曜変天目茶碗は国宝であり、日本に3点しかなく世界にも3点しかない。
日本の国宝なのに、いずれも作られたのは12~13世紀の中国の南宋時代、中国福建省の健窯で焼かれたとされる。中国の健窯で焼かれたものとわかっているのに、現地では1枚も残っておらず、その欠片すら殆どない。
天目茶碗とは、鉄釉をかけて黒く焼かれた陶器製の茶碗のことである。そのなかで曜変天目茶碗とは、丸い漆黒の碗の中に、鮮やかな瑠璃色の斑紋が点在する茶碗をいう。
これが、どのようにして焼かれたのか、なぜ3枚しか残っていないのか、それも中国で1枚もないのはどうしてか、どのような経路で日本にわたって来たのかは長い間謎であった。
推察はあるが、現在でも謎である。
陶磁器の不思議。それは曜変天目茶碗である。
かつて織田信長や徳川家の天下人が、これらの茶碗をわがものとして手にしたという。ただし、足利義政から信長に所有が移ったという幻の曜変天目茶碗は、本能寺の変で焼失したと云われている。
曜変天目茶碗は、それぞれがおそらく数奇な運命をたどったことであろう。
現在、国宝の3点の曜変天目茶碗は静嘉堂文庫、藤田美術館、大徳寺龍光院が所蔵している。
数年前、静嘉堂文庫所蔵の曜変天目茶碗が東京世田谷美術館で展示されたので見に行った。噂には聞いていたが、 初めて見る曜変天目茶碗であった。
今まで見たこともない茶碗だった。何人もの陶芸家が、これを再現しようと試みているのがわかる気がした。
先日、藤田美術館所蔵の曜変天目茶碗が東京六本木のサントリー美術館で展示されたので見に行った。
それは、他にもまして目を奪われる、漆黒の中に浮かぶ鮮やかな瑠璃色の斑点群であった。上から見下ろせば、あたかも夜空に浮かぶ星雲の群れのよう、いや、碗そのものが小さな宇宙を表しているかのようだ。
さらに驚いたのは、横から見た茶碗の胴の部分が、夜空に星がチラチラと光っているように小さな光が点在していて、まるでプラネタリウムの星座のようなのだ。これは静嘉堂文庫所蔵にはなかったように思う。
こうなると、もう一つの大徳寺龍光院所蔵の曜変天目茶碗も見てみたいと思う。
糸井重里ではないが不思議、かつ美しきもの、大好きである。
曜変天目茶碗は、もう一つMIHO MUSEUMが所蔵するものを入れる説があるが、曜変より数も多く評価も低い油滴天目だという見方もあり、これは国宝にはなっておらず重要文化財である。
この曜変天目の謎に、「中国と茶碗と日本」(小学館)で彭丹(ほうたん)(法政大社会学部講師)が中国人としての感性で切り込んでいる。
*「曜変天目の謎に迫る、「中国と茶碗と日本」」――ブログ2013-04-25
日本の国宝なのに、いずれも作られたのは12~13世紀の中国の南宋時代、中国福建省の健窯で焼かれたとされる。中国の健窯で焼かれたものとわかっているのに、現地では1枚も残っておらず、その欠片すら殆どない。
天目茶碗とは、鉄釉をかけて黒く焼かれた陶器製の茶碗のことである。そのなかで曜変天目茶碗とは、丸い漆黒の碗の中に、鮮やかな瑠璃色の斑紋が点在する茶碗をいう。
これが、どのようにして焼かれたのか、なぜ3枚しか残っていないのか、それも中国で1枚もないのはどうしてか、どのような経路で日本にわたって来たのかは長い間謎であった。
推察はあるが、現在でも謎である。
陶磁器の不思議。それは曜変天目茶碗である。
かつて織田信長や徳川家の天下人が、これらの茶碗をわがものとして手にしたという。ただし、足利義政から信長に所有が移ったという幻の曜変天目茶碗は、本能寺の変で焼失したと云われている。
曜変天目茶碗は、それぞれがおそらく数奇な運命をたどったことであろう。
現在、国宝の3点の曜変天目茶碗は静嘉堂文庫、藤田美術館、大徳寺龍光院が所蔵している。
数年前、静嘉堂文庫所蔵の曜変天目茶碗が東京世田谷美術館で展示されたので見に行った。噂には聞いていたが、 初めて見る曜変天目茶碗であった。
今まで見たこともない茶碗だった。何人もの陶芸家が、これを再現しようと試みているのがわかる気がした。
先日、藤田美術館所蔵の曜変天目茶碗が東京六本木のサントリー美術館で展示されたので見に行った。
それは、他にもまして目を奪われる、漆黒の中に浮かぶ鮮やかな瑠璃色の斑点群であった。上から見下ろせば、あたかも夜空に浮かぶ星雲の群れのよう、いや、碗そのものが小さな宇宙を表しているかのようだ。
さらに驚いたのは、横から見た茶碗の胴の部分が、夜空に星がチラチラと光っているように小さな光が点在していて、まるでプラネタリウムの星座のようなのだ。これは静嘉堂文庫所蔵にはなかったように思う。
こうなると、もう一つの大徳寺龍光院所蔵の曜変天目茶碗も見てみたいと思う。
糸井重里ではないが不思議、かつ美しきもの、大好きである。
曜変天目茶碗は、もう一つMIHO MUSEUMが所蔵するものを入れる説があるが、曜変より数も多く評価も低い油滴天目だという見方もあり、これは国宝にはなっておらず重要文化財である。
この曜変天目の謎に、「中国と茶碗と日本」(小学館)で彭丹(ほうたん)(法政大社会学部講師)が中国人としての感性で切り込んでいる。
*「曜変天目の謎に迫る、「中国と茶碗と日本」」――ブログ2013-04-25