薔薇の蕾は摘めるうちに摘め
時は一刻一刻過ぎ去っていく
今日ほほえみかけるこの花も
明日は色褪せ萎えていく
――ロバート・ヘリック
「イニシエーションinisiasion」とは、英和の辞書には、「着手、開始」、「手ほどき、秘伝伝授」、「入会式、(加入の)儀式」とある。
乾くるみによる「イニシエーション・ラブ」(原書房刊)が、「必ずもう一度読み返したくなる本」と話題になったのはずいぶん前だった。僕は、ミステリーはあまりというか殆ど読まないのだが、再読したくなるほどの本なら一度は読んでみようと思って読んだのだった。
ミステリーというより、よくある恋愛小説だと思った。この本が、また必ず読み返す本なのかと少し訝しくすら思った
物語は1986年から1987年頃の静岡と東京が舞台で、side-Aとside-Bの2章からなり、各タイトルには当時のヒット曲の曲名が付けられている。
恋愛には奥手でぎこちない静岡の大学生と合コンで知り合った歯科衛生士との恋愛を描く前半のA章。卒業して静岡に就職した男だが東京に転勤となり、遠距離恋愛となり破局を迎える後半のB章。
このなかで、若いときに経験する苦い恋を「イニシエーション」という言葉に例えて、「通過儀礼のこと。子どもが大人になるための儀式」と答えている。
誰もが経験する初めての恋、そして、それを通過しないと大人になれない恋、それを「イニシエーション・ラブ」というなら、イニシエーション・ラブは、あまりにも切ない。そして、あなたも経験したことだろう。
誰にでもある、甘酸っぱいが胸が痛む恋。薔薇の棘が刺さったような恋。
もう二度と来ない恋。
*
この「イニシエーション・ラブ」が、映画化されたので見に行った。
監督は、「明日の記憶」、「トリック」や「20世紀少年」シリーズなどの堤幸彦。出演は、前田敦子、松田翔太、木村文乃ほか。
映画の進行と同時に、「愛のメモリー」(松崎しげる)、「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)、「ルビーの指環」(寺尾聰)など、当時ヒットした懐かしい曲が流れる。
主演の前田敦子に関しては、女性アイドルグループAKB48の元メンバーであることぐらいの知識しかなかった。
しかも、もともと前田敦子と大島優子の区別もおぼつかない僕ではあるが、最初に合コン場面で登場したとき、その女性が前田敦子とは気づかなく、脇役だろうがいい新人女優が出てきたなあと思ったくらいだった。しかし、物語が進むにつれ彼女が主役の女性だとわかった。とすると、彼女が元AKBの前田敦子ということになる。それを知った瞬間は、ちょっとした驚きだった。
彼女は恋する女心を、切なさを滲ませながら演じきっていた。
映画は、最後には物語のハプニングを映し出す。
しかし、最後まで僕はそれがミステリーだと、うかつにも気付かなかった。
僕は次の日、近くの書店に行って、原作を見つけ、本をめくってみた。
最後の2ページを読み返した時、僕はやっとそれが恋愛小説よりはミステリーと呼ばれる訳を知った。
やはり、この本を読み返すことになったのだった。
(写真は、最近の多摩の夕景)
時は一刻一刻過ぎ去っていく
今日ほほえみかけるこの花も
明日は色褪せ萎えていく
――ロバート・ヘリック
「イニシエーションinisiasion」とは、英和の辞書には、「着手、開始」、「手ほどき、秘伝伝授」、「入会式、(加入の)儀式」とある。
乾くるみによる「イニシエーション・ラブ」(原書房刊)が、「必ずもう一度読み返したくなる本」と話題になったのはずいぶん前だった。僕は、ミステリーはあまりというか殆ど読まないのだが、再読したくなるほどの本なら一度は読んでみようと思って読んだのだった。
ミステリーというより、よくある恋愛小説だと思った。この本が、また必ず読み返す本なのかと少し訝しくすら思った
物語は1986年から1987年頃の静岡と東京が舞台で、side-Aとside-Bの2章からなり、各タイトルには当時のヒット曲の曲名が付けられている。
恋愛には奥手でぎこちない静岡の大学生と合コンで知り合った歯科衛生士との恋愛を描く前半のA章。卒業して静岡に就職した男だが東京に転勤となり、遠距離恋愛となり破局を迎える後半のB章。
このなかで、若いときに経験する苦い恋を「イニシエーション」という言葉に例えて、「通過儀礼のこと。子どもが大人になるための儀式」と答えている。
誰もが経験する初めての恋、そして、それを通過しないと大人になれない恋、それを「イニシエーション・ラブ」というなら、イニシエーション・ラブは、あまりにも切ない。そして、あなたも経験したことだろう。
誰にでもある、甘酸っぱいが胸が痛む恋。薔薇の棘が刺さったような恋。
もう二度と来ない恋。
*
この「イニシエーション・ラブ」が、映画化されたので見に行った。
監督は、「明日の記憶」、「トリック」や「20世紀少年」シリーズなどの堤幸彦。出演は、前田敦子、松田翔太、木村文乃ほか。
映画の進行と同時に、「愛のメモリー」(松崎しげる)、「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)、「ルビーの指環」(寺尾聰)など、当時ヒットした懐かしい曲が流れる。
主演の前田敦子に関しては、女性アイドルグループAKB48の元メンバーであることぐらいの知識しかなかった。
しかも、もともと前田敦子と大島優子の区別もおぼつかない僕ではあるが、最初に合コン場面で登場したとき、その女性が前田敦子とは気づかなく、脇役だろうがいい新人女優が出てきたなあと思ったくらいだった。しかし、物語が進むにつれ彼女が主役の女性だとわかった。とすると、彼女が元AKBの前田敦子ということになる。それを知った瞬間は、ちょっとした驚きだった。
彼女は恋する女心を、切なさを滲ませながら演じきっていた。
映画は、最後には物語のハプニングを映し出す。
しかし、最後まで僕はそれがミステリーだと、うかつにも気付かなかった。
僕は次の日、近くの書店に行って、原作を見つけ、本をめくってみた。
最後の2ページを読み返した時、僕はやっとそれが恋愛小説よりはミステリーと呼ばれる訳を知った。
やはり、この本を読み返すことになったのだった。
(写真は、最近の多摩の夕景)
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