田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

プッチーニの愛人(puccini e la fanciulla)

2013年04月21日 16時28分21秒 | 日記

 

 「トスカ」「蝶々夫人」など名だたる傑作オペラを生み出した天才作曲家、ジャコモ・プッチーニが「西部の娘」作曲中に起きた痛ましい悲劇の真相に迫るドラマ。プッチーニ夫人に彼との不貞関係を疑われたメイドが自殺した「ドーリア・マンフレンディ事件」を、イタリアのパオロ・ベンヴェヌーティが入念なリサーチを基に描き出す。トスカーナ地方の自然をとらえた絵画のような映像美と、全編を彩るプッチーニの美しい音楽に酔いしれる。(yahoo.映画より)

 

 

 いつだったか、劇場に「マーラー 君に捧げるアダージョ」とか、大作曲家とその陰に隠れた女性(あるいは新進作曲家と不倫する妻)をテーマにした、似たようなジャンルの映画がいくつも公開された時期がありましたよね。その頃に録画してあった作品です。オペラ鑑賞のような、高貴な趣味はないくせに、人並みにこんな作品に興味を持った私が悪いのか、やっぱり、いろいろバックグラウンドを知っていた方が楽しめたように思います。勉強しておくんでした。

さて、舞台は色男だったプッチーニが、50に差し掛かろうとしていた頃のイタリア。彼はなかなかの男前で女たらしだったらしく、今までの歌劇もみな実体験がベースにあったとか。それで、この時期は「西部の娘」を書いていた頃。例にもれず女の影が・・・。

ここに別荘で雇われているドーリアという若くてウブなメイドがいました。一見して美しいというには程遠い、田舎っぽい純粋な雰囲気を持つ彼女は、色男の趣味ではないと思われるにもかかわらず、愛人の汚名を着せられ、公衆の面前で罵られたり、部屋に軟禁されたりして、とうとう自殺してしまいます。これが「ドーリア・マンフレーディ事件」です。プッチーニの日頃の行いもあったんでしょうね、奥さんも必要以上に執拗だったようです。

では、なぜ無実の彼女が愛人にでっちあげられたのか・・・。それは、プッチーニの奥さんの連れ子(つまりプッチーニの義理の娘)が、劇作家と密会しているところを見てしまったからです。少なくとも、この映画ではそうなっていました。

実際はどうだったんでしょうね。ともかく、ドーリアが無実だったことだけは確かなようです。彼女の強い要望により、死後解剖され、純潔だったことが証明されたんだそうです。この「ドーリア・マンフレーディ事件」は、プッチーニが遺族に対して多額の慰謝料を支払うことで告訴は取り下げられた、とされています。

なんだか怖いですね。一度こうと思い込まれると、否定すればするほど疑われるし、メイドという立場上強くは出れないし。

プッチーニも悪いんです(と、私は思います)。ドーリアが「助けてください」と訴えているのに、どうして逃げてばかりいるのでしょう。妻が怖いから?どうせメイドの言うことだから?もっと毅然と否定してあげれば、結果は違ったかもしれません。

ところで、この映画はサイレント映画か、と思うほど、セリフを極限まで削ってあります。ほとんどしゃべらないんですね、みんな。手紙を読むかたちで説明があったり、歌が挿入されたりするのみです。

だから、オペラやプッチーニをよく知らない私は、ますます混乱しました。「なにか言ってくれないとわからないし」とかってね。

ただ、こういう手法もあるのね、って勉強にはなりました。それに、役者さんたちはみんな上手だったと思います。プッチーニ役の男性などは、マルチェロ・マストロヤンニかと思うほどの伊達男でしたし。

こういう世界を見ると、「私って凡人なんだぁ」と再認識します(笑)。

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