田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

コット、はじまりの夏(An Cailin Ciuin)

2024年03月09日 15時17分43秒 | 日記

AN CAILÍN CIÚIN (THE QUIET GIRL) PRESS RELEASE | Movies@ Cinema Showtimes  and Movie Ticket Booking

An Cailín Ciúin / The Quiet Girl makes history as the first Irish-language  feature film to be shortlisted for the Oscars®

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 1980年代初頭のアイルランドを舞台に、9歳の少女が過ごす特別な夏休みを描いたヒューマンドラマ。第72回ベルリン国際映画祭で子どもが主役の映画を対象にした国際ジェネレーション部門でグランプリを受賞し、第95回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされた。

1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす寡黙な少女コットは、夏休みを親戚夫婦キンセラ家の緑豊かな農場で過ごすことに。はじめのうちは慣れない生活に戸惑うコットだったが、ショーンとアイリンの夫婦の愛情をたっぷりと受け、ひとつひとつの生活を丁寧に過ごす中で、これまで経験したことのなかった生きる喜びを実感していく。

本作がデビュー作となるキャサリン・クリンチが主人公コットを圧倒的な透明感と存在感で繊細に演じ、IFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)主演女優賞を史上最年少の12歳で受賞。アイルランドの作家クレア・キーガンの小説「Foster」を原作に、これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を描いてきたコルム・バレードが長編劇映画初監督・脚本を手がけた。(映画.comより)

 

 

<2024年2月17日 劇場鑑賞><ちょっとネタバレかも>

 久しぶりに都会へ出たので、早速プライベートシアターへ。長らく出てなかったので、作品もあんまり知らなかったのですが、上映時間と第一印象で。

 まずは「コット、はじまりの夏」。秀作でした。静かな映画だったのですが、子供が環境によって変わっていくさまが自然で、本当に”大人””親”の責任って、大きいなと思いました。

 コットの家はとにかく子沢山。お母さんは今もまた妊娠しています。貧乏なのに、父親は飲む・打つ、挙句に女までいるようです。粗野で下品なこんな男に、なんで女ができるんでしょうね。荒れた家庭がストレスなのか、コットはもう学校へ行っている年齢ですがおねしょが治りません。何を言っても怒鳴られるためか、あるいは何か言っても誰も真剣に聞かないからか、コットはとても口数の少ない子です。すらすら話すのが難しいのかもしれません。学校での本読みもたどたどしい感じです。そんなある日、夏休みの間だけ、親戚の家に預けられることになりました。送ってきた父親は、口減らしができて喜んでるくせに、「後から面倒だったと文句は言われたくない」などと失礼な発言をしています。世話をかける年長の親戚に向かって、何という物言いでしょう。あきれるばかりです。

 ともかく、コットの夏休みは始まりました。親戚のキンセラ家のおじさん・おばさんはとても優しく、親切に接してくれました。井戸の水も一緒に汲みに行きましたし、最初こそ家にあった男の子の服を着ていましたが、ワンピースも買ってくれました。おばさんに料理を教わったり、おじさんと一緒に牛の世話をしたり、田舎でいろんなことを経験するうちおねしょも治り、足が長いからかけっこが早いこともわかります。

 田舎ではみんなが助けあって生きていることも学んだのですが、一方で、噂好きのおばさんにぶしつけな質問攻めにあったりもします。キンセラ家の人は何も言ってなかったのに、そのおばさんに「あそこの息子は肥溜めに落ちて死んだのよ」と教えられます。しかしこのおばさん、こんな年端のいかない子にそんなこと聞く?と思うようなことも根掘り葉掘り聞いてました。大人なのに、わきまえがないですね。口数の少ないコットは本当に戸惑っていました。

 次第に明るくなったコット。おばさんを助けようとして一人で井戸に行って落っこちてしまい、おばさんをビビらせてしまったこともありますが、田舎暮らしにも慣れてきました。でも、夏休みは終わります。どんなにどんよりした家庭でも、帰らなければなりません。また二人になってしまうキンセラ夫妻も、寂しいですが仕方がありません。

 そして帰宅したラストシーン。相変わらず父親は乱暴ですが、母親はお礼を言ってお茶など淹れてます。赤ちゃん、生まれてます。やがて帰って行くキンセラ夫妻。おとなしいコットは動かずにいましたが、やっぱり走り出してしまいます。門のところで追いつき、おじさんに抱き着いたコット。後ろには追いかけて来た父親の姿が。父親が見えたコットは「ダディ、ダディ」と繰り返しますが、そのつぶやきは、コットを抱きしめて反対方向を向いているおじさんには、自分につぶやいているように聞こえたはずです。コットがどちらに対してつぶやいていたのかはわかりません。でも、この絶妙なラストは、観客に希望を持たせるものとなっているのです。うまいですね。

 いい映画でした。育てられないのなら、そんなに子供を作らなかったらいいのに、と思ってしまいましたが、得てして世の中って、そんなものですね。コットには幸せになって欲しいです。いえ、コットの姉さんたちも、弟も、みんな、世界中の子供たちも、みんな幸せになって欲しいです。子供は祝福されて生まれて来るべきです。私はそう思います。

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