かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

27. アムステルダムの灯②

2005-12-08 20:07:03 | * フランス、イタリアへの旅
<2001年10月24日>アムステルダム
 私の1か月に及んだ旅も終わりに近づいた。明日は、アムステルダムを発って日本の成田へ向かう。
 
 オランダ最大とされる国立博物館へ行ってみた。コンセルトヘボウから遠くなく、つまり私の滞在しているホテルから歩いて行ける距離だ。ミュージアム広場の先にあるのは、左右に塔のように聳える三角形の屋根を従えた、威風堂々とした建物である。中央通路がアーチになっていてくぐり抜けられ、まるでトンネルのようだ。
 さすがにかつて一時は世界を股にかけた国だけあって、広範な美術品が集められていた。ここでの見所は、17世紀オランダ最大の画家、レンブラントの「夜警」である。集団肖像画として依頼されたものを構想画に変貌させた、絵画史上画期的とされる絵だ。
 この博物館の隣にあるゴッホ美術館に行こうと思ったが、博物館で思いのほか時間を食い、時間の余裕がないのでノミの市へ行った。しかし、大して見るべきものはなかった。
 
 トラムの中から見かけて気になっていたのがカジノだ。カジノの入口まで行ったが、散々迷ったあげく入るのをやめた。もう、ギャンブルの神は私の中には生息していないのだ。カジノも私を惹きつける魅力を失せてしまった。
 結局、ダム広場へ行き、その足でまた飾り窓の通りへ来てしまった。しかし、昨日のような新鮮なときめきはもう感じられない。
 
 人の感動とはなぜ持続しないのだろうか。同じところに留まっていると、新鮮さも色褪せてくる。胸のときめきもいつしか落ち着いてくる。だから、人は歩き続けなければならない。旅人は発たなければならない。
 
 またもや、雨が降り出してきた。最後までこうだ。
歩き疲れて、インドネシア・中華料理店に入った。インドネシアは、旧オランダの植民地だからか、意外と目にする。
 アムステルダムでは、最初着いた日がライツェ広場近くでトルコ料理、昨日は同じくライツェ広場近くのインド料理だから、ちゃんとしたオランダ料理を食べていない。そういうものがあるのかどうかも知らない。ビールは、ハイネケンばかりが目についた。
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