートはドイツへ帰っていく。ところが、今度は「トニ・エルドマン」という別人のふりをしたヴィンフリートがイネスの前に現われて……。監督・脚本は「恋愛社会学のススメ」のマーレン・アーデ。第69回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞するなど、世界各地の映画祭で高く評価された。(映画.comより)

 

 

 

 かなり特殊な映画でした。上映も3時間近くありますし。見始めたとき、その特異性に「北欧の映画?」と思いました。「散歩する惑星」みたいにね。でも違うんです、ドイツ映画なんです。イメージ違いますねぇ。

主人公はキャリアを積むことに燃える女性、イネス、独身。端から見ていたら滑稽でも、本人は必死なんです。石油を手がけるコンサルタントというのも聞こえがやくざですね。毎日がトゲトゲしているイネス、わかるわぁ。今の日本だって、こんなものでしょう。とにかくキャリア志向で実績を積みたいイネス(と言っても、ある程度は成功してるから、生活に困っていることはないし、大きなパーティに出席したりしている)は、いつも電話ばかりしているし、誰かそれらしい人が絡む場所には積極的に顔を出してコネをつくることに余念がありません。でも、会社の人や、例えばどこそこの大使などは、みな社会的常識はわきまえてるから、あからさまなセクハラをすることはないのですが、微妙~に男女で態度に差があったりします。「おい、飲み会に行かないか」なんて席にこそ、イネスは顔を出したい。でも、両隣の男性は誘われていても自分は飛ばされる。この場合は仕方がない面もあるのでしょうが、やっぱり微妙に扱いが違うところなんか、上手に描かれています。

そんな必死な娘の姿を目の当たりにしてしまった父親。彼は元来陽気で、音楽教師として学校勤めもしましたが、今は引退してピアノを教えたりしています。が、先日その生徒は辞めてしまいました。高齢の母親と憎まれ口をたたき合いながらもそこそこ生きてきましたが、飼っている犬も高齢で病気。やがて亡くなってしまいます。

そんな父親が、余りに追い詰められてる娘を心配し、いったん帰ったふりをして、誰でもわかる変装で娘の周りに「やぁこんにちは。トニ・エルドマンです」と言って神出鬼没に現れる・・・基本はそんなお話しです。変な髪型、出っ歯の入れ歯。ギョっとする娘を尻目に、素知らぬ顔で娘の周りの人々に挨拶し愛嬌と蘊蓄を振りまくその姿は爆笑ものです。娘にとっては迷惑千万。「おまえが心配で」と言われても、早く帰って欲しくて仕方がありません。でも、父親は、やっぱり現れます。ときには「クケリ」となってでも。この「クケリ」、日本ではなじみがありませんが、かの国では伝統的な生き物で、日本で言えば「なまはげ」みたいなものだそうです。

でもね、この愛情に勝るものはないのです。リーアム・ダディ・ニーソンだって、体を張って娘を救出していましたね。やがて娘も落ち着いてくるようになるのです。

もちろん、陽気で多くを望まずに暮らす、父親の生き方のみを絶賛するつもりはありません。人それぞれ。イネスだって、傍目に痛々しくても本人は必死だったし、そういう生き方だって肯定します。この映画は「娘を心配する父親」を描いたものなのです。ちなみにジャック・ニコルソンでリメイクするんだそうです。

かなりスローテンポな、独特な間延びを持った映画。疲れてない時を推奨します。でも、最後はほっこりすること請け合いです。

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