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かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

東京駅での、駅弁誕生130周年記念の「幕の内弁当」

2015-04-15 00:38:54 | 気まぐれな日々
 法事で、佐賀に帰ってきた。
 九州にまっすぐ帰るときは、いつも、昼頃東京駅を発つ列車、新幹線に乗る。だから、列車の中で弁当を食べることが多い。そのときは、東京駅の地下構内で弁当を買うこととなる。
 東京駅構内の地下は、ここ数年の間に様相が変わり、丸の内側から八重洲側に伝う通路が新しく整備改装された。店もいろいろできて、ユニクロまで進出しているのには驚いた。
 最近駅弁が人気なのか、その東京駅内にも何軒か駅弁を売っているところがある。

 東京を発った日の4月10日、東京駅に着くと、駅弁を買おうと思って駅の構内の地下中央通路の弁当屋をのぞいた。時間がないときは、東海道新幹線の中央改札口を入って、すぐの左手にある駅弁屋で慌てて買うことが多い。
 この日は、出発の列車の時間まで余裕があるので、あれこれ駅弁を見て選べることができる。出発の列車といっても、僕は混雑期以外はだいたいが自由席に乗るので、遅れると次の列車に乗ればいいだけのことなのだが。

 東京駅の中央通路にある、各地のいろいろな駅弁をそろえている駅弁屋は、以前は中華系の食堂だったところだと思う。九州から東京に戻ったときは、大体が夜なので、かつてはこの食堂で晩飯(夕飯)を食べることをよくやった。
 上野駅が東北・北海道地方の人の心の駅なら、僕にとってのそれは東京駅だった。旅から戻ったときや九州の田舎から戻った夜、東京駅に着くと、何となく侘しさが襲ってきたものだ。今までの旅や帰省が終わったのだと、しみじみとした気持ちが襲ってくるのだった。
 そして、東京駅の地下の食堂で一人食事をすることで、それまでの旅の想いや九州での親と交わした久しぶりの家族の味わいを噛みしめるのだった。ここで、田舎での生活、あるいは旅は終わったのだと気持ちをリセットして、再び東京の生活に戻ったのだった。
 そういう意味で、僕にとって東京駅は出発であるとともに、終わりの駅なのだ。

 この日は、その駅弁屋が賑々(にぎにぎ)しい。入り口の正面では、粋なお姉さんが、かつて人気の駅弁の「峠の釜めし」を売っていて、左右に「4月10日、駅弁の日」、「駅弁大会」の幟が垂らしてある。よく見ると、「駅弁誕生130周年」とある。
 4月10日が駅弁の日とは知らなかった。
 店内は、全国の有名駅弁が所狭しと並んでいる。買う人も、押し合うほどいっぱいだ。
 やはり、駅弁の定番である幕の内弁当系を買おうと探した。前にも食べたことがある東京の老舗の食を集めた「東京弁当」を手にした。すると、すぐ近くにシンプルな名前の「幕の内弁当」というのが目についた。
 たまたま弁当を補充していた店の人が横にいたので、訊いてみた。その係りの人によると、このなんの衒いもない単純なネーミングの「幕の内弁当」は、駅弁誕生130周年駅弁大会限定で、この4月の10日から3日間だけしか売っていないという。
 何日間限定とか、ここだけしか置いていないといったものに弱いので、僕はすぐにこの弁当を買うことにした。弁当の包み紙のデザインは、芝居の幕間(幕の内)に食べたという謂われからか、歌舞伎のモチーフ柄である。

 列車が動き出して、「幕の内弁当」を開いた。
 中に、弁当の品書きと駅弁130周年の、駅弁の解説書が入っていた。
 それによると、駅弁の誕生には諸説あるが、一般的には1885(明治18)年7月16日、宇都宮の旅館白木屋が、梅干しの入ったオニギリにゴマ塩を振りかけ、タクアン2切れを添えて、竹の皮に包んで売り出したものだという。料金は5銭。
 駅弁の日を、始まりの日にちもはっきりしているこの7月16日ではなく4月10日にしたのはどうしてだろうと思っていたら、「弁」の「4」との類似と、「当」と「10」のゴロ合わせのようだ。ちょっと芸がない。

 駅弁誕生130周年駅弁大会限定「幕の内弁当」の中身は、以下のとおりである。(写真)
 サーモントラウト味噌漬け焼き(焼魚)、玉子焼き、蒲鉾の“幕の内弁当の三種の神器”をはじめ、合鴨スモーク串、帆立貝、ぜんまい五目煮、サツマイモ甘露煮、海老入り真丈筍揚げ、マイタケの天ぷら、パプリカ揚げ、がんも、生麩などの煮物、茶飯、白飯ほか。
 いかにも、具の種類が豊富である。味も満足。料金は1,500円。
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