北野武監督・脚本 ビートたけし 関口雄介 岸本加代子 吉行和子 細川ふみえ グレート義太夫 井出らっきょ 1999年
母ものと言えば、「母をたずねて三千里」のごとく、遠く別れた母をたずねて旅する話が典型だ。この典型的な話を土台に、北野武が子どもを主役に作った映画である。
「その男、凶暴につき」(1989年)で、一躍映画界の寵児となったビートたけしが、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた「HANA-BI」(1997年)に続く作品である。
小学生の正男(関口雄介)は、夏休みになり、遊び相手もいなくて、やることがない。両親はいなく、育ててくれている祖母(吉行和子)は働きに出て、家には正男だけなのだ。そこで、写真でしか見たことがない母に会いに行こうと決心する。
そんな正男を見た、お節介で人のいい近所のおばさん(岸本加代子)は、ぶらぶらしている自分の夫の菊次郎(ビートたけし)を、正男と一緒に旅に行かせることにする。
こうして、正男と菊次郎の母を探す旅が始まる。
旅行代を手にした菊次郎は、正男を連れてまず競輪場に行く。やみくもに言った正男の数字が大穴を当てることになって、思わぬ大金を手にし有頂天になった菊次郎だが、次の日は、当たるはずもなく結局スカンピンになってしまう。
仕方なく二人は、ヒッチハイクの旅をすることになる。
がらっぱちな菊次郎は、思うままに生きてきた子どもみたいな男だった。子どもみたいな大人と子どもの旅が始まった。
旅先での風景や出来事に、日本らしさがよく描かれている。
菊次郎が盗みに入ったトウモロコシ畑、村の祭り、村のバス停など、温かみのある風景が続く。そして、菊次郎が出会う人間も、社会から逸脱しているが人間味のある男たちである。
北野武が映画で一貫して描いてきた、人間の内面の暴力性や死生観はこの映画では避けられていて、失われた子供の情緒が、大人の世界に紛れて描かれている。
母ものと言えば、「母をたずねて三千里」のごとく、遠く別れた母をたずねて旅する話が典型だ。この典型的な話を土台に、北野武が子どもを主役に作った映画である。
「その男、凶暴につき」(1989年)で、一躍映画界の寵児となったビートたけしが、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた「HANA-BI」(1997年)に続く作品である。
小学生の正男(関口雄介)は、夏休みになり、遊び相手もいなくて、やることがない。両親はいなく、育ててくれている祖母(吉行和子)は働きに出て、家には正男だけなのだ。そこで、写真でしか見たことがない母に会いに行こうと決心する。
そんな正男を見た、お節介で人のいい近所のおばさん(岸本加代子)は、ぶらぶらしている自分の夫の菊次郎(ビートたけし)を、正男と一緒に旅に行かせることにする。
こうして、正男と菊次郎の母を探す旅が始まる。
旅行代を手にした菊次郎は、正男を連れてまず競輪場に行く。やみくもに言った正男の数字が大穴を当てることになって、思わぬ大金を手にし有頂天になった菊次郎だが、次の日は、当たるはずもなく結局スカンピンになってしまう。
仕方なく二人は、ヒッチハイクの旅をすることになる。
がらっぱちな菊次郎は、思うままに生きてきた子どもみたいな男だった。子どもみたいな大人と子どもの旅が始まった。
旅先での風景や出来事に、日本らしさがよく描かれている。
菊次郎が盗みに入ったトウモロコシ畑、村の祭り、村のバス停など、温かみのある風景が続く。そして、菊次郎が出会う人間も、社会から逸脱しているが人間味のある男たちである。
北野武が映画で一貫して描いてきた、人間の内面の暴力性や死生観はこの映画では避けられていて、失われた子供の情緒が、大人の世界に紛れて描かれている。