ルネ・クレール監督・脚本 ジェラール・フィリップ ミシェル・シモン シモーヌ・バレール ニコール・ベナール 1949年仏伊
あなたの最も欲しいものは何だろう。
愛、富(金)、名誉、それとも……。
何だろう。
しかし、人が行き着くところは、最も欲しいものは、若さであろう。
今現在若い人は、そうとは思わないかもしれない。老いを微塵も感じることなく若さが溢れている人は、もっと現実的に最初にあげた愛、富、名誉や権力などが欲しいと思うかもしれない。金があれば、愛も手に入れることができると思う人もいるだろう。
しかし、今若い人もいつかは老いる。それは、必ず、なのだ。例外はない。あなたにも、そして僕にもやってくる。いや、もうすぐそこにやって来ている。
ゲーテの作り出した「ファウスト」は、悪魔と取引をして、欲しいものを手に入れた。それで、交換するものは、何か?
魂である。
若さと引き替えだったら、魂など誰もがすぐに差し出すだろうか?
きっと、ほとんどの人間が差し出すに違いない。
ファウスト教授(ミシェル・シモン)は、学問一筋で50年がたった老学者だ。ある程度の名誉は得たが、遊ぶこともせずに老いてしまった。長年行ってきた錬金術の研究もあと一歩である。
そこへ、悪魔の手先のメフィストフェレスが顔を出し、ファウスト教授に契約を持ちかける。望むものを与えてやるので、魂を売れと。
断わる教授に、とりあえず、悪魔は無償で教授に若さを与える。
彼は、美貌と若さを手に入れる。
老教授からハンサムな若者アレン(ジェラール・フィリップ)になったファウストは、若さを享受するかのように村の酒場で飲み叫び、ジプシーの娘に恋をする。
しかし、金がないと若さだけでは思うにまかせない。
そこで、悪魔は若者アレンに研究していた錬金術の完成策を教える。砂が金貨に変わる術で、彼は宮殿で名誉も金も手に入れる。足りないのは愛で、美しい王妃(シモーヌ・バレール)の愛も手に入れる。
その先はどうなるのか?
彼は悪魔に頼んで、自分の未来を見て、愕然とする。
金で買えないもの、それは若さである。
だから、秦の始皇帝からマイケル・ジャクソンまで、いやいや、あなたの身の回りにいる知り合いの彼女まで、若さを手に入れようと必死になる。
しかし、それは叶わない。そう見せかけられるか、少し長生きするかぐらいである。かといって、身も心も衰えた末に、自分が少し長生きしたところで何になろうか。
長生きしなくていいから、若いままでありたい。この矛盾した思いが、最も我が儘で本当のところかもしれない。
されど現実のわれわれは、「ファウスト」か「ドリアン・グレイ」のように、魂を売ることさえできない。
主演のジェラール・フィリップは、老いさらばえることなく36歳の絶頂期に没した。かくして、彼は永遠の美男子と称されるようになった。
あなたの最も欲しいものは何だろう。
愛、富(金)、名誉、それとも……。
何だろう。
しかし、人が行き着くところは、最も欲しいものは、若さであろう。
今現在若い人は、そうとは思わないかもしれない。老いを微塵も感じることなく若さが溢れている人は、もっと現実的に最初にあげた愛、富、名誉や権力などが欲しいと思うかもしれない。金があれば、愛も手に入れることができると思う人もいるだろう。
しかし、今若い人もいつかは老いる。それは、必ず、なのだ。例外はない。あなたにも、そして僕にもやってくる。いや、もうすぐそこにやって来ている。
ゲーテの作り出した「ファウスト」は、悪魔と取引をして、欲しいものを手に入れた。それで、交換するものは、何か?
魂である。
若さと引き替えだったら、魂など誰もがすぐに差し出すだろうか?
きっと、ほとんどの人間が差し出すに違いない。
ファウスト教授(ミシェル・シモン)は、学問一筋で50年がたった老学者だ。ある程度の名誉は得たが、遊ぶこともせずに老いてしまった。長年行ってきた錬金術の研究もあと一歩である。
そこへ、悪魔の手先のメフィストフェレスが顔を出し、ファウスト教授に契約を持ちかける。望むものを与えてやるので、魂を売れと。
断わる教授に、とりあえず、悪魔は無償で教授に若さを与える。
彼は、美貌と若さを手に入れる。
老教授からハンサムな若者アレン(ジェラール・フィリップ)になったファウストは、若さを享受するかのように村の酒場で飲み叫び、ジプシーの娘に恋をする。
しかし、金がないと若さだけでは思うにまかせない。
そこで、悪魔は若者アレンに研究していた錬金術の完成策を教える。砂が金貨に変わる術で、彼は宮殿で名誉も金も手に入れる。足りないのは愛で、美しい王妃(シモーヌ・バレール)の愛も手に入れる。
その先はどうなるのか?
彼は悪魔に頼んで、自分の未来を見て、愕然とする。
金で買えないもの、それは若さである。
だから、秦の始皇帝からマイケル・ジャクソンまで、いやいや、あなたの身の回りにいる知り合いの彼女まで、若さを手に入れようと必死になる。
しかし、それは叶わない。そう見せかけられるか、少し長生きするかぐらいである。かといって、身も心も衰えた末に、自分が少し長生きしたところで何になろうか。
長生きしなくていいから、若いままでありたい。この矛盾した思いが、最も我が儘で本当のところかもしれない。
されど現実のわれわれは、「ファウスト」か「ドリアン・グレイ」のように、魂を売ることさえできない。
主演のジェラール・フィリップは、老いさらばえることなく36歳の絶頂期に没した。かくして、彼は永遠の美男子と称されるようになった。