ここに、ストラディバリウスがある。
いや、最近、ストラディバリウスを手に入れた。
あのヴァイオリンのストラディバリウスである。
ストラディバリウスといえば、去年ニューヨークのクリスティーズの競売で354万4000ドル(約4億円)で落札されたというほどの、高価なブランド品、いや芸術品である。
ヴァイオリンの最高傑作と言われ、イタリア人のアントニオ・ストラディバリがクレモナにおいて、17世紀後半から18世紀前半にかけて作った名品である。
300年たっても、熟成されたワインのようにその音色は衰えを知らないどころか、ますますまろやかだと言われている(本当のところは、僕には分からない)。
彼が制作したものは1200と言われ、約600が現存するとされるが定かではない。
時々ヴァイオリンに触れたりレッスンに通ったりしているのであるが、長期に佐賀の実家に帰るときはこれを持っていくことにしている。それが面倒になったので、今までのものを佐賀に置いて、東京に新しいのを購入しようと思ったのである。
そのことを先生に相談したら、先生が自ら楽器店に出向いて試弾してくれることになった。店の人が何本か持ってきて、それで、先生が選んでくれたのがこれである。
少し縁が傷がついていたりして古いものだそうであるが、何だか優美である。
ヴァイオリンの中央に弦が上から下に真っ直ぐ伸びている。その伸びた弦の先の瓢箪のような箱の左右に、細長いS字型が対象形に刳り抜いてある。
その刳り抜いた穴から中を覗くと、底にラベルが貼ってあるのが見える。
僕が買うことにしたヴァイオリンの底を覗いてみると、ラベルにどうもストラディバリウスと読める文字があるではないか。まさかと思った。
さらに目をこすってよく見ると、確かに「Antonio Stradivarius」と書いてある。そして、その下に、「faciebat Cremona 1713」とある。クレモナで作られたのに違いない。
いや、そんなはずはない。店の人はドイツ製だと言っていた。
それを証明するように、その下に「Made in Western Germany」とちゃんと書いてある。
ストラディバリウスなのに、西ドイツ製とはこれいかに、である。
さらに、よく見ると、「Antonio Stradivarius」の上に、小さくだが「copy」の文字が見える。
そうなんです。ストラディバリウスを真似てドイツで作られたものなのです。それも、年代を特定すれば、1949年から1990年の間に作成されたものなのです。
ここにストラディバリウスがあるはずがないし(店には失礼だが)、僕が買うような予算で本物が買えるはずがない。
店の人に訊いてみると、このようなストラディバリウスを手本にしたものが結構あると言うことだった。
こうして、僕の手元にはストラディバリウスがあるのである(ただし、小さい声で言うとコピーであるが)。
もちろん、音色は弾き手である技術を別にすれば、元もと持っているヴァイオリンより遥かにいい音がする。
何しろ、ストラディバリウスである。
やはりヴァイオリンをやっている知人にこのことを話したら、「copy」のところに、コーヒーの染みを流したらといいアイディアをくれたが、そのままでも愛着がある。
いや、最近、ストラディバリウスを手に入れた。
あのヴァイオリンのストラディバリウスである。
ストラディバリウスといえば、去年ニューヨークのクリスティーズの競売で354万4000ドル(約4億円)で落札されたというほどの、高価なブランド品、いや芸術品である。
ヴァイオリンの最高傑作と言われ、イタリア人のアントニオ・ストラディバリがクレモナにおいて、17世紀後半から18世紀前半にかけて作った名品である。
300年たっても、熟成されたワインのようにその音色は衰えを知らないどころか、ますますまろやかだと言われている(本当のところは、僕には分からない)。
彼が制作したものは1200と言われ、約600が現存するとされるが定かではない。
時々ヴァイオリンに触れたりレッスンに通ったりしているのであるが、長期に佐賀の実家に帰るときはこれを持っていくことにしている。それが面倒になったので、今までのものを佐賀に置いて、東京に新しいのを購入しようと思ったのである。
そのことを先生に相談したら、先生が自ら楽器店に出向いて試弾してくれることになった。店の人が何本か持ってきて、それで、先生が選んでくれたのがこれである。
少し縁が傷がついていたりして古いものだそうであるが、何だか優美である。
ヴァイオリンの中央に弦が上から下に真っ直ぐ伸びている。その伸びた弦の先の瓢箪のような箱の左右に、細長いS字型が対象形に刳り抜いてある。
その刳り抜いた穴から中を覗くと、底にラベルが貼ってあるのが見える。
僕が買うことにしたヴァイオリンの底を覗いてみると、ラベルにどうもストラディバリウスと読める文字があるではないか。まさかと思った。
さらに目をこすってよく見ると、確かに「Antonio Stradivarius」と書いてある。そして、その下に、「faciebat Cremona 1713」とある。クレモナで作られたのに違いない。
いや、そんなはずはない。店の人はドイツ製だと言っていた。
それを証明するように、その下に「Made in Western Germany」とちゃんと書いてある。
ストラディバリウスなのに、西ドイツ製とはこれいかに、である。
さらに、よく見ると、「Antonio Stradivarius」の上に、小さくだが「copy」の文字が見える。
そうなんです。ストラディバリウスを真似てドイツで作られたものなのです。それも、年代を特定すれば、1949年から1990年の間に作成されたものなのです。
ここにストラディバリウスがあるはずがないし(店には失礼だが)、僕が買うような予算で本物が買えるはずがない。
店の人に訊いてみると、このようなストラディバリウスを手本にしたものが結構あると言うことだった。
こうして、僕の手元にはストラディバリウスがあるのである(ただし、小さい声で言うとコピーであるが)。
もちろん、音色は弾き手である技術を別にすれば、元もと持っているヴァイオリンより遥かにいい音がする。
何しろ、ストラディバリウスである。
やはりヴァイオリンをやっている知人にこのことを話したら、「copy」のところに、コーヒーの染みを流したらといいアイディアをくれたが、そのままでも愛着がある。